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太田述正コラム#2738(2008.8.19)
<皆さんとディスカッション(続x226)>

<ちんみ>

現職の警察官が、創価学会=公明党を批判していた女性市議の転落死は「自殺」ではなく「他殺」だったと内部告発
http://www.asyura2.com/08/senkyo52/msg/581.html

 現職の警察官が内部告発で、「朝木明代元市議を殺害した犯人を自分たちは特定した、3人であった。しかし、検察からの圧力で捜査を断念せざるをえなかった」とはっきり述べた。
 また、「もし、時効前(あと2年で時効)に国民的運動として盛り上げてくれるなら、我々は全貌を明らかにする用意がある」と断言した。
 検死によると、ビルから落ちて死亡した朝木明代元市議の両腕の上腕部には手で強く握られてできた痣があった。朝木明代元市議を2人で両脇から挟みこみ上腕部を強くつかまないかぎりできないようなものだった。しかし、警察はこの痣の件をずっと隠蔽してきた。

 朝木明代元市議は創価学会=公明党をきびしく追及していた。
 そこで捜査はまず創価学会=公明党の関係者にターゲットをしぼって進められた。そういう中で犯人が浮かび、もう一歩で、名前を特定し逮捕するという段階までいたった。それが検察の圧力で中止になった…。
 (2008年7月29日、JR八王子駅前における せと弘幸氏の訴え。)

 「都政も都議会も創価学会・公明が常にキャステイングボードを握ってきた。予算や人事を楯にやりたい放題です。警視庁も予算のためには学会には遠慮する。しかも、都政担当記者をやっていてわかったのですが、学会・公明のあくどいのは、学会と距離を置いたり、学会がらみの事件をやろうとする警察幹部がいると、徹底して出世の妨害をする。署長や副署長にもさせないのです。逆に学会にとって都合のいい警察官は昇進の応援をする。役人である警察官のもっとも弱いところをつくやり方で、これをずっとやってきたものだから、警察は創価学会がらみの事件には触らないという風潮が出来上がっているのです」
 それゆえ、警察は朝木事件の解明に及び腰なのだと内藤氏は指摘する。
 (『怪死 ─ 東村山女性市議転落死事件』乙骨正生著)

<ライサ>

 バグってハニー様、

>「ナンセンス」というのはライサさんは核地中貫通弾によって「放射能が撒き散らされて、限定的に地域一帯が汚染される」ことを心配されていましたけど・・・(コラム#2736)

 何か前にもそのような言い方を、誰かに受けたような気がしますが、文をよく読んでください。
 私は感情的な表現はしていません、心配をしているわけではありません。
 文句を言うわけではないのですが、心配とか不安とかを感じさせる表現はしていないつもりですが、それらが感じられたのなら、私の文表現が悪いか、あなたの理解度がおかしいかのどちらかですね。
 ついでに言うと、私の真意は、核の使用の可否を基準を持ってくると、小さくても大きくても核爆弾を使用するのは同じことだと言う所、つまり、よく皆さんがおっしゃる、いわゆる「ルビコンを渡る」か否かの問題に行き着くので、小さくすることも大国にとっては、あまり意味のあることとは思えません。
 「すぐに使えるのだぞ!」、という脅しにはなるかもしれませんが。どこの国でも、このグローバル化(また出てきてしまったこの言葉!)が進んだ、進みつつある、現在において、通常兵器以外を使うことは、さまざまな意味で、逆に自国の安全を不安定にする最も最短の手段になってしまうと思います。劣化ウラン弾やクラスター爆弾でさえ問題になるくらいですから。
 太田さんがおっしゃる様に  

>水爆弾(ママ)(thermonuclear bomb)。弾頭威力は戦術核クラスから戦略核クラス(広島に投下されたものの10倍の威力)のものまである。この核爆弾は、仮に盗まれたとしても、爆発防止措置が施されているので爆発させることはできないが、核物資を取り出すことにより、いわゆるダーティー・ボンブや初歩的核爆弾に転用することが可能。(コラム#2621)

 小型化はこのような可能性が非常に大きくなるので、その点は「心配」です。いわゆる、ならず者・犯罪者にとっては、国というものを基準に物事を考えないで、自己の充足というところに基準を持ってきますからね。

