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太田述正コラム#8925(2017.2.19)
<米帝国主義の生誕(幕間)(その4)>(2017.6.5公開)

 「この本の中で、著者は、彼の最近の諸本のいくつか、例えば、『アジアの大鍋(Asia’s Cauldron)』における主題であるところの、米海軍の重要性、について繰り返す。
 米国の自由と帝国の両方を体現したのが、セオドア・ローズベルトのグレート・ホワイト・フリート(Great White Fleet)<(注3)>だった。・・・」(B)

 (注3)「1907年12月16日から1909年2月22日にかけて世界一周航海を行ったアメリカ海軍大西洋艦隊の名称。「GWF」と略されることもあり、また「白い大艦隊」「白船」と訳されることもある。名前の由来は、GWFの艦体が白の塗装で統一されたことによる。・・・
 航海の目的は<米国>の海軍力を世界中、特に日露戦争に勝ったばかりの・・・日本・・・に誇示することおよび<米>西海岸の<米>国民に軍備拡張の支持、具体的には戦艦4隻を新造するための予算を取り付けることが目的だったといわれている。・・・
 <米国>は当時、大西洋に艦隊が集まっており、太平洋には装甲巡洋艦が1隻配備されているだけであった。まだパナマ運河も建設中で太平洋側で有事があった場合の不安が強くあった。また日露戦争でロシア艦隊が消滅すると、太平洋上には日本海軍だけが突出する状態となった。<米国>の保守派や軍人たちは<米国>の植民地であったフィリピンの孤立を恐れていた。
 日本側には<米国>への日本人移住制限の検討が行われたことに対する世論の反発や、ポーツマス条約の仲介を行った<ロ>ーズベルト大統領に対する批判や不満もあり、日米関係は緊張状態にあった。また日本政府は・・・1907年の帝国国防方針で初めて<米国>を第一の仮想敵国としていた。
 艦隊が世界一周航海を始めると、<米国>や<欧州>諸国での世論は日本と<米国>の戦争が間近であると騒ぎ立てた。駐フランス大使の栗野慎一郎は「フランスの新聞は日米戦争不可避と書き、日本の外債は暴落した」と伝える。また駐スペイン公使の稲垣満次郎は「スペインの貴族や資本家から軍資金の提供の申し出があった」(スペインは米西戦争に敗北直後)と伝えてきていた。また<米国>の新聞も右派系を中心として連日に渡り、日本との戦争不可避と伝えた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88

⇒米国って、ドラえもんに登場する「ジャイアン(腕っ節の強い乱暴者)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93
そのもの、ですよね。(太田)

 (2)その今後

 「・・・確かに、「米本土(下の方の48州=Lower 48)」の莫大な諸資源のおかげで、アラスカとハワイによって提供されるところの軍事投入能力を持ち出すまでもなく、米国は有徳の自給自足可能性が確保されていて最悪の全球的乱気流を免れ得ることから、米国に、その諸競争相手に対して圧倒的優位を与えている。
 しかし、著者は、北アメリカ大陸は、ユーラシアなる大陸塊に比べれば一つの付随体(satellite)に過ぎないことを察知している。
 もし、鉄道網と自動車専用道路網を通じての国内の地固め(consolidation)がその力の侍女(handmaiden)だとすれば、同じプロセスでもって、超光速で、欧州の東方へのそして中共の西方へのメガインフラ諸プロジェクトが進められていて、<この二つが>真ん中で出会うことで、この惑星の超大陸を兵站的統合がなろうとしている。
 著者は、「我々は、ここ<、超大陸>で、米国がコントロールするには大き過ぎる諸力に対処させられつつある」、と記す。
 <しかし、>彼は、米国は「指導すべく運命付けられている」、と<なお>信じている。
 <これに対し、書評子の>私は、どちらかといえば、「影響をを与えるべく運命づけられてはいるものの、操縦すべくは運命付けられていない」、という感じだ。
 世界の成長諸地域は米国のエネルギーを欲している・・中共は、米国の石油を輸入し始めたばかりだ・・し、テクノロジーと資本も、更にはある程度、その安全保障の傘をも、欲している。
 これらは、<米国の>建設的な大戦略の四つの柱群だ。
 しかし、これらは実用本位の諸サービスでもあり、米国は、いわば、<それらの諸サービスを供給する>オフショアの公益事業会社なのだ。
 米国の諸観念(ideas)や諸理念(idals)に関しては、はるかに関心など持たれていない<ことを忘れてはならない>。・・・」(B)

⇒ここは、全くこのFTの書評子に同意です。
 トランプも、ほぼ同意するのではないでしょうか。

(続く)

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