太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/

太田述正コラム#4941(2011.8.20)
<皆さんとディスカッション(続x1299)>

<太田>(ツイッターより)

 女性は性的魅力をもっと積極的に活用して成功を勝ち取れと唱えた本が出た。
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/7b00d0be-c72d-11e0-a9ef-00144feabdc0.html#axzz1VX2bBfHu
 ガーディアンには、何と書評と、著者インタビュー・・インタビューワーは女性で著者に対する敵意を露わにしている!・・の2本の記事が一挙に載った。
< http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/aug/19/catherine-hakim-interview
http://www.guardian.co.uk/books/2011/aug/19/honey-money-catherine-hakim-review >
 誰かコラム書いてみないか?

 「台湾・政治大学歴史学部の唐啓華教授…孫文<は>「満州、海南島を(日本に)割譲しようとした」」
http://www.asahi.com/international/update/0818/TKY201108180396.html
 孫文は外モンゴルをロシア(ソ連)に割譲したんだけど、この話は初耳だ。ぜひ典拠を知りたいね。

<Rindenda>(同上)

 趙無眠氏の「如果日本戦勝了中国」にも言及ありますね。

<太田>

 どうやら、この本のことらしいですね。

 「趙無眠著『もし、日本が中国に勝っていたら』・・・「趙無眠氏に本会の「国交三十年を迎えた‘中国認識’を問い直す」というシンポジウムで講演して貰ったのは,平成14年3月のことだったが(祈小春氏通訳),その時の話「もし,日本が中国に勝っていたら」が今年の2月,文春新書の一冊として出版された(富坂聰訳).「今年の2月,文春新書の一冊として出版された(富坂聰訳)・・・<講演の時の>「氏の結論は「もし,日本が中国に勝って,中国を征服することになったら,もともと‘中国人よりもさらに中国的な日本人’は容易に漢化されて中国人になり,一つの中国が実現するだけだ」<だった>.」」(小林路義(鈴鹿国際大学大学院非常勤講師) )
http://www.jas21.com/essay/essay4.htm

 以下、本題からはズレますが、最後のくだりだけで、趙無眠なる中共の人物、全然日本のことが分かってないことは明らかですね。
 日本文明と漢人文明とは対蹠的なくらい異質なのであって、日本が支那を征服していたとすれば、(もともと漢人文明中に遊牧民的要素があったところの、その遊牧民の)元の支那征服の時と比べても比較にならないくらい、漢人文化は衰退し、元の時よりも長く日本による支那統治が続いておれば、台湾や韓国の例を見ても分かるように、支那は否応なしに日本化、すなわち脱漢人文明化していたことでしょう。
 しかし、趙が分かっていないのか、それとも分かっていても避雷針的にあえてそう言っているのか、いずれにせよ、日本は、満州と違って、(満州を除く)支那を保護国化するとか、日本人を移住させるとかを考えていたわけではないので、こういう議論は頭の体操でしかありません。
 (満州については、上記議論は意味があります。)

 この際、もう少し、趙がどういうことを言っているか、あたってみました。

 「『もし、日本が中国に勝っていたら』を読みました。・・・おもしろかったですね。この本は中国国内の中国人向けに書いたもので、こと国家の経営・管理能力という点においては――台湾統治や満州経営の他日本が中国の各都市を占領していた時も含めて――日本は極めて優れた能力を発揮した。中国人もこのことを認めるべきであり、それに学ぶべきである、というものです。
 「反省を込めて言えば、もしわれわれがそうでなければ(=国家の経営・管理能力という点で劣っていなければ―筆者)、なぜ人□にしてわずか数千万の小国に手も足も出ないまま国が滅びる寸前まで追い詰められてしまったのだろうか。」
 こうした反省と同時に、筆者は、日本の欠点を指摘することも忘れていません。
 「同じように日本の欠点も深刻だ。もしそうでないのなら、あのように横暴を極めて、兵力を乱用して弱らせ、どこまでも戦線を拡大し、最後には無条件降伏を受諾するまでになるだろうか。」 
 そして、氏自身の同胞に訴える言葉として次のように述べています。
 「日本がしたことは筆舌に尽くしがたいことだが、その一方で彼らがわれわれに与えてくれたものはとても貴重だ。われわれはそれを得るために血の代価を支払った。これを簡単に捨て去ってしまうというのであれば、それは民族にとって最高の不幸であろう。」
 この本の著者趙無眠氏は、現在中国では、「日本鬼子」を再評価したとして、”四大漢奸”に列せられているそうですが、実は、氏の論文は中国の言論界では既にかなり有名で、大きな論争を巻き起こしているとのことです。」
http://sitiheigakususume.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-a3ea.html

