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太田述正コラム#2751(2008.8.25)
<グルジアで戦争勃発(その10)>(2008.10.4公開)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<最新状況>
1 ロシア側による鎮魂演奏会
8月21日、ロンドン交響楽団の主任指揮者であるロシア国籍の巨匠指揮者であるヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergie)はオセチア人(北オセチアのウラディカフカス出身)なのですが、南オセチアの「首都」ティンヴァリの、今次グルジア「戦争」冒頭のグルジア軍の攻勢によって破壊された議会の前で、「戦争」の犠牲となった南オセチア人等の鎮魂と救援に駆け付けたロシア軍への感謝のための演奏会を行いました。
彼が指揮したのはサンクトペテルブルグのマリンスキー(Mariinsky)劇場交響楽団であり、演目はショスタコービッチの第7交響曲(レニングラード)でした。
ショスタコービッチはレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)出身であり、この第7交響曲は、ナチスドイツ軍によるレニングラード包囲戦の真最中の1942年に作曲され、演奏されたものです(注)。同じ年にこれに呼応して、大西洋の両岸でヘンリー・ウッド(Henry Wood)とアルテューロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini)が指揮してこの曲が演奏されたものです。
ゲルギエフはプーチンのお友達ですが、これは純粋に彼の愛国心の発露であると考えられています。ちなみにゲルギエフは、ベスランの悲劇(コラム#464〜467、469、474、476、477)の際も、ロンドンで犠牲者のために鎮魂演奏会を行っています。
(以上、特に断っていない限り
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/21/nato.russia
(8月21日アクセス)、及び
http://blogs.guardian.co.uk/music/2008/08/music_as_politics_gergievs_sou.html
(8月24日アクセス)による。)
(注)http://jp.youtube.com/watch?v=RKOZEW9SfdU
で、包囲戦の様子やスターリンの戦意鼓舞演説、更にはショスタコービッチの映像等を背景にこの曲のさわりの部分を聴くことができる。
もっぱら音楽を聴きたい人は、第一楽章は
http://jp.youtube.com/watch?v=mtjAmaG7jjA&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=iAzP54py0qI&feature=related
で、また、(私個人は好きではない)第二楽章は
http://jp.youtube.com/watch?v=_wGs6b7AVHk&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=K9w_ZcJ2t_k&feature=related
で聴くことができる。
なお、この第二楽章の演奏は、ゲルギエフ指揮によるマリンスキー劇場交響楽団とロッテルダム交響楽団の合同演奏だ。
2 ロシア軍のグルジア本体内居座り状況
ロシア軍は、週末にかけて、グルジア内に25の検問所を設けました。
その中には、グルジア本体内のポチ郊外の2か所、首都トビリシと黒海を結ぶ東西幹線道路付近の数か所、トビリシ西方25マイルのシャヴシェビ(Shavsebi)が含まれています。
ロシア政府は、グルジア本体内にロシア軍が平和維持目的で駐留できるのは1990年代初期におけるグルジア内での南オセチアとアブハジアがらみの内戦の後にできた協定に基づくと主張しています。
これに対し、グルジア政府は、これは違法であるとし、今次「戦争」における協定のみが生きており、これまでのあらゆる協定はもはや無効となっている、と主張しています。 米国とフランスも基本的に同じ考えです。
すなわち、今次「戦争」以前に南オセチアとアブハジアに駐留していたロシア軍部隊は駐留を続けることができるし両地域のグルジアとの「国境」からおおむね5マイルまでの「安全地帯」内へ哨戒隊を送り込むこともできるが、「安全地帯」内と言えども、そこに固定的な検問所を設けることは今次協定違反である、というのです。
グルジア政府はまた、起こったばかりの、石油輸送貨物列車の爆破は、ロシア軍が線路の下に埋めた大きな砲弾の爆発によるものであるとし、ロシアが、グルジアのインフラを破壊するとともにアゼルバイジャン等のカスピ海沿岸諸国から石油がグルジア内を通って輸送されることを阻止しようとしていることを示すものである、と指摘しています。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/25/russia.georgia、
http://www.nytimes.com/2008/08/25/world/europe/25georgia.html?_r=1&hp=&oref=slogin&pagewanted=print
(どちらも8月25日アクセス)による。)
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<グルジアで戦争勃発(その10)>(2008.10.4公開)
