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太田述正コラム#7681(2015.5.23)
<皆さんとディスカッション(続x2636)>

<太田>(ツイッターより)

 「…ドラマ「問題のあるレストラン」…<では、主人公が、>「人に優しくすれば、自分にも優しくなれる。人のことがわかると、自分のことがわかる。人の笑顔を好きになれば、自分も笑顔になれる」と語った。
 なんて鋭い教訓だろう。
 そして、これこそが人を奮い立たせるキーワードだ。…
 このような暖かい目線で、人と人との間の優しさや友情を描いてくれたことを感謝したい。」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0522/c94473-8896230.html
 日本を女性差別社会と勘違いしている点には不満が残るが、「悟りのような覚醒…こそが無限の価値を持つ真の宝になる」には震えてしまった。
 人間主義理解がここまで!

Isis、パルミラからダマスカスに向けて「進撃」中。
 また、シリア第三の都市ホムス攻撃準備中、更には第二の都市アレッポも窺う態勢。
 南部のイラクとの国境検問所も制圧。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1842e3c0-006f-11e5-b91e-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz3avGxdC7S
 どうにも止まらない。
 アサド政権のアラウィ派地区への国内亡命が近い?

<太田>

 関連記事だ。

 Isis、ラマディから更に触手伸ばす。↓

 ・・・IS militants have seized another town・・・Husseiba・・・4 miles east of Ramadi・・・ in the western province of Anbar less than a week after capturing the provincial capital,・・・
http://www.csmonitor.com/World/Middle-East/2015/0522/IS-purges-Palmyra-while-taking-another-Iraqi-city-activists-say

 Isis、サウディアラビア東部のシーア派モスクを自爆攻撃、21名死亡。↓
http://www.bbc.com/news/world-middle-east-32843510

 Isisのアフガニスタン進出に危機感を抱いたタリバンが、仇敵のイランとつるみ始めた。↓

 <タリバンの代表団、イランを極秘訪問。↓>
 Reports of an official Taliban delegation’s clandestine visit to Iran this week・・・
 <カリフを名乗ったのは、タリバンの長のムラー・オマールの方がバグダディよりも20年近く前。だけど、後者は前者をアホの文盲戦士と切り捨てている。↓>
 Isis leader Abu Bakr al Baghdadi has proclaimed himself as a Caliph of all Muslims, the same title that the one-eyed Taliban leader, Mullah Omar, claimed nearly two decades ago.・・・
 <タリバンは、白々しく、Isisの民間人攻撃を非難。↓>
 Although both groups rival one another in brutal attacks, the Taliban has called on Isis to “avoid extremism” in their war in the Middle East, a plea that al Baghdadi mocked. He reportedly called Mullah Omar “a fool and illiterate warlord” undeserving of a religious title.・・・
 <イランにとっては、タリバンとつるむことは、対Isisで「協力」するメリットだけではなく、サウディアラビアのイエメン介入に賛意を示しつつあるアフガニスタン政府に対する牽制にもなるし、何よりも、イランがスンニ派との全面戦争を意図していないことを宣明することにもなる。↓>
 An Iran-Taliban alliance would not only serve as deterrence vis-a-vis Isis, it could also act as a bargaining chip in Tehran’s relations with the new government in Kabul, whose recent signals of support for Saudi Arabia’s military strikes against Shia factions in Yemen did not go unnoticed. Supporting a fundamental Sunni group could also show that Tehran is not in an all-out-war against Sunni Muslims.
 <タリバンはかつて、シーア派のハザラを迫害したが、最近では、こういったことは慎むようになっている。↓>
 During the Taliban regime in the late 1990s, they were accused of ethnic cleansing by massacring Hazaras, a Shia minority ethnic group in Afghanistan, and of burning their villages as they advanced towards northern regions of the country. However, since its ouster, the Taliban has largely avoided sectarian and ethnic undertones in their narratives.・・・
http://www.theguardian.com/world/iran-blog/2015/may/22/taliban-delegation-official-visit-tehran-iran-isis

