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太田述正コラム#2584(2008.6.2)
<皆さんとディスカッション(続x152)>

<スワン>

 中共体制崩壊の始まり?シリーズ、大変興味深く読んでいます。
 太田さんは政治的、総論的視点で見ていらっしゃいますが、私にはそれは不得意です。
 違う視点からの一意見、としてお読み頂ければ幸いです。

 コラム#2571で、

>それによって、漢人の民度がどの程度上がるか、中共中央の地方掌握度がどの程度上がるか、更にまた、中共中央が政治システムの自由民主主義化をどの程度進展させるか、が決まることになりそうです。

とありました。

 私は「民度」は大人になってから変えることは難しく、初等教育が作るものだと思います。
 私の中共の教育のイメージは、小さいうちから共産党賛美を刷り込んで、歴史の授業で反日を教えているというものです。実際はどうなんでしょうか?
 ところが、そのイメージと反対の記事を読みました。
 「文藝春秋」6月号で、NHKディレクター 松木秀文 中国「小皇帝」たちの受験地獄
(太田さんは文藝春秋誌の名前も聞きたくないと思いますが、たまたま昨日読んだので。ごめんなさい)。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/080106.html
 このドキュメンタリーを掘り下げたらしい記事でした。ドキュメンタリーは観ていないのでどんな内容かわかりません。
 記事は、「都市部では公立校でも子供の価値は成績が全て。子供たちは、能力を付けて、職を得る競争に勝つため、がむしゃらに勉強している。でも、子供の人間形成はされていない。日本人はこんな過酷な競争社会で育つ中国人とこれから共存しなければいけないのだ」という内容でした。

 自由民主主義の思想や、諸外国の歴史や思想を学ぶことなしに、数学や国語や英語で高得点を取るためだけの勉強をしても、教育の意味がないと思います。そういうのは日本人にもありがち、と言われると困りますが。
 中共は自分の頭で思考する人が増えると困るから、あえて受験地獄に追い立てているんでしょうか。
 「自然のままでは、人間はほとんど考えない。考えることは、ほかのすべての技術と同じように、人間が学んで身につける技術で、しかも学ぶのにいっそう骨が折れることだ。わたしは、男女いずれにたいしても、ほんとうに区別されるべき階級は二つしかみとめない。一つは考える人々の階級で、もう一つは考えない人々の階級だが、このちがいが生ずるのはもっぱら教育によるものといっていい」(ジャン・ジャック・ルソー「エミール」)
↑これは最近読んだエッセイで引用されていて、その通りだなぁと思いました。

 太田さんは一人っ子政策のことを書いていらっしゃったので、これから教育についても言及されるおつもりかな、と思いました。

<太田>

 私、ルソーも嫌い(コラム#64、66、71、516、1122、1161、1256、1257、1259、1592、1594)なんですが・・。
 ま、引用されたルソーの言についてはコメントは差し控えましょう。(コラム#1122をご覧下さい。)

