太田述正コラム#3959(2010.4.20)
<皆さんとディスカッション(続x809)>

<宮里立士>

 太田述正様、<コラム#3957で>拙文を取り上げてくださり、ありがとうございます。
 「防衛庁内局幹部にも「有事法制など必要でない」という者がいた…」のくだり、自分が想定した文脈とは違う趣旨からの発言であった由、ご教示くださり深謝申しあげます。
 以前のコラム(コラム3953)で出た「一国一文明」について、自分としては近代の国民国家の単位で、(まがりなりに)一国家を成しながら、その範囲でのみ、ひとつの文明を形成しているのは日本ぐらいではないかという趣旨のコメントでした。
 舌足らずとなり失礼いたしました。
 中国は、かつて勝海舟が「支那は国家にあらずして、(文明)社会なり」と云いましたが、あの国の漢民族、その他の民族の王朝興亡の歴史を想うと、自分などには、中国は(規模からいっても)国家というよりひとつの文明世界に見えてきます(今でもチベット族やウィグル族、モンゴル族など、「民族問題」を内包しておりますし)。
 また、東南アジアをはじめとして多くの中国外地域にいる華僑は、「中華世界」のネットワークを国際的に展開していると云えないでしょうか。
 英連邦型国家連合について云えば、沖縄が日本と連合して「独立」するのであれば、「日本文明」の国際的展開として、一考に値するかな、とも思えます。
 これは釈迦に説法になるかもしれませんが、戦前の日本は戦後の日本では思い及ばない、「開かれた」国家でした。
 満洲国建国の当事者の理念のひとつに東洋に「合衆国」をつくるというものがありました。
 戦前の福岡、長崎にとって、上海は東京より近い大都市でした。
 アジア独立の運動家の多くが戦前日本に亡命し、日本を拠点に活動もしました。
 戦後の日本人は、安全保障のみならず、戦前日本のこういう「開かれた」側面も忘却しているように思います。             

<太田>

 私の言う弥生モードの日本ってそうなんですよ。
 現在は縄文モードまっただ中ですが、これも、以前から力説してきているように、そろそろ、日本は、縄文モードと弥生モードを弁証法的に止揚しなきゃいけません。

<少数株主>

 川内議員の対談
http://www.ustream.tv/recorded/6196793
 普天間基地問題で、新たな事実判明したようです。

<太田>

 貴重な情報提供に感謝します。
 1時間半以上の映像で、長くてうんざりだったけど、要するに、民主党の川内博史衆議院議員(鹿児島1区。国土交通委員長。沖縄等米軍基地問題議員懇談会事務局長
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8D%9A%E5%8F%B2
)の主張は以下のとおりです。

1 海兵隊は、対テロ戦争に従事しており、既に沖縄にはほとんどいない。
2 司令部等のグアム移転後に日本に残るとされる海兵隊は、31MEU(Marine Expeditionary Unit)約2000名と彼等を運ぶヘリコプター部隊のみ。
3 司令部等のグアム移転後においては、司令部等が沖縄からいなくなった上、沖縄に残るとされる31MEUとヘリ部隊も、対テロ戦争に従事しているか、訓練を兼ねて韓国、オーストラリア等を巡回しているかであり、後者の場合でも、日本にいる期間は年間せいぜい2〜3ヶ月。
4 以上を踏まえ、日本政府が経費負担を約束してしまっているグアム移転を先行して実施することとし、その間、(ヘリ部隊の滞在する)普天間と(地上部隊の滞在する)キャンプシュワブと(訓練場所である)キャンプハンセンは現状どおりに維持したまま、将来、31MUEとヘリ部隊の日本滞在時の滞在場所(訓練場所を含む)をどうするかを日米間、及び関係自治体との間で話し合い、決定すればよい。

