太田述正コラム#7719(2015.6.11)
<皆さんとディスカッション(続x2655)>

<太田>(ツイッターより)

 「…「製造強国」をはかる指標<で、>…トップは米国で、日本がこれに続き、ドイツは3位、中国は4位だった。…
 中国と日本との製造分野での最大の差は、設計と製造のディテールに表れている。
 中国製品は今に至るまで、日本製品のようなパーフェクト感や満足を与えることはできていない…。
 日本の工業製造には「精密さ、精巧さ、無駄のなさ」という精神が貫かれている。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0610/c94476-8904766.html
 ふと井上靖の『あすなろ物語』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%99%E3%81%AA%E3%82%8D%E7%89%A9%E8%AA%9E
を思い出してしまった。
 果たして、中共は檜になれるのだろうか。
 人間主義化ができるのだろうか。

 「僧侶がカラ出張、「大震災当日に新幹線」で発覚…」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150610-OYT1T50160.html?from=ytop_main8
 つい最近も、同じ浄土真宗本願寺派の僧侶が殺人事件を起こしたよね。
http://www.asahi.com/articles/ASH655634H65PLZB00Z.html
 日本の仏教界最大の宗派の危機ってことは日本仏教全体の危機だな。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 東京が、再び、世界で最も生活するにふさわしい都市に選ばれた。↓

 Tokyo Tops Monocle’s Most Livable City Ranking・・・Japan’s capital was followed by Vienna in second place, with Berlin rounding out the top 3 cities. Fukuoka and Kyoto also ranked in the top 25, at 12th and 14th, respectively.・・・
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2015/06/11/tokyo-tops-monocles-most-livable-city-ranking/

 集団的自衛権の部分的行使を認める安保法制の合憲違憲論が喧しいね。↓

 勇気は褒めたいが・・。↓

 「・・・八代英輝弁護士<は、>・・・今の安保法制<について、>・・・「私も違憲じゃないと思っていますし、法律家の中でも(同意見は)多いですよ」<と語った。>・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/10215967/
 <山口サン、フレーフレー。↓>
 「山口代表「憲法学は現実政治と差」…論争に参戦・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150610-OYT1T50115.html?from=ytop_ylist
 「・・・菅氏が・・・合憲派の学者<として>・・・実名を挙げた学者は、長尾一紘・中央大名誉教授▽百地章・日本大教授▽西修・駒沢大名誉教授−−の3人。・・・
 <「一般庶民」云々はウソだけどね・・。↓>
 長尾氏は、安保法制を合憲とする根拠として、国連憲章が個別的自衛権も集団的自衛権も認めていることなどを挙げ、「戦後70年、まだ米国の洗脳工作にどっぷりつかった方々が憲法を教えているのかと驚く。一般庶民の方が国家の独立とはどういうことか気づいている」と熱弁をふるった。
 <これじゃ御用学者じゃないの。↓>
 百地氏も・・・「日本の安全保障環境が大きく変化し、米国と手を組んでおかないと日本の安全が守れないというのが、集団的自衛権行使容認の大きな理由だ。憲法の枠内の政府見解変更であり憲法違反ではない」と訴えた。
 <長尾サンと違って、それ以外の理由を挙げなかったとすれば、オカシイ。↓>
 また、西氏も・・・「国連憲章上、集団的自衛権は固有の権利。憲法は自衛権行使を否定していない」と合憲論を展開した。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20150611k0000m010129000c.html
 <ま、大多数の通説派はもっとひどいけどね。↓>
 「憲法改正<の試みについてすら、>・・・佐藤幸治・京大名誉教授が強く批判・・・」
http://mainichi.jp/feature/news/20150606mog00m040002000c.html

 旧軍は、東の米本土(アメリカ大陸)爆撃だけじゃなく、西のマダガスカル(アフリカ大陸)爆撃もやったわけだ。
 ホント、ご苦労様。↓ 
http://digital.asahi.com/articles/ASH5T2D0TH5TUHBI005.html