<やいち>

 太田氏のブログを拝見する前は、田中宇さんのコラムを読んでいました。
 アングロサクソンとユダヤの陰謀のような物(何と言っていいか分かりません)で世界が動いておるということで、未来をそのように捉えると、私の考えることは無いのだろうという感じになるのですが、ゴルゴ13を読むような感じで、感心して見ていました。また、テレビに出てくる未来と言うと、テポドンが飛んできたらどうするんだとか、中共は、台湾の次は日本を狙うとか、未来は突然やってくるような話ばかり。それに備えることが全ての根本であると。共感する人も多いようです。確かに、身につまされるようにするための話ですから。身につまされる話といえば、石破防衛議員は、地元で、憲法、自衛隊の話の中で、娘、妻が強姦されたらどうするんだと言うような例えを話したと、地元新聞の読書欄に載ってましたが、相手が山口組の親分だったらどうするんだと、言ってやりたくなりました。
 確かに不幸は突然やってくるとも言えます。しかし、突然やって来る不幸に、対処できるとも思えません。まだ神の領域もあると思います。
 そこで太田氏のブログを見て、現実と過去からの 流れの中で、未来を考えると言う内容に当り、中味を考えさせてもらっています。過去からの 流れと言うと普通大体明治からが多いのですが、遠くても江戸時代です。それが、弥生 縄文まで翻ってました。
 弥生と言ってもBCで、中国の歴史を見れば、比較にならないのに、つながりが無いわけが無いと思い当たりました。ただ、日本の謎の一つとして、文字および漢字が入ってきたのが遅かったのか、使われるようになったのがこんなに遅いのかと言うのがあり、おかげで謎だらけ。今は、ちょっと違いますが、20年前くらいにイタリア人と仕事をした時、口約束に対する感覚が全く違うのに驚きました。天につばをするとか。一度はいたつばは元に戻らないとか。日本には、口に出す、言葉に対する、責任の重さがあったのですが、これは文字が無かったせいもあるのではと考えます。当然それだけではないはずで、文字の読めないいい加減な人もいますから。
 未来は、過去と現在を手がかりに、考えるのが当たり前であると。
 そういう風に初めて、朝生を見てみました。
 最初官僚の腐敗している原因は、何かと司会者は聞いていましたが、官僚は利益の配分はできるが、負担の配分はできないとか、官僚はサボタージュして情報を上げないようにしているとか、言っておりました。
 その中で太田氏の、外交安保を米国に丸投げしているのが、原因だと言う発言があり。その他の人と比べてみると、他の人は、腐敗の状態を延々述べていることが分かりました。原因はバブルの崩壊と言う人もいましたが、腐敗が始まった時期をそう思ったということは分かりましたが、原因ではないだろうとおもいます。腐敗はずっとあったという人もありで、原因を述べた人は、太田氏一人で、私には輝いて見えました。原因を知らせたくないと言うことで、こういう話になったのであればご提案の方向の議論ができる機会もあるかと思いますが、原因が分かっていないということが分かっていない場合は、どうなるのでしょうか。1時間くらい見て、太田氏の発言機会もなさそうで、寝ました。
 橋本知事の議論も、同じような感じがあります。長い自民党政権が作り上げた構造が作り上げた土木建築による借金の問題を、構造をそのままにして、解決しようとしているところを、太田氏は指摘していました。しかし、現実感覚的には、給料の話の方が分かりやすいこともたしかです。ただ、日本人がバカと言う話は、良くないと思います。
 中共、北朝鮮の情報操作は、国民をバカにしているからではなく、恐れているのだと思いますし、だまそうが何しようが、国民の支持の無い革命は無と思います。

<まさ>

太田述正さんが出演されるということで、朝まで生テレビを録画して見ました。
一人一人が言いたいことを言うだけで議論になってませんでしたね。
官僚の天下りって、そんなにいけない事なんですかね。
優秀な人には、それなりにインセンティブが必要だし、なによりも、天下りを禁止にしたら、優秀な人が官僚になりたがらないし、民間企業からも集まらなくなるんじゃないでしょうか。
利権共産談合主義の一翼を担うマスコミで属国の話題をするのは、無理があると思います。マスコミ事態が体制側ですからね。
ところで、新書はいつ出るんでしょうか。
テレビには何も期待できません。

<友人TK>

 番組見ました。
 久しぶりに長時間の大激論でしたが 真夜中番組なのでCMがあまり邪魔にならず、じっくり聞けて勉強になりましたよ。
 公務員制度改革が衆議院通過という歴史的瞬間が渡辺喜美だったから個人的には本当によかったと思いました。
 (おやじ美智雄には大変お世話になったので)
 高橋洋一が一番印象に残りましたので「さらば財務省」をさっそく土日かけて読破しました。この本はすばらしいですね。
 民主党の細野はこれからの逸材ではないでしょうか?以外におりこうさん。
 江田はさすがですよね。あの口をへんまげてしゃべるところがなんともいえないです。 太田君の枝葉末節の議論を戒めるところは立派でした。これからの公務員制度改革の具体化について30万の防衛省でも出来たことだという話は大変心強く思いましたよ。新しい内閣のブレーンになってほしいですね。また、高橋洋一のような本をもう一度発刊くださいね。

