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太田述正コラム#6326(2013.7.13)
<日進月歩の人間科学(続x32)(その7)>(2013.10.28公開)

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<雑想1:クールジャパンについて>

 「クールジャパン(Cool Japan)とは、日本の文化面でのソフト領域が国際的に評価されている現象や、それらのコンテンツそのもの<であり、>・・・具体的には、日本における近代文化、ゲーム・漫画・アニメや、J-POP・アイドルなどのポップカルチャーを指す場合が多い。さらに、自動車・オートバイ・電気機器などの日本製品、現代の食文化・ファッション・現代アート・建築などを指す。また、日本の武士道に由来する武道、伝統的な日本料理・茶道・華道・日本舞踊など、日本に関するあらゆる事物が対象となりうる」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3
ところ、クールジャパンにはジャパン(日本)という無内容に等しいコンセプトしかない。
 それでは、「日本に関するあらゆる事物が対象」になってしまうのは当たり前だろう。
 内容を絞り込むためのコンセプトとしては、具体的ネーミングはともかく、私の言う人間主義しかないのではなかろうか。
 人と(生き物を含む)自然との垣根、そして(男と女の垣根を含め)人と人との垣根、を取り払い、あらゆるものが相互依存関係にあるとの自覚の下、慈悲の念もって人や自然と接する、というコンセプトだ。

 そもそも、このコンセプトは、我々日本人が自覚している以上に、日本通の外国人によって、既にかなり的確に認識されている。
 怪獣(でっかいモンスター達)の映画/アニメや、メカ(巨大ロボット達)の映画/アニメの総本山である日本をこよなく愛する、漢人系米国人たるアジア・ポップ・コラムニストのジェフ・ヤング(Jeff Yang。1989年ハーヴァード卒)
http://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Yang
は、次のように書いている。

 「神道の教えでは、あらゆる物には精霊が宿っていて、あらゆる精霊は神々や悪魔達になりうる。
 日本の「化け物、つまり妖怪は、もともとは、文字通り「化け物」、すなわち「変容した物」と呼ばれていた・・・。
 <また、>日本では、「ロボット達はテクノロジーの力が擬人化されたものであり、有機体たる怪獣は自然の力が擬人化されたもの、ないし人間のテクノロジーが自然に及ぼす影響が擬人化されたものなのだ。」
 だから、怪獣やメカが、タイタン神のように(titanic)ぶつかりあう分野(genre)は、単なる嬉々たる破壊のための破壊なんぞではないのだ。
 それは、何よりも増して、形而上学的な紛争なのであり、観念と観念との戦争なのだ。・・・
 日本では、怪獣とメカのハイブリッドの分野の今日における頂点を代表する「エヴァンゲリオン」は、あらゆる所に存在している。
 そのキャラ達は、「クール・ジャパン」の顔なのだ。」
http://blogs.wsj.com/speakeasy/2013/07/11/america-japan-and-the-giant-robots-they-both-love/?mod=WSJ_hp_Asia_EditorsPicks

<雑想2:非嫡出子・親権>

 明治民法で定められ、家制度が廃止された戦後になっても維持されてきたところの、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とし、また、離婚した場合の親権は片方の親だけが持つ(ことで事実上大部分の場合に母親に親権を与える)ものとする規定については、前者は弥生的系譜に属し、後者は縄文的系譜に属し、整合性がなかったところ、どうやら、前者については、最高裁で違憲判断が下されるようだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071202000163.html
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  キ 無性愛

 無性愛(asexuality)については、以前(コラム#5323で)紹介したところですが、日本語と英語の各ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%80%A7%E6%84%9B
https://en.wikipedia.org/wiki/Asexuality
の分量の圧倒的な差は、無性愛が、日本では稀であることを示唆しています。
 羊にも無性愛羊が2〜3%いるという研究もあるようですが、動物と人間の性意識/行動を同じ次元で捉えることはできまいとの立場に立ち、私は、無性愛者とは、基本的に、性的貪欲性の顕在化を強く抑制されてきたところの、女性のうち、抑制が効きすぎて、性欲が無くなってしまった(と思い込んでいる)者である、と考えるに至っています。
 かつて米国で行われた一研究によれば、無性愛者の比率は、未婚者(男:3〜4%、女:14〜19%)、既婚者(男:0%、女:1〜3%)、結婚経験者(男:1〜2%、女:5〜8%)であり、女性の無性愛者が男性のそれよりも著しく多いことがその根拠です。
 結婚率を勘案しても、未婚者と既婚者ないし結婚経験者との間に大きな差があることは、パートナーが欲しかったり、パートナーの性的欲求に答えてあげたかったり、子供が欲しかったりで、無性愛者であることを隠している者が多い(ここまで、基本的に英語ウィキによる)ことを推測させ、ホンネベースなら、女性の無性愛者の割合は3分の1にも達する可能性がある、と想像してもあながち誇張とは言えないのではないでしょうか。
 なお、日本では、女性に対する性的貪欲性の顕在化抑制圧力は相対的に小さいことから、無性愛者は相対的に少ない、と考えられるわけですが、それでも、その割合は無視しうるほど小さくはない、と思われます。

  ク 精神安定剤

 米国では、1,500万人もの女性が精神安定剤を服用しており、この種の薬は、性衝動を減殺する効果があります。
http://www.guardian.co.uk/books/2013/jul/11/what-do-women-want-review
(7月12日アクセス)
 穿った見方をすれば、性的貪欲性の顕在化を抑圧したいとの意識的・無意識的な目的もあるからこそ、米国等の女性は精神安定剤を多用している可能性があります。

(続く)

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