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太田述正コラム#4841(2011.7.1)
<皆さんとディスカッション(続x1250)>

<太田>(ツイッターより)

 (コラム#4839に関し)書き忘れたが、中国国民党が腐敗したファシスト集団であることが当時既に明らかになりつつあり、国民党か中国共産党かというのは、米国にとって、究極の悪魔の選択であったわけで、トルーマン政権が国民党支持に踏み切れなかったことは、それなりに理解はできる。

 (コラム#4677に関し)その経済の対日依存性はよく知られているが、旧日本帝国の一環として現在の韓国があることを、より端的に思い起こさせてくれるのが、K-POPと日本との密接不可分な関わりだ。
http://www5.nikkansports.com/entertainment/column/ishii/archives/16799.html
http://dokuzetsu-note.blogspot.com/2011/02/k-pop5.html

<US>

≫1980年代に手塚治虫は、アトムの原子炉をウラン使用から、より安全なカナダ製のCANDUが使用する重水素に切り替えていたっちゅうんだな。≪(コラム#4839。太田)

CANDU は重水素(deuterium)を使用しないはずですし、より安全なカナダ製のCANDUという断定的な言い方が、業界関係者としてちょっと気になってしまいました。
さっそく原文を読んでみたところ、アトムと福島事故をダシに使い、レトリックに富んだCANDU礼讃記事でした。最後の一文 "Had TEPCO executives only paid more attention to the exploits of Astro Boy. ” と仮定法過去完了の条件節のみで終わっており、CANDUさえ導入していれば、今回の事故は防げていただろうにと読者に連想させるようになっています。読み手として誰を想定しているかわかりませんが、結局、原子力新設の際は、CANDU が一番だからねっていうのが言いたいことだったと理解しました。なお、日本で CANDU が採用されてこなかったのは、日本が米国べったりだからという批判付です(だから、この記事が太田さんの目に止まったのだと納得しました)。

さて、最初から最後までつっこみどころ満載でしたが、アトムとCANDUの両方について誤解を招く表現が多い最後のパラグラフについてコメントします。

原文:
It is not a coincidence that the relatively safe HTR reactor that Bonnenberg champions and the latest version of the CANDU are being built in China. Renewable energy may be the wave of the future, but safer nuclear reactors are needed to fill the gap. In the 1980s, Osamu Tezuka, the cartoonist who created Astro Boy, replaced the nuclear reactor in his robot hero's chest with a reactor using deuterium, the D in CANDU. Had TEPCO executives only paid more attention to the exploits of Astro Boy.

訳:
Bonnenberg氏が推す比較的安全である超高温原子炉と並んで、最新バージョンのCANDU炉が、中国で建設中であるということは偶然の一致ではない。再生可能エネルギーは将来主流になるかもしれないが、(需給バランス)のギャップを埋めるためには、より安全な原子炉が必要とされるのだ。1980年代、鉄腕アトムを産んだ漫画家、手塚治虫は、彼のロボットヒーローの胸の中の原子炉を、重水素(CANDUのあのDだ)を使う炉に置き換えた。東電経営陣が鉄腕アトムのその偉業にもっと注意を払っていれさえすれば、である。

誤解を招く点は次の3点です
1)軽水炉は失敗したデザインであると主張しているBonnenberg氏を登場させ、ライバルである軽水炉(BWR、PWRなど)をCANDU以下という印象を持たせている

→軽水炉は失敗したデザインと氏が主張しているのは真実。だからと言って重水炉(CANDUなど)を推しているわけではありません。彼はあくまでも超高温原子炉支持者です。
http://www.atlantic-community.org/index/Open_Think_Tank_Article/The_Era_of_Nuclear_Energy_is_Over

2)中性子を浴びても放射能を持たないヘリウムを冷却材と用いて万が一冷却材が漏れても安全と言われる超高温原子炉と並べて、CANDU炉を記することにより、この2つだけが安全面で評価されていると言う印象を持たせている

