太田述正ブログは移転しました 。
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太田述正コラム#2855(2008.10.17)
<皆さんとディスカッション(続x278)>
<海驢>
コラム#2853(および#2854(未公開))における太田さんの「米国が世界の覇権国になれたのは、それが賭博師の国だからだ、というのが私の考えです。」、「その賭博師で成功を収めた個々人が同時に無償の慈善活動や社会活動を担ったことが米国をして覇権国たらしめたのです。」という部分について。
当方、この太田さんのご意見には全面的に同意です。さすが、米国の本質を簡潔にかつ的確に表現されているなぁ、と思いました。
ここで賭博繋がりで、西村眞悟議員のメルマガ最新号では、
「郵政の民営化は、アメリカが張るマネーゲームの賭博場に我が国の郵貯の金を投げ入れることであった。<引用:西村眞悟ホームページ・眞悟の時事通信
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=383>」
というくだりがあり、「もしや、西村議員も太田コラムの愛読者?」と空想してしまいました。
<太田>
名義貸しをした相手に非弁活動をさせ、ピンハネをしてそれが露見したという、ご自身、かなりの賭博師であるとお見受けする西村議員が、賭博師の国米国を語るんじゃ、話ができすぎですね。
「ウォール街の危機は、ウイルスのように世界の経済へと広がり続けている。この危機的状況こそが、われわれ人間が、ことリスク評価となると数学音痴 になってしまうことを雄弁に物語っている。問題を複雑にしたのが、巨大なクモの巣のように張り巡らされた中身の見えない金融取引だった。こうした取引は、 金融システム全体に散らしてリスクを「吸収」するため(そして巨額の取引手数料を得るため)に作られたとされている。こうした形の証券化のおかげで、多くの人が本来なら購入できない家に移り住んだ。「お金がない? ご心配なく、クレジットカードがあります」と。そうして、みなでそろって危機へと突き進んだのだ。」(
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081010/104193/
。10月17日アクセス(以下同じ))という、今回の米国の金融バブルの話を読むと、かつての日本の不動産バブルとはかなり様相が異なる感がありますね。
この記事に、賭博師の代表格の米国人が何名も紹介されているのも面白い。
さて、
「<民主党の>前田<雄吉衆議院議員>・・・は16日午前の愛知県庁での会見後、離党届を提出し受理された。・・・
小沢氏支持の若手議員グループ「一新会」の事務局長だった前田氏に引導を渡したのは、小沢一郎代表だった。・・・
前田氏のマルチ商法問題が大きく報じられたのは13日。マルチ商法業者関連の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」(太田脚注)の議員連盟(すでに解散)には、前田氏のほか藤井裕久最高顧問、山岡賢次国対委員長、石井一副代表ら小沢氏に近い議員が名を連ねていた。・・・
自民党の森雅子参院議員は・・・民主党とマルチ商法業界との関係をただした。
民主党側が激しいヤジを飛ばす中、森氏は民主党が平成16年にマルチ商法業界の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」に計100万円分のパーティー券を購入してもらいながら政治資金収支報告書に記載していなかったことを暴露した。・・・」(
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081017/stt0810170135000-n1.htm)
「民主党国会対策委員長の山岡賢次衆院議員(65)=比例北関東=が当時会長を務めていたマルチ商法業界支援の議員連盟が、同商法への注意を呼びかける広報誌を出した三重県内の社会福祉協議会に・・・業界からの抗議を後押しする内容<の>・・・意見書<と抗議書>・・・を送っていたことがわかった。・・・意見書を出したのは「流通ビジネス推進議員連盟」(当時)(太田脚注)で、抗議書を出したのは「流通ビジネス推進政治連盟(NPU)」。書類はいずれも07年2月28日付のA4判1枚で、国会内の郵便局から別々の封書で発送された。両連盟の抗議の対象となったのは06年10月15日に発行された三重県内の自治体にある社協の広報誌の記事で、抗議書は訂正広告や謝罪などを要求。受け入れない場合は「法的に処断する」などと書いている。
意見書はこの抗議書を踏まえ、「(記事が)業界すべてが悪いとの印象を読者に与えかねない」と指摘。末尾に、山岡、前田、同党の牧義夫(50)=愛知4区=の3衆院議員の名前を連記している。・・・」(
http://www.asahi.com/politics/update/1017/NGY200810160012_01.html)
(太田脚注)2008年、流通ビジネス推進議員連盟は「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」に「流通ビジネス推進政治連盟」は「ネットワークビジネス推進連盟」に改称している(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B2%A1%E8%B3%A2%E6%AC%A1)
以上に登場する議員中、小沢、藤井、石井、山岡各氏は元自民党所属で、前田、牧両氏は一応生粋の非自民ですが、小沢自由党の民主党合流が自民党的な業者との癒着を民主党に持ち込んだと見てよいのではないでしょうか。
まともな業者は政権党たる自民党が囲い込んでいるので、うさんくさい業者に手を出した、という構図ですね。
小沢氏自身も責任は免れない、という印象です。
