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太田述正コラム#3042(2009.1.18)
<イスラエルのガザ攻撃(続x13)>(2009.3.2公開)
1 始めに
表記について、現地時間の18日午前2時にイスラエルは一方的停戦に入りましたが、その後も交戦は続いています。
今回はそのあたりの実状についてご説明します。
2 一方的停戦の背景
「・・・イスラエルの停戦の決定は、米国との間で、米国が諜報と装備面でハマスによる、エジプトとの境界でのトンネル経由の武器のガザへの密輸を防止する手助けをするとの合意が成立した後に行われた。
欧州諸国・・・、すなわちドイツ、フランス、英国・・・もイラン等から海上経由で武器が<ガザに>持ち込まれないよう監視する手助けをすると約束した。・・・
この一方的停戦は、明らかに、バラク・オバマが今週大統領に就任する前に戦闘を終了させるという目的をも持って行われたと考えられる。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/17/israel-halts-gaza-assault
(1月18日アクセス。以下同じ。)
「・・・<イスラエルの>国防相のエフード・バラクと外相のティピ・リヴニは、ガザの稠密な都市地区でハマス狩りを行って一般住民に更なる大きな被害を出す危険を冒すより、矛を収めて勝利を宣言した方がよいと<首相の>オルメルトを説得することに成功した。・・・」
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1872459,00.html
「・・・<なお、これまでの>3週間の紛争で、ガザの1,203人が殺害され、5,000人以上が負傷した。そのうちの多くがパレスティナ人たる一般住民であり、・・・410人の子供が亡くなった。
イスラエル側は、10人の兵士と3人の一般住民が亡くなり、200人以上の兵士が負傷した・・・。・・・」
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/meast/01/18/israel.gaza/index.html
3 一方的停戦
「・・・一方的停戦は、オルメルトがイスラエルの安全保障閣議で承認されたと発表した直後の現地時間の午前2時に始まった。・・・
この・・・決定は日没から始まり長時間にわたったテルアビブでの安全保障閣議で承認された。2人の閣僚は反対票を投じ、もう1人は棄権した。・・・
「もしハマスがイスラエルに向けてロケットを発射するのを完全に止めるならば、イスラエルは軍をガザ地峡から撤退させることを考慮するだろう」とオルメルトは宣言した。
もしそうならなかった場合は、「イスラエル軍は我々の市民を守るために作戦を続けるだろう」と彼は続けた。・・・
オルメルトのスポークスマンは、「もし平穏な状況が続けば、食料とか医薬品といった支援物資を大幅に増加させることに何も問題はなくなるだろう。また、もしこの平穏な状況が続けば、我々は国際社会と共に<ガザの>再建のために尽力するだろう」とも語った。
更に彼は、「しかし、<2006年からハマスの捕虜になっているイスラエル軍兵士の>ギラド・シャリット(Gilad Shalit)が解放されない限り、関門の完全開放などおよそ考えられないことだ・・・」と付け加えた。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1056246.html
4 最大の鍵を握るエジプト
「・・・16日・・・にコンドリーサ・ライス米国務長官とティピ・リヴニ・イスラエル外相との間で調印された合意覚書は実質何の効力もない。
国際諸団体が武器密輸に対して行動すると言及されているが、阻止するとは考えられないからだ。
そもそも例えば、この覚書で言及されているNATOの事務局長・・・は、約一ヶ月前に私<(記者)>に対して、NATOの部隊が中東に配備されることはないだろうと述べているところだ。
しかも、2006年以来レバノンに駐留している国連監視団は、ヒズボラへの武器密輸の若干を防止しているだけであり、イスラエルの諜報によれば、ヒズボラは2006年当時よりも武器を沢山保有するに至っている。
パレスティナ当局やハマスと調印したいかなる合意もまた、実際の効果をもたらすことはない。意味を有するのはエジプトの行動だけなのだ。