→どちらも建設中であることは事実。ただし、軽水炉である AP1000 も EPR も同様に工事中です。中国は最終的には国産化を目指しており、技術移転のため、貪欲にいろいろなタイプの炉を建設中なのです。(いい典拠がありませんでした。参考まで→
http://www.spc.jst.go.jp/export/sites/default/investigation/crc_study/downloads/study29.pdf


3)“CANDUのあのDだ”と一言挿入することにより、あたかも、CANDUは、アトムの胸の炉と同じで先進性があると言う印象を持たせている

→アトムの炉は重水素を燃料とする核融合炉です。CANDU炉は天然ウランを燃料とした炉で、両者はまったく違うものです。さらに、CANDU炉では、重水素(deuterium)を使用しません。ただ、減速材、冷却材として重水(heavy water 化学式 D2O) を利用します
 アトム:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E8%85%95%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A0
 核融合:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E8%9E%8D%E5%90%88%E7%82%89
 核融合:
http://ja.wikipedia.org/wiki/CANDU%E7%82%89

言うなれば、水素自動車の燃料は、ホンダの車のエンジンのラジエターって言う冷却装置で使っている冷却材水H20のHと同じで、水素なんですと言えば、だから何?って感はありますが、まだ意味は通じます。それを、水素自動車の燃料は、ホンダの車で使っているあのHと同じ、水素なんですと短縮して言ってしまうと、Hってやつを使っているホンダの車って、なんかわからなけど水素自動車なみにすごいらしいぞって勘違いしてしまうかもしれません。

故意に誤解することを誘導しているのか、純粋なCANDU信奉者なのか不明なのですが、名前と寄稿している媒体名をキーに調べたところ、ハンガリー生まれ、カナダ育ちの方のようでした。 
http://www.japanintercultural.com/en/about/Japan_AndrewHorvat.aspx

福島のことを理由にするのは、なにも原子力反対派だけではないと思い知らされた記事でした。

ではでは。

<太田>

 「反米」的だからじゃなく、私の大好きな鉄腕アトムの話題が出てきたので紹介したんですよ。
 「重水素」には???って感じだったけれど、おかげさまでよく分かりました。
 このコラムの筆者、相当の手練れですねえ。

<ωΕΕω>(「たった一人の反乱」より)

 <ΕΕΩΩクン(コラム#4839)、>十津川昭和サンやroma_sakamotoサンみたいな人に対して「えげつなくない」答え方をするべきと言うなら、具体的にどういう答え方もしくは対応になるの?
 それを具体的に示してくれないと。

<ΕΕΩΩ>(同上)

 「「えげつなくない」答え方をするべき」とは思ってないよ、面白いもん。
 ただ、「アピールポイント」としてもろ刃の剣だと言ってるんだ。
 言いたいことは全て<ωωΕΕクン(コラム#4839)>が言ってくれた。

<ΕωΕω>(同上)

 農業利権を食い物にするソフトバンク
http://news.livedoor.com/article/detail/5663276/
 孫正義の秘密のアービトラージ
http://news.livedoor.com/article/detail/5676261/?p=1

 太陽光発電なんぞは、ギャグとしか言いようがない。
 「電田プロジェクト」は補助金ビジネスだろう。
 それにしても、嫌になるな。農業の現実がわからん大臣、補助金で商売する悪徳企業、しかも、韓国の原発は「問題なし」だもんな。
 Mr孫はとんでもない男だよ。この男は太陽電池も中国や韓国あたりに発注しそうだ。
 反原発の橋本大阪府知事にもがっかりだ。
 太陽光発電に適した耕作放棄地など、そんなにあるわけない。
 第一、太陽光発電の発電など、微々たるもの。こんなことは常識だろ。
http://4010river.blog108.fc2.com/blog-entry-1255.html

<太田>

 ほんとかいな?↓

 「・・・菅さんがいま一番力を入れているのが再生エネルギー特別措置法案である。この法案には社民党と共産党が賛成すると予想される。
 参院の過半数は121。民主党(106)、国民新党(3)、与党系無所属(1)で合計110。社民党(4)、共産党(6)を加えれば120となり、過半数まであと一つ。つまり、自民党から引き抜いた浜田氏を足せば過半数になる。あと1人がとても重要だったのだ。・・・」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110630/275924/?ST=business&P=4

