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太田述正コラム#9057(2017.4.26)
<ナチが模範と仰いだ米国(その12)>(2017.8.10公開)
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[米国の人種主義がもたらしたものについての新たな発見]
http://www.latimes.com/opinion/op-ed/la-oe-reiss-race-sleep-gap-20170423-story.html
(4月26日アクセス)より。
「アフリカ系米国人達は白人達に比べて睡眠の質が低いが、この不平等性は奴隷制にまで遡る。・・・
この人種間の隔たり(gap)は、概ね、安全で信頼できる、そして心地よい睡眠諸環境への不平等なアクセスに関わっており、この睡眠における不平等性は長い歴史を有している。
何世紀にもわたって、白人達は、このような不平等性を、暗黙裡に容認、いや積極的に作り出しさえ、してきたのだ。
大西洋を渡る奴隷貿易の船舶群の載せられたアフリカ人たる捕らわれ人達は、船倉で、しばしば鎖で繋がれたまま、集団で睡眠をさせられた。
新世界に着くと、奴隷にさせられた人々は、通常、引き続き、時には裸の床の上で、狭い宿舎群で睡眠をさせられ、数珠つなぎで鎖に繋がれたまま僅かの間でも眠ろうとあがいた。
奴隷所有者達は、四六時中<黒人達の>監視を試みたことから、計画的に<彼らの>プライバシーを否定したが、とりわけ奴隷にされた女性達は、夜には白人の男性達からの性的攻撃を受ける可能性があった。
質の悪い睡眠は人種的な健康上の諸不平等性に滝のような諸効果を及ぼす。
それには、糖尿病や循環器系疾患に係るリスクの増加が含まれる。・・・
例えば、トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)は、黒人達は、要するに、白人達に比べて、「睡眠を少なくしか必要としない」、という意見をのたまった。
そして、奴隷にされた人々の、長い一日の終わり頃におけるうたた寝をする傾向に気付きつつも、彼は、迅速なる睡眠への下降は、(休息の不足ではなく、)劣等な諸知性の証拠である、と自分自身を納得させていた。
白人達は、知的ないし創造的な諸作為(enveavors)を追求するために彼ら自身を夜遅くまで目覚めさせておくことができるのに対し、「黒んぼ達」は「沈思(reflection)」の諸力において欠陥があるためそれができない、と喝破した。
すなわち、「その身体が休息していて、かつ、沈思しないところの、動物が、眠らざるをえないのは当たり前だ」、と。
<また、>ルイジアナ州の医師のサミュエル・カートライト(Samuel Cartwright)<(注18)>は、大いに広められたところの、奴隷達の医学的状況についての研究を実施ししたが、彼は、睡眠における<白人達と黒人達の>諸差異は白人種の生来的優位性の証拠であると信じてもいた。
(注18)1793〜1863年。「南部同盟の軍医・・・黒人の健康問題に関する権威として悪名高く、ドラペトマニアという精神病を作ったことで有名である。・・・奴隷制度支持者で南部の人々に奴隷制度の医学的正当性を与えた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BBA%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
「1851〜1862年にかけて発表された14の論文で・・・<奴隷>に特有の遺伝性の精神病であるとされ<た>・・・ドラペトマニア(Drapetomania)<なる>・・・病気の症状とは「奴隷が隷属する義務から逃げ出そうとする」と定義されていた。・・・カートライトが考えたこの病気の治療法とは、患者から悪魔が出て行くように鞭打ちをおこなうことであった。この病気は学会発表されルイジアナ医学会によって精神病であると認定され新聞などに載り広く認知されることになった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2
彼は、休息中の黒人達は、本能的に彼ら自身の諸顔を諸毛布や衣類で覆い、脳への酸素の流入を妨げ、この閉塞症(obstruction)は慢性的に彼らの知的向上を阻害せしめている、と主張した。
そして、疲労困憊して大農場中をほっつき歩く奴隷達については、彼は、これを、「ディスアスセシア・アエティオピカ(dysaesthesia aethiopica)」<(注19)>として知られていた黒人達の病気の特別な種類である、と考えた。
(注19)1861年に、奴隷達の怠惰さの原因として提唱された精神病。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dysaesthesia_aethiopica
その治療法として、カートライトが助言(counsel)したのは、「戸外での重労働」と奴隷所有者達による<奴隷達に対する>加重された調練(discipline)だった。
