太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/

太田述正コラム#2993(2008.12.24)
<文化放送出演/「桜」出演>(2009.2.4公開)

1 始めに

 文化放送に出演し、引き続き「桜」TVの収録に出演しました。
 今回はそのご報告です。

2 文化放送

 (1)準備の続き

<○○>(昨夜の0028)

 返信が大変遅くなりまして申し訳ありません。
 ・・・
 明日は、14時に浜松町・文化放送にお越し頂ければ幸いです。
 受付にて、「大竹まことゴールデンラジオの出演者」と伝えていただき、その後、9階のスタジオにお越しください。
 ・・・
 フリップの件、ありがとうございます。
 また、御著書「実名告発防衛省」拝読させて頂きました。
 番組としてやはりお聞きしたいのは、
 「官僚はどれくらい腐敗しているのか」→口利き・癒着・天下り・・・
 「なぜ、実名で告発しようと思ったのか」
の2点がメインになると思われます。
(しゃべり手の大竹がどこに興味を持つのかによって変わってきますが)

 もちろん、太田さまのご意見であります「憲法9条第2項の削除」「アメリカの属国からの脱却」は「政官癒着構造の根本的理由はなんですか?」という質問に対してお答え頂ければと思いますが、およそ15分と言う限られた時間であり、また映像などの補足情報ができないラジオというメディアであること、などの理由から、憲法9条の改正がどうして「政官癒着構造」につながるのかと言う部分が説明不足になってしまう可能性が高いと考えています。

 詳しくは明日ご相談させて頂きますが、フリップ1枚目「吉田ドクトリンをずっと守った事が問題」、フリップ2枚目「憲法第9条第2項の削除が望ましい」という2点だけに集中してお話して頂く時間は、生放送という限られた時間ですので、難しいかと思われます。

 大切なお話であることは重々承知の上で、失礼を申し上げますが、ラジオのメインリスナーであります「商店街のおばちゃん」や「トラックドライバー」といった方にもわかりやすく手短にお話して頂ければ幸いです。
 ・・・

<太田>(本日朝0628に○○さん作成の台本届く。以下は、0752の私の返信。)

台本を手直しさせていただきました。
ご参考まで。

         太田述正

(太田注:○は原案でOK、△はやや不満あり。Xはダメ。→以下は私の代替案。)

        記

水谷  「大竹まことのゴールデンラジオ」。
続いては、「大竹メインディッシュ」です。
こちらは、ポッドキャスティングでも配信していますので、ぜひチェックしてください。

本日のお客様のプロフィールをご紹介します。
1949年、三重県のお生まれです。
1971年に東京大学を卒業後、防衛庁に入庁。守屋武昌(もりやたけまさ)前事務次官と同期でいらっしゃいました。

その後、官房審議官を経て、仙台防衛施設局長を最後に、防衛庁に失望し、自ら退職。
昨年、自民党の額賀福志郎(ぬかがふくしろう)議員が、内閣官房副長官時代に特定の建設会社を指名業者として入れるように防衛庁に口利きをしたことを当時の日記と共に公表。
さらに、今年10月には官僚・政治家と、民間企業の癒着を書いた本「実名告発防衛省」を出版されました、太田(おおた)述正(のぶまさ)さんです。

 ・・・

水谷 太田さん、今日はよろしくお願いします。

太田 (挨拶をお願いします)


防衛庁の中から見たひどい有様

大竹 太田さんは防衛庁のキャリアとして、官僚や政治家の裏の顔をご覧になっ
ていますが・・・

Q.民間企業との癒着はかなりひどいものだったそうですね?

▼天下りを受け入れている企業は優先的に指名されていた。
▼もしくは、政治家が「あの企業をよろしく」といった、いわゆる口利きも横行していた。○

Q.そのような癒着で、税金が無駄に使われていたそうですね?

▼民間企業なら笑ってしまうような額が水増し請求されていたことも。○
▼値下げしようとすると、上から圧力がかかることも。○

Q.情報管理能力も、信じられないほど低いとか?

▼度重なる情報漏えい事件が多発している。○
▼有事が起きたことがないため、「機密の大切さ」が抜けている。△

→自衛隊が戦うことがありえないため、情報の扱い方を知らない。

Q.パワーハラスメントも横行しているとか?

▼「苦情申し立て制度」があり、その制度を使って上司に講義した自衛隊員が、なんと懲戒免職処分にされてしまったことも。△

→田母神さんとともに、航空自衛官が大勢懸賞論文に応募したのも、結果的にはパワハラ。

Q.アメリカに対してはとにかく及び腰に見えますが?

▼とにかく事なかれ主義で、アメリカにも国民にも政治家にもいい顔をしようとする。×
▼それが原因で、逆にアメリカから信頼をうしなったこともある。×

→日本は自ら米国の属国になってしまっている。そんな日本を米国は信頼していない。しかも、日本は、宗主国たる米国の要求を、毎度ウソついてまで値切ろうとしてきた。

山田洋行事件の根本

大竹 昨年末、商社「山田洋行」の元専務から夫婦で接待を受けたとして、収賄容疑で逮捕された守屋武昌(もりやたけまさ)前防衛次官と防衛庁で同期だったそうですね。

Q.守屋・前防衛次官は、この逮捕の前に、人事を巡って大臣とトラブルを起こしているとか?

