太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/

太田述正コラム#5869(2012.11.27)
<皆さんとディスカッション(続x1733)>

<太田>(ツイッターより)

 「…米倉会長は23日…に北京…で…中日友好協会会長、…対外友好協会会長、…軍外交部常務副部長、…外交部副部長と相次いで会談した<が、>…民間同士の話し合いが抑止力として作用するようになればいい…と語った。」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news121126/biz12112619090023-n1.htm
 相手に民間人が一人もいないがね。

 世界の喫煙地図だ。
 発展途上国では喫煙率が低いんだね。
 それにしても、日本の喫煙率はまだ高すぎる。
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/10/19/who-smokes-most-a-surprising-map-of-smoking-rates-by-country/?tid=pm_world_pop

<TA>

≫ボク<は>国内政局を見る<際、>・・・安全保障政策の観点から見るわけさ。というのは、日本は吉田ドクトリン墨守だが、世界はそうじゃないから、しかも、とりわけ宗主国サマがそうじゃないから・・ということは、世界、就中宗主国サマは安全保障政策を最重要視しているから・・日本の国内政局の動向だって究極的には安全保障政策で決まると考えていいってこと。≪(コラム#5843。太田)

 小泉政権時の自衛隊イラク派遣、鳩山政権時の普天間基地移設問題などが思い出されますが、「国内政局の動向」とは、この程度のことをおっしゃっておられるのでしょうか。戦後政治史において(などと言えるほどの知識はありませんが)もっとも国内政局が動いたのは先の政権交代だと考えますが、その選挙の際、安全保障政策がまともに議論され、それが対立軸となったとは全く思いません。
 「日本の国内政局の動向<が>安全保障政策で決ま<った>」先例をいくつか挙げて頂けないでしょうか。

⇒「2009年8月30日投開票の第45回衆議院議員総選挙にて、民主党は単独政党としては史上最多の308議席を獲得」したわけですが、「2009年・・・7月19日、鳩山は那覇市にて、普天間基地移設先について「県外移設に県民の気持ちが一つならば、最低でも県外の方向で、われわれも積極的に行動を起こさなければならない。」と述べ、県外移設へ前向きな姿勢を示した。」上、鳩山は<選挙公示前に刊行された>『Voice』(2009年9月号)に寄稿した論文私の政治哲学 のなかで、アメリカの経済政策や日米関係の現状を批判した・・・ところ、アメリカや台湾で「反米的」と報じられた。」ところです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB (「」内)
 まさに、この政権交代は、「究極的には安全保障政策で決ま」った、というのが私の認識です。
 なお、「安全保障政策がまともに議論され」ることは、鶏が先か卵が先かみたいな話だけれど、論理的には、日本が「独立」を果たすまではありえないでしょう。(太田)

≫すると、自公・立ち上がれ(太陽)・民主党(・社民/共産)の大きな政府志向に対するに維新・みんな・減税日本の小さい政府志向(市場原理主義 志向)という対立軸よりも、自(公)・立ち上がれ(太陽)・維新・減税日本の集団的自衛権行使に対するにみんな(・社民/共産)の集団的自衛権非行使という対立軸の方がより基本的な対立軸だということになる。・・・ということは、消費税だのTPPだの原発だのをめぐる対立なんてものは、どうでもいいくらい小さい対立だっちゅうことになるの。≪(同上。太田)

 要するに、かつて太田さんが願った通り、とは言わないまでも、それに近いようにことが運んでいる、ということですね?↓

 「戦前の1940年における体制翼賛会の成立は、自由民主主義世界の中で日本が先駆けとなって無党派時代を切り開いた画期的出来事であったと私は理解しています。
 この体制翼賛会は、いかなる意味でも政党ではありません。綱領・宣言の類を持っていなかった・・・からです。
 こんなことが可能であったのは、当時の日本において、世界の他の自由民主主義国では考えられないことに、既に階級間対立も宗教間対立も人種間対立も地域間対立も基本的に克服され、存在しなかったからです。
 戦後の55年体制も形を変えた体制翼賛会の継続であり、自民党と社会党の対峙は、実質的には体制翼賛会内の主流派と反主流派の対峙でしかなかったのです。
 どこが違うかと言えば、戦前の体制翼賛会は独立国における体制翼賛会であったのに、戦後のそれは米国の従属国(保護国)の体制翼賛会である点です。
 つまり、私は本来日本は政党の存立基盤がない国であると見ているのです。
 しかし、戦後の日本が米国の従属国(保護国)であることからすれば、日本は米国から「独立」すべきか「独立」すべきでないのか、という対立軸をめぐって政党的存在が二つ存立し、対峙しても不思議ではないのではないでしょうか。
 私は、この対立軸をめぐって政界大再編がなされることを願っています。
 (当然のことながら、このような対立軸において、旧時代の遺物である公明党が存続する余地は皆無です。)」(コラム#2230。太田)

