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太田述正コラム#3661(2009.11.22)
<皆さんとディスカッション(続x665)>

<FUKO>

 改めて自分の訳文を見直してみると、ひどいですね。
 英語を読むことと、実際に英語を日本語に書き直すことには大きな隔たりがあるように感じます。

 ですが、もしこのレベルの訳文で十分用足りるのなら、英文和訳機として私を使ってくれて構わないです。(ただ、緊急性・専門性が高いものはちょっと無理ですが)

<太田>

 お申し出、感謝します。
 ディスカッションシリーズで私がコピペした記事抜粋のうち、特にあなたが興味深いと思われたものを、(その部分だけ、)気が向かれたら翻訳して私宛お送りいただく、というのはいかがでしょうか。
 その場合、後日のディスカッションシリーズに転載させていただきます。
 ただし、私が手を加える場合もあることをお許しください。

 ところで、コラム#3645で、読者の求めに応じてご披露した、私の英文での19世紀末以来の一口日米関係史観の邦語訳をコラム#3658(未公開)に掲げたのですが、ここに転載しておきます。

 「米国の人種主義的帝国主義者達は、約1000万人の、その多くは民間人であるところの、アジア人(フィリピン人、日本人、朝鮮人/支那人、そしてベトナム人、等々)を虐殺したが、その結果何も得るところがなかった。
 (これと、この人種主義者達が大儲けをしたところの、「合理的で経済的な」インディアンの迫害とアフリカ人の奴隷化とを比較してみよ。)
 この身の毛がよだつような「非合理的でイデオロギー的な」愚行は、それぞれ、ロシアの共産主義者達とナチスによって20世紀になされた愚行と規模及び犯罪性において匹敵するものがある。
 日本を米国との戦争へと追い詰め、ファシストたる中国国民党に協力し、日本を敗北させることによって、彼等は、支那における中国共産党によるそれを含め、アジアにおける共産主義者達による権力奪取を助けた。
 <その結果として、>支那において、中国共産党による、毛沢東の恐怖政治の下での、、数千万人にのぼる悲劇的な死がもたらされた。
 彼等が犯した最大の罪であり、彼等の子孫が永久に贖罪しなければならないものは、上記の戦争末期における、日本の降伏とはおよそ何の関係も有しないところの、(機能する議会と裁判所を持っていた自由民主主義的な日本の)広島と長崎の壊滅だ。
<原文の最後の段落には語順の誤りがったので、直しました。ブログは訂正済みです。>
 自分で書いた英文なのですが、それでも邦訳には結構苦労しました(?!)。

 それでは、記事の紹介です。

 ウソつき首相の鳩山、いいかげん年貢を納めなよ!↓

 「・・・−−首相は辺野古案で年内に結論を出すとの一部報道があるが、そういう方向でよいか
 「・・・まだまだ、そんな状況ではとてもありません。そういう情報が流れると、そのことがまた、交渉というかね、日米の協議に影響を与えますからね。決して好ましくありませんね」 
 ・・・
  −−年内決着に関しても憶測だと
 「そりゃそうです。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091121/plc0911212101012-n2.htm

 ↑年内に現行案で決着させなきゃ、来年早々にも、宗主国サマから首切られて首相の座を逐われ、天下に恥を晒すことになるぜ。

 遅きに失したきらいがあるけど、評価に値する動きです。↓

 ・・・Britain’s opposition Conservatives, tipped to win power in an election next year, said yesterday they would pull the country’s 25,000 troops out of Germany as part of a reorganization of NATO forces.・・・
 If other countries are willing to take up roles in continental defense, that leaves Britain and France able to take on expeditionary roles・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2009/11/22/2003459079

 朝鮮日報の論説委員サン、布施辰治を取り上げるのは大変結構だけど、こんなこと↓書いちゃダメじゃん。

 「・・・53年に他界した布施<辰治>は、その後長い間存在を忘れられていたが、99年に息子の著書『ある弁護士の一生』を発掘した、「歴史教訓実践運動」のチョン・ジュンヨン代表によってスポットが当てられた。そして2004年、韓国政府は建国勲章(愛族章)を追贈した。日本でも伝記の出版や、記念碑の建立など、布施を偲ぶ活動が繰り広げられた。・・・
 布施はユダヤ人を助けたドイツ人オスカー・シンドラーよりも献身的な人物だった。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20091121000045

