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太田述正コラム#3815(2010.2.7)
<皆さんとディスカッション(続x737)>

<匿名希望>

 <コラム#3811に記したことに関し、>9月入学の件に関しては事実に反するようです。
 3学部以外はすべて4月入学しか受け付けていないのが現状のようです。

≫また、あなたには、この高校そのもののあり方の批判、という気持ちもおあるのでしょうか?≪(コラム#3811。太田)

 特に批判を本題とするつもりはありません。
 ただ、生徒構成が日本人だらけでバイカルチャル教育が可能なのであれば、外国に学校を建てる必要はないと思います。

≫この高校が日本を象徴しているとお考えになっているようですが、この高校の現状に不満を持っているのは、「アメリカナイズされた人(卒業生)」なのか「そうでない人」なのか、それともその双方なのか、それともこの現状を見ている第三者たる関係者なのでしょうか?≪(同上)

 アメリカナイズされた、およびされてない生徒双方が、互いに対して不満を持っている状態が、私が友人の話を聞いて受けた印象です。
 一方は日本流の上下関係や集団行動を理解できず、他方は日本人化しない者が理解できないという具合です。
 私の言う「日本の現状」は、社会慣習・文化に置き換えた方が正確だったかもしれません。

≫そして「起爆剤になりうる」のは、米国との合邦か米国からの「独立」かを日本人が決意する起爆剤になりうる、ということなのでしょうか?≪(同上)

 少なくとも話を聞かせてもらった友人には、そうなりえたのではないかと思います。

 <太田さんによる>後段の確認内容について。
 水分の補給と訂正します。

 米国の高校の教科書は私の州でも学校によって採用教科書が異なったので、当該記述が原爆投下を正当化していたものかどうかまでは解りません。
 私の高校での教科書記述は覚えていませんが、クラスディスカッションは印象に残ってます。
 一人の米国人がソ連の存在が原爆を落とした理由だと反論してました。
 原爆投下の正当性に反論していたのはこの人だけでした。
 また人道的な観点も話題になったものの、上陸を強行した場合と比較すればマシだ、という結論になりました。

参考:米国中高生には定番のスタディーガイド、CliffsNotesのUS Historyの原爆投下の記述。

 原爆投下に至る文脈として、硫黄島・沖縄での上陸作戦でのアメリカ兵死傷者数、神風攻撃による被害を述べた上で、

 ...The United States and its Allies issued the Potsdam Declaration (July 26) that promised “prompt and utter destruction” if Japan did not unconditionally surrender ? an ultimatum Japan rejected on July 29. An atomic bomb was used against Hiroshima on August 6, completely destroying four square miles of the city and killing more than 70,000 people upon impact. A second bomb was dropped on Nagasaki three days later, causing 40,000 deaths. Emperor Hirohito, long a figurehead in Japanese politics, then insisted on surrender. The Japanese agreed to Allied terms on August 14, thus ending World War II.
 The decision to use an atomic bomb has long been and continues to be controversial. Historians argue that by the summer of 1945, Japan was on the verge of collapse, and the continued air attacks would have led to surrender. Some claim that the real reason the bombs were used was as a show of American strength for the Soviet Union, a theory that would make Hiroshima the first salvo of the Cold War, the icy U.S.?Soviet rivalry that followed World War II. Others maintain that racism was a factor, insisting that the bomb would never have been used against Germany, for example. Scientists who worked on the Manhattan Project wanted, in fact, to demonstrate the destructive force of the bomb for the Japanese military in one more test, hoping that witnessing the power the United States could unleash would cause Japan to surrender. In the end, however, the fact remains that Japan refused to surrender. Faced with the possible loss of tens of thousands of American troops in an invasion, Truman and his military advisors were determined to use every weapon available. Truman noted that the bomb ended the war quickly and that in so doing, it saved not only American lives but Japanese as well.
Read more:
http://www.cliffsnotes.com/study_guide/Toward-Final-Victory.topicArticleId-25238,articleId-25217.html#ixzz0ejHQMWCh