 鯨馬さん情報で、坂野潤治(東京大学名誉教授)が戦前日本民主主義国説を唱えているとの話を紹介したことがあるが、その折、戦前日本の戦略が対赤露抑止であることは誰も唱えていないと嘆いた(コラム#6357)ところ、坂野さん、そちらも唱えていたんだね。
 以下で引用しなかった部分では、私が違和感を覚えた指摘もしているが、引用部分に関しては、その通りだと思う。
 なお、対談相手は井上寿一(学習院大学学長)だが、彼の言説は何度か批判したことがあり(コラム#4193、7711)、今回も、取り上げるべき部分がなかった。↓

 <「不承不承ながら」はいかがかと思うが・・。↓>
 「・・・第1次世界大戦をきっかけとして、デモクラシーの波が押し寄せてきたのです。「格差は社会問題だ」「労働者が劣悪な環境で働いているのは よくない」「そろそろ普通選挙を実施すべきだ」「その次は婦人参政権だ」――社会の格差を是正しなければいけないという潮流が世界的に盛り上がり、日本も不承不承ながらこれに乗らざるを得なくなりました。
 日本が国際連盟に加盟したことも契機でした。国際労働機関に入らざるを得なくなったからです。これにより労働者を保護する法律を制定する必要が生じました。外圧で変わらざるを得なくなったのです。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150605/283965/
 <5年早かったところで、大した違いは生じなかったことだろう。↓>
 「・・・1920年に普通選挙が実現していれば、満州事変までに普通選挙を何回か経験できた。みんな慣れてきたはずです。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150609/284058/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt
 <戦地では平準化傾向があった(コラム#省略)という事実に照らしても、ここはかなりおかしい。↓>
 復員<者は>、陸海軍合わせて約800万人いました。戦死者は200万人強。合わせて1000万人が終戦時点で陸海軍にいたか、戦死したかなんですね。
 一方、生産者人口、働ける男子の数は約2000万人でした。2000万人のうち1000万人が戦争に動員されたわけです。こうした環境ならば、国内にいる男子の間の格差は縮小せざるを得ません。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150605/283965/ 前掲
 <「日本型政治経済体制」と言って欲しかったね。↓>
 「・・・広義国防論 と呼ばれるもの<は、>・・・ケインズ主義的なインフレ 経済政策<を内包しており、>・・・陸軍統制派の永田鉄山や新官僚と組んで国家社会主義を実現し、軍拡と重工業化によって社会のボトムアップを図り、貧しい人を救うことを 目指していました 。彼らが重視していたのは、目の前で生活に困っている人たちです。したがって高橋是清型の経済政策とは異なります。ミドルクラスとそれより下の層に厚いインフレ政策、社会政策を重視しました。労働組合法とか小作法の制定にも取り組んでいた。・・・
 石原莞爾が立てた「重要産業5カ年計画」は、戦車を作ります、飛行機を作ります、トラックを作ります、これらの基となる重工業を育てますというものです。彼の念頭にはソ連が立てた5カ年計画があったのでしょう。そして社会大衆党もたぶん同じ絵を描いていた。あの頃の左翼は国家社会主義でいけると考えていたのです。イギリス労働党ですら「社会主義とは国有である」という意識が非常に強くありました。
 軍需産業を育てることで、失業が減り労働者は豊かになると考えたわけですね。・・・
 <その通り!↓>
 当時の「対ソ戦」は、実は「平和」を意味するのです。今の核抑止力と同様の役割を果たす伝家の宝刀だったと考えています。「対ソ戦をやるから軍拡を認めろ、労働者は支持しろ」と言いながら絶対に抜かない。社会大衆党が主張した「広義国防」が基本的に想定していたのは「戦争なしの戦時体制」だという のが私の見方です。・・・
 石原莞爾たちが目論んでいたのは、「重化学工業を育成し、5年かけて戦車や飛行機を造る。それが実現したらソ連と戦争しますよ」という話でした<が、それはタテマエ論でした。>。
 <この斎藤隆雄論は面白い。↓>
 人民戦線論が反対したのも対ソ戦です。これは、戦後に社会党左派を形成する向坂逸郎とか鈴木茂三郎 らが、国際共産主義組織のコミンテルンからの指導の下で行った運動で、民政党や社会大衆党と統一戦線を組んで、対ソ戦に反対するものでした 。斉藤隆夫が行った有名な反戦・反ファッショ演説も、アジアの局部的な戦争である日中戦争は念頭になくて、対ソ戦に反対していたのだと思います。・・・
 <その通り!↓>
 アメリカとの戦争は海軍が軍拡を正当化するために一番大きな相手を想定しただけで、本当にアメリカと戦争する気はなかったのではないでしょうか。・・・
 <その通り!↓>
 私は、戦前の人たちはコツコツがんばっていたと評価しています。大正デモクラシーから昭和デモクラシーの時代にかけて、総同盟も社会大衆党も、民政党の斉藤隆夫たちもけっこう頑張った。少しずつではあったけれど、日本は立憲制を敷き、議会制を立ち上げました。普通選挙も実現した。労働組合法はなかったけれども労働組合が実質的に どんどんできて、団体交渉もできるようになった。先人は、けっこう良いことをやってきたのです。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150609/284058/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt 前掲

