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太田述正コラム#3166(2009.3.21)
<ナルシストが世界不況をもたらした?(その2)>(2009.4.29公開)

 ・・・子供にまとわりつき(hovering)、子供に入れ込む(boosterish)親達がその子供のあらゆる衝動を満足させようとすると、どんどんナルシスト的におかしくなった人々を造りだしてしまう。
 幸いなことに、この種の親に養育された人すべてがNPDを持つようになるわけではないことから、NPDには遺伝的な感受性も関わっていることが分かる。
 ・・・フラストレーションに陥りやすく、かつ強い攻撃的衝動を持っているところの、超繊細な赤ん坊達がNPD持ちになりやすいのだ。・・・
 共感能力の完全な欠如がNPDの特徴だ。
 自分が人々に受け容れられない形の言動を行った時に感じる痛みの感覚が恥だが、恥はもう一つの不可欠な感情であるところ、これもまた、NPDを持った人にはほとんど欠如している。・・・
 ナルシストの感情は、5歳の頃の発達段階で止まってしまっている。
 5歳の頃に子供達は、彼らの気持ちは他の人々や出来事の単なる結果ではなく、自分自身の内に起こるものであって、彼らはそれらについてコントロール出来ることに気付き出す。
 しかしこのようなことがナルシストには起こらない。彼らは自分の内なる状態が外的原因によって引き起こされたと思い続ける。
 ナルシスト達は自分自身の感情をコントロールすることができないため、彼らは無意識的に世界は常に自分達に脅威を与えていると思っている。その結果、ほんのちょっとした批判を感じ取ると、説明しがたい憤りと激しい過剰反応をする傾向がある。・・・
 ・・・ナルシスト達は、変化をもたらすカリスマ的な力になりうる。
 彼らの衝動、ビジョン、リスク選好性とともに、容赦なさでさえに入れ込んで、多くの企業はナルシストにその救済を委ねる。
 しかし、ナルシストは危険な存在になりうる。
 というのは、彼らは、成功すればするだけ、それまでに既にふくれあがっていた自己偉大視感(grandiosity)が一層肥大し、成功するに至ったのは通常のルールを無視したおかげだという<誤った>感覚を増幅させてしまうからだ。
 ・・・ナルシストに仕えたり、ナルシストとビジネスを一緒にやっている人々は、法的・倫理的に越えてはならない線を越えさせられてしまわないように注意しなければならない。・・・
 彼らの大胆さが大きな短期的成功に導いたとしても、長期的には破滅をもたらす場合があるのだ。・・・
 ・・・1920年代はナルシスト的時代であって経済的崩壊が大恐慌へと導いたけれど、それは同時に偉大な世代をも生み出した<ことが思い起こされる>。・・・」

 以下は、
http://www.amazon.com/gp/product/product-description/1416575987/ref=dp_proddesc_0?ie=UTF8&n=283155&s=books
による。

 「・・・我々の文化におけるナルシズムの容赦なき増大。
 ナルシストが空前の数に達しただけではない。非ナルシストの人々まで物質的富、見栄え、有名人崇拝、そしていや増す目立つこと志向、によって拐(かどわ)かされるようになった。
 基準が変化し、みかげ石の調理台、マイスペースの飾りだらけの頁、そして美容整形の渦の中にごく普通の人々が吸い込まれていった。
 流行のCD(dance track)は、「カネ、成功、有名、肉体的魅力(glamour)」といった言葉を何度も何度も繰り返し、その他のあらゆるものは「信用をなくすか破壊された」と呼ばわる。・・・ナルシスト的人格性向は、1980年代から現在にかけて、肥満とちょうど同じくらいの速さで増殖した。この変化は、特に女性においてよく見られる。・・・」

→ミクシー等で「活躍」されている日本の女性の方々の中にも耳の痛い人いるんじゃないかな。(太田)

 「2006年までにはナルシスト的性向に係る標準的診断表掲載項目の大部分と合致する大学生が4分の1にも達した。
 この性向の最も甚だしく、かつこの性向の医者により診断されたバージョンであるところの、NPDは、かつて考えられたよりはるかに蔓延していることが分かった。
 20台の米国人の10人に1人近く、そして全年齢では16人に1人がNPDの症候群を経験したことがあるのだ。・・・
 ナルシズムは、肉体的疾病というよりは心理文化的苦難(affliction)と言えるが、・・・疫病として診断、根本原因、症候群、そして予後<に取り組むべきだ。>・・・
 担保付き債務の焦げ付きは2008年の金融危機をもたらしたが、その原因の一つは、ナルシスト的な自宅購入者達が自信過剰で自分達には高すぎる家を買えると思い込み、また、貪欲な貸し手達が他人のカネで大きなリスクを犯したがったことだ。
 多かれ少なかれ、ナルシズムなる疫病に米国人全員が罹ったというわけだ。・・・
 もとより、ナルシズムは耳目をそばだてさせる言葉であることから、軽々に用いることは慎むべきだ。
 我々はNPDに関する研究についても議論しているが、関心を普通の人々の間のナルシスト的性向・・彼らの、医者による診断は必要ないけれど、当人及び他の人々にとって破滅的な行動や態度・・に集中させている。
 この「普通の」ナルシズムの方が潜在的にはより害がある。というのは、それは余りにも蔓延しているからだ。もちろん、我々が議論することは、歴としたNPD持ちの人々にも適用はできる。・・・
 ・・・ナルシスト達は単に自信があるのではなく、自信過剰なのだ。そして、自分を高く評価している大部分の人々とは違って、感情的に密な人間関係にほとんど価値を認めない。
 我々はまた、その他の神話も粉砕する。すなわち、「ナルシスト達は不安に苛まれている」(彼らは通常そうでない)、「今日、成功するためにはナルシスト的でなければならない」(ほとんどの場合、そして長期的には、ナルシスト的であることはむしろ成功阻害要因となる)と。・・・
 我々の回りは、(頭金なしの担保付き債務や借金の山だらけの)インチキ(phony)金持ち、(美容整形と化粧品で化けた)インチキ美人、(筋肉増強剤等を使う)インチキ・スポーツ選手、(バラエティやユーチューブでのし上がった)インチキ有名人、(水増し高得点をもらった)インチキ天才学生、(11兆ドルもの政府債務のある)インチキ国民経済、(自負心を煽り立てる養育や教育を受けたことによる)子供達の間での自分は特別な存在だというインチキ感覚、(SNSの爆発的増殖によって生まれた)インチキ友人、とまあ、インチキだらけだ。
 こういったあらゆる幻想は気持ちいいかもしれないけれど、遺憾ながら、勝利を収めるのは常に現実の方なのだ。
 担保付き債権の焦げ付きとその結果としての金融危機は、膨張した欲望が最後には地上に墜落することを、またもや証明したわけだ。・・・」

3 終わりに

 結論的には、麻生は単なる放蕩ドラ息子がそのまま大きくなっただけであるのに対し、小沢は、仮にNPD持ちとまでは言えないにしても、少なくとも典型的なナルシスト的性向の人間だ、ということになりそうです。
 我々日本人全員が小沢とともに破滅しないためにも、一刻も早く、小沢を民主党代表辞任に追い込む必要があると思います。
 また、それはそれとして、我々自身も、一人一人、自分にナルシスト的性向がないかどうか自省し、あるいは他人に尋ねて、必要に応じ、軌道修正を図る必要がありそうですね。

(完)

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