別の有名なスタディーガイド、SparkNotesより原爆投下に関する記述

 トルーマンの決断 (要約)
 日本はすでに降服寸前の状態にあり、原爆は過度であり不当とする見解を紹介したうえで以下のものを上げる。
 原爆投下以外の手段ではアメリカ・日本両者の犠牲が計り知れない数になること。原爆投下より上陸作戦の方が日本側の犠牲者のがはるかに大きくなるという見解。
 多額の支出を伴ったマンハッタン計画に対する政治的圧力のため兵器としての有用性を証明する必要性に迫られたという見解。ソ連に対する力の誇示のだった可能性の指摘。
 最後に、当時新兵器であった原爆の使用がもたらす効果が不明であり、使用に際するタブーが存在しなかったこと。
 現在の核兵器と比べ威力が弱いことを指摘。
http://www.sparknotes.com/history/european/ww2/section15.rhtml

<太田>

 詳細なお答え、ありがとうございました。
 当然のことですが、米国の教科書の記述は、犠牲者数・・投下当日の死者しかカウントしていない・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E7%88%86%E6%AD%BB%E6%B2%A1%E8%80%85%E6%85%B0%E9%9C%8A%E7%A2%91
http://www.bunsugi.ed.jp/nagasaki/j3121/nagasaki.htm
を除き、現在の日本人一般の認識とおおむね一致していますね。
 この認識を改めさせるためには、まず日本人の側が認識を改める必要があります。
 
<Chase>

≫ところで、次著の前書きと後書きはともかくとして、私が補わなきゃならない欠缺部分、後どんなところがありましたっけ?≪(コラム。太田)

 不足かと思われる目次の項目ですが(コラム中の文章量が他の目次項目にくらべて)、関係すると思われるコラムを如何に記します。
 (なお、中国共産党論 → #0567<中国共産党と支那社会(その1)>シリーズで、ベトナム戦争 → #1536<日本・米国・戦争(その1)>シリーズで文章量は十分かと思われます)

 ちゃんと採集できていないコラムもあるかと思いますので、今後、精査していきます。

日露戦争 → #1633(2007.1.23)<バグってハニー通信3:日露戦争から日米戦争まで>
日本の支那への介入(21箇条要求) → #713(2005.5.5)<日中対話用メモ(その5)>,#0230<孫文(その3)>
対支戦争
 中国国民党論* → #2100(2007.10.2)<朝鮮戦争をめぐって(その6)>
 中国共産党論* → #0567<中国共産党と支那社会(その1)>〜
ベトナム戦争 → #1536<日本・米国・戦争(その1)>〜
 ロシア圏からの支那の離脱 → #2900<19世紀末以降の日本史をどう見るか>
毛沢東による支那国民虐殺も米国に責任 → *#915<ガーディアンの靖国神社ブログ(その1)>

<太田>

 さっそくありがとうございました。
 べじたんさん、補足することがあればよろしく。

 戦前日本民主主義論も盛り込む予定だったと思いますが、大政翼賛選挙無効判決や東條首相の国会答弁低姿勢ぶりの話も入れましょうね。
 原爆投下の話もどこかに入れ込んでください。

<NM>

 はじめまして、貴コラムを拝見しまして小生初めて「腑に落ちる」識者様に出会ったと感じた次第です。
 
 ところでハイチ問題、シナは地震発生からわずか2日後には「国際救援隊」を派遣しています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100115-00000030-scn-cn

 その後も中国国際救援隊は救助作業を続け2500人の患者を治療したとのこと。
http://japanese.cri.cn/881/2010/01/22/145s153583.htm