藤井氏は民主党の最高顧問、石井氏は副代表、山岡氏は国会対策委員長なのですから、ことは深刻です。
選挙への影響は避けられないでしょう。
私が前々から訴えてきたにもかかわらず、小沢氏を民主党代表の座から引きずり下ろすことによって、結果として小沢氏とその一派を党外に放逐することを試みる勇気と気概が民主党の心ある議員達に欠如していたことが悔やまれます。
ただ、マルチ業界関係だけでも、自民党への波及は避けられないようです。
「野田聖子消費者行政担当相は17日午前・・・、無店舗販売大手「日本アムウェイ」から、2002年から今年4月までの間に8枚、計16万円 のパーティー券を購入してもらったことを明らかにした。17日中に全額返却するとし、辞任する考えがないことを重ねて表明した。
野田氏は、電話勧誘の規制を強化する訪問販売法改正案を審議していた1996年4月11日の衆院商工委員会で「連鎖販売取引という形の訪問販売が、現在の消費者のニーズにかなっている」などとマルチ商法などの擁護ともとれる質問をした。
これに関し野田氏は16日の参院予算委員会で、アムウェイ側から説明を受けて質問したことを明らかにし「業界から依頼されたというよりも、どういうところが問題か概略を尋ねた」と強調していた。
野田氏は17日・・・、アムウェイによるパーティー券購入について「国会質問とは全く関係ない」と強調した。」(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008101701000259.html)
こうなったら、マルチ業界関係で小沢一派が自民党の一部とともにダメージを受けること、その一方で民主党が破れかぶれで池田大作氏等を国会に招致し、公明党/創価学会にダメージを与えることを期待しましょう。
もう一点。
「戦後六十余年、日本は、日米同盟を基軸として経済力の増大と国際的地位の向上を図ってきた。
この基本路線は概して大きな成果を収めた。そのためには、しかし、大きな代償も払わねばならなかった。代償とは、他に依存しない自前の国際政治力を養うのを怠ってきたことである。」(
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081017/plc0810170321002-n1.htm)
神谷不二(1927年〜)氏とは、1981年だかに泊まり込みのシンポジウムでご一緒させていただいたことがありますが、神谷さん、高坂正堯(1934〜96年)氏やあなたのような比較的自由な立場の著名な国際政治学者が、「吉田ドクトリンの墨守、すなわち日本の保護国化(属国化)戦略の墨守が必然的に自前の国際政治力の涵養を不可能とし、日本の国際的地位の低下を招いた」とはっきりはっしゃってこなかった責任は重大ですよ。
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太田述正コラム#2856(2008.10.17)
<リューヴェン・ブレナーの歴史観(その1)>
→非公開
<皆さんとディスカッション(続x278)>
<海驢>
コラム#2853(および#2854(未公開))における太田さんの「米国が世界の覇権国になれたのは、それが賭博師の国だからだ、というのが私の考えです。」、「その賭博師で成功を収めた個々人が同時に無償の慈善活動や社会活動を担ったことが米国をして覇権国たらしめたのです。」という部分について。
当方、この太田さんのご意見には全面的に同意です。さすが、米国の本質を簡潔にかつ的確に表現されているなぁ、と思いました。
ここで賭博繋がりで、西村眞悟議員のメルマガ最新号では、
「郵政の民営化は、アメリカが張るマネーゲームの賭博場に我が国の郵貯の金を投げ入れることであった。<引用:西村眞悟ホームページ・眞悟の時事通信
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=383>」
というくだりがあり、「もしや、西村議員も太田コラムの愛読者?」と空想してしまいました。
<太田>
名義貸しをした相手に非弁活動をさせ、ピンハネをしてそれが露見したという、ご自身、かなりの賭博師であるとお見受けする西村議員が、賭博師の国米国を語るんじゃ、話ができすぎですね。
「ウォール街の危機は、ウイルスのように世界の経済へと広がり続けている。この危機的状況こそが、われわれ人間が、ことリスク評価となると数学音痴 になってしまうことを雄弁に物語っている。問題を複雑にしたのが、巨大なクモの巣のように張り巡らされた中身の見えない金融取引だった。こうした取引は、 金融システム全体に散らしてリスクを「吸収」するため(そして巨額の取引手数料を得るため)に作られたとされている。こうした形の証券化のおかげで、多くの人が本来なら購入できない家に移り住んだ。「お金がない? ご心配なく、クレジットカードがあります」と。そうして、みなでそろって危機へと突き進んだのだ。」(
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081010/104193/
。10月17日アクセス(以下同じ))という、今回の米国の金融バブルの話を読むと、かつての日本の不動産バブルとはかなり様相が異なる感がありますね。
この記事に、賭博師の代表格の米国人が何名も紹介されているのも面白い。
さて、
「<民主党の>前田<雄吉衆議院議員>・・・は16日午前の愛知県庁での会見後、離党届を提出し受理された。・・・
小沢氏支持の若手議員グループ「一新会」の事務局長だった前田氏に引導を渡したのは、小沢一郎代表だった。・・・
前田氏のマルチ商法問題が大きく報じられたのは13日。マルチ商法業者関連の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」(太田脚注)の議員連盟(すでに解散)には、前田氏のほか藤井裕久最高顧問、山岡賢次国対委員長、石井一副代表ら小沢氏に近い議員が名を連ねていた。・・・