 趙の勇気には敬意を表しますが、彼が日本のことが分かっているか否かにかかわらず、中共に在住していて言えるのはここまでくらいでしょうね。
 赤露から東アジアを守ること命であったところの、「日本<をして>・・・横暴を極めて、兵力を乱用して弱らせ、どこまでも戦線を拡大」させたのは、日本のせいではなく、合作した中国国民党・中国共産党、つまりは赤露の意思であり、その片棒を担がされたアホな米国と英国のせいであり、いい面の顔だったのは支那の一般住民だったのですから・・。

<TA>

 次回のオフ会のテーマについてですが、「アメリカは日本の「独立」を望んでいる
のか?」というのは如何でしょうか。
 まずとりあえず、8月14日放送のTV番組「たかじんのそこまで言って委員会」でのやり取り(一部の要約です)をご覧ください。

========================

金美齢 「政治家の中に人材がいない」

手嶋龍一 「人材がいないのには理由がある。一言で言うと、それは日米同盟の光と影だ。事実上、戦後の日本は外交・安全保障という国政における最も崇高な部分をワシントンに委ねてしまった。残る政治家の役割には、国内における矮小な利害調整という部分しかなく、そのような分野に志のある人材が集まってくる訳がない。」

宮崎哲弥 「この話は経済政策も全く同じで、日本が右肩上がりに経済成長しているときは経済政策なんて考える必要がなかった。日米安保体制の下では、外交政策なんて考える必要がない。」

勝谷誠彦 「先のメア発言によれば、日本が憲法九条を変えることに賛成ではないとアメリカは思っている。アメリカは、日本が集団的自衛権を認めアメリカの負担を軽減してくれることを、本音では望んでいない。」

宮崎哲弥 「それは一面的な見方だ。国務省・ホワイトハウス内に二派あって、日本が「ストロングジャパン」となることを望む一派と「ウィークジャパン」であり続けて欲しいと望む一派がいるということだ。」

========================

 日本がアメリカの「属国」であると言っているに等しいやり取りで、実に喜ばしいことです。
 ただ同時に、「アメリカは必ずしも日本の「独立」を望んでいるわけではない」という意見に対し、出演者から特に反論がありませんでしたので、これがおそらく一般的な認識なのでしょう。
 これについて太田さんは、「一枚岩ではないにせよ、基本的にアメリカは日本の「独立」を望んでいる」とお考えと認識していますが、この件に関する太田さんの反論(検証)をじっくり聞きたいと思い、オフ会のテーマ案として挙げさせてもらいました。
 (申し訳ありませんが、このテーマについての適当な資料に心当たりはありません。)

<太田>

 ご提案ありがとうございます。
 テーマについては、他の方の意見もお聞きしたいと思います。

 ところで、手嶋の発言、私の言ってきたことと表見的には極めて似てるけど、言い出したのどっちが早いんですかね。

<ΜΖΖΜ>(「たった一人の反乱」より)

 香山リカの言うことっていつもは信用しないけど、↓はその通りだと思うな。

 「名参謀、名執事、名ブレインを配置できなかったことこそが、菅総理いちばんの「失策」ないし「不運」という歴史的評価になるのだろう。」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110811/280697/

 だってこんなの↓見ればそう思うでしょう?
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110818/stt11081800000000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110819/plc11081900010000-n1.htm

 自民党が内閣不信任案を提出するのは「お約束」だからともかく、それを予想していながら党内をまとめられず、代議士会で菅総理が辞任をほのめかさざるを得なかったのは民主党執行部がダメダメだったからでしょう。
 それを自覚せず代議士会直後から大連立に動いたり総理を批判していたような人物が最後の最後までこのザマでしょ?