 日本にもぜひ来てもらいたいもんだが・・。↓

 「・・・1990年代の半ば頃から2008年6月までに、海外逃亡した中国共産党および中国政府の幹部、公安や司法の幹部、国家事業組織や国有企業の高級管理職、中国資本の海外駐在組織からの逃亡者や失踪者は、合計1万6000人から1万8000人であり、その持ち出した金額の総計は8000億元(約12兆円)に達している。・・・
 中国から1万8000人の腐敗分子が合計8000億元の資金を持ち出したとすれば、1人当たり平均の持ち出し額は約4450万元(約6億6750万円)となる。2006年における中国の財政総支出(中央政府と地方政府の財政支出の合計)は4兆213億元であったから、8000億元はその5分の1に相当する額である。
 ただし、報告書に記載されている8000億元という金額は、中国政府が調査を経て把握した国外逃亡した腐敗分子によって持ち出された金額の合計であり、把握されていない金額がどれほどあるかは分からない。・・・
 2010年11月の時点で中国政府は、「国連腐敗防止条約」を含む100以上の多角的国際条約に加盟し、外国と47の「二国間刑事司法互助条約」を締結し、タイ、ロシア、モンゴルなど33カ国と「犯罪人引き渡し条約」を締結している。従って、腐敗分子たちはこれら33カ国には含まれていない米国、カナダ、オーストラリアの3カ国に集中しているのだという。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110628/221154/?top_updt

 日本的経営、復活へ?↓

 「・・・新入社員対象の意識調査で、今の会社に「定年まで勤めたい」との回答の割合が34%となり、1971年に同じ質問を始めて以来、最高となった。調査担当者は「震災による失業などが報道されるなか、雇用の安定への関心が高まった」と分析している。・・・」
http://www.asahi.com/job/news/TKY201106300527.html

 李登輝元台湾総統起訴。↓

 Former president Lee Teng-hui (李登輝) was indicted yesterday on charges of embezzling state funds, becoming the second democratically elected Taiwanese president to be indicted on corruption charges.・・・
 However, he has not been accused of pocketing government money. The SIP says Lee took excess funds allocated for a diplomatic ally to set up a private think tank where he later became honorary chairman.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2011/07/01/2003507120

 民進党の大統領選候補、現職を更に引き離す。↓

 Democratic Progressive Party (DPP) Chairperson and presidential candidate Tsai Ing-wen (蔡英文) enjoyed a lead of 4.5 percentage points over President Ma Ying-jeou (馬英九) in the latest poll ・・・
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2011/06/30/2003507029

 「地元紙」ニューヨークタイムスのスクープか。
 前IMF専務理事の「被害者」、嘘つきで犯罪者と関係あり?↓

 The sexual assault case against Dominique Strauss-Kahn is on the verge of collapse as investigators have uncovered major holes in the credibility of the housekeeper who charged that he attacked her in his Manhattan hotel suite in May,・・・
 <「事件」後、件のメイド、犯罪者のお友達に電話して相談。↓>
 ・・・the woman had a phone conversation with an incarcerated man within a day of her encounter with Mr. Strauss Kahn in which she discussed the possible benefits of pursing the charges against him. The conversation was recorded.
 <この犯罪者マリファナ所持で逮捕。彼を含め、何名からも、このメイド、大金を何度も振り込まれている。↓>
 That man, the investigators learned, had been arrested on charges of possessing 400 pounds of marijuana. He was among a number of individuals who made multiple cash deposits, totaling around $100,000, into the woman’s bank account over the last two years. The deposits were made in Arizona, Pennsylvania, Georgia and New York.
 <毎月数百ドルも電話代を払っているメイド。↓>
 They also learned that she was paying hundreds of dollars every month in phone charges to five different companies. The woman insisted she only had a single phone and said she knew nothing about the deposits except that they were made by a man she described as her fiance and his friends.
 <米国に「亡命」してきた理由もインチキ?↓>
 In addition, the official said, she told investigators that part of her application for asylum included a previous rape, but there was no such account in the application. She also told them that she had been subjected to genital mutilation, but her account to the investigators differed from what was contained in the asylum application.・・・
http://www.nytimes.com/2011/07/01/nyregion/strauss-kahn-case-seen-as-in-jeopardy.html?_r=1&hp=&pagewanted=print