<MH>

 元産経新聞記者が書いた
 福島香織『本当は日本が大好きな中国人』
http://mkamiya.jugem.jp/?eid=450

 福島香織
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E9%A6%99%E7%B9%94

 記事
「第一章 日本人は中国で本当にモテるのか?は、いわば中国でもてはやされる日本人女性と日本人男性の類型学である。女性では、真由美(中野良子が映画『君よ憤怒の河を渉れ』の中で演じた役名)、山口百恵、おしん、蒼井そら。物静かで、礼儀正しく、しかも貪欲でなく、シンの強さを持ち合わせている。「女強人」と呼ばれる、清く正しい強さというのが特に中国人男性にアピールするのである。」

 この記事に取り上げられている矢野浩二さん、抗日ドラマの日本兵役でデビューして今はTVで司会をやってるんですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E9%87%8E%E6%B5%A9%E4%BA%8C

 その紹介する番組。中国のTV事情も紹介されて興味深いです。
 また中国の抗日ドラマ撮影の舞台裏が面白い。

 日本のTVクエスト〜探求者たち〜矢野浩二
PART1
https://www.youtube.com/watch?v=6nTWvivA5rE
PART2
https://www.youtube.com/watch?v=_hm8rEO5jdo
PART4
https://www.youtube.com/watch?v=z1Z4faJnCLk
PART5
https://www.youtube.com/watch?v=wKJtrIdc3JQ
PART7
https://www.youtube.com/watch?v=OkVJMpkfhTA
PART8
https://www.youtube.com/watch?v=XZwYXKOH8CU

 ぶつ切りでしかありませんが、一遍が約7分ですのでお気楽にご覧ください。
 感想も頂ければ幸いです。

<太田>

 感想は明日以降に。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 花園大学の佐々木閑教授の仏教漫談(コラム#7677)の2回目だ。↓

 <来世を信じるということは、来世も現世の延長上の存在ってことだから、要するに、タイの仏教は現世利益教だということであり、そんなもんは仏教、いや、釈迦、とは縁もゆかりもない存在だよ。ま、日本仏教同様、タイ仏教には観瞑想(コラム#7625等)がないんだから、オカシナものになるのは当たり前だけどね。(太田)↓>
 「・・・タイでそれが可能になるのは、布施をすれば必ず来世で良いところに生まれ変われる、と信じているからです。・・・
 タイでは、来世と言わずとも現世でも、布施に対するリターンはあると考えます。・・・
 例えば公共交通機関は僧侶はタダです。・・・
 <この点はその通りだ。↓>
 立派か堕落かの基準がタイでははっきりとしています。それは律を守っているかどうかです。・・・
 <そんなもん、逃避先に過ぎないさ。(太田)↓>
 「サンガのお坊さんにお布施をするとリターンがある」という話とは別に、サンガという組織が直接的にどう社会貢献しているか・・・。サンガには人々の苦しみ、言ってみれば自殺したいと願うほど 苦しんでいる人たちを受け入れる力があります。人生をリセットさせる機能。これがサンガの一番の存在意義です。・・・
 <観瞑想を導入することで日本仏教の改革はできるんだぜ。(太田)↓>
 いまさら日本にサンガはつく<るのは、>絶対に無理です。それは なぜかといえば、律がないという前提で鎌倉仏教が生まれてきたからです。今になって律を復興したりすれば、日本の仏教の教義が崩れてしまうのです。特に浄土真宗は、律とは水と油です。サンガとは自分の力で修行するための場ですが、浄土真宗は「自力」を完全否定していますからね。・・・
 <止めときなさーい。(太田)↓>
 <しかし、>仏教が絶望した人を引き受ける受け皿だとすれば、日本仏教も同じように絶望した人を救<うことはできるし、そうしなけれ>ばならないということです。・・・
 <こう言ってるご本人が、「本来の釈迦」のこと、全く分かってなさそうだもんねえ。トホホ。(太田)↓>
 こうしたことは、本来の釈迦の仏教を知らないと絶対に理解できないんです。日本の仏教だけを見続けてきた人には分かりません。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150520/281396/?n_cid=nbpnbo_mls&rt=nocnt