 1〜3は、おおむね私のこれまでの認識どおりだし、4についても、事実上それ以外に選択肢はないでしょう。
 しかし、1〜3の事実を日米両政府が正式に認めることは、当面考えられません。
 というのは、海兵隊は、日本を含む東アジアの平和と安定のためのものではない、しかも、グアム移転後は、日本ではたまに姿を見かけるだけの存在になってしまう、にもかかわらず、そんな代物のためのグアム移転費を日本が分担し、その上、日本が(残余海兵隊の常駐を前提とした)コストシェアリングを続ける、などというばかげた話を聞かされて、日本の有権者が黙っているはずがなく、遡ってグアム移転経費の分担そのものにすら強い反対の声があがるだろうからです。

 この映像を見るとよく分かりますが、これまでの政府・・つまりは自民党・防衛省・外務省・・は、ほとんど米軍のことが分かっていないにもかかわらず、天文学的なカネを米軍(と沖縄の住民、業者等)のために垂れ流してきたわけで、そのことを含め、日米安保の闇がどんどん明るみに出てきたことは、どんなに評価しても評価しすぎることはありません。
 政権交代バンザイ!

 話変わりますが、次著に関し、コラム#3953(2010.4.17)でも<Chaseさんに>お願いをしておりますので、どうぞよろしく。

<Chase>

 最近は携帯で<太田コラムを>読むようにしていたのですが、見逃していました。失礼しました。
 早速、<私の>ブログにメモしました。
 2チャンネラーの方々には、さりげなく深い読みをしている人がいて驚かされます。
 これを丹念に掘り起こされている太田さんのご努力も貴重なものがあると思います。
 氏素性がわからないのが残念ですが。

<太田>

 Chaseさんを始め、読者の皆さんの貢献に感謝します。

 それにしても、最近、つくづく思うのは、戦前と戦後を断絶したものとして見てはいけないということです。
 日本において、日本型経済体制が両者を貫いているだけでなく、そもそも、東アジアにおける、日支事変からベトナム戦争までは一つながりの、切れ目のない戦争だからです。

 それでは、記事の紹介です。

 めでたしめでたし。↓

 「・・・岡本真夜さん(36)のヒット曲「そのままの君でいて」の盗作ではないかとされている疑惑で、岡本さんの所属事務所は19日、中国・上海市の同万博実行委員会から楽曲使用申請があり、承諾したことを明らかにした。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100419/tnr1004192126007-n1.htm

 いいかげん、トックヴィル崇拝は止めよう。
 米国の人種主義的帝国主義が眼に入らなかった彼、その「克服」によって米国自身は破壊されなかったという点でも見通しを誤っていた彼。
 (他方、アジアは破壊されたわけですが・・。)↓

 ・・・one of the enduring puzzles about the trip is why Tocqueville mustered so little interest in questions of race and slavery・・・
 Tocqueville was exceedingly gloomy, convinced that a multiracial democracy was impossible. If slaves ever gained their freedom, he predicted a genocidal war: "the most horrible of all civil wars, and perhaps the destruction of one of the two races." ・・・
http://www.slate.com/id/2250994/pagenum/all/

 日本ではどうして、同様の妊娠中絶論争が起こっていないんだろう?↓

 ・・・A Gallup poll last year found that, for the first time, more Americans called themselves "pro-life" than "pro-choice" by a margin of 51 percent to 42 percent. In 1995, the numbers were more than reversed: Fifty-six percent of Americans said they were "pro-choice" and just 33 percent said they were "pro-life."
 How did the pro-life position gain 18 percentage points in just 15 years? For one thing, scientific advances have allowed us to see inside the womb as never before. Once-experimental medical procedures, such as fetal surgery to repair spina bifida, have become increasingly common. And a 1999 photo of baby Samuel Armas, then at 21 weeks gestation, reaching out of his mother's womb and holding his doctor's finger touched millions of hearts around the world. People have been able to witness with their own eyes the humanity of the unborn child. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/04/19/AR2010041902082_pf.html
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太田述正コラム#3960(2010.4.20)
<ロバート・クレイギーとその戦い(続)(その3)>

→非公開