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太田述正コラム#8335(2016.4.14)
<皆さんとディスカッション(続x2963)>

<向井>(ツィッターより)

 太田さんはこれまでのコラムのいくつかを一冊の本にまとめて出版しようとか思わないのですか??

<太田>(同上)

 私が思うも何も、現状ではそんな劇薬のような本は売れっこない、と出版界が判断していると想像される以上、本にはならないよ。
 なお、私自身、知の地平を切り開くことに忙しいので、たとえ本にしたいという話が持ち込まれたとしても、それに余り労力を割くつもりはないなあ。

<太田>(同上)

 「…日本人の場合、炭水化物を分解して出る水素を使い、無駄なく栄養素を作る腸内細菌が多かった。外国人の場合、水素で不要なメタンを作るものが多かった。また、日本人の約90%に海藻を消化する遺伝子を持つ腸内細菌がいるのに対し、外国人では最高で約15%の人にしかいなかった。 …」
http://mainichi.jp/articles/20160413/ddp/012/040/023000c
 「…日本人の腸内細菌には、DNAが傷ついた時の修復に関わる遺伝子が少なかった。これはDNAが傷つきにくい腸内環境のため、修復の遺伝子を持つ細菌が増えなかったことを示す結果という。人の細胞の「がん化」につながるDNA損傷も起きにくいとみられる…<これは、>世界一長い平均寿命などにも関係している可能性がある…」ってんだから大発見じゃん。
 「私学」の早稲田大の研究チームの、珍しい快挙・・ゴメンね・・である点も祝福したい。

<grx4xK1E>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

≫下掲の指摘の致命的弱点をあげよ。(太田)↓
 「人間の理性は不安定で、・・・とバークは考えました。」≪(コラム#8333)

 人間の本性は不安定かつ不完全であり、そんな人間がより集まってもマトモな社会なんぞ出来ないと思ってること。
 その癖、人と人との繋がりが産み出した慣習や良識に頼るべきだと言っている。

<太田>

 なるほど、そーいう回答もありうるな。
 私ならこーいう回答になる。
 私が引用してない箇所を引用しちゃいけないんだが、中島岳志が「リベラルのもともとの意味は『寛容』ですから、自分と異なる価値観の人たちに対して寛容であろうとします。保守も寛容は大切にする。」、すなわち、保守=≒リベラルである、と言ってることからはっきりするように、彼がここで用いている言葉である、(保守≒リベラル、としての)保守、リベラルってイギリス(拡大イギリス、及び米国を含む)の政治、より端的に言えば、イギリスの政治だけに通用する言葉であるところ、にもかかわらず、そんな言葉を援用して政治一般を論じてどうするんだってこと。
 付言すれば、イギリスの政治が全球的標準になった時点以降、イギリス以外の社会の政治において(のみ)、その社会の伝統的政治を志向する「保守」、と、イギリスの政治の継受を志向するところの、(「リベラル」ならぬ)「革新」、の対立が基本的に生じるわけだ。
 (日本については、上述の二つのどちらともかなり事情を異にするが、有料読者向けコラムじゃないこともあり、そこまで立ち入らない。
 おー、これ、新たに読者諸君に考えてもらおっと。)
 なお、引用した箇所に出てくるが、「立憲主義は、国民が憲法という禁止条項で権力を縛るものです。その根底にあるのは、人間の理性には限界があり、必ず間違いを犯す、権力者も時に暴走してしまうという保守的な人間観です」は単なる間違いだ。
 だって、憲法の存在しないイギリス(除く米国)で立憲主義なんてありえないんだからね。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 落ちるところまで落ちたな。↓

 「田母神・元空幕長を逮捕 選挙運動員に現金配った疑い・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASJ4C75PYJ4CUTIL054.html?iref=comtop_6_01

 そんなことくだくだ言ってるヒマがあったら、議院内閣制への移行キャンペーンでも張れよ。↓

 「韓国の国会議員選挙は13日に投開票が行われ、与党セヌリ党の惨敗という結果に終わった。セヌリ党は各地で支持を失い、最終的に与党系の無所属を合わせても過半数議席の獲得に失敗した。・・・
 セヌリ党は選挙戦の前半には「最大で180議席の獲得は確実」と豪語していた。今回の結果はこの傲慢な態度によってもたらされたとも言えるだろう。もし野党が分裂していなければ、どこまで悲惨な状況になっていたか予想もつかない。
 今回の結果に対する責任は、朴大統領と親朴グループが負わざるを得ない。もし朴大統領とその取り巻きたちが選挙結果の責任をセヌリ党に押し付けようとすれば、大統領と政府に対する支持はさらに落ち込むはずだ。朴大統領は昨年5月、自らの指示に従わないという理由で、当時セヌリ党の院内代表だったユ・スンミン議員を「裏切り者」扱いし、党の役職から解任した。また親朴グループは今回の選挙前に行われた公認作業でも主導権を握り、ユ氏に近い議員らを次々と公認から外した。なぜここまで強引にやるのか疑問視する声も相次いだが、それも意に介さず、朴大統領は気に入らない人間がいれば次々と追い出そうとした。「何をしても有権者の支持を失うことはない」という傲慢な発想がなければ、絶対にできない行動だった。
 朴大統領は1年前から国民の前で政界への批判を繰り返し「議員の顔触れを変えてほしい」と何度も訴えてきた。今回も投票のわずか数日前まで各地を回り、国会への不満を口にすることで「選挙介入」といった批判の声も出たが、朴大統領本人は全く気に留めなかった。このように大統領自ら国会への不満を国民にぶちまけたのだから、結果として自らその審判を受けてしまったのだ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/14/2016041400889.html