▼守屋は2003年に事務次官に就任。4年を超える、異例の在任期間の長さだった。△
▼そこで、当時の小池百合子防衛大臣は守屋の退任を決意。△
▼それに反発して、守屋は数々の政治家に退任撤回を根回し。△
▼結局、退任することになったが、一人の官僚が人事に関して上司である大臣に猛反発すると言う、普通の企業では考えられないことが起きた。△

→守屋とか田母神さんとか、とにかく、変な最高幹部が続出するのが防衛省。

Q.そして、守屋・前防衛次官は収賄容疑で逮捕されるわけですが、

  一番の問題は、そんな接待ではないと太田さんはおっしゃっているそうですね?

▼一番の問題は、山田洋行は防衛庁OBを10人も抱えた巨大天下り先だということ。△

→一番の問題は、山田洋行は防衛庁OBを10人以上も抱えた天下り先だったということ。

▼これまでの天下りの人物に渡した給料などを考えると、森屋への接待など山田洋行にとっては安いものだった。○

+しかし、山田洋行への天下りなど、防衛庁の天下りシステムのほんの一部。この天下りシステムの、いわばみかじめ料を有形無形の政治資金の形で、政治家が企業から受け取っている。一番悪いのは政治家。

Q.しかし、検察は「収賄容疑」しか問題にしませんでしたね。それはなぜでしょうか?

▼検察庁といっても、お役所のひとつ。天下りをしているのは検察庁も同じこと。○
▼だから、そこまで強く言えるわけがない。△

Q.最近では、この事件のことが取り上げられることもほとんどなくなりましたね?

▼あくまでも「収賄容疑」でけじめをつけらせることによって、天下りの事実には注目を集めさせたくなかった。だからこそ、守屋が妻と共に逮捕されて一応の決着をつけることとなった。○

防衛庁がここまで腐敗した理由

大竹 太田さんのお話を聞くと、いかに防衛庁が腐敗してしまっているのかがわかりますが・・・

Q.なぜ、ここまで防衛庁は腐敗してしまったんでしょうか?

▼さかのぼれば、吉田茂首相時代に生まれた安全保障政策(吉田ドクトリン)を自民党が堅持して、自らの手による安全保障を放棄してしまっているから。△

→さかのぼれば、吉田茂首相時代に生まれた安全保障政策(吉田ドクトリン)を自民党が堅持して、自らの手による安全保障を放棄してしまい、米国の属国に成り下がっているから。

+そもそも社会保障は、治安対策、ひいては安全保障の観点から整備されてきた。年金制度も先の大戦が始まった次の年に導入された。食糧管理だって導入されたのは同じ年だ。今官僚の不祥事として問題になったことの大部分は、かつて安全保障の観点から導入されたもの。その原点を忘れたことが各省庁の腐敗の根本原因だ。

▼防衛庁として莫大な予算がついているにも関わらず、「戦うことができない」。つまり、活動の場がない自衛隊なので、無駄なお金がどんどん使われてしまう。△

→防衛庁の場合で言えば、<以下同じ>

Q.改めて、官民癒着構造を破壊するにはどうしたらいいんでしょうか?×

→改めて、政官業癒着構造を破壊するにはどうしたらいいんでしょうか?

▼まずは、ここまで官僚のシステムを作った自民党一党政治を止めさせること。△

→まずは、政官業癒着構造の中核である自民党の一党政治を止めさせること。そ
うすれば、腐敗を一定レベル以下に抑えることができるようになる。

▼憲法第9条を改正して、「自衛隊」を本当に使い道のある組織にすること。 △

→しかし、腐敗の根を絶つためには、少なくとも集団的自衛権を行使できるようにすることで、日本を米国から独立させ、日本が自分の安全保障を自分で決めることができるようにする必要がある。

Q.なぜ、自衛隊を認めることが官民癒着構造の破壊になるんですか?×

▼本当に国を防衛するためならば、限りある予算をちゃんと運営しようとする。
▼そうすれば、わざわざ兵器を高いお金で買ったり・・・ということがなくなる。×

告知

水谷 ということで、そろそろお別れのお時間ですが・・・

■今日のお話のさらに詳しいことは、太田さんの著書「実名告発防衛省」をご覧
下さい。

※株式会社「金曜日」から1680円。△

水谷 今日はありがとうございました。本日のゲストは、元・防衛庁キャリアの太田述正さんでした。

 (2)出演

 大竹まこと氏とのやりとりは、むろん台本通りに進行したわけではありませんが、むしろ、私の言いたいことを中心に話は展開し、大いに盛り上がりました。
 十分言いたいことが言えたと思います。
 ポッドキャスティングでも配信するということのようなので、本番を聞き漏らした方も、ご関心あらば、そちら等でお聞きください。
 感想もぜひお寄せください。

3 「桜」TV

 どっと疲れが出てきたので、簡単にしますが、MS、USご両名と一緒に作成したフリップが大変好評で、収録後、複数の出演者から、念入りな準備をしていただいてありがとうございます、と御礼を言われました。
 特に、佐藤さん(元空自)は、「自分も使わせてもらいます」、「自分が防衛庁にいた時に、一緒に仕事をしたかった」とおっしゃっていました。
 (フリップは、中共の「脅威」に関する一枚を除き、全部(八枚)使用しました。)
 改めて、MS、USご両名に感謝申し上げます。
 なお、収録したものは、明日と明後日、二時間半分が二回に分けられてスカイパーフェクトで放送されますが、最後の30分分は、so-netだけで放送されます。(というか、オンデマンドで視聴することができます。)
 更に、ユーチューブでも流されると思うので、視聴された方は、感想をお寄せいただければ幸いです。

太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/