自民党の森雅子参院議員は・・・民主党とマルチ商法業界との関係をただした。
民主党側が激しいヤジを飛ばす中、森氏は民主党が平成16年にマルチ商法業界の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」に計100万円分のパーティー券を購入してもらいながら政治資金収支報告書に記載していなかったことを暴露した。・・・」(
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081017/stt0810170135000-n1.htm)
「民主党国会対策委員長の山岡賢次衆院議員(65)=比例北関東=が当時会長を務めていたマルチ商法業界支援の議員連盟が、同商法への注意を呼びかける広報誌を出した三重県内の社会福祉協議会に・・・業界からの抗議を後押しする内容<の>・・・意見書<と抗議書>・・・を送っていたことがわかった。・・・意見書を出したのは「流通ビジネス推進議員連盟」(当時)(太田脚注)で、抗議書を出したのは「流通ビジネス推進政治連盟(NPU)」。書類はいずれも07年2月28日付のA4判1枚で、国会内の郵便局から別々の封書で発送された。両連盟の抗議の対象となったのは06年10月15日に発行された三重県内の自治体にある社協の広報誌の記事で、抗議書は訂正広告や謝罪などを要求。受け入れない場合は「法的に処断する」などと書いている。
意見書はこの抗議書を踏まえ、「(記事が)業界すべてが悪いとの印象を読者に与えかねない」と指摘。末尾に、山岡、前田、同党の牧義夫(50)=愛知4区=の3衆院議員の名前を連記している。・・・」(
http://www.asahi.com/politics/update/1017/NGY200810160012_01.html)
(太田脚注)2008年、流通ビジネス推進議員連盟は「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」に「流通ビジネス推進政治連盟」は「ネットワークビジネス推進連盟」に改称している(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B2%A1%E8%B3%A2%E6%AC%A1)
以上に登場する議員中、小沢、藤井、石井、山岡各氏は元自民党所属で、前田、牧両氏は一応生粋の非自民ですが、小沢自由党の民主党合流が自民党的な業者との癒着を民主党に持ち込んだと見てよいのではないでしょうか。
まともな業者は政権党たる自民党が囲い込んでいるので、うさんくさい業者に手を出した、という構図ですね。
小沢氏自身も責任は免れない、という印象です。
藤井氏は民主党の最高顧問、石井氏は副代表、山岡氏は国会対策委員長なのですから、ことは深刻です。
選挙への影響は避けられないでしょう。
私が前々から訴えてきたにもかかわらず、小沢氏を民主党代表の座から引きずり下ろすことによって、結果として小沢氏とその一派を党外に放逐することを試みる勇気と気概が民主党の心ある議員達に欠如していたことが悔やまれます。
ただ、マルチ業界関係だけでも、自民党への波及は避けられないようです。
「野田聖子消費者行政担当相は17日午前・・・、無店舗販売大手「日本アムウェイ」から、2002年から今年4月までの間に8枚、計16万円 のパーティー券を購入してもらったことを明らかにした。17日中に全額返却するとし、辞任する考えがないことを重ねて表明した。
野田氏は、電話勧誘の規制を強化する訪問販売法改正案を審議していた1996年4月11日の衆院商工委員会で「連鎖販売取引という形の訪問販売が、現在の消費者のニーズにかなっている」などとマルチ商法などの擁護ともとれる質問をした。
これに関し野田氏は16日の参院予算委員会で、アムウェイ側から説明を受けて質問したことを明らかにし「業界から依頼されたというよりも、どういうところが問題か概略を尋ねた」と強調していた。
野田氏は17日・・・、アムウェイによるパーティー券購入について「国会質問とは全く関係ない」と強調した。」(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008101701000259.html)
こうなったら、マルチ業界関係で小沢一派が自民党の一部とともにダメージを受けること、その一方で民主党が破れかぶれで池田大作氏等を国会に招致し、公明党/創価学会にダメージを与えることを期待しましょう。
もう一点。
「戦後六十余年、日本は、日米同盟を基軸として経済力の増大と国際的地位の向上を図ってきた。
この基本路線は概して大きな成果を収めた。そのためには、しかし、大きな代償も払わねばならなかった。代償とは、他に依存しない自前の国際政治力を養うのを怠ってきたことである。」(
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081017/plc0810170321002-n1.htm)
神谷不二(1927年〜)氏とは、1981年だかに泊まり込みのシンポジウムでご一緒させていただいたことがありますが、神谷さん、高坂正堯(1934〜96年)氏やあなたのような比較的自由な立場の著名な国際政治学者が、「吉田ドクトリンの墨守、すなわち日本の保護国化(属国化)戦略の墨守が必然的に自前の国際政治力の涵養を不可能とし、日本の国際的地位の低下を招いた」とはっきりはっしゃってこなかった責任は重大ですよ。
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太田述正コラム#2856(2008.10.17)
<リューヴェン・ブレナーの歴史観(その1)>
→非公開
太田述正ブログは移転しました 。
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