太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/
太田述正コラム#7206(2014.9.27)
<中東イスラム文明の成立(その11)>(2015.1.12公開)
以上を念頭に置くと、下掲のような、中東イスラム諸国の動向が意味するところがはっきりしてきます。
「・・・エジプト、ヨルダン、及びア首連は、Isisからの顕著な脅威を明確に直視している。
結局のところ、<この3カ国>は、先般のガザ戦争の間にハマスに圧力をかけることを追求するとともに、ハマスを支援しようとしたカタールとトルコの諸努力に対抗したところの、まさにその連合諸国(coalition)だった。・・・」
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/09/17/the_coalition_of_convenience_islamic_state_turkey_qater_iran_israel?wp_login_redirect=0 前掲
ハマスは、「1987年12月14日に・・・<イスラム>同胞<会>のパレスチナ支部を母体として創設された」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B9
組織であるところ、ハマスが、パレスティナ全域におけるイスラム国家の樹立(、つまりはイスラエルの抹殺)、を標榜しつつ、
http://en.wikipedia.org/wiki/Hamas
教育、医療、福祉などの分野で一般民衆への地道な活動を続けたり、2006年にパレスティナ総選挙に参加した後、翌2007年にガザ地区でクーデタを起こして同地区からファタ勢力を追放したり、つい最近では、ファタによるガザ地区部分的統治を認めたり、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B9
といった形での硬軟戦術の使い分けをしてきたことは、紛れもなく、ハマスがイスラム同胞会の事実上の支部であり続けていることを示しています。
そうである以上、カタールとトルコが、ハマス、すなわちイスラム同胞会を支援している、ということは、カタールのTV局のアルジャジーラ等を通した改革イメージの投影やトルコの公正発展党のイスラム教隠しや依然EU加盟希望を撤回していないこと等を通した自由民主主義イメージの投影は、どちらもイスラム同胞会政権国としての雌伏期間における擬態に過ぎない、と解すべきことになりそうです。
だとすれば、両国にとって、Isisは、最終目標を共有するもののその最終目標に性急に到達しようとしている点が異なるだけの、「同志」たる「国」に他ならないはずです。
また、そうだとすれば、「2014年9月11日、ヨルダン、エジプト、トルコ、<サウディ>アラビア、UAE、オマーン、クウェート、バーレーン、カタール・・・が、・・・<米国>の軍事作戦に協力することを約束した」(前出)と言っても、(エジプトはイスラム同胞会政権から反イスラム同胞会政権に変わっているので当然ですが、)カタールとトルコに関しては、これもまた擬態であって、まともに米国に協力する気などない、と見るべきでしょう。
実際、本日(9月27日日本時間朝)の時点で、米国、フランスと共に、対Isis空爆に加わっているのは、このうちの、サウジアラビア、UAE、バーレーン、ヨルダンの4か国だけであって、クウェートはさておき、カタールもトルコも加わっていません。
http://www.afpbb.com/articles/-/3027227
-------------------------------------------------------------------------------
<脚注:アルカーイダの現状>
「タリバンのメンバー達の数は、20,000人から60,000人の間である、と推定されており、これらメンバー達のコミットメントの程度は様々であって、その指導者達は、パキスタン<南西部の>クェッタ(Quetta)で安全に過ごしている。・・・
タリバンは、<アフガニスタン政府と>並列の政府と司法諸機関、ないしは「影の諸政府」、を、カブールを除く、アフガニスタンの34州の全てで持っている。・・・
→アルカーイダの中枢と持ちつ持たれつの関係にあるところの、タリバンを「政府」と書いたところ、「」を取ってもよかったくらいだ、ということです。(太田)
イスラム世界の内側では、アルカーイダについての諸見解は、極端に不人気なものばかりであり、イスラム過激主義に対する諸憂慮の念が、この10年間に次第に募ってきている。
→その後に続く下掲の記述と整合性がなく、このくだりの信憑性はありません。(太田)
しかし、そのイデオロギーのために闘い死ぬことを厭わない諸個人の数は、それを受けた減少を示していない。・・・
この4年の間に、急進的なイスラム教諸集団の数は60%増え、極端主義者(extremist)たる戦闘員達の数は2倍超となった。
これは、仮に米国防省の広報官が主張したように、イデオロギーを「最重要事(center of gravity)」であるとするならば、米国は、そのイデオロギーを破壊することも、Isisそれ自体を破壊することも、永久に不可能であることを示唆している。」
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/09/18/mission_improbable_obama_islamic_state_taliban_al_qaeda
(9月19日アクセス)
→いつの間にか、Isisとアルカーイダが同一視されてしまっていますね。(太田)
-------------------------------------------------------------------------------