 ↑『ある弁護士の一生』は、1963年に岩波新書で出ており、日本人も、そしてまた(当時、成人は大部分が日本語が読めた)韓国人も、この本を読んだ人がたくさんいるはずだから、「長い間存在を忘れられていた」やら「99年に息子の著書『ある弁護士の一生』を発掘した」はないでしょう。
 また、「布施はユダヤ人を助けたドイツ人オスカー・シンドラーよりも献身的な人物だった」は、韓国における通念らしきものを記しただけではあるけれど、日本による朝鮮半島統治とユダヤ人ホロコーストとを等値視するものであり、言語道断です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%83%E6%96%BD%E8%BE%B0%E6%B2%BB

 米国で、ローズ奨学生OBがビジネス界に多く就職し出した理由は、ビジネス界で得られる収入が桁外れになったためだそうです。↓

 ・・・For more than a century Rhodes scholars(ローズ奨学生) have left Oxford with virtually any job available to them. For much of this time, they have overwhelmingly chosen paths in scholarship, teaching, writing, medicine, scientific research, law, the military and public service. They have reached the highest levels in virtually all fields.
 In the 1980s, however, the pattern of career choices began to change.・・・
 Only three American Rhodes scholars in the 1970s (out of 320) went directly into business from Oxford; by the late 1980s the number grew to that many in a year. Recently, more than twice as many went into business in just one year than did in the entire 1970s. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/20/AR2009112003374_pf.html

 ↑日本では、成績優秀者達がmilitaryの分野に全くと言っていいほど就職せず、また、就中狭義の理科系以外の成績優秀者達が、scholarship, teaching, writing、そしてscientific researchの分野に余り就職しない、というそれ以前の目も当てられない状況ですが・・。

 読者ご待望のウクライナのインフルの記事(コラム#3659)が、日本のじゃないけど、英米の主要紙にデカデカと出たよ!↓

 A flu pandemic in Ukraine that has triggered a nationwide panic is worsening this weekend with up to 400 deaths already reported.
The arrival of the virus, suspected by the World Health Organisation to be swine flu but possibly a combination of the H1N1 strain and a respiratory illness, has paralysed the country's fragile health system and could even lead to the postponement of the general election which is scheduled for 17 January.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2009/nov/22/panic-flu-deaths-ukraine-politicians ・・・As the pandemic H1N1 influenza surges with the onset of winter, the nations of Eastern Europe and the former Soviet Union appear particularly vulnerable to the deadly virus. Burdened with weak health-care systems, relatively inexperienced news media outlets and shaky governments that have little public trust, the region also seems ripe for panic and political strife over the flu. ・・・
 Ukraine's news media -- which gained new freedoms after the Orange Revolution -- have provided round-the-clock, often sensational coverage of the outbreak. The nation's leading politicians, meanwhile, are jockeying for advantage ahead of the January presidential election, accusing one another of exploiting the crisis by doing too much or endangering lives by doing too little. ・・・
 Ukraine has one of the weakest health-care systems in Europe, being a Soviet relic that has barely changed despite 18 years of independence. Medical care is supposed to be free, but quality is poor, with underpaid state doctors surviving by taking bribes and selling unnecessary drugs. Life expectancy is a decade lower than in the European Union. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/20/AR2009112004023_pf.html

 適度の運動を続けると、心理的ストレスを抑制する能力が高まるんだそうです。↓

 ・・・the positive stress of exercise prepares cells and structures and pathways within the brain so that they’re more equipped to handle stress in other forms・・
 The stress-reducing changes wrought by exercise on the brain don’t happen overnight, however・・・
  rats that ran for only three weeks did not show much reduction in stress-induced anxiety, but those that ran for at least six weeks did.・・・
http://well.blogs.nytimes.com/2009/11/18/phys-ed-why-exercise-makes-you-less-anxious/?pagemode=print 