 日本は赤露抑止戦略、赤露は日本侵略戦略だったってこと。↓

 「スターリン、日ソ戦3年前に極秘鉄路 モンゴルで準備・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH6B5SYDH6BPLZU005.html

 それにしても、坂野以外の日本の識者はひどすぎらー。↓

 <「左」の最低の例。(売国奴達の上前はねる米国に過剰適応の醜悪日本人。)↓>
 「・・・冷泉彰彦・・・日本の政界には、政権にいる時だけ、日米関係を重視した政策を採用し、政権から離れると自由な言動に戻るなどの「甘えの構造」が根を張っているが、米国がこれを許容し続けると考えるのは間違いだと警鐘を鳴らす。・・・」
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2015060700004.html?iref=comtop_list_cul_b01
 <「右」の最低の例。(ゴメンね、村井さん。だけど、ちょっとひど過ぎる内容じゃん。)↓>
 「日本に浸透する中国の世論戦 東京国際大学教授・村井友秀・・・」
http://www.sankei.com/column/news/150611/clm1506110001-n1.html

 毎日、なしではすまされぬ、中共当局の日本讃嘆記事。↓

 「日本の3DCGアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」が・・・中国で公開されたアニメ映画史上、過去最高の記録を打ち立てた。・・・
 日本はもともと「漫画・アニメ大国」と呼ばれ、世界最大のアニメ制作国かつ輸出国であり、漫画・アニメ産業は深く日本文化の中に浸透している。1996年、日本は明確に経済大国から文化輸出国へのモデルチェンジを目指し、漫画・アニメなどの文化産業を国家の重要な基幹産業に位置付けた。約20年の発展を経て、漫画・アニメはすでに日本の家電、自動車と並ぶ世界に影響を与える3大「メイド・イン・ジャパン」ブランドとなった。
これだけでなく、日本政府は文化輸出を外交レベルにまで高め、漫画・アニメ文化を日本の国際的な影響力を高める重要な手段とした。日本の広報文化外交(パブリックディプロマシー)の主要なメディアとしてソフト路線を走るアニメ外交の主要な目的は人の心をつかむことだ。実際、「ハローキティ」や「ドラえもん」「鉄腕アトム」「千と千尋の神隠し」といったアニメ・映画が世界各国の観衆を魅了すると同時に、日本の国家イメージを樹立するのにも大いに役立った。2008年、日本の外務省はドラえもんを史上初めて「アニメ文化大使」に任命し、2013年には、2020年夏季五輪招致のスペシャルアンバサダー(特別大使)にも任命した。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0611/c94473-8905108.html

 朝鮮日報も、懸命の、韓国人民啓発を続けている。↓

 「山中教授「少数のためではなく、みんなのための技術を」・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/10/2015061001435.html