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<最新状況>
1 ロシア側による鎮魂演奏会
8月21日、ロンドン交響楽団の主任指揮者であるロシア国籍の巨匠指揮者であるヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergie)はオセチア人(北オセチアのウラディカフカス出身)なのですが、南オセチアの「首都」ティンヴァリの、今次グルジア「戦争」冒頭のグルジア軍の攻勢によって破壊された議会の前で、「戦争」の犠牲となった南オセチア人等の鎮魂と救援に駆け付けたロシア軍への感謝のための演奏会を行いました。
彼が指揮したのはサンクトペテルブルグのマリンスキー(Mariinsky)劇場交響楽団であり、演目はショスタコービッチの第7交響曲(レニングラード)でした。
ショスタコービッチはレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)出身であり、この第7交響曲は、ナチスドイツ軍によるレニングラード包囲戦の真最中の1942年に作曲され、演奏されたものです(注)。同じ年にこれに呼応して、大西洋の両岸でヘンリー・ウッド(Henry Wood)とアルテューロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini)が指揮してこの曲が演奏されたものです。
ゲルギエフはプーチンのお友達ですが、これは純粋に彼の愛国心の発露であると考えられています。ちなみにゲルギエフは、ベスランの悲劇(コラム#464〜467、469、474、476、477)の際も、ロンドンで犠牲者のために鎮魂演奏会を行っています。
(以上、特に断っていない限り
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/21/nato.russia
(8月21日アクセス)、及び
http://blogs.guardian.co.uk/music/2008/08/music_as_politics_gergievs_sou.html
(8月24日アクセス)による。)
(注)http://jp.youtube.com/watch?v=RKOZEW9SfdU
で、包囲戦の様子やスターリンの戦意鼓舞演説、更にはショスタコービッチの映像等を背景にこの曲のさわりの部分を聴くことができる。
もっぱら音楽を聴きたい人は、第一楽章は
http://jp.youtube.com/watch?v=mtjAmaG7jjA&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=iAzP54py0qI&feature=related
で、また、(私個人は好きではない)第二楽章は
http://jp.youtube.com/watch?v=_wGs6b7AVHk&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=K9w_ZcJ2t_k&feature=related
で聴くことができる。
なお、この第二楽章の演奏は、ゲルギエフ指揮によるマリンスキー劇場交響楽団とロッテルダム交響楽団の合同演奏だ。
2 ロシア軍のグルジア本体内居座り状況
ロシア軍は、週末にかけて、グルジア内に25の検問所を設けました。
その中には、グルジア本体内のポチ郊外の2か所、首都トビリシと黒海を結ぶ東西幹線道路付近の数か所、トビリシ西方25マイルのシャヴシェビ(Shavsebi)が含まれています。
ロシア政府は、グルジア本体内にロシア軍が平和維持目的で駐留できるのは1990年代初期におけるグルジア内での南オセチアとアブハジアがらみの内戦の後にできた協定に基づくと主張しています。
これに対し、グルジア政府は、これは違法であるとし、今次「戦争」における協定のみが生きており、これまでのあらゆる協定はもはや無効となっている、と主張しています。 米国とフランスも基本的に同じ考えです。
すなわち、今次「戦争」以前に南オセチアとアブハジアに駐留していたロシア軍部隊は駐留を続けることができるし両地域のグルジアとの「国境」からおおむね5マイルまでの「安全地帯」内へ哨戒隊を送り込むこともできるが、「安全地帯」内と言えども、そこに固定的な検問所を設けることは今次協定違反である、というのです。
グルジア政府はまた、起こったばかりの、石油輸送貨物列車の爆破は、ロシア軍が線路の下に埋めた大きな砲弾の爆発によるものであるとし、ロシアが、グルジアのインフラを破壊するとともにアゼルバイジャン等のカスピ海沿岸諸国から石油がグルジア内を通って輸送されることを阻止しようとしていることを示すものである、と指摘しています。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/25/russia.georgia、
http://www.nytimes.com/2008/08/25/world/europe/25georgia.html?_r=1&hp=&oref=slogin&pagewanted=print
(どちらも8月25日アクセス)による。)
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太田述正ブログは移転しました 。
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