<海驢>

少し忙しくなって離れている間に、すっかり議論が様変わりしていて浦島太郎状態ですが、多少聞きかじった知識のある「核兵器」の話題が出ているので情報提供をば。

バグってハニーさん、

>・・・地下施設を破壊するためにメガトン級の核爆弾を地表爆発させるのに比べれば、数百キロトン級のB61-11を地中爆発させるほうが撒き散らかされる放射能ははるかにましだろう、という意味です。(コラム#2736)

 ご存知かもしれませんが、周辺への放射能汚染の被害は、もちろん核出力(核爆弾の爆発威力)に影響されるのですが、核爆発の高度(空中か地表か地下か)にも大きく影響を受けます。爆発による火球が地表に接触する地表核爆発では、大量の核分裂生成物を発生させ、その核の灰の降下により広範囲な地域へ放射線被害をもたらすこととなります。
 したがって、戦術核としては、あまりに広大な範囲(15メガトンの場合、致死リスクのある4シーベルト以上の線量範囲が70km×330km:ビキニ環礁・ブラボー実験の事例に基づく推計・4日間の積算線量)を汚染してしまうのは合理的でないことから核兵器の小型化が行われ、小型化により地下施設への打撃が小さくなる懸念から地中爆発型に移行したのだと思われます。
※資料:高田純著『核爆発災害』中公新書 2007年(139頁・189頁他)

 しかしながら、B61mod11は小型といっても100〜500(一説には0.3〜170)キロトンもの核出力がありながら貫通力は2〜8mということなので、例え地下で起爆しても火球が地表に出てしまい(広島型は16キロトンの空中爆発で火球は半径約100m)、やはり広範囲(10km×30km以上)の放射能汚染が生じることになります。まあ、B53よりマシといえばマシですが・・・
※参考:Wiki「B61(核爆弾)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/B61

 地下施設への核攻撃は、地下爆発に加えて大地衝撃波による破壊を期待するものですが、十分に近接していない場合の大地衝撃波の効果が今一つ明確になっていないようですので、米軍としてはあまり核出力を下げたくないのかもしれません。
※資料:高田純著『核爆発災害』中公新書 2007年(144〜146頁)

 ライサさん、

>・・・核の使用の可否を基準を持ってくると、小さくても大きくても核爆弾を使用するのは同じことだと言う所、つまり、よく皆さんがおっしゃる、いわゆる「ルビコンを渡る」か否かの問題に行き着くので、小さくすることも大国にとっては、あまり意味のあることとは思えません。

 相互確証破壊などの核抑止理論に基づく戦略核兵器と、「より安価で威力のある通常兵器」の延長線上にある戦術核兵器では、やはり違うのではないでしょうか。
 戦略核保有国同士が対峙する場合は、「核兵器の戦術的使用は全面核戦争へと発展する可能性があり、戦術核は使用されるべきではない」という意見(バーナード・ブロディ、リデル・ハートら)もありますが、例えば、ロシア対グルジアなんていう対戦では「ルビコンを渡る」必要なく使用できるように思えます(実際には核保有国=ロシアの方が圧倒的軍事力を持ち、使う必要ないですが)。
 米国に対する相互確証破壊が成立したら、第一列島線に連なる通常兵器の軍備が整っている国(日本・台湾・フィリピンなど)が戦術核の標的になる可能性も否定できないと思いますよ。
※参考:Wiki「核戦略」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E6%88%A6%E7%95%A5

>どこの国でも、このグローバル化(また出てきてしまったこの言葉!)が進んだ、進みつつある、現在において・・・

 以前から「グローバル化」の話は度々出ていますが、この言葉はライサさんもお嫌いなのではないかと推察いたします(笑)。
 残念なことに、我が日本では、外敵のお先棒担ぎで自分を権威付けしようとするような人々(例えば、○山眞男とか○中平蔵とか)が沢山いますし、もともとお人好し(?)な民族性に安全保障感覚が希薄になっていることもあって、あたかも「避けられない自然な流れ」でグローバル化が進行するように語られていますが、「グローバル化」とは、自然の流れでも歴史的必然でもなく、世界(社会)のあるべき方向でもなく、特定のグループが己の利益追求のための方便として用いているだけのもの、と思います。「常識」と思われることも、少し疑いつつ行くのが吉のようです。
※参考:晴耕雨読 - グローバリズムについて 
http://sun.ap.teacup.com/souun/1692.html
※参考:晴耕雨読 - 政治家・官僚・企業経営者・ジャーナリストも“グローバリズム”を語る前に一読を! 
http://sun.ap.teacup.com/souun/1022.html
※参考:晴耕雨読 - 生産性を上げても必ずしも経済成長できるわけではありません
http://sun.ap.teacup.com/souun/1836.html