 写真家の横田大輔がフォト・ロンドン賞を受賞。↓
http://www.theguardian.com/artanddesign/2015/may/22/daisuke-yokota-acid-loving-japanese-photographer

金正恩の兄の金正哲、ロンドンのエリック・クラプトンの70歳記念音楽会に出席。↓
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2015/05/22/2015052200877.html

 ポツダム宣言は、その後の冷戦にロシア(ソ連)が敗北したことで根底から意味を喪っとるのよね。
 (ちっぽけな、旧日本領土(北方領土なんてもんじゃなく、南樺太と全千島列島)なんてメじゃない、でっかい領土をロシアは、冷戦の敗戦国となったことで失った。)↓

 ・・・Potsdam did not prevent the cold war, but it did not lead to a third world war, ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/c8442594-f355-11e4-8141-00144feab7de.html

 ユーロヴィジョン・コンテストのファイナルに英国代表は出られるんだね。
 (今度は、スウェーデン代表が本命みたいだけど、英国代表の曲は、今まで聞いた中じゃイチバンだね。)↓
http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-32689399

 で、歌唱力の話なんだけど、ピアノやヴァイオリンは天分が決定的だが、歌唱力に関しては、・・誰でも平素から声帯を使って声を出してるんだから・・天分はあんまし関係ないのであって、トレーニングによって誰でも一流になれるんだとさ。↓

 ・・・“We tend to find prodigies, people who are just naturally more gifted, when it comes to particular instruments like the piano or the violin,” he says. “Singing’s actually very different as everyone can produce a sound. Even if people don’t learn the technique behind how to sing, you use your voice for the purpose of speech so everyone’s reasonably adept at controlling it. The key thing which separates good singers from bad isn’t so much natural talent, but getting the training to use it in the right way.”・・・
http://www.theguardian.com/science/blog/2015/may/22/why-cant-we-all-sing-well-the-science-of-song-eurovision

 コーヒーはインポを予防するんだと。
 (いいこと尽くめだねー。)↓

 Good news for coffee drinkers: a few cups a day could help curb men’s risk for erectile dysfunction.・・・
http://time.com/3893823/coffee-erectile-dysfunction/

 不倫の科学は日進月歩だが、まだまだってカンジだね。↓

 <一夫一婦制は、全哺乳類中人類を含むわずか3〜5%だが、一夫一婦制の哺乳類も不倫は免れない。
 (一夫一婦制なんて存在しないってことだよ。(太田))↓>
 ・・・Humans are among the 3 to 5 percent of mammalian species that practice monogamy, along with the swift fox and beaver -- but even in these species, infidelity has been commonly observed.・・・
 <オキシトシンとヴァソプレッシンの受容体の型によって、不倫しがちな人かどうかが決まるらしい、とさ。
 (発想が根底から間違ってるから研究が袋小路に入っちゃってるんだと思うな。(太田))↓>
 He found that 9.8 percent of men and 6.4 percent of women reported that they had two or more sexual partners in the previous year. His study・・・found a significant association between five different variants of the vasopressin gene and infidelity in women only and no relationship between the oxytocin genes and sexual behavior for either sex. That was impressive: Forty percent of the variation in promiscuous behavior in women could be attributed to genes.・・・
 ・・・in women, but not in men, there is a significant association between one variant of the oxytocin receptor gene and marital discord and lack of affection for one’s partner. In contrast, there was a significant correlation in men between a specific variant of the vasopressin receptor gene and lower marital quality reported by their spouses.・・・
http://www.nytimes.com/2015/05/24/opinion/sunday/infidelity-lurks-in-your-genes.html?ref=opinion&_r=0