イスラエルがガザ地峡を離れ、エジプト軍がガザとの境界に駐留するようになって以来、エジプトの武器密輸防止努力はイスラエルの保安当局から厳しく批判されてきた。
同保安当局によれば、エジプトは意図的にこの任務をおざなりにやっているというのだ。
ムバラクは、ハマスと対決することを絶対に避けようと思っている。そんなことをすれば、同国のイスラム教野党であるところのイスラム同朋会の支持者達の憤激を呼び起こすからだ。・・・」
http://roomfordebate.blogs.nytimes.com/2009/01/16/it-all-depends-on-egypt/?pagemode=print
5 停戦に応じないハマス
「・・・<ところが、ハマスにより、>カッサム(Qassam)ロケットが<イスラエル領内に現地時間の>午前9時に撃ち込まれた。これは停戦に入ってから7時間後のことだった。
誰もケガはしなかったが、イスラエルの航空機はこのロケット発射基をその直後に破壊した・・・。
また、北部ガザでパレスティナ人の射手がイスラエル軍に発砲したため、銃撃戦となった。・・・
この18日のロケット攻撃が行われる前から、パレスティナ人達は、停戦声明に対してこれを悲観的に受け止めていた<が、その通りの結果になったわけだ>。・・・」
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/meast/01/18/israel.gaza/index.html上掲
「<停戦に入ってから、>イスラエル軍は、ガザ地峡で18日、1人のパレスティナ人を殺害した・・・。
このパレスティナ人は、戦闘員達が、イスラエルの一方的停戦を無視して迫撃砲を撃ち込んだ際、殺害されたものだ。・・・
・・・イスラエル軍部隊はこの射手集団に反撃して銃撃するとともに、火砲を撃ちかけ、航空機で爆撃したのだ。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1056445.html
6 感想
ハマスも往生際が悪いですね。
現状のままでは、ガザのハマスは武器弾薬を外から補給することが全くできないのですから、早晩ロケットも弾薬も尽きることは必至です。
ほうっておいても、今次ミニ戦争は次第に終結に至ることでしょう。
<イスラエルのガザ攻撃(続x13)>(2009.3.2公開)
1 始めに
表記について、現地時間の18日午前2時にイスラエルは一方的停戦に入りましたが、その後も交戦は続いています。
今回はそのあたりの実状についてご説明します。
2 一方的停戦の背景
「・・・イスラエルの停戦の決定は、米国との間で、米国が諜報と装備面でハマスによる、エジプトとの境界でのトンネル経由の武器のガザへの密輸を防止する手助けをするとの合意が成立した後に行われた。
欧州諸国・・・、すなわちドイツ、フランス、英国・・・もイラン等から海上経由で武器が<ガザに>持ち込まれないよう監視する手助けをすると約束した。・・・
この一方的停戦は、明らかに、バラク・オバマが今週大統領に就任する前に戦闘を終了させるという目的をも持って行われたと考えられる。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/17/israel-halts-gaza-assault
(1月18日アクセス。以下同じ。)
「・・・<イスラエルの>国防相のエフード・バラクと外相のティピ・リヴニは、ガザの稠密な都市地区でハマス狩りを行って一般住民に更なる大きな被害を出す危険を冒すより、矛を収めて勝利を宣言した方がよいと<首相の>オルメルトを説得することに成功した。・・・」
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1872459,00.html
「・・・<なお、これまでの>3週間の紛争で、ガザの1,203人が殺害され、5,000人以上が負傷した。そのうちの多くがパレスティナ人たる一般住民であり、・・・410人の子供が亡くなった。
イスラエル側は、10人の兵士と3人の一般住民が亡くなり、200人以上の兵士が負傷した・・・。・・・」
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/meast/01/18/israel.gaza/index.html
3 一方的停戦
「・・・一方的停戦は、オルメルトがイスラエルの安全保障閣議で承認されたと発表した直後の現地時間の午前2時に始まった。・・・
