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太田述正コラム#2820(2008.9.29)
<オバマとマケインの初討論(続)>(2008.11.17公開)

1 始めに

 表記について、もう少し続けましょう。

2 オバマとマケインのどちらが討論に勝ったか

 (1)プロの意見

 産経新聞は、マケイン勝利を宣言しました。

 「・・・<マケイン氏が>「オバマ氏は戦略と戦術の違いを理解していない」と指摘したのは説得力があった。
  今回の討論は、全般的に過去の経験や教訓を生かして攻勢に出たマケイン氏に対し、若いオバマ氏は守勢に回った観が強かった。ロシア・グルジア紛争への対応や、イランやベネズエラ指導者との前提条件なしの対話の是非などについても、マケイン氏はオバマ氏を「ナイーブ(未熟)」「わかっていない」と繰り返し、 オバマ氏は弁明に追われた。・・・」(
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080928/amr0809280248000-n1.htm
。9月28日アクセス)

 英米の主要メディアでも、産経と似たような評価をしているところが少なくありません。
 例えば、英BBCです。

 「私は二人の候補者は、経済問題ではおおむね引き分けであったと言いたい。
 しかし、討論の外交政策の部分では、私にはジョン・マケインが明確な勝者となったように思えた。ただし、個別の問題では、たとえばイラク問題のように、民主党の候補者ががんばり通したものがあった。」(
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7639102.stm
。9月28日アクセス)

 米スレート誌のように、外交・安保に関し、両者は互角であったとしている米国メディアもないわけではありませんが・・・(
http://www.slate.com/id/2200924/pagenum/all/#page_start
。9月28日アクセス)。

 全体としても、ニューヨークタイムスの、「オバマはマケインにへりくだってしまって冴えなかった。というか、マケインはオバマにへりくだらせるという、今までに見られないような冴えを見せた。」(
http://www.nytimes.com/2008/09/28/opinion/28dowd.html?ref=opinion&pagewanted=print
。9月29日アクセス)のように、どちらかというとマケインに軍配を上げる英米主要メディアが少なくないのです。

 (2)米大衆の意見

 しかし、米大衆は、プロとは違ってオバマに軍配を上げているようです。
 前回、討論直後の世論調査の結果をご紹介しましたが、討論後3日間にわたって行われたLos Angeles Times/Bloomberg surveyの結果は次のとおりです。
 この世論調査は、討論を視聴した登録有権者500人弱を対象に行われたのですが、オバマに好感を持っている人が49%、マケインに好感を持っている人は44%でした。
 その1週間前に行われた同じ世論調査では、オバマ48%、マケイン45%でしたから、心持ち両者の差が開いたことになります。
 また、オバマがより大統領らしく見えたとする人が46%であるのに対し、マケインがそうだとする人は33%に過ぎません。
 これまで支持を決しかねていた人の間では、なんとオバマがより大統領らしく見えたとする人が44%であるのに対し、マケインがそうだとする人はわずか16%にとどまりました。
 (以上、
http://www.latimes.com/news/politics/la-na-poll29-2008sep29,0,7271256,print.story
(9月29日アクセス)による。)

3 意外に賢明な大衆

 ニューヨークタイムスがリベラル中のリベラルな新聞だという点を割り引くとしても、マケインが経済が全くと言っていいほど分かっていない、との同紙の指摘(
http://www.nytimes.com/2008/09/28/opinion/28rich.html?ref=opinion&pagewanted=print
。9月29日アクセス)は、そのとおりですし、マケインがやたら軍事オプションを振り回しそうなアブナイ人物であるとの同紙の指摘(
http://www.nytimes.com/2008/09/28/opinion/28kristof.html?ref=opinion&pagewanted=print
。9月29日アクセス)もまた、あたらずといえども遠からずです。
 どうやら、大衆にもこのあたりのことは結構よく分かっていて、彼らはオバマとマケインの討論のパーフォーマンスなんぞには惑わされない、ということではないでしょうか。
 大衆は意外にも賢明である、ということなのでしょう。

4 終わりに

 繰り返します。
 オバマは着実に大統領への道を歩んでいます。

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