(続く)
<ナチが模範と仰いだ米国(その12)>(2017.8.10公開)
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[米国の人種主義がもたらしたものについての新たな発見]
http://www.latimes.com/opinion/op-ed/la-oe-reiss-race-sleep-gap-20170423-story.html
(4月26日アクセス)より。
「アフリカ系米国人達は白人達に比べて睡眠の質が低いが、この不平等性は奴隷制にまで遡る。・・・
この人種間の隔たり(gap)は、概ね、安全で信頼できる、そして心地よい睡眠諸環境への不平等なアクセスに関わっており、この睡眠における不平等性は長い歴史を有している。
何世紀にもわたって、白人達は、このような不平等性を、暗黙裡に容認、いや積極的に作り出しさえ、してきたのだ。
大西洋を渡る奴隷貿易の船舶群の載せられたアフリカ人たる捕らわれ人達は、船倉で、しばしば鎖で繋がれたまま、集団で睡眠をさせられた。
新世界に着くと、奴隷にさせられた人々は、通常、引き続き、時には裸の床の上で、狭い宿舎群で睡眠をさせられ、数珠つなぎで鎖に繋がれたまま僅かの間でも眠ろうとあがいた。
奴隷所有者達は、四六時中<黒人達の>監視を試みたことから、計画的に<彼らの>プライバシーを否定したが、とりわけ奴隷にされた女性達は、夜には白人の男性達からの性的攻撃を受ける可能性があった。
質の悪い睡眠は人種的な健康上の諸不平等性に滝のような諸効果を及ぼす。
それには、糖尿病や循環器系疾患に係るリスクの増加が含まれる。・・・
例えば、トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)は、黒人達は、要するに、白人達に比べて、「睡眠を少なくしか必要としない」、という意見をのたまった。
そして、奴隷にされた人々の、長い一日の終わり頃におけるうたた寝をする傾向に気付きつつも、彼は、迅速なる睡眠への下降は、(休息の不足ではなく、)劣等な諸知性の証拠である、と自分自身を納得させていた。
白人達は、知的ないし創造的な諸作為(enveavors)を追求するために彼ら自身を夜遅くまで目覚めさせておくことができるのに対し、「黒んぼ達」は「沈思(reflection)」の諸力において欠陥があるためそれができない、と喝破した。
すなわち、「その身体が休息していて、かつ、沈思しないところの、動物が、眠らざるをえないのは当たり前だ」、と。
<また、>ルイジアナ州の医師のサミュエル・カートライト(Samuel Cartwright)<(注18)>は、大いに広められたところの、奴隷達の医学的状況についての研究を実施ししたが、彼は、睡眠における<白人達と黒人達の>諸差異は白人種の生来的優位性の証拠であると信じてもいた。
(注18)1793〜1863年。「南部同盟の軍医・・・黒人の健康問題に関する権威として悪名高く、ドラペトマニアという精神病を作ったことで有名である。・・・奴隷制度支持者で南部の人々に奴隷制度の医学的正当性を与えた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BBA%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
「1851〜1862年にかけて発表された14の論文で・・・<奴隷>に特有の遺伝性の精神病であるとされ<た>・・・ドラペトマニア(Drapetomania)<なる>・・・病気の症状とは「奴隷が隷属する義務から逃げ出そうとする」と定義されていた。・・・カートライトが考えたこの病気の治療法とは、患者から悪魔が出て行くように鞭打ちをおこなうことであった。この病気は学会発表されルイジアナ医学会によって精神病であると認定され新聞などに載り広く認知されることになった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2
彼は、休息中の黒人達は、本能的に彼ら自身の諸顔を諸毛布や衣類で覆い、脳への酸素の流入を妨げ、この閉塞症(obstruction)は慢性的に彼らの知的向上を阻害せしめている、と主張した。
そして、疲労困憊して大農場中をほっつき歩く奴隷達については、彼は、これを、「ディスアスセシア・アエティオピカ(dysaesthesia aethiopica)」<(注19)>として知られていた黒人達の病気の特別な種類である、と考えた。
(注19)1861年に、奴隷達の怠惰さの原因として提唱された精神病。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dysaesthesia_aethiopica
その治療法として、カートライトが助言(counsel)したのは、「戸外での重労働」と奴隷所有者達による<奴隷達に対する>加重された調練(discipline)だった。
(続く)
太田述正ブログは移転しました 。
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