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太田述正コラム#4335(2010.10.25)
<皆さんとディスカッション(続x994)>

<ΙΙδδ>(「たった一人の反乱」より)

≫「宗主国サマの国益」=「属国たる自国の国益」≪(コラム#4325。太田)

 池田勇人と佐藤栄作が長期政権を維持できたのは何でかなあ?
 宗主国サマの国益に関する実績が薄い政権っぽいんだけど。
 アメリカは、キューバ危機やらベトナム戦争やらで、日本を搾取する暇が無かった、なんていう理由じゃないよね?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E7%94%B0%E5%8B%87%E4%BA%BA#.E5.86.85.E9.96.A3.E7.B7.8F.E7.90.86.E5.A4.A7.E8.87.A3
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E6%A0%84%E4%BD%9C#.E5.86.85.E9.96.A3.E7.B7.8F.E7.90.86.E5.A4.A7.E8.87.A3

<太田>

>池田勇人と佐藤栄作が長期政権を維持できたのは何でかなあ?

 何で米国は日本に「独立」を強いないのか、という一般論に還元されるわいな。
 だって、戦後日本人の大部分が「属国」であることを選択し続けて来た以上、民主主義の旗手を標榜する米国が、「独立」を強いるなんてできるわけないだろ。
 しかも、池田・佐藤時代(1960〜64年、1964〜72年)の日本は経済高度成長のまっただ中だ。
 買弁政治家・官僚によって見事に統治されている属国に波風立ててどうすんのよ。
 もっともそういう中で、ニクソン米大統領は、米国の国力の相対的低下を背景として、1969年7月25日、グアムで・・今から思うと実に象徴的だな・・ニクソンドクトリンを発表し、米国の同盟諸国・・当然のことながらその中には「属国」日本も含まれる・・に自国の防衛は基本的に自分でやるよう促した。
http://en.wikipedia.org/wiki/Nixon_Doctrine
 これは日本に対しては、事実上「独立」を促した、と受け止めることができる。
 もちろん、日本属国政府は、馬耳東風を決め込んだがね。

<ΙδΙδ>(「たった一人の反乱」より)

 <ΔΙΙΔクン(コラム#4333)、>1000人のデモってたいしたことないじゃん。
 ネタなんだろうけど、パパはホンダの車に乗ってて、ママはヨーカドーで毎日買い物っていう夫婦の子供がデモに参加してるとかラジオでやってたぞ。

 ちなみに今日予定された重慶のデモは予定時間になっても人が集まらなかったらしいよ。
 (典拠探したけど見つからなかった。。。)・・・

<ΙδδΙ>(同上)

≫利他主義は幸福の輪を広げていく。しかし、この「他」はあくまでも他の人間であって、神やイデオロギーといった超人間的なものであってはならない。≪(コラム#4331。太田)
≫「超人間的なものへの自己犠牲的献身は究極の利己主義的活動であると心得、それが他の人間の自由や権利を侵害しないように最大限の配慮をしなければならない」≪(コラム#4333。太田)

 アメリカがやっている国際貢献も(利他的側面を含んでいるが)民主主義や自由主義と言った超人間的なものへの自己犠牲的献身=利己主義的活動と捉える事もできん?
 (現状で日本人がやっている非協力が最も利己主義で、非人間主義的だが)
 アメリカから独立し、国際貢献をしていくというなら、人間主義的な理念を掲げたいもんですなぁ。

<太田>

 自由主義は政府は国民の自由や権利が侵害されないように最大限の配慮をすべきであるという考え方であり、民主主義は、政府は国民の多数の支持を得たものでなければならないという考え方であることから、自由主義や民主主義への自己犠牲的献身は利他主義(人間主義)的活動である、と言ってよかろう。

<δΙδΙ>(同上)

 ついに太田さんの属国論が火を噴いた!

 たかじんのそこまでやって委員会10月24日更新PR動画
http://www.youtube.com/watch?v=dJ6iuo3tgz4&feature=mfu_in_order&playnext=1&videos=cy3MjjdaD2w

 ここまではっきり太田さんの「属国論」が取り上げられたことって、過去にあった?

