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太田述正コラム#2626(2008.6.23)
<皆さんとディスカッション(続x173)>

<アミダ>

 ジョン・ラーベの日記「南京の真実」をようやく半分読み進みました。別に難解な本ではないのですが、時間のない私にはスローペースが強いられているので。
  チャンネル桜の「大道無門」でラーベは蒋介石の二重スパイとして一度ナチス政府に逮捕されている事実があり、またジーメンスの南京代表として武器をシナ軍に供給していた武器商人であることを知りました。またこの日記も本国に帰ってリライトされたものであり、怪しげな本であると言ってました。
 日本軍の放火や略奪、婦女子に対する暴行を阻止する場面など、表現がどれも同じであり、とってつけたような写真とともに、まったく緊張感のない記述に違和感を覚えます。
本当に南京事件なるものがあったのか、正月を祝う日本兵の餅つきなどの映像を以前見たことがありますが、城内にごろごろ死体が転がり死臭のたちこめる中で、これらの行事があんな笑顔で、なされていると見なすことは私には困難です。

<太田>

 勉強家でいらっしゃる。
 それでは次にぜひ、秦 郁彦氏の『南京事件―「虐殺」の構造』 (中公新書。増補版)をお読みいただき、その感想をお聞かせ下さい。

<読者MN>

 コラム#2611「アイルランドがやってのけた椿事」を読みました。
 それにしてもアイルランドの国民投票には驚きました。
 結果というより、リスボン条約にそのような条約発効不可能性があったことを、今次報道に接するまで知りませんでした。お恥ずかしいかぎりです。
 すでにアイルランドは集中砲火を浴びているようです。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080618/erp0806182203008-n1.htm
 日本語でこの報道っぷりですから、当地(EU)では相当なものと推測しております。
 一国の国民投票を一体何だと思っているのかと言いたくなりますが。。

<太田>

 ご明察のとおり、英国(「一応」EU加盟国です)のファイナンシャルタイムス紙は、アイルランド経済の今日は、アイルランドがEU加盟国として、英語国で唯一ユーロ圏に属するからこそあるとし、批准を否決したアイルランド国民を批判した上で、アイルランドはやはり批准拒否の可能性のあるチェコとともに、EUから追放される可能性があり、それはEUの現行法制の枠内で、加盟国の政治的意思さえあれば実行できると書いてますよ(
http://www.ft.com/cms/s/0/6afc0772-405a-11dd-bd48-0000779fd2ac.html
。6月23日アクセス)。

<読者MN>
 
 先生のご指摘を援用すれば、仏蘭での結果も加え、欧州文明と、EUという組織そのものの乖離性がいよいよ明らかになってきたように思います。(関係コラムはたくさんあるので典拠省略)
 ではEUの組織のプリンシプルとはなんなのか。
 書生の邪推にすぎませんが、それこそが先生の論じてこられたスコットランドという、ケルトの衣をまとった何者か、という気がしてきています。
 僕はかねてより、プロト欧州文明において、北欧・ローマ(ギリシャ)以外を「ケルト」の一言で片づける風潮に疑問を感じています。

<太田>

 私の欧州論(プロト欧州論を含む)はアングロサクソン論のネガみたいなものであり、アングロサクソン論ほど完成度は高くありません。
 確かに、北欧の位置づけはむつかしい面があります。
 ただし、ことアイルランドとスコットランドに関して言えば、私は他の欧州諸国と別立てして論じなければならないとは考えていません。
 (スコットランドの特殊性は、オランダと似た点があるのですが、イギリス(アングロサクソン)と欧州との接点であるところにあります。)
 
 話は変わりますが、ロシアのプーチン政権(大統領から首相に「降格」した現在でも実質そうです)が反民主主義のFSB独裁政権であることは累次ご説明してきているところ、ロシアは治安だって維持されていない、無法国家と化しているというコラムがワシントンポストに載っていました(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/06/20/AR2008062002596_pf.html
。6月23日アクセス)。
 もう一つ。チベット騒擾でほんのちょっと報道されてその後全くと言ってよいほどフォローされていなかった、チベット族と回(Hui)族・・イスラム教徒たる漢人・・の近親憎悪とも言うべき関係が、ロサンゼルスタイムスの記事で詳しく書かれています(
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-muslims23-2008jun23,0,2564247,print.story
。6月23日アクセス)。
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太田述正コラム#2627(2008.6.23)
<新新著後書き>

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