この・・・決定は日没から始まり長時間にわたったテルアビブでの安全保障閣議で承認された。2人の閣僚は反対票を投じ、もう1人は棄権した。・・・
「もしハマスがイスラエルに向けてロケットを発射するのを完全に止めるならば、イスラエルは軍をガザ地峡から撤退させることを考慮するだろう」とオルメルトは宣言した。
もしそうならなかった場合は、「イスラエル軍は我々の市民を守るために作戦を続けるだろう」と彼は続けた。・・・
オルメルトのスポークスマンは、「もし平穏な状況が続けば、食料とか医薬品といった支援物資を大幅に増加させることに何も問題はなくなるだろう。また、もしこの平穏な状況が続けば、我々は国際社会と共に<ガザの>再建のために尽力するだろう」とも語った。
更に彼は、「しかし、<2006年からハマスの捕虜になっているイスラエル軍兵士の>ギラド・シャリット(Gilad Shalit)が解放されない限り、関門の完全開放などおよそ考えられないことだ・・・」と付け加えた。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1056246.html
4 最大の鍵を握るエジプト
「・・・16日・・・にコンドリーサ・ライス米国務長官とティピ・リヴニ・イスラエル外相との間で調印された合意覚書は実質何の効力もない。
国際諸団体が武器密輸に対して行動すると言及されているが、阻止するとは考えられないからだ。
そもそも例えば、この覚書で言及されているNATOの事務局長・・・は、約一ヶ月前に私<(記者)>に対して、NATOの部隊が中東に配備されることはないだろうと述べているところだ。
しかも、2006年以来レバノンに駐留している国連監視団は、ヒズボラへの武器密輸の若干を防止しているだけであり、イスラエルの諜報によれば、ヒズボラは2006年当時よりも武器を沢山保有するに至っている。
パレスティナ当局やハマスと調印したいかなる合意もまた、実際の効果をもたらすことはない。意味を有するのはエジプトの行動だけなのだ。
イスラエルがガザ地峡を離れ、エジプト軍がガザとの境界に駐留するようになって以来、エジプトの武器密輸防止努力はイスラエルの保安当局から厳しく批判されてきた。
同保安当局によれば、エジプトは意図的にこの任務をおざなりにやっているというのだ。
ムバラクは、ハマスと対決することを絶対に避けようと思っている。そんなことをすれば、同国のイスラム教野党であるところのイスラム同朋会の支持者達の憤激を呼び起こすからだ。・・・」
http://roomfordebate.blogs.nytimes.com/2009/01/16/it-all-depends-on-egypt/?pagemode=print
5 停戦に応じないハマス
「・・・<ところが、ハマスにより、>カッサム(Qassam)ロケットが<イスラエル領内に現地時間の>午前9時に撃ち込まれた。これは停戦に入ってから7時間後のことだった。
誰もケガはしなかったが、イスラエルの航空機はこのロケット発射基をその直後に破壊した・・・。
また、北部ガザでパレスティナ人の射手がイスラエル軍に発砲したため、銃撃戦となった。・・・
この18日のロケット攻撃が行われる前から、パレスティナ人達は、停戦声明に対してこれを悲観的に受け止めていた<が、その通りの結果になったわけだ>。・・・」
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/meast/01/18/israel.gaza/index.html上掲
「<停戦に入ってから、>イスラエル軍は、ガザ地峡で18日、1人のパレスティナ人を殺害した・・・。
このパレスティナ人は、戦闘員達が、イスラエルの一方的停戦を無視して迫撃砲を撃ち込んだ際、殺害されたものだ。・・・
・・・イスラエル軍部隊はこの射手集団に反撃して銃撃するとともに、火砲を撃ちかけ、航空機で爆撃したのだ。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1056445.html
6 感想
ハマスも往生際が悪いですね。
現状のままでは、ガザのハマスは武器弾薬を外から補給することが全くできないのですから、早晩ロケットも弾薬も尽きることは必至です。
ほうっておいても、今次ミニ戦争は次第に終結に至ることでしょう。
太田述正ブログは移転しました 。
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