 中華系メディアでしか確認はできないことですが、確実に現地でのシナの評価は上がっていることでしょう。
 その所為に「シナがタダで人道的行動を起こすはずがない」と思い、逆に米国が警戒心を抱いたような気がします。
 米国はピッグス湾事件など裏庭たる(本土防衛に最重要な)西インド諸島に踏み込む者には容赦をしない傾向がある気がします。
 従いまして、今般のダライラマ会談問題、台湾武器輸出などの一見唐突な米中対立はハイチ地震に端を発した「シナに野心あり」と断じた勇み足ではないかと小生は妄想している次第であります。
 珍論なのは百も承知でございますが(全くオリジナルの発想です)、軽挙妄動にてメールをしたためましたためご返答の程は期待しておりませんがよろしくお願いします。

<太田>

 「中国はハイチ救援してる場合か--自国こそ「緊急援助」、豪雪と寒波で明らかになった脆弱なインフラ」というタイトルの記事が日経ビジネス電子版に出た
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100125/212430/
ような状況下で、中共は、ハイチへの大々的支援に踏み切ったわけです。

 一つには、ハイチは中共ではなく、台湾と国交を結んでいるので
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2010/01/29/2003464672
(今回の大地震で倒壊した在ハイチ台湾大使館の写真が載ってます↑)、ハイチに中共へ乗り換えてもらう狙いがあったのでしょうね。

 しかし、米国政府としては、ご指摘の点に加え、台湾の外交的完全孤立化は避けたいでしょうから、二重の意味で今回の中共の動きを不快に思っているに相違ありません。
 とまれ、英エコノミスト誌も対中決起を呼びかけたようです。
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2010/02/07/2003465406

 それでは、その他の記事の紹介です。

 共同・毎日と朝日とで、微妙に世論調査結果が違うね。
 日本国民の皆さん、正念場だよ。↓

 「共同通信社は五、六両日に全国電話世論調査を実施、・・・小沢一郎民主党幹事長の進退について「幹事長を辞めるべきだ」と答えた人が72.7%に上った。「幹事長を続けてよい」は22.8%。起訴された元秘書の衆院議員石川知裕被告に関しては「辞職すべきだ」69.1%、「辞職しなくてよい」21.8%で、「政治とカネ」問題に対する厳しい世論があらためて浮き彫りになった。 
 鳩山内閣の支持率は41.4%で前回調査(一月十七、十八両日)から0.1ポイント減の横ばい。不支持率は1.0ポイント増の45.1%で、前回に引き続き不支持が支持を上回った。・・・
 政党支持率は民主党33.6%で前回調査から1.5ポイント上昇。自民党は0.1ポイント増の22.8%だった。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010020702000079.html
 「・・・小沢氏が幹事長を「辞任すべきだ」との回答は69%で「辞任する必要はない」の28%を大幅に上回った。鳩山内閣の支持率は49%で、前回調査(1月30、31日)の50%からほぼ横ばいだったが、昨年9月の内閣発足後、5割の大台を割ったのは初めて。
 前回調査では、元秘書の石川知裕衆院議員が起訴された場合の小沢氏の進退について質問。小沢氏に対する東京地検特捜部の捜査がどうなるか分からない状況で「辞任すべきだ」が76%に上った。・・・
 政党支持率は民主党が前回比4ポイント増の34%で、政権交代直後(09年9月)の45%から下がり続けていた状況に歯止めがかかった。一方、自民党は2ポイント減の14%。・・・
 参院選が今、行われた場合、比例代表で民主党(候補者を含む)に投票するとの回答は36%(前回比1ポイント増)。自民党は22%(2ポイント増)・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20100207k0000m010080000c.html
 「・・・ 鳩山内閣の支持率は横ばいの44%(前回45%)だったが、不支持率は47%(同42%)に上がった。この結果、政権発足からほぼ5か月で初めて、不支持率が支持率を上回った。・・・
 今夏の参院比例選投票先で、民主27%と自民22%との差が5ポイントにまで縮まったことは、参院での単独過半数を目指す民主党には厳しい結果だ。
 同党の石川知裕衆院議員が逮捕される前の調査(1月8〜10日実施)では、民主は35%で自民の20%に15ポイント差をつけていた。逮捕直後の1月16〜17日に行った前回は民主28%―自民21%と接近し、今回はさらにつまった。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100207-OYT1T00233.htm?from=top
 
