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太田述正コラム#9323(2017.9.6)
<進化論と米北部(その12)>(2017.12.20公開)
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[spreadsheetについての誤訳]
両義性のある英単語の翻訳のむつかしさを書いた途端、自らがその陥穽にはまってしまい、お恥ずかしい限りだ。
すなわち、
旧:「ソローはまた、拡大鏡(spreadsheet)<(注15)>を発明したのではないかとされている。
(注15)写真。
https://www.google.co.jp/search?q=%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88&hl=ja&rlz=1T4GUEA_jaJP671JP672&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=0ahUKEwiPoIelkY7WAhWJS7wKHYJcAGcQsAQI3AE&biw=1605&bih=874 」
ではなく、
新:「ソローはまた、数値等記入表(spreadsheet)を発明したのではないかとされている。」
でなければならなかった。
訂正をお願いする。
その理由を述べる。
私は、spreadsheetについては、「表計算ソフトの画面、表計算ソフトそのもの」、という意味しか承知していなかったところ、文脈からして、そんな意味であるはずがないので、調べてみると、両義性があり、もう一つ、「拡大シート」、という意味があることを知った。
そこで、上掲の「旧」のように訳し、注まで付けたわけだ。
ところが、本文で後出のくだりから、この意味でもないことに気付き、改めて、調べてみると、この単語は、両義性どころか、三義性(?)なのであって、spreadsheetの語源は、'A sheet of paper, marked with a grid, in which financial data is recorded and totals calculated manually'、すなわち、財務数値等記入表・・この言葉自体、私の要約的翻訳・・であることが判明した。
http://ejje.weblio.jp/content/spreadsheet
とまあ、そういうわけで、上掲の「新」のように改訳することとした次第だ。
(果たして、タテとヨコの線をたくさん引いただけの数値等記入表程度のものが、「発明」の名に値するのか、という気がしないでもないが・・。)
なお、話が三義性まで来たところで、以前に、日本語等の単語に比べて、(世界中の種々雑多な人々によって使われていて、使っている人の数も漢語と並んで多い、)英語の単語には多義性のものが多い、と記した(コラム#省略)ところ、このことも、この際、想起していただきたい。
ここで余り関係のないぼやきだが、本日、ある記事の見出し中の、'unsmack the gob' 的な記述の意味が分からず、ちょっと調べてみたのだが、十分解明できておらず、気になって仕方がない。
何度も繰り返して恐縮だが、翻訳は、まことにむつかしい。
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著者による、最も驚くべき暴露は、ダーウィンによる「豊富で脈動する自然界」についての描写が、ソローに与えた大きな影響だ。
『種の起源』に出会う前の年月において、ソローは、「自然の諸働きに憑りつかれる」に至っており、彼がマサチューセッツ州の森林で出会ったところの、鳥達、諸植物、諸動物、そして諸樹木、の写生や描写でもって、ノート群を埋め続けていた。
しかし、ダーウィンのこの本を読んで、初めて、ソローは、自分が集積した情報の山の中から秩序を創造する試みを開始した。
彼は、自分の日誌群の数千に及ぶ頁群を、今日ならば、巨大な数値記入表と呼ばれるであろうところのものへと整序し始めたのだ。
ソローは、その大部分がダーウィンの本を読んだことで鼓吹されたところの、自然史に関する未完の草稿を残して、1862年に亡くなった。」(B)
(続く)
<進化論と米北部(その12)>(2017.12.20公開)
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[spreadsheetについての誤訳]
両義性のある英単語の翻訳のむつかしさを書いた途端、自らがその陥穽にはまってしまい、お恥ずかしい限りだ。
すなわち、
旧:「ソローはまた、拡大鏡(spreadsheet)<(注15)>を発明したのではないかとされている。
(注15)写真。
https://www.google.co.jp/search?q=%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88&hl=ja&rlz=1T4GUEA_jaJP671JP672&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=0ahUKEwiPoIelkY7WAhWJS7wKHYJcAGcQsAQI3AE&biw=1605&bih=874 」
ではなく、
新:「ソローはまた、数値等記入表(spreadsheet)を発明したのではないかとされている。」
でなければならなかった。
訂正をお願いする。
その理由を述べる。
私は、spreadsheetについては、「表計算ソフトの画面、表計算ソフトそのもの」、という意味しか承知していなかったところ、文脈からして、そんな意味であるはずがないので、調べてみると、両義性があり、もう一つ、「拡大シート」、という意味があることを知った。
そこで、上掲の「旧」のように訳し、注まで付けたわけだ。
ところが、本文で後出のくだりから、この意味でもないことに気付き、改めて、調べてみると、この単語は、両義性どころか、三義性(?)なのであって、spreadsheetの語源は、'A sheet of paper, marked with a grid, in which financial data is recorded and totals calculated manually'、すなわち、財務数値等記入表・・この言葉自体、私の要約的翻訳・・であることが判明した。
http://ejje.weblio.jp/content/spreadsheet
とまあ、そういうわけで、上掲の「新」のように改訳することとした次第だ。
(果たして、タテとヨコの線をたくさん引いただけの数値等記入表程度のものが、「発明」の名に値するのか、という気がしないでもないが・・。)
なお、話が三義性まで来たところで、以前に、日本語等の単語に比べて、(世界中の種々雑多な人々によって使われていて、使っている人の数も漢語と並んで多い、)英語の単語には多義性のものが多い、と記した(コラム#省略)ところ、このことも、この際、想起していただきたい。
ここで余り関係のないぼやきだが、本日、ある記事の見出し中の、'unsmack the gob' 的な記述の意味が分からず、ちょっと調べてみたのだが、十分解明できておらず、気になって仕方がない。
何度も繰り返して恐縮だが、翻訳は、まことにむつかしい。
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著者による、最も驚くべき暴露は、ダーウィンによる「豊富で脈動する自然界」についての描写が、ソローに与えた大きな影響だ。
『種の起源』に出会う前の年月において、ソローは、「自然の諸働きに憑りつかれる」に至っており、彼がマサチューセッツ州の森林で出会ったところの、鳥達、諸植物、諸動物、そして諸樹木、の写生や描写でもって、ノート群を埋め続けていた。
しかし、ダーウィンのこの本を読んで、初めて、ソローは、自分が集積した情報の山の中から秩序を創造する試みを開始した。
彼は、自分の日誌群の数千に及ぶ頁群を、今日ならば、巨大な数値記入表と呼ばれるであろうところのものへと整序し始めたのだ。
ソローは、その大部分がダーウィンの本を読んだことで鼓吹されたところの、自然史に関する未完の草稿を残して、1862年に亡くなった。」(B)
(続く)
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