<太田>

 以上のお三方、番組をご覧になっていない方に「朝生」の様子をご紹介いただいたき、御礼申し上げます。
 新著については、皆さんからも金曜日社をせっついていただければ幸いです。

<クコ>

 --ロシアの体制シリーズを読んで--

 世論調査の結果と選挙を同一視するのは間違っていませんか。
 世論調査で80%以上の支持率があり、選挙で70%の支持率があった場合、少なくとも10%の本音を話せない国民がいると考えるべきではないでしょうか。
 選挙の70%を否定するには、ロシアの選挙結果が政府に自在にコントロールされていることを証明しなければいけません。
 もしもそんな証明が可能ならば、プーチンを忌み嫌うイギリスのマスコミが真っ先にやっていると思います。
 選挙結果がロシアのマスコミに操られているということでしたら、全世界で同じことが行われています。
 それでも選挙結果は民意を反映しているとみなされます。
 小泉圧勝だって民意の反映です。
 ロシアの選挙結果も民意を反映しており、過半数の国民がプーチンを支持しているとみるべきでしょう。
 国民の過半数から支持されているプーチンと、どう考えてもインド国民の過半数から支持されなかった過酷な支配を行った東インド会社を、同じ穴の狢のようにいうのは、印象操作以外の何ものでもないと私は思います。

<太田>

 形式面について:このご投稿に限りませんが、ハンドルネームで投稿して自説を展開される読者について、われわれはその氏素性を知る術がないのですから、そのご見解が果たして傾聴に値するのかどうかを判断することができません。氏素性を明かし、本名でコラム等を書いている私ですら、できる限り典拠を示しているのですから、できるだけ典拠を添付して下さいね。(実体験をお示しいただいても結構ですが、そうすると氏素性がばれる懼れがあるので、やはり典拠ですな。)。

 内容面について:いやはや困っちゃうね。史上最高のチェス名人で、ロシアのプーチン批判派の雄であるカスパロフが言っていることを熟読玩味してご覧なさい。(翻訳の労はとりません。)

'Kasparov, a leader of the opposition coalition The Other Russia, was barred from standing in parliamentary elections in December and arrested after trying to lead a pro-democracy march. ・・・Kasparov, who held the world chess championship title for 15 years and is commonly regarded as the greatest player the world has yet seen, disputed claims that Putin is popular in Russia, saying propaganda and restrictions on free speech had driven criticism underground. "That popularity is a sham.・・・If the regime is really so popular, why can't we march peacefully; why can't I appear on the ballot?"・・・He said he and his family lived "almost under siege" in Russia, and had to hire bodyguards to secure their personal safety. By contrast, Lugovoi - recently elected as an MP - was said by Kasparov to be enjoying the protection, and perks, of the Russian state. Lugovoi has been charged in the UK with Litvinenko's killing, but Putin refused attempts to extradite him to face trial, leading to a diplomatic row between London and Moscow. "He is not only being protected, they let him run for office and he is now an MP. '(
http://books.guardian.co.uk/story/0,,2283300,00.html
。6月2日アクセス)

<西麻布夢彦>

 大阪府の問題は、府民が財政再建に賛成するふりをしながら、警察官を削減しようとすると(つまり行政サービスの水準を下げようとすると)、たちまち反対するという、住民エゴにあります。
 その最たる発露が、大阪国際空港訴訟です。
 この訴訟のせいで、大阪府は、せっかく作った伊丹空港を廃棄して、海の上に空港を作る羽目になったのです。
 大阪は住民エゴで滅ぶ運命ですし、そんなところに喜んで飛び込む橋下知事の感受性は理解できません。
 ま、日本も、国民エゴで滅ぼうとしているのですけどね。