 珍しく日本を「進んでいる国」としたのは結構なことだが、繰り返すけど、その「進んでいる国」の議院内閣制の取り入れに向けてのキャンペーンを!↓

 「政治家が選挙前に謝罪する韓国、選挙後に謝罪する日本・・・
 日本では、選挙の結果も出る前から謝罪したり泣いたり、あるいはそれを見て「かわいそう」と同情するような風潮はない。日本だけでなく、選挙制度が進んでいる国では政治家が投票前日までベストを尽くして得票活動に励み、結果が出れば潔く責任を取るのが普通だ。勝敗が決まれば勝者は満面の笑みを見せ、敗者は有権者の叱責を受け止めて頭を下げる。そのとき初めて「謝罪」するのだ。・・・
 <ところが、>韓国では、投票を呼び掛けつつ、まず謝罪するのが常だ。国会議員総選挙が13日に迫る中、公認選びをめぐる内紛で波紋を広げた朴槿恵(パク・クネ)大統領に近い与党セヌリ党の「親朴系」執行部は南東部の大邱で、「国民の党」に押される最大野党「共に民主党」の執行部は南西部の光州で、それぞれ謝罪している。何が間違っていたというのか、これからどうするつもりなのか、耳を傾ける気にもなれない。謝罪というのは、少なくとも結果が出てからするものだ。謝罪しておきながら「当選させてくれ」と言うのはおかしい。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/12/2016041201286.html

 本日の、中共当局の日本礼賛記事だよー。↓

 「・・・ちょうど数日前のことだが、中国人にもなじみの深い「瓷娃娃(磁器の人形)」こと福原愛が公式ブログで自身の恋愛に関する報道に対し、「この度は私のプライベートのことでお騒がせをして申し訳ありません」とコメントしていた。
 このコメントは無意識のうちに最も直接的な形で、日本人が極度に礼儀を重んじる点を明らかにしており、感嘆を禁じ得ない。同時にある国を美化する人がいる一方で、必ずそれをバッシングする人々もいる。この二つの観点が対立していき、対立の最初の原因となった「日本人は他人に迷惑をかけないように努力している」という点はあっという間に忘れ去られ、新しい情報や話題にすり替わっていってしまう。
 実際、「他人に迷惑をかけない」というのは中国の伝統の中でも常に守られてきた考え方の習慣である。・・・
 ただこれらの習慣はまるで祖父母の部屋にある古い書物のように、古びた街角に留まり、現代中国人の周りでは見かけなくなった。いつの頃からかわからないが、中国の教育は「自己」や「自分」を過度に強調するようになり、「人」が生きていく中で最も重要な能力である集団の中での一人としてその他のメンバーと平和的な関係を保つ能力を軽視するようになってしまった。・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0413/c94473-9043688.html

 ヒットラー個人は反ユダヤ主義者じゃなかった、とコラム#8326(未公開)で記したばかりであるところ、下掲のコラムのタイトル、「ヒットラーはどうしてユダヤ人達を憎んだのか」を見て気になったんだが・・。↓

 Why Did Adolf Hitler Hate the Jews? ・・・
 <ヒットラーにはユダヤ人の血が混じっており、その屈辱に過剰反応したから、というのは根拠レス。↓>
 Even before Hitler came to power, there were rumors that he was of Jewish descent, a detail of personal history that would be highly damaging, even humiliating to him, and which he went to lengths to quash.・・・
 Nevertheless, no evidence has ever been found to support this claim・・・
 <ユダヤ人医師のブロッホが自分の母親の命を救えなかったことを逆恨みしたからだ、というのも根拠レス。↓>
 Could the Holocaust have been Hitler’s revenge on Dr. Bloch for his inability to save Klara’s life?  <No.>・・・
 <ネタニヤフの、フセイニがユダヤ人追放じゃなくユダヤ人殺戮をヒットラーに推奨したって珍説は、やっぱ根拠レス。
 (いや、それどころか、ヒットラーがユダヤ人を憎んでたことを前提にしちゃってる点で、その話、そもそも、このコラムになじまないじゃん。(太田))↓>
 Last fall, Israel’s prime minister suggested that Hitler got the idea for genocide from the Palestinian political and religious leader Amin al-Husseini, who was the grand mufti of Jerusalem from 1921 to 1937. According to Benjamin Netanyahu, Hitler would have sufficed with expelling the Jews from Germany, but Husseini complained that if he did that, they would just come to Palestine. When Hitler asked Husseini what he recommended, said Netanyahu, the Arab counseled him to “burn them.”
 Netanyahu’s theory was not widely embraced, to put it mildly, and he himself soon backtracked on it, conceding that, “responsibility of Hitler and the Nazis for the extermination of 6 million Jews is clear to fair-minded people.”・・・
 <結局、19世紀後半にユダヤ人が解放され、社会のあらゆる部門に進出してきたことへの反発から反ユダヤ主義が猖獗したところ、ヒットラーもそれにかぶれた、ということだとさ。
 (安心したぜ。私は、コラム#8326で、ヒットラーがかぶれちゃったはずがない、と指摘したんだもんな。(太田))↓>
 During the second half of the 19th century, as the Jews’ emancipation throughout most of Europe led to their increasing integration into society and into the modern economy, it elicited a backlash. Anti-Semitism・・・
http://www.haaretz.com/jewish/2.209/why-did-adolf-hitler-hate-the-jews-1.2618

 そーだそーだ、我々も心しなくっちゃな。↓

 「心の病気は、あなたのせいではない。8つの理由・・・」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/11/mental-illness-not-your-fault_n_9658170.html
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太田述正コラム#8336(2016.4.14)
<一財務官僚の先の大戦観(その5)>

→非公開

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