 以上、ご参考まで。

 ついでにグルジア(米)vs.露について 。
コソボ独立宣言の後、米国あるいはイスラエルのイラン空爆とどちらが先かと思っていたら、こちらが先でした。
 たぶん、イラン攻撃に備えて米国(&英国)が露西亜を牽制し、国内(国際?)世論の地均しをするため、米国の傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけたのでしょうね・・・
 もともと露西亜としても、資源戦略を最大限に活かすため、ジェイハン・ルート<(アゼルバイジャンのバクーからグルジアを経てトルコのジェイハンへと至る1747Kmのパイプライン(太田))>をなんとかしたい、また、グルジアのWTO加盟を阻止して反露政権をなんとかしたい、ということで準備は十分だったと。
 日本にとって、どちらがより望ましいのかは判断が難しいところですが、どちらがより多く得点したのでしょうか?

※参考:【RPE】米・グルジアVSロシア・南オセチア戦争
http://archive.mag2.com/0000012950/20080810152808000.html
※参考:【RPE】グルジア戦争、各国が得たもの・失ったもの
http://archive.mag2.com/0000012950/20080818225130000.html

<太田>

 一点だけ。

>米国<がその>傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけた・・・

という「ロシア政治経済ジャーナル」なるメルマガの主張は、サカシヴィリのティンバリ攻撃を誘ったロシア/南オセチア側の挑発行動を捨象しての主張であり、ナンセンスです。
 なお、このメルマガも典拠を付けてませんね。
 田中宇氏のメルマガよりひどいね。

<ライサ>

 海驢さんへのお礼と疑問です。
 グローバリゼーションの意味についてですが、国立国語研究所外来語委員会外来語言い換え提案に意味の限定化を求めて議論を進めることにすると、

(原語)globalization 英
(用例 )地球規模化(グローバリゼーション)と反地球規模化(グローバリゼーション)という世界的問題も実は米国基準の国際化問題と重複している部分が大きい。
(意味説明 )ものごとの規模が枠組み越え、地球全体に拡大すること
(備考 )地球全体がひとつになることに着眼して、「地球一体化」と言い換えることもできる。
 国際化は国家を前提としたものであるのに対し、「地球規模化」は国家を前提としておらず、国家を越えて世界を一つにするものである。
 「グローバル化」「グローバライゼーション」も同じ意味である。
 その他の言い換え語例
 地球一体化。

>・・・グローバル化」とは、自然の流れでも歴史的必然でもなく、世界(社会)のあるべき方向でもなく、特定のグループが己の利益追求のための方便として用いているだけのもの、と思います・・・

 自然の流れとはどういうことを指しているのかが分かりません。教えてください。
 歴史的必然性については、必然という言葉自体はそうかもしれませんが、13世紀に始まったモンゴル帝国は、歴史的流れ、グローバル化の先鞭をつけた出来事だということができると思います、
 それ以前の世界においても、当時の人々の認識で言う「世界」とは極めて狭い範囲でも世界だったに違いありませんから、きわめて小さい意味でのグローバル化の動きは否定できないと思います。
 さらに、ウィキペディアによると(すべが正しいし、理論的だと信じているわけではありませんが)、
16世紀と17世紀(一体化のはじまり?大航海と征服・植民地化の時代、オランダ黄金時代と英仏抗争のはじまり)
18世紀初頭から中葉にかけて(イギリス覇権の確立)
18世紀後葉から1917年まで(二重革命の時代、パックス・ブリタニカの時代)
1917年から1967年まで(2度の大戦とアメリカ合衆国の覇権)
1968年以降(多極化の時代)

(英:Globalization) とは、これまでの国家や地域などの境界を越えて地球規模で複数の社会とその構成要素の間での結びつきが強くなることに伴う社会における変化やその過程をいう。1970年代から広く使われるようになった。