(続く)
<中東イスラム文明の成立(その11)>(2015.1.12公開)
以上を念頭に置くと、下掲のような、中東イスラム諸国の動向が意味するところがはっきりしてきます。
「・・・エジプト、ヨルダン、及びア首連は、Isisからの顕著な脅威を明確に直視している。
結局のところ、<この3カ国>は、先般のガザ戦争の間にハマスに圧力をかけることを追求するとともに、ハマスを支援しようとしたカタールとトルコの諸努力に対抗したところの、まさにその連合諸国(coalition)だった。・・・」
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/09/17/the_coalition_of_convenience_islamic_state_turkey_qater_iran_israel?wp_login_redirect=0 前掲
ハマスは、「1987年12月14日に・・・<イスラム>同胞<会>のパレスチナ支部を母体として創設された」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B9
組織であるところ、ハマスが、パレスティナ全域におけるイスラム国家の樹立(、つまりはイスラエルの抹殺)、を標榜しつつ、
http://en.wikipedia.org/wiki/Hamas
教育、医療、福祉などの分野で一般民衆への地道な活動を続けたり、2006年にパレスティナ総選挙に参加した後、翌2007年にガザ地区でクーデタを起こして同地区からファタ勢力を追放したり、つい最近では、ファタによるガザ地区部分的統治を認めたり、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B9
といった形での硬軟戦術の使い分けをしてきたことは、紛れもなく、ハマスがイスラム同胞会の事実上の支部であり続けていることを示しています。
そうである以上、カタールとトルコが、ハマス、すなわちイスラム同胞会を支援している、ということは、カタールのTV局のアルジャジーラ等を通した改革イメージの投影やトルコの公正発展党のイスラム教隠しや依然EU加盟希望を撤回していないこと等を通した自由民主主義イメージの投影は、どちらもイスラム同胞会政権国としての雌伏期間における擬態に過ぎない、と解すべきことになりそうです。
だとすれば、両国にとって、Isisは、最終目標を共有するもののその最終目標に性急に到達しようとしている点が異なるだけの、「同志」たる「国」に他ならないはずです。
また、そうだとすれば、「2014年9月11日、ヨルダン、エジプト、トルコ、<サウディ>アラビア、UAE、オマーン、クウェート、バーレーン、カタール・・・が、・・・<米国>の軍事作戦に協力することを約束した」(前出)と言っても、(エジプトはイスラム同胞会政権から反イスラム同胞会政権に変わっているので当然ですが、)カタールとトルコに関しては、これもまた擬態であって、まともに米国に協力する気などない、と見るべきでしょう。
実際、本日(9月27日日本時間朝)の時点で、米国、フランスと共に、対Isis空爆に加わっているのは、このうちの、サウジアラビア、UAE、バーレーン、ヨルダンの4か国だけであって、クウェートはさておき、カタールもトルコも加わっていません。
http://www.afpbb.com/articles/-/3027227
-------------------------------------------------------------------------------
<脚注:アルカーイダの現状>
「タリバンのメンバー達の数は、20,000人から60,000人の間である、と推定されており、これらメンバー達のコミットメントの程度は様々であって、その指導者達は、パキスタン<南西部の>クェッタ(Quetta)で安全に過ごしている。・・・
タリバンは、<アフガニスタン政府と>並列の政府と司法諸機関、ないしは「影の諸政府」、を、カブールを除く、アフガニスタンの34州の全てで持っている。・・・
→アルカーイダの中枢と持ちつ持たれつの関係にあるところの、タリバンを「政府」と書いたところ、「」を取ってもよかったくらいだ、ということです。(太田)
イスラム世界の内側では、アルカーイダについての諸見解は、極端に不人気なものばかりであり、イスラム過激主義に対する諸憂慮の念が、この10年間に次第に募ってきている。
→その後に続く下掲の記述と整合性がなく、このくだりの信憑性はありません。(太田)
しかし、そのイデオロギーのために闘い死ぬことを厭わない諸個人の数は、それを受けた減少を示していない。・・・
この4年の間に、急進的なイスラム教諸集団の数は60%増え、極端主義者(extremist)たる戦闘員達の数は2倍超となった。
これは、仮に米国防省の広報官が主張したように、イデオロギーを「最重要事(center of gravity)」であるとするならば、米国は、そのイデオロギーを破壊することも、Isisそれ自体を破壊することも、永久に不可能であることを示唆している。」
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/09/18/mission_improbable_obama_islamic_state_taliban_al_qaeda
(9月19日アクセス)
→いつの間にか、Isisとアルカーイダが同一視されてしまっていますね。(太田)
-------------------------------------------------------------------------------
(続く)
太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/