<太田>

 イエース。
 野田首相は、あえて民主党・・自社スピンオフ組が中核・・を吉田ドクトリン墨守政党へと先祖返りさせることで、意識的にこの対立軸を創り出そうとしている(注)、と私は見ているわけです。

(注)「自民党を「タカ派」と位置づける一方、自らは「ハト派」と差別化を図る戦術のようだ。ただ、野田首相(民主党代表)の持論はもともと「自衛隊は軍隊」であり、「選挙目当ての変節だ」との指摘も出ている。・・・ だが、自衛官を父に持つ首相は民主党内では自衛隊への理解が最も深い存在だ。著書「民主の敵」でも、「実行部隊としての自衛隊をきっちりと憲法の中で位置づけなければいけない。自衛隊などといっているのは国内だけで、外国から見たら、日本軍だ」と記した。首相は元来、憲法改正、集団的自衛権の行使容認にも前向きだ。」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/20121127-OYT1T00331.htm?from=top
 しかも、何度も指摘して来たように、野田政権は、「独立」に向けて日本の安全保障政策を着実に前進させてきた。↓

 <今年、カンボジアと東チモールの軍事技術者に災害救助と道路建設の訓練を施す、という軍事援助を、戦後初めて実施した。↓>
 ・・・Already this year, Japan crossed a little-noted threshold by providing its first military aid abroad since the end of World War II, approving a $2 million package for its military engineers to train troops in Cambodia and East Timor in disaster relief and skills like road building. Japanese warships have not only conducted joint exercises with a growing number of military forces in the Pacific and Asia, but they have also begun making regular port visits to countries long fearful of a resurgence of Japan’s military. ・・・
 <2009年に豪州と初めて共同訓練を実施したところ、今年には、インドと初めて共同訓練を実施した。↓>
 The Japanese Navy took a big step toward opening up in 2009 by holding a joint military drill with Australia -- its first such exercise with a nation besides the United States. It has since joined a number of multinational naval drills in Southeast Asia, and in June held its first joint maneuver with India. ・・・
 <現在、フィリピンの沿岸警備隊に10隻の巡視艇を供与する話が進んでおり、ベトナムに対しても考慮中。↓>
  Under the decade-old civilian aid program to build up regional coast guards, Japanese officials say they are in the final stages of what would be their biggest security-related aid package yet -- to provide the Philippine Coast Guard with 10 cutters worth about $12 million each. Ministry officials say they may offer similar ships to Vietnam.
 <防衛省は、来年、インドネシアとベトナムに対する軍事援助を2倍にする計画。
 北沢元防衛相は、この両国や豪州、マレーシアに日本の潜水艦を売るべきだと語った。↓>
 Japan’s Ministry of Defense said it planned to double its military aid program next year to help Indonesia and Vietnam. Vietnam could also be among the countries that Japan would allow to buy its submarines, according to a former defense minister, Toshimi Kitazawa, who named Australia and Malaysia as other possible buyers. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/11/27/world/asia/japan-expands-its-regional-military-role.html?ref=world&pagewanted=all&_r=0

 そんなアクロバットを野田首相が行うことを可能にしたところの環境整備を行った・・自民党を追い詰め、第三極勃興を促した・・のが、(本人にはそんな自覚は皆無に近かったと想像されますが、)鳩山元首相である、ということです。

<TA>

≫「自民党の安倍晋三総裁は25日のテレビ朝日番組で、衆院選公約で示した憲法改正による「国防軍」保持に関し、自衛隊を国防軍に位置付ける場合 は交戦規定の整備が必要になるとの認識を示した。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112501001717.html
 これ↑は、自民党が政権を回復しても、交戦規定の整備も平和維持戦闘部隊の派遣も行わない、と宣言したに等しい。≪(コラム#5867。太田)