<太田>

 本日は、しばらくぶりに、非公開コラムでシリーズで紹介すべき書評に2つも遭遇したので、近日中に、それぞれのシリーズを立ち上げるね。
 一つは米国の汚辱史、もう一つはキリスト教の汚辱史に係るものだ。
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 一人題名のない音楽会です。
 久しぶりにJulia Fischerの特集を、4回に分けてお送りします。
 本日はその1回目です。
 ちょっと前のことですが、夜、突然、某読者から電話がかかってきました。
 外からだが、外出する直前に、TVでフィッシャーが演奏しているのに気付いた、NHKの3チャンかBSだ。TVをつけた方がいい、とおっしゃるのです。
 ところが、探してもそれらしき番組はやっていません。
 しばらくして、そうだ、NHKのかっての教育TVは3チャンだったけれど、今はE-TVで2チャンに変わっていることを思い出し、チャンネルを2にして、ついにバイオリン演奏映像に遭遇しました。
 ところが、演奏していたのはフィッシャーではなく、ヒラリー・ハーンでした。
 彼にそう伝えて、お互いに年だねえ、と二人して大笑いしました。

Sarasate Zigeunerweisen(コラム#4541) Julia Fischer
https://www.youtube.com/watch?v=FRV4UdWyESA

Tartini(注) Devil's Trill
https://www.youtube.com/watch?v=zxKmg5lIxjM

(注)ジュゼッペ・タルティーニ(Giuseppe Tartini。1692〜1770)。ヴェネツィア共和国の作曲家、ヴァイオリニスト。「タルティーニの最も有名な作品は《悪魔のトリルDevil's Trill sonata》であろう。・・・1740年代後半以降の作との説が有力である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8B
 「第3楽章・・・に曲のタイトルにもなっている悪魔のトリル(Torillo del diavolo)があり、約18小節にわたり、全曲中最も演奏至難。二重音式に書かれており高音部がトリルを奏し続けている下でもう一本の旋律が独立して動く。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AB
 ちなみに、タルティーニの生地のピランは、「1283年にはヴェツィア共和国の支配下に入り、ナポレオン・・・に降伏する1797年までその状態は続<き、>」ナポレオン失脚後はオーストリア=ハンガリー帝国領となり、現在は、スロベニアに属する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%B3

Josef Suk(注) Fantasy for violin & orchestra 使われている写真のフィッシャーはどれも概ね超美人!
https://www.youtube.com/watch?v=xMAqUAEWDsc

(注)ヨセフ・スク(1874〜1935年)。「チェコの作曲家・ヴァイオリニスト。・・・プラハ音楽院でドヴォルザークに学ぶ(1898年にドヴォルザークの娘オチルカと結婚)。」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%BB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF_(%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6)

Respighi(注) Poema Autunnale 使われている写真は上と同じ。
https://www.youtube.com/watch?v=HtmQZFOGzNc

(注)オットリーノ・レスピーギ(1879〜1936年)。「イタリアの作曲家・音楽学者・指揮者。・・・ロシア帝国劇場管弦楽団の首席ヴィオラ奏者・・・ムジェッリーニ五重奏団<で>第1ヴァイオリン奏者・・・指揮者を務めたり、ピアニストとして声楽家であるエルザ夫人の伴奏を務めたりなどした・・・ピアノと管弦楽のための《トッカータ》は1928年11月にカーネギーホールにおいて、作曲者自身のピアノ独奏と・・・ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団によって初演」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AE
 「ローマ三部作」で有名なレスピーギは、一流のピアニストでもあるフィッシャーどころではない、一流の、ヴィオラ/ヴァイオリン/ピアノ/指揮者/作曲家、という人物だったわけだ。

(続く)
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太田述正コラム#7682(2015.5.23)
<内藤湖南の『支那論』を読む(その16)>

→非公開

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