 松本<健一>内閣官房<参与>にしてもギリギリでクビになるのを逃れた(↓)のにまた余計なこと言っちゃって。。。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110415/plc11041522260029-n1.htm


菅総理を特別に贔屓するつもりは全くないけど、まわりに碌なのがいなかったというのが「失策」ないし「不運」だとおもうな。

<ΖΜΖΜ>(同上)

 側近に碌な人間がいなかったのは事実だろうが、そんなことはいい訳にはならない。
 総理本人も優秀だったとは言い難い。
 市民運動出身のせいなのか、組織や人の使い方を知らない面もあったのでは?
 はっきりいえば、総理の器ではないとしか思えない。

<ΖΖΜΜ>(同上)

 それじゃ<キミ>が思う総理の器を持った政治家って誰?

<ΖΜΜΖ>(同上)

 仙谷も枝野も官房長官失格(太田コラム#4435、#4710)。
 二代続けてそんな人間を起用した菅も悪いけど……民主党の人材の乏しさを考えると、強力な組閣なんて無理でしょ。
 今度の代表選も、全然盛り上がりそうにないじゃん。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 とにかく、本コラムに記録しておく必要があるな。↓

 「19日午前(日本時間同日深夜)のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル=75円95銭まで上昇し、東日本大震災直後の3月につけた1ドル=76円25銭の戦後最高値を約5カ月ぶりに更新した。・・・」
http://www.asahi.com/business/update/0819/TKY201108190610.html

 リビアでズリタンを反体制派が奪取。リビアの3分の2以上は反体制派の下にある。↓

 ・・・rebels controlling more than two thirds of the country.・・・
 It was a day of heavy street fighting in Zlitan, where rebels from Misrata came up against tanks and troops from the 32nd brigade commanded by Gaddafi's son Khamis. Thirty-five rebel troops were killed and scores more injured.
 By Friday night, however, opposition leaders said they had taken control of the city 100 miles east of Tripoli. They said their column had reached the outskirts of Al Khums another 30 miles along the coast.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/19/tripoli-facing-advance-libya-rebels

 やらないよりはマシかもしれないが、後追いでみっともないねえ。↓

 「松本外相、シリア大使にアサド大統領辞任要求・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110819-OYT1T00868.htm

 原発に警鐘を鳴らし続けてきた「夫妻」として、福島瑞穂と海渡雄一が紹介されている。↓
http://www.nytimes.com/2011/08/20/world/asia/20kaido.html?ref=world&pagewanted=all

 大暴動後の英国における暴動犯に対する厳しい判決が英国の世論の圧倒的な支持を受けている。↓

 ・・・ The prime minister demanded that "a clear signal" be sent out as he supported one of the most contentious sentences, the four years to be served by two young men who created Facebook pages inciting riots that no one came to. Voters approve. In a Manchester Evening News poll, 88% thought the judges were getting it right. ・・・
 <だけど、「左」のガーディアンは、それを批判。↓>
 The punitive sentences of the past week are out of proportion to the offences committed. Nor are they likely to be effective. They challenge our idea of justice. They risk aggravating the very sense of disengagement that contributed to the unforgivable events of two weeks ago.・・・
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/19/editorial-riot-sentencing-courting-trouble

 反自由民主主義だったカトリックを転換させたのが、戦間期のジャック・マリタンだったってさ。↓

 ・・・Jacques Maritain. A rightwing Catholic in the 1920s, this French philosopher became a celebrated exponent of human rights who held that there was an intimate connection between Christianity and democracy. His ideas deeply influenced the centre-right Christian Democratic parties that dominated politics in West Germany, Italy and other countries after 1945.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/9a7ef656-c8c1-11e0-a2c8-00144feabdc0.html#axzz1VX2bBfHu