 「・・・豪州では特に2008年以降、メルボルンやシドニーなど大都市を中心にインド系住民を狙ったとみられる襲撃事件が続発。メルボルンのあるビクトリア州だけで、08年に1400人余りのインド系住民が何らかの被害を受けたとされる。多くの事件の容疑者は10〜20代の地元の少年で、金を奪って暴力を振るうケースが目立つ。現地では「カレー・バッシング」と呼ばれる。・・・
 インド系住民が襲われる背景には、移民や留学生として急増するインド人の存在感が豪州社会で高まり、若者の間に「就職や高等教育を受ける機会を奪われた」との感情が広がってきたためとの指摘がある。
 豪州で暮らすインド系住民は約24万人(08年)。00年に4400人にすぎなかったインド人留学生は、本国の経済力向上を背景に09年11月現在で12万人に達している。・・・」
http://www.asahi.com/international/update/0207/TKY201002060411.html

 日本の新聞にしては上出来の報道↑と言いたいところですが、欧米のメディアが本件を黙殺しているのは、インド人が話を大げさにしているだけ、という認識からのようです。↓
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2010/02/07/2003465357

 本日のウクライナ大統領選・決選投票の結果がどうなろうと、やはり、ウクライナの東半分を中心とする過半は専制的なロシア文明圏に属する、ということでしょう。↓

 ・・・U.S. financial aid intended to bolster Ukraine's fledgling democracy has fallen sharply in recent years despite Washington's rhetorical support for this former Soviet republic after the Orange Revolution.
The decline reflects what some call "Ukraine fatigue," or growing Western impatience with the political infighting that has paralyzed the Ukrainian government since 2005. But analysts say it also highlights Washington's tendency to focus on elections and breakthroughs like the Orange Revolution instead of the difficult, drawn-out work of building institutions such as independent courts, free media and a vigorous civil society.
 The temptation -- for policymakers as well as activists -- is to label countries such as Ukraine "democratic enough" and move on to the next dictatorship. But many scholars say the United States could have a greater impact by concentrating on shoring up the dozens of weak democracies worldwide that are so troubled by poor governance that they appear to be at risk of backsliding.
 Some say Ukraine, for example, remains vulnerable to an authoritarian comeback similar to the one mounted by Vladimir Putin in Russia. Polls in Ukraine, a nation of 46 million strategically located on the Black Sea between Russia and the West, show deep frustration with democracy, with less than a third of respondents expressing approval of the transition to a multiparty system after the fall of the Soviet Union. ・・・
 ・・・even as the West has cut aid, Russia has been spending more to undermine the Ukrainian government and thwart reforms.・・・
 Deputy Prime Minister Hryhoriy Nemyria said a "real possibility" of European Union membership for Ukraine would have done more to spur reform than any additional aid. He linked the success of democracy in neighboring Eastern European countries to the E.U. accession process.
 "That strong anchor was and is absent for Ukraine," he said. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/02/06/AR2010020602045_pf.html

 産婦人科学の父達と称されてきた18世紀英国の二人の医師は、互いに競うように多数の妊婦を殺害させては解剖し、研究を行ったということのようです。↓

 ・・・the founding fathers of obstetrics・・・William Hunter and William Smellie・・・were between them responsible for the murders of 35-40 pregnant women and their unborn children. Acting separately, and using henchmen to deliver their supply, they organised a killing spree in London between 1749 and 1755 and, after a period of inactivity enforced by mounting suspicion about the source of their corpses, resumed between 1764 and 1774.・・・
http://www.guardian.co.uk/uk/2010/feb/07/british-obstetrics-founders-murders-claim

 若い気持ちは、実際心身ともに若返らせるらしいです。↓

 ・・・by encouraging the men's minds to think younger their bodies followed and actually became "younger・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/8498233.stm

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