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太田述正コラム#2331(2008.1.30)
<新裁判雑記(その3)>(2012.1.16公開)

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 2012.1.16公開。2012.1.21の「講演」の関連で、このタイミングで公開することにしました。(太田)
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 (3)謝罪要求について

 以上で、私が原告に反論すべきことは基本的に尽きているが、この際、原告の謝罪広告掲載要求について、付言しておきたい。

 第一に、以下に掲げる、私の第一回目の裁判の際の準備書面における原告に対する注意喚起に対し、原告が何の回答も行わなかった事実に照らせば、原告は、名誉毀損によって被った損害の回復の手段として、損害賠償金の取得以外はその意義を認めていないと解しうるのであって、原告がかかる要求を今になって行うのは、仮に今回の訴えの提起が二重起訴には該当しないとしても、(原告が今回の訴状の別紙1に掲げる謝罪広告文案は、第一回目の訴えにあたっても全く同内容の謝罪広告掲載要求を行い得たことに鑑み、)信義則違反は免れず、許されないと考える。

<転載始め>
             
 「 ウ 原告の請求は趣旨不明である
 また、私としては、不法行為が成立しないと考えているので、本来原告の請求内容について論じる必要はないが、原告は140万円を賠償請求しているところ、この金額の積算根拠が示されていないばかりか、原告が当該コラムの訂正ないし削除要求や、謝罪文のコラムへの掲載等を要求していないことから、原告の請求は趣旨不明であると言わざるをえない。(例えば、140万円を支払えば、当該コラムについて引き続きネット上での掲載を認める、という要求趣旨であるとも受け取れる余地がある。)」(コラム#1225で公開)

 「第2 求釈明
 原告が求める損害賠償は、いつからいつまでの損害を対象としたものなのか、損害額の算定根拠はいかなるものか、なにゆえに当該コラムの削除、原告の反論の被告のホームページへの掲載、被告の謝罪の被告のホームページへの掲載等を求めないのか、釈明を求める。」(コラム#1368で公開)

<転載終わり>

 第二に、原告が今回の訴状の別紙1に掲げる謝罪広告文案中の、「上記事実に関する記事は全て虚偽であります。」は、ナンセンスとしか形容しようがない。
 なぜならば、私は、「本」の信憑性についての主張こそ行ったけれど、「本」に書かれている事実の真実性を証明しようとしたことがないばかりか、原告もまた、その虚偽性を証明しようとしたことがないからだ。
 真実であるか虚偽であるかを判断するための材料を全く持ち合わせていない私が、「全て虚偽であります」などと謝罪広告中で記せるわけがないということだ。

4 終わりに

 以上説明してきたことからもお分かりのように、今回の裁判は、裁判の公開性・・準備書面の公開は可能か、どこまで可能か・・と裁判判決の既判力(脚注1)の範囲・・今回の訴えの提起が二重起訴にあたらないか・・という法技術的な論点が中心となることが予想されるわけです。

 (脚注1)民事訴訟の目的である紛争の解決を実現するために、原告が訴えをもってなす法律関係の主張(請求)について裁判所が下した判断に、後の訴訟の裁判所を拘束 する効力を認める必要がある。この拘束力を既判力という。(
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/procedure/lecture/JudgementEffect2.html
。1月22日アクセス)

 また、私としては、原告が将来、類似の訴えの提起を繰り返すことを防止したいところですが、そのために、私からしかるべき反訴(脚注2)を行うことも考えています。

 (脚注2)民事訴訟の被告が口頭弁論終結前に同じ裁判の中で、原告を相手方として提起する訴えのことをいう。(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E8%A8%B4
。1月22日アクセス)

 よって、今回は最初から本人訴訟でなく、弁護士を依頼してこの訴訟に対処したいと考えています。
 明日の弁護士との話し合いの結果は、改めて報告させていただきます。
 読者の方で本件について何かお気づきであれば、例えば私のスタンスに資する、ITに関わる理屈について何かお気づきであれば、ぜひ私にお知らせください。

(とりあえず完)
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