 ズバリ、ネイルアートの話(コラム#4825)というよりは、天然色によるマニキュアの話だが、何で米国ではやっているかの小特集をNYタイムスが組んでいた。↓

 A few years ago, wild nail polish colors seemed to be a passing trend. But now, as is obvious at the office, as well as on the street, it's become mainstream for non-fashionistas of all ages to wear colors other than the classic reds and pinks.・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/06/30/why-did-wild-nail-polish-go-mainstream-10?hp&gwh=4ACA75CADDF082366DDCB10D1D7887E8
 <赤とピンクのマニキュアだけというのは米国だけの話で、欧州じゃ前から天然色だったってよ。↓>
 ・・・ unusual fingernail decor is certainly not confined to the present time. Nor did rich reds and hot pinks ever dominate, except in American cinema through the 1950s and 1960s. In fact, several of Picasso’s portraits of Dora Maar explicitly refer to the first Parisian fad for bright green, as well as the shaping of long nails into slightly sinister, surprisingly sharp points. ・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/06/30/why-did-wild-nail-polish-go-mainstream-10/the-myth-of-reds-and-pinks
 <若い女性にとってオモロイからだってよ。↓>
 ・・・At the end of the day, it really boils down to: Girls just want to have some fun!・・・Cyndi Lauper・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/06/30/why-did-wild-nail-polish-go-mainstream-10/a-stable-in-some-communities
 <ダジャレみたいなもんだけど、上記引用のシンディー・ローパーの歌をどうぞ。↓>
http://www.youtube.com/watch?v=x0cJnVeiMrw
 <カネがなくなってきた女性達のささやかなぜいたくだってさ。↓>
 Over the last several years, manicures and pedicures have been the only sustainable means of guilty pleasure for many women who found themselves in the position of having to tighten their budgets.・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/06/30/why-did-wild-nail-polish-go-mainstream-10/an-equal-footing-for-all-women

 英国のジョージ2世(ハノーバー公を兼ねる)の伝記の書評が出ていた。↓

 <(後の米国の)13番目の州であるジョージア州は彼の名前にちなんで名づけられた。 ルイ15世と甥のフリードリッヒ大王を抑え込んだ。スチュアート朝の復辟を目指した大叛乱を鎮圧した。↓>
 ・・・George II was the first monarch to reign over all 13 North American colonies--the last, Georgia, being named for him in --and he did so without generally provoking the colonists' wrath. In Europe, he guided Britain through various alliances to contain Louis XV and, at times, Frederick the Great of Prussia (George II's nephew). He advanced Britain's interests overseas, leading the empire through the first stages of the Seven Years' War--which Britain would win after his death--and thereby thwarting French ambitions in North America and elsewhere. He repelled a serious Jacobite challenge in 1745-46, when Scottish clans loyal to the memory of James II, the Stuart monarch ejected from the throne in 1688, put forward the claims of James's (Catholic) grandson, Bonnie Prince Charlie. The Young Pretender, advancing on London, was turned back and defeated soundly, ensuring that a Protestant dynasty--another branch of the Stuart family--would continue to rule Britain.・・・
 <議会を回避するため、戦費は公債で調達した。また、戦場に自ら臨んだ最後の英国王。↓>
  He financed his frequent military forays by issuing bonds rather than going begging to Parliament. He also had the distinction of being the last British king to lead his troops into battle, which he did, "sword in hand," against the French at the Battle of Dettingen in 1743, in Germany, a feat all the more remarkable because he was in his 60th year.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304070104576398663818968614.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
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太田述正コラム#4842(2011.7.1)
<ナチの逃走(その1)>

→非公開

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