 敵前逃亡で処刑されたドイツ兵の数、第一次の時に比べて第二次の時は桁違いに多かったんだね。↓

 ・・・during the first world war, with millions of German conscripts fighting under appalling conditions and suffering horrendous losses, only 18 suffered the death penalty for desertion. During the second world war, the equivalent figure was around 15,000.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/b9b0dbce-c36d-11e0-b163-00144feabdc0.html#axzz1VX2bBfHu

 先の大戦末期、ドイツ占領下のオランダで大飢饉になり、その時の悪い影響は、何代にもわたって問題を引き起こしたという。つまり、獲得形質は遺伝するのだ。ラマルクは正しかった。↓

 ・・・ In 1944, during the last months of the war, a Nazi blockade followed by an exceedingly harsh winter led to mass starvation in Holland. This had a huge effect on babies born at the time, and the effects of poor nutrition on the foetus seem to have persisted through subsequent generations.・・・
 ・・・some epigenetic changes are so long-lasting they cover several generations: they can be inherited. This flouts one of biology's most cherished dogmas – taught to all students – namely that changes acquired during life cannot be passed on – the heresy of Lamarckism.・・・
http://www.guardian.co.uk/books/2011/aug/19/epigenetics-revolution-nessa-carey-review
-------------------------------------------------------------------------------

 今回は、軽く前回出てきた曲にひっかけた一人題名のない音楽会です。

 ルドルフ・ジーツィンスキー(Rudolf Sieczynski。1879〜1952年)。
 彼、ポーランド系オーストリア人で、お国も違えば時代もチト古いけれど、日本のさだまさしや久保田早紀みたいな、流行歌のシンガーソングライターだった、と思えばいいでしょう。
 「ウィーンわが夢の街」1曲だけが有名な久保田タイプです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Rudolf_Sieczy%C5%84ski

ウィーンわが夢の街(Wien, du Stadt meiner Traume=Vienna, you city of my dreams)

Elisabeth Schwarzkopf ドイツ人の彼女が歌って有名に。
http://www.youtube.com/watch?v=x8mfu8dXTTQ
鮫島有美子 後半は日本語
http://www.youtube.com/watch?v=BgvoaENFHtg&feature=related
Placido Domingo
http://www.youtube.com/watch?v=zZ5V95ON8qI&feature=related
Fritz Wunderlich ドイツの男性歌手にも頑張ってもらいましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=A5ZOtcAXWc4&feature=related
Carreras Domingo Pavalotti 三大テノールの夢の共演です。
http://www.youtube.com/watch?v=GgUKmpM0EzE
Placido Domingo & Anna Netrebko & Rolando Villazon やっぱ女性が入った方がよろしゅおまんな。
http://www.youtube.com/watch?v=_Y9JdmIz3OI&feature=related
ウィーン少年合唱団 何だか艶がないが・・。
http://www.youtube.com/watch?v=k0A8-x6cXA0&feature=related
ピアノ:今井顕
http://www.youtube.com/watch?v=dmV_mfe4fZU
バイオリン:篠崎史紀 ピアノ:田中美江
http://www.youtube.com/watch?v=fMDBGnc8FtQ&feature=related


 ユーチューブにアップされている、ジーツィンスキーのその他の曲、さしあたり3つしか見つからなかったけど、うち、2つを掲げておきましょう。
Morgen ist wieder Sonnenschein Herbert Ernst Groh
http://www.youtube.com/watch?v=hKGy1HRsjIU
Sag' ich blau, sagt sie grun Max Hansen
http://www.youtube.com/watch?v=h8db68cnasM
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


太田述正コラム#4942(2011.8.20)
<米国の20世紀スケープゴート史に思う(続)>

→非公開

太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/