と、あり、

>・・・世界(社会)のあるべき方向でもなく・・・

 あるべき方向であるか無いかは、現在の段階で決定するには早すぎると思います。それには、「世界のあるべき方向とは何か」ということが決まっていないと議論できません。どのような方向があるべき方向なのでしょうか。

>・・・特定のグループが己の利益追求のための方便として用いているだけのもの・・・
 特定のグループとは何か、どんなものかが分からないと議論が成り立たないと思います。
 もし、仮に、資本主義と言うものを指すのであれば、共産主義だって世界同時革命を目論見ましたし、独裁国家だって、世界制覇を目指しましたから、それらもそうかもしれませんが。
 日本の例を見ると、過去のはるか古代から、歴史に明らかなように、海外進出はありました。近く見れば、大陸進出、官製移民のハワイ、アメリカ、アラスカ、中南米等々、さまざまな国へ移民しています、これは歴史の中でグローバル化を示すことと無関係とは言えないと思います。そして、これが「己の利益追求のための方便」とは思えません。現在のアメリカ移民・中南米への移民だって、特定のグループの目論見とは思えません。

>・・・「避けられない自然な流れ」でグローバル化が進行するように語られていますが・・・

 少なくとも、限りなく「避けられない自然な流れ」に近いのではないでしょうか。つまり世界情勢を見て、(マー、私の近視眼的見方かもしれませんが)逆に反語をなんて言うのか知りませんが、仮に「鎖国的動きというとすれば」、そのような、方向に向かっている国家形態が世界にあるのでしょうか。過去にあったとしても、現在まで存続しているのでしょうか。食糧問題ひとつとっても、グローバリゼーション抜きで問題を論じることはできません。
 移民問題の議論の中で盛り上がったグローバリズム<の議論>です。
 上記の意見とは異なりますが、あくまで、日本への移民は反対です。一種の恐怖観念が抜けないのです。(実際の世界の動きを認めたうえで!)どなたかに言われましたが、私は原理主義者でも無くグローバリズム信奉者でもありません。身の回りで見聞きし、感じたことを素直に総合するとこのようになってしまうのですが。間違いでしょうか。

>・・・ロシア対グルジアなんていう対戦では「ルビコンを渡る」必要なく使用できるように思えます・・・

 その根拠は何ですか、理由が分かりませんので教えてください。核の大きい小さいは関係なく、「核を使用してしまった」、と言う取り返しのつかない事実が発生してしまいます。旧ユーゴ他で使用されたという劣化ウラン弾や、グルジアで使用されたといわれているクラスター爆弾の比ではないと思います。言い訳も、世界中の保有国の歯止めも効かなくなる可能性が大だと思うのですが。

<バグってハニー>

≫単純な話だと思いますよ。「何千もの部隊、戦車、火砲」を短時間で「国境線近くに集結」させる計画をロシア側が練っていたということであり、実際に「集結」していたわけではなかったのでしょう。≪(コラム#2732。太田)
―――
太田さんの見立てを裏付ける報道を見つけました。

ロシア軍のグルジア攻撃、進攻の時期や迅速さに米軍「驚き」
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2505280/3206532

■「ロシア軍の進軍能力、予想以上」と米分析

米国防総省高官によると、今回これまでに南オセチアに進攻したロシア軍兵士は8000-1万人、またロシア軍の戦闘機や爆撃機SU-25、SU-24、SU-27、TU-22などが出動した。
 しかし同高官は、ロシア軍の進攻準備を示すような国境沿いでの部隊集結はなかったと述べる。「これを根拠にすれば、ロシア軍は迅速な進軍が可能であり、ただ単にそれを実行するか否かの問題だったということになる。国境沿いに軍を集結し待機させていたわけではなかった」(米国防総省高官)
 また同高官は「ロシアの今後の計画についてはわからない。明らかなことは、必要であればさらに部隊を増派できるということだ」と述べた。

<太田>

 どうもどうも。
 ちなみに、ロシアは今年7月、グルジア国境近くでコーカサス2008という大規模な陸上演習をやっており、この時に、今回のグルジア侵攻作戦の予行演習をやったと見られています(
http://www.nytimes.com/2008/08/17/world/europe/17military.html?pagewanted=print

。8月17日アクセス)。
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太田述正コラム#2739(2008.8.19)
<ムシャラフ辞任後のパキスタン>

→非公開

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