 トルコのイスラム原理主義化を憂う記事がまた出ていました。↓
http://www.nytimes.com/2009/11/22/world/europe/22turkey.html?ref=world&pagewanted=print
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 (昨日からの一人題名のない音楽会のシリーズの続きです。)

2 抑制的愛国主義

 (1)バーリン(Irving Berlin。1888〜1989年)はクラシック系と言うよりは、ポップス系の作曲家(兼作詞家)ですが、バーリンこそ、ガーシュインが「最初の真の米国の音楽曲」と評した
Alexander's Ragtime Band(1911年)
http://www.youtube.com/watch?v=bvXQ6MBh_2s
を作曲した人物ですが、彼は、何と言っても、米国の第二の国歌とも言われるところの、
God Bless America(1918、38年)
http://www.youtube.com/watch?v=6LSarhZpnMs
を作曲した人物として記憶されるべきでしょう。
 Celine Dionの歌唱でお聴き下さい。↑
 特筆すべきことは、彼が、1918年に米陸軍在籍中に戦意を鼓舞する目的でつくったこの曲を、1938年には平和を祈念する曲へと歌詞を変更したことです。
http://en.wikipedia.org/wiki/God_Bless_America
 ま、それでも、神に何度も言及がなされ、選民思想が見え隠れしているところには違和感がありますがね。
 (以上、全般的に、
http://jbuff.com/c080703.htm
http://en.wikipedia.org/wiki/Irving_Berlin
も参照した。)

 (2)コープランド(Aaron Copland。1900〜90年) を、
Fanfare For the Common Man(1942年)
http://www.youtube.com/watch?v=Xzf0rvQa4Mc
の作曲家としてだけ紹介するのは、大変失礼なことなのかもしれませんが、あえてそうさせていただきます。
 ここでも、この戦意高揚のためにオケの演奏会の最初に奏でられるべく発注された曲の
Fanfare for Soldiers, or sailors or airmen
という題名を、コープランド自身が、Fanfare for the Common Manに変更した
http://en.wikipedia.org/wiki/Fanfare_for_the_Common_Man
ところに、在米ユダヤの「抑制的」愛国主義ぶりがうかがえるのではないでしょうか。

3 補足

 米国のポップス系のアーチストには、ユダヤ人がきら星の如く並んでいます。
 日本人なら誰でも知っている人だけでも、バカラック(Burt Bacharach。1928年〜)、ディラン(Bob Dylan。1941年〜)(コラム#3631)、セダカ(Neil Sedaka。1939年〜)、サイモン&ガーファンクル((Paul)Simon and (Art)Garfunkel。1941年〜、1941年〜)らがいますが、この4人(グループ)それぞれの、懐かしい代表曲を1曲ずつ紹介しておきましょう。

Raindrops Keep Falling On My Head
http://www.youtube.com/watch?v=FRsXHDYXafM
Blowing in the wind
http://www.youtube.com/watch?v=uoa_fdE7Llk
OH! CAROL
http://www.youtube.com/watch?v=Ux49UBie-w8&feature=related
Sound Of Silence
http://www.youtube.com/watch?v=eZGWQauQOAQ

4 終わりに

 在米ユダヤ人中のクラシック系の最良の作曲家達は、米国においてユダヤ人が長く差別の対象となったこともあり、恵まれない層に共感を寄せるとともに、保険をかける意味で愛国主義にコミットはするけれど、あくまで抑制的に愛国主義に関わろうとしてきたことがうかがえます。
 こうして、彼等は、文字通り、米国の音楽をつくりあげたのです。

 (ユダヤ系米国人である、ハンナ・アーレント(コラム#3617)やアイン・ランド(コラム#3632、3634、3636。いずれも未公開)のような、ユダヤ人中の「最良」の思想家、哲学者が米国に過剰適応したのと比較して、色々考えさせられるものがあります。)
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太田述正コラム#3662(2009.11.22)
<再び人間主義について(その1)>

→非公開

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