<太田>

 これは、一応典拠を示したと言える例ですね。

<kaiware>

>所得税の累進性を高めると、今度は高額所得者が日本から逃げ出してしまいます。

 確か、国民の金融資産1400兆の内7割位は高齢者が保有しているはず。
 とても海外に逃げ出すとは思えない。
 さらに1980年代、税収不足を理由に消費税を導入しながら、一方で所得税の累進税率引き下げを行ない高額所得者の減税を行っったはず。
 貧富の差が拡大する社会環境で、資産家・高額所得者の税負担を増す事も当然選択肢に入れるべきだ。
 ここ数日、太田さんの発言を拝見していて、あなたの発想パターンやスタンスは大体判った。
 大阪府の件でも消費税の件でも、とにかく負担を国民に広く浅く負わせて問題を処理してしまおうと言う発想は、公務員のモラルハザードを更に誘発しかねないと危惧する。

<太田>

 やっぱし典拠ついてないねえ。

>とても海外に逃げ出すとは思えない。

 日本は鎖国していても、世界は日本人、とりわけカネのある日本人には開かれています。日本の企業にもね・・。鎖国しているため、それが多くの日本人には見えていないのです。
 私の様々な主張は、グローバリゼーションの下で日本及び日本人はどうすべきか、という問題意識に根ざしています。
 いずれにせよ、租税政策や、(それとは何の関係もないところの)公務員のインセンティブメカニズムの在り方、を検討し、決定するのは(中央ないし地方の)政治家の仕事であって、公務員の仕事ではありません。

<こくぴと>

>端的な例を挙げれば、次官や局長をやった先輩が、たとえ給与大幅ダウンの閑職であっても、省内にとどまっていたら、後輩の次官や局長は自由に腕を振るえないでしょうし、そもそも、知的・体力的に衰えてしまった人々を含め、「高齢」官僚が給与大幅ダウンで窓際に多数たむろしているのでは組織の活力が減衰します。

 ご回答ありがとうございます。
 ですが、残念ながらあまり説得力を感じません。
 先輩の元偉いさんが、例え閑職であってもうろうろしていたらやりにくいというのは、現在の入省年度が絶対的にものを言い、年功序列で凝り固まっている人事システムを前提として出てくる発想なのではないでしょうか?
そこを根本的に変えていくことも含めて制度を変えていけばよいのでは(というかすべき)ではないのでしょうか。
 民間企業でも、同様の問題、つまり、自分の先輩が中間管理職で窓際にいっぱいいるというような状況は多々あると思いますが、しかるべき人事制度の元しかるべき権限が与えられていれば、自由に腕が震えないということはないでしょう。
 活力の低下という問題はもちろんあると思いますが、どの企業でもいろんな方策で組織の活性化を試み、なんとかかんとか社員のモチベーションを保つ努力をしているものです。
 恩給を上げるというよりは、ずっとましだし健全だと思うのですが。

<太田>

 典拠、典拠!

 元社長や会長が顧問で残るようなケースは、政官と癒着しているダメ大企業に多いですよね。ホンダやソニーはそんなことしてません。
 なお、民間企業にも系列への「天下り」はあるけど、それも本社の風通しを良くするためです。(「朝生」でも誰か言っていたように、系列会社も独立採算制だから、関係公益法人に天下りさせる官僚機構とはワケが違います。)
 なお、私が恩給制度の復活を唱えているのは、かねてより(コラム#2447等で)申し上げているように、来るべき民主党政権をすぐに瓦解させないためでもあります。

<雅>

 大阪の財政再建についてですが、職員給与のカットなど些細なものではないのですか?
 本当の意味で財政再建をするならば、なにより隠れ蓑である第三セクターを廃止すべきではないですか?
 そうしないから、こんなことが常習的に続いている
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805230100.html

 そうでもしない限り橋下氏は、あくまで田中角栄が肥大させた自民党の「走狗的存在」でしかないのでしょうか?私見ですが、こんな利権の温床を無限に作り続けた田中角栄という人物は個人的には大嫌いですね。

第三セクター (wikiより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC

<太田>

 典拠がついててなかなか結構でした。
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太田述正コラム#2585(2008.6.2)
<21世紀における仏教の役割(その1)>

→非公開

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