 過去コラムでのご主張を紹介しなければ、太田さんが何を言っているのか分かり難いと思います。↓

 コラム#0083
http://blog.ohtan.net/archives/50955750.html

<太田>

 おっしゃる通りですね。
 引用していただき、ありがとうざいました。
                

 それでは、その他の記事の紹介です。

 共同の世論調査結果も出てたのか。
 いずれにせよ、3調査とも、自民=維新+民主、なんて、自民党に期待かけ過ぎだわさ。国民は、一体何考えとるのかね。↓

 「各社世論調査、「政党名読み上げ」で結果に差・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/20121126-OYT1T01631.htm?from=main3

 究極のポピュリスト的野合だね。
 談合三兄弟と連携することで、女性の嘉田知事や女性中心のみどりの風が、日本における、働く女性への偏見を増幅・恒久化させないか心配でならない。↓

 「脱原発 結集加速 滋賀知事新党構想・・・
 「生活」「脱原発」「みどりの風」の各党は嘉田氏を中心に立ち上げを目指す「新党」を正式な政党とはせず、比例代表選で統一名簿をつくるための政治団体とすることも検討している。
 仮に「生活」「脱原発」「みどりの風」が合併せずに統一名簿を作れば、小選挙区では所属する政党名でそれぞれ戦い、比例代表では三党が統一してつくった政治団体名で戦うことが可能になる。
 名簿を統一した方が死票が少なくなり、比例代表の単独候補は当選しやすくなるメリットがある。
 ただし重複立候補しようとする候補は、小選挙区と比例代表を同一政党、政治団体にしなければならず、小選挙区では元の所属政党を名乗ることはできない。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112790071156.html
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/20121127-OYT1T00351.htm?from=y10

 そもそも、嘉田知事のおひざ元の関西がこんな状況じゃ、脱原発なんて一過性の風で終わりそうだねえ。↓

 「<関電値上げ>産業界に打撃 4社追随見通し・・・」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121126-00000078-mai-bus_all

 みんなの党は、嘉田構想とも一線を画してるようだし、渡辺喜美代表は、自殺願望にかられてるとしか思えないなあ。

 「・・・ 旧太陽が合流した17日以降、維新は石原慎太郎代表(前東京都知事)の知名度が高い東京を中心に擁立を進めている。競合区は東京で9選挙区、神奈川で6選挙区と首都圏に集中し、両都県で全体の半数を超える。維新が地盤とする関西では京都の2選挙区のみで、維新側が一方的にみんなの地盤を侵食する形となっている。26日現在で両党の競合選挙区は27に拡大した。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000m010074000c.html

 どう見ても、拡大英国という「国」は厳然と存在するであるな。↓

 「英中銀:総裁に初の外国人 カナダのカーニー氏・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000m020113000c.html

 ナポレオンがロシアで敗退したのは、冬将軍のせいではなく、ロシアのコサックによるゲリラ戦・・兵站線への攻撃を含む・・だったという話は前にもしたと思うが、改めて論じられていた。↓

 <この戦術は、ロシア軍人のデニス・ダヴィドフによって考案された。↓>
 ・・・Napoleon and his forces were beaten by what a young Russian hussar, Denis Davydov, called his "indestructible swarm" of Cossacks and other raiders who constantly harried the French columns on the march. They also struck relentlessly, repeatedly, and to fatal effect at the Grande Armee's supply lines. ・・・
 <(ロシアがその軍門に下った)モンゴルによる攻勢作戦、(ロシアがその継承国家となったと自負した)ビザンツ帝国による守勢作戦がその前駆。↓>
 The Mongols were particularly adept at this way of war, following a doctrine they actually named "Crow Swarm." ・・・the success of the Byzantines in protecting the edges of empire for nearly a thousand years after the fall of Rome had much to do with their employment of defensive swarm tactics. But Davydov, in a brief campaign launched only after he overcame bureaucratic resistance, helped defeat one of history's greatest adventurer-conquerors, giving us perhaps the single most dramatic example of swarming ever seen. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/26/killer_swarms?page=full

 秘密に包まれた米国の軌道飛翔体のX-37Bは、中共の諜報に使われている可能性が高いんだって。↓

 ・・・The X-37B Orbital Test Vehicle is a US Air Force unmanned, space plane whose purpose is shrouded by secrecy. ・・・
 ・・・X-37B spaceplane is very probably spying on China・・・
http://www.bbc.com/future/story/20121123-secrets-of-us-military-spaceplane
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

太田述正コラム#5870(2012.11.27)
<陸軍中野学校終戦秘史(その7)>

→非公開

太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/