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太田述正コラム#7698(2015.5.31)
<アンドリュー・ジャクソン大統領のおぞましさ(その7)>(2015.9.15公開)

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[英植民地人は人種主義をどう正当化したか--豪州の例--]
 
 「・・・初期の<地理的意味での>欧州人入植者達は、原住民を、惨めな生活をしているところの、劣等人種である、と見なした。
 原住民は遊牧民であったので、自分達の土地の所有権を有さない、と見なされた。
 その場合、英植民地法では、無主物・・法律用語ではテラ・ヌリウス(terra nullius)<(注13)>・・となり、しかるが故に、好都合なことに、欧州人達によって占拠(occupy)することができるのだ。

 (注13)「1835年8月、豪州で、ニューサウスウェールズ植民地総督のバーク(Bourke)は、英国王によって配分される場合を除き、原住豪州人は土地の売却、割り当てができず、個人としても集団としても土地を獲得できない、と宣言することでテラ・フリウスの法理(doctrine)を施行した。・・・
 テラ・ヌリウスは、それから53年も経った、1889年に、<ある裁判における決定で、ようやく、英本国の>枢密院の法務委員会のお墨付きを得た。」
http://en.wikipedia.org/wiki/Terra_nullius

 場合によっては、原住民が、自分達の古来からの諸土地で、<欧州人の>草を食んでいる畜牛を殺すと、欧州人達は出かけて行って「射撃諸パーティ」を行って、動物達に対するように、原住民達を無差別に殺したりした。
 欧州人達の若干は、これについて、原住民は、動物達同様、魂を有さない、という理屈でもって正当化した。
 このような諸殺人は法では決して許されていなかったけれど、法が執行されるとは限らなかった。
 1901年に、豪州連邦(Commonwealth of Australia)が別々の諸植民地から形成されるが、原住民は、投票することができず、国勢調査の対象にもならなかった。
 <彼らへの>投票権は、爾後60年かけて徐々に付与された。
 テラ・ヌリウス法理が、豪州の高等裁判所で否定(overturn)されたのは、実に1992年においてであり、初めて、原住民の諸コミュニティは古来からの土地でまだ政府所有下にあったものへの諸権利を要求することが可能になった。・・・
 諸規制が、タテマエ上は、アルコール飲料を購入する人物の人種を考慮しないことになっているにもかかわらず、多くの原住民が住んでいるところの、豪州のノーザン・テリトリー(Northern Territory)におけるアルコール飲料の販売に係る諸規制は、<原住民に対する、白人による>家父長制の証拠と見ることができる。
 それはそれとして、多くの自治的な原住民の諸コミュニティは、自分達の人々に対してアルコール飲料が及ぼした荒廃を鋭く自覚するが故に、自分達の統制下にある諸地域内におけるその飲用を規制している、という事実を述べておく必要がある。
 実際、若干の原住民指導者達は、自分達自身で、より家父長制的諸政策への回帰を推進してきたところだ。・・・
 アメリカ原住民(Native American)、及び、アラスカ先住民(First Nations people in Alaska)・・・更にはカナダ<原住民>もまた、・・アルコール依存症という巨大な諸問題を抱えている。<(注14)>・・・」
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2015/05/27/peter-singer-on-speciesism-and-racism/?ref=opinion
(5月28日アクセス)(前出)

 (注14)「メキシコと、国境付近の一部の部族を除けば、インディアンには酒造の文化がな<かったこともあり、彼らは>、飲酒をコントロールすることができない。・・・一壜あれば、一壜を一気に飲み干して泥酔してしまう。かつて白人が、彼らと不平等な条約を結ぶ際、多量のウィスキーを持ち込んだことはよく知られた事実である。こうした人々が保留地で自活の道を絶たれ、アルコール依存症となるのは、エスキモーやアボリジニなど他国の先住民にも見られる問題である。完全禁酒を掲げる部族自治区も多い。・・・「タイム」誌は、ある中西部の保留地の、4,600人の成人のうち、男性21%、女性44%が、3年間に少なくとも一回、酩酊の理由で逮捕されたとし、多くの保留地では、インディアン達が外の街で酔っ払って、家へ戻る途中に自動車事故で死なないようにと、保留地でバーや酒店を開けるようにしていると報告している。「NIYC(全米インディアン若者会議)」副議長を務めたポンカ族のビル・ペンソニューが、1969年2月24日に、上院インディアン教育小委員会の前で述べた証言のなかの以下の一節は、・・・よく引き合いに出される一文である。「我々はワインにひたすら没頭する。なぜなら、酔いつぶれているときだけが、唯一我々インディアンが自由な時だからだ。」」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3
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(続く)

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