 一昨日、昨日の未公開コラム(コラム#7716、7718)の関連でもある記事群だ。↓

 <プーチンがならず者等も用いたウクライナ侵略をやってきたところ、連中に手を焼き始めたとさ。
 (見てきたようなウソをつくなっての。第一、ホントに手焼いてんなら、正規軍を完全撤退させ、武器援助を止めりゃいいだろ。(太田))↓>
 Mr. Putin’s strategy of using such proxies has resulted in the establishment of a warlord kleptocracy in eastern Ukraine that threatens even Moscow’s control of events.・・・
http://www.nytimes.com/2015/06/10/opinion/putins-warlords-slip-out-of-control.html?ref=opinion
 <欧米諸国で、NATO加盟国がロシアの攻撃を受けたら参戦すべきだと回答した者が過半数を超えたのは米加だけなんだね。(まさに、米国へのただ乗り意識の蔓延ってやつだ。(太田))↓>
 Most people in the West don’t seem to like Russia and believe Moscow is responsible for the war in Ukraine, according to a new survey conducted by the Pew Research Center in eight NATO countries. But few seem willing to use military force to defend a NATO ally from an attack by President Vladimir Putin.・・・
http://www.newsweek.com/survey-russia-unpopular-west-so-war-putin-341844
Voice
 <Isis、リビア制圧に向けて着々。↓>
 「IS、リビア中部のシルト制圧 カダフィ氏の出身地・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASH6B5KC8H6BUHBI017.html?iref=comtop_list_int_n01
 <Isisがいかにしてアルカーイダを蹴落としたかについて、ガーディアンが詳細な記事2篇を載せた。(私は読んでるヒマがなくパスしたけどね。(太田))↓>
http://www.theguardian.com/world/2015/jun/10/how-isis-crippled-al-qaida
http://www.theguardian.com/world/2015/jun/10/isis-onslaught-has-broken-al-qaida-its-spiritual-leaders-admit
 <Isisがシリアとイラクで領域を堅持する態勢を確立したら、米国は、通常の革命政権として、おつきあいしなさい、というコラムだ。(賛成、というかそれしかないわな。(太田))↓>
 ・・・So what do we do if the Islamic State succeeds in holding on to its territory and becoming a real state? Posen says that the United States (as well as others) should deal with the Islamic State the same way it has dealt with other revolutionary state-building movements: with a policy of containment. I agree.・・・
http://foreignpolicy.com/2015/06/10/what-should-we-do-if-isis-islamic-state-wins-containment/?wp_login_redirect=0

 先の大戦時にフランスに侵攻したドイツ軍兵士達が、戦闘中に、フランス一般住民にいかに紳士的にふるまったかを描いた本が英訳された。↓

 <敗走するフランス軍兵士はみっともなかった。↓>
 ・・・He sees French soldiers heading towards them, in increasing numbers; gradually everyone realises that these are not, as initially supposed, stragglers or deserters, but the survivors of a rout.
 <ドイツ軍兵士達は、民家の幼児達を、親達の許しを得た上で抱き上げて可愛がるのが通例だった。↓>
 Then the Germans appear: they go out of their way to act decently, sometimes in heavy-handed ways, such as picking up and coddling infants (“I never saw a German, before taking an infant in his arms, trouble to find out whether this was agreeable or not to the parents”).・・・
 <民家で、16歳の少女のドイツ語の勉強の教師をやってあげた兵士もいた。↓>
 There’s a moment when a German soldier is sitting at a table with the 16-year-old daughter of a woman whose farm has been taken over by refugees and soldiers:
 They’re looking at a [German] vocabulary exercise together. It was straightforward, with nothing questionable. ..・・・
http://www.theguardian.com/books/2015/jun/09/33-days-by-leon-werth-review-most-honest-chronicle-frances-1940-exodus
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<太田>

 東京オフ会が7月25日(土)に決まりました。
 内容、及び、申し込みは下掲から。↓
http://www.ohtan.net/meeting/
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太田述正コラム#7720(2015.6.11)
<改めてドーキンスについて(その1)>

→非公開