<太田>

 教えてくれたのはありがたいが、ボク、一瞬顔出してるだけだねえ。

 動画といや、BERNIEさん、タテジマさんのご尽力でアップされたばかりの、ボクの10月9日の「講演」会の動画、後編に入った頃から、疲れが出たのかボク、呂律が回らなくなっちゃってるね。やれやれ。
 なお、この後編、大部分、動画が静止画になっちゃってたなあ。

<けいc。>

≫私は米国の欧州性の部分を批判しているだけであって、そのアングロサクソン性の部分には敬意を払っていることはお分かりいただけるはずなんですがね≪(コラム#4333。太田)

 確かにそうですね。ご指摘ありがとうございます。

<chihilo>

≫引用されたサイト、キミのサイトかもな。≪(コラム#4333。太田)

 私のサイトです。
 お答えくださり、ありがとうございます。

<太田>(ツイッターより)

 (コラム#4074に関し)「ヒットラーとスターリン」シリーズ(未公開)<(コラム#4326以下)>を完結したばかりだが、この二人のような悪人は日本人にはまずいない。だから、日本では悪について語られることがほとんどない。だから、たまには語ろうぜ。


<鯨馬>

 最近の<「ヒットラーとスターリン」シリーズ>と関連するのですが、「赤軍大粛正」という本を斜め読みしていたら、ヒトラーとスターリンが互いに敬意?を抱いていたらしい記述がでてきました。
 独裁者同士の親近感と各々の軍部への警戒心によるものらしいです。
 
p59
ヒトラーはクレムリンの独裁者に対する反感よりも軍人に対する憎悪心の方が強かった。ヒトラーは密かにスターリンの非情さと残忍さを賞賛していたのだ。

p332-3
[ヒトラー]はスターリンのことを自分と同じくらいに高く買っていた

<太田>

 ルドルフ シュトレビンガー 『20世紀最大の謀略 赤軍大粛清』 (学研M文庫)
http://www.amazon.co.jp/20%E4%B8%96%E7%B4%80%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E8%AC%80%E7%95%A5-%E8%B5%A4%E8%BB%8D%E5%A4%A7%E7%B2%9B%E6%B8%85-%E5%AD%A6%E7%A0%94M%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95-%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC/dp/4059020419
ですね。
 どうも、ヒットラーからスターリンへの一方的敬意のようですが・・。

<δδΙΙ>(「たった一人の反乱」より)

 日本マスゴミが必死で報道しない映画。
http://www.youtube.com/watch?v=2nyFYPzaSeY

 ご先祖様、カッコ良すぎでしょ!!

<太田>

 「百人切り」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E4%BA%BA%E6%96%AC%E3%82%8A%E7%AB%B6%E4%BA%89
がウソであったとしても、或いは「百人切り」の過程で俘虜殺害を行ったわけではなかったとしても、南京事件・・日本軍による俘虜殺害等・・そのものがなかったことにはならない。
 たとえ不都合な真実であっても、真実と認めた上で、それらを指弾したり歴史的文脈の中で理解したりしなければならない。
 日本の「右」の人々は、こんな映画をつくってるカネとヒマがあったら、当時の米国が東アジアでやったこと(日本への原爆投下を含む戦略爆撃だけではなく、全体)を批判する映画をつくれってんだ。

<私有自楽>

 ご覧になったことは お有りかもしれませんが、少女時代のエリザベス1世の肖像画を見つけたのでお送りします。
http://www.japanjournals.com/dailynews/060612/news060612_1.html

 確かにこれから知性を植えこむ甲斐のありそうな面持ちですね。

<太田>

http://en.wikipedia.org/wiki/Elizabeth_I_of_England
で見ていました。
 さっき再度上記ウィキにアクセスしてみたら、この写真に'Elizabeth I, about 1546, by an unknown artist'という注記がなされていましたが、この注記も確か、『エリザベス』の映画評論を書いた時に既にあったような気がします。
 だけど、そのことが分かったのは、お示しの記事のURLからして、2006年とつい最近だったんですね。
 彼女がひどいトラウマを経験した頃(コラム#4280。未公開)だと思うと身につまされますね。

 それでは、記事の紹介です。

 日本は、これから手使わずアタマだけで勝負しなきゃならない。
 一日も早く、脳軟化症の根本原因である属国状況から脱っさなきゃいかんぜよ。↓

 「・・・雪崩を打ったように進む日本のモノ作り企業の海外シフト。急激な円高が背景にあるのは間違いないが、理由はそれだけではない。
 「中長期的に現地市場の成長が期待できる」「現地の政府や自治体が支援に積極的」「法人税率が低い」…。海外生産を加速する理由を聞くと、こうした理由を挙げるメーカーが多い。単純な円高対応だけでなく、日本国内を上回る立地の魅力があるからこそ、企業の海外進出は急加速している。
 日本はモノ作り立国の旗を降ろすのか。1ドル=70円台という新しい現実は、岐路に立つ日本経済に選択を迫っている。」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20101021/216764/?top

 オバマ政権下でも、米国の地球温暖化対策や生物多様性確保に対する姿勢に抜本的変化が見られないねえ。↓

 「・・・米国は生物多様性条約の締約国ではない。まだ参加もしていない。今回<の>・・・名古屋で<の>「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」・・・<に>はオブザーバー参加のはず。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20101022/216790/?top

 イスラム原理主義の波がイスラム世界を覆い尽くしつつある。↓

 ・・・Islamist・・・movements often exude a canny pragmatism. Islamists in Turkey, Egypt, Lebanon and the Palestinian territories have all embraced electoral success; in time, they may even reinforce a democratic body politic. But on issues from poverty to Palestine, they have imposed a paradigm of morality, ethics and occasional absolutism that tends to neglect society’s most pressing problems or turn them into unrequitable anthems.
 This is a large reason that for reformers, provocateurs and critics outside their orbit, pessimism is the fashion today. “Religious politics or politicized religion has taken over,”・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/24/weekinreview/24shadid.html?_r=1&ref=world&pagewanted=print

 イスラム原理主義は、従来、そんなものとは無縁であった「東」のイスラム世界にも影を落としつつある。
 この「東」のイスラム世界において、イスラム原理主義と中共ファシズムとが文明の衝突を起こしているという見方が示されている。↓

 ・・・ While we in the United States have concentrated on the western half of the Islamic world in the Middle Eastern deserts, there is an eastern half in the green forests and jungles of the tropics where global energy routes and merchant sea traffic now intersect.
 Islam is only partly a desert religion; it is just as much a seafaring faith, the harbinger not of narrow soldierly thought but of a cosmopolitanism spread by sophisticated merchants over the centuries in the Far Eastern seas.・・・
 Whereas 20% of Muslims live in the Middle East, 60% are in Asia, according to the Pew Research Center. The Arab world plus Iran, Afghanistan and Pakistan ? the geographical summation of our own wars and trepidations ? comprises 632 million Muslims. But in India, Bangladesh, Myanmar, Malaysia, Indonesia and the southern Philippines, there are an additional 565 million Muslims. ・・・
 Although democracy barely exists in the Arab world, it is commonplace in the Islamic societies of South and Southeast Asia.・・・
 ・・・Islam・・・shares the moral space with other traditions, so that secular politics flourish. Indonesia has more Muslims than any other country in the world, yet it is not an Islamic state.
 But this benign version of Islam is now being challenged by modern technology, which allows for the influx of Saudi money and religious ideology. There is also the dynamic influence of Middle East-based global television networks such as Al Jazeera, which has introduced tropical Islam to both Arab and European center-left political sensibilities, making Indonesians, Bangladeshis and others, for example, intimately familiar with the struggle in the Palestinian territories thousands of miles away.
 Then there is the effect of commercial air travel, which allows 200,000 Indonesians each year to make the hajj pilgrimage to Saudi Arabia. Yemeni Airlines flies to Indonesia four times a week, strengthening the historic Indian Ocean links between the Hadhramaut region in Yemen and Java in Indonesia.・・・
 Yet this new, postmodern Islam with a hard Middle Eastern edge is ramming up against another import: the glitzy materialism that in Malaysia and Indonesia is associated with nominally communist China. This is the real "clash of civilizations" going on.・・・
 Who will win the battle for the hearts and minds of Muslim East Asia ? the extremist Saudis or the materialistic Chinese? ・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-kaplan-20101024,0,3577091,print.story

 ダワーの本(コラム#4262以下)の書評がまた出てた。↓
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-ca-john-dower-20101024,0,7135556,print.story
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太田述正コラム#4336(2010.10.25)
<かつてドイツの時代があった(その2)>

→非公開

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