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太田述正コラム#2524(2008.5.3)
<皆さんとディスカッション(続x128)>

<やいち>

 皆さんとディスカッションは、急にレベルが上がって楽しく読ませていただいております。
 1月、2月頃は本編に比べ苦しかったですが、太田氏の回答は、聖徳太子並に冴えてますね。冴える回答といいますと、種類が異なりますが橋本治を思い出します。

<太田>

 急にレベルが上がったはずがありませんが、とにかく、お褒めいただいたことに感謝します。

<やいち>

 親戚のお爺さんが、
「長生きすると、若いころ分からなかったことが分かるんだ。だから、元気であれば長生きしたほうがええ。」
と言ってました。
このお爺さんは、結構右よりで、第2次大戦も流れの中で、仕方なかったことだと言うことでした。だから、戦争の敗戦の日本の責任は無く、東京裁判も、不当であると。これで、大方の右の定番の親米となっております。そして典型的に、若者が、アメリカと戦争したことを知らないと嘆いています。
 <私はこのお爺さんの言っていることは>よく分からんと思っていました。
 <しかし、>この辺のところの<太田氏の>話の中で、戦前戦後を通じて反共産主義があり、必然親米となるとのことですが、太田氏の言われるところの自由民主主義の日本が、中国よりも嫌われた点は何なのでしょうか。
 今でも、アメリカ議会の親中派は新日派より多いと言うようなことを見ることがあります。<日本は>何が、中国に比べて良くないのかと思います。

<太田>

 支那を鯨に置き換えれば、ご理解いただけるのではないでしょうか。
 鯨も戦前の支那も絶滅に瀕する弱者、これに対して日本はこれら弱者の絶滅を図っている生意気な黄色人種、という図式です。
 日本が捕鯨をする論理をアングロサクソン諸国はハナから理解しようとしませんよね。
 戦前はこれよかちょっとはマシだったわけで、日本帝国が大陸に進出した論理については、英国は、自分の帝国主義と反共主義に照らしてそれなりに理解していたけれど、米国はハナから理解しようとしなかったということです。
 アーネスト・サトウ、『宝島』、『ジキル博士とハイド氏』の著者スチーブンソン(Robert Louis Balfour Stevenson。1850〜94年)(
http://htkiviefo.cocolog-nifty.com/sinoman_/2006/11/post_f57e.html
。5月3日アクセス)、チャーチル(
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/080427/bks0804270917004-n1.htm  
。4月27日アクセス)、ロナルド・ドーア(日本専門家。コラム#1039)、マクファーレン(=マクファーレーン。コラム#1397、1399、1400、1402、1403、1405、1476、1587、1589〜1591)、と日本人大好き人間の英国人をいくらでも挙げられるのに、英国人よりはるかに人口が多いはずの米国人では、比較的最近のライシャワー(コラム#1425)、サイデンステッカー(コラム#250)、ドナルド・キーン(コラム#2371)・・しかも、いずれも日本専門家・・くらいしか思い浮かびません。

<やいち>

 日米同盟の軍事協力面以外で何か<日本ができることがあれば>あればお答えいただければと思います。

<太田>

 日本の米国からの自立に尽きます。

<やいち>

 自衛隊については、<太田氏は、>集団的自衛権行使を悲願に活動されておられるところで、<小沢民主党代表が唱えている>国連行動で憲法制限を越える方法は×とのこと。
 国連と言うのは、イメージしか知りませんが、中ロと言う苦手な相手を相手するのに良い場所(他に見当たらない)ではないでしょうか。絶対避けれない相手ですし、情報収集もやりやすいのではと思います。2国間は<日本は>衝突回避ばかり<で言いたいことを控えているよう>に見えるのですが、国連であればまだものが言えそうです。
 アメリカが作ったものですし、アメリカが要らないと思えばつぶしにかかるでしょうから、日米同盟と衝突することも無いように思います。
 アメリカが中国、ロシア(東欧)を入れたものを作りたかったのだと思います。

<太田>

 国連創設当時の支那は中国国民党の支那でしたし、ローズベルトは共産主義の恐ろしさが分かっておらず、スターリンをお友達だと思っていたトンデモ人物だったということです。
 確かに国連には、世界のほとんどすべての国が代表を送っており、情報収集には便利な場所であることは否定しませんが、中共とロシアが常任理事国である安全保障理事会が国連の中核である以上、国連に多くを期待することはできません。
 なお、「国連の実相」シリーズ(コラム#325、326)をご参照下さい。

<やいち>

 今話題の中国人は、中国工場で経験しましたが、聞いたとおりでした。
 人の話を聞かないと言うか、自分の主張をまくし立てると言うのは、そのとおりで、中国人同士でもあの調子で、延々同じことを大声でまくし立て、どういう決着になるのかと思うのですが、話し合いは、深くならず表面的です。解決は制度(権力)位しかないとおもわれます。
 また、日中戦争での日本軍の中国人虐殺についていわれたこともありますし、日本がアメリカと一緒に攻めてきたら、あなたと戦うと20歳くらいの女子に言われたこともあったのですが、この人たちは、日本の若い人より素直で、仕事を一緒にやってて疲れることは、無かったです。要するに良い人です。謝ることは無いですが、言うことが判ってないと言うことではなかったです。確かに難しいですし、さらに中国が民主化したら反日になると言うことも実感できました。

<太田>

 支那人の特性については、コラム#220をご覧下さい。
 中共政府のこのところの対外政策の拙劣さ(コラム#2514(未公開)、2515。
http://newsweek.washingtonpost.com/postglobal/pomfretschina/2008/05/the_ugly_chinese.html(5月2日アクセス))と、国内のタガの緩み(
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-fukuyama29apr29,0,5376622,print.story。4月30日アクセス。このフランシス・フクヤマの論考は改めて取り上げたい)を見ていると、漢人は自己統治能力が欠如しているのではないかという、内藤湖南や津田左右吉の指摘を改めて思い出します。
 明を間に挟み、長期にわたってモンゴルと満州族という北狄、東夷の支配を受けたために、漢人の自己統治能力が失われたのか、そもそも、漢人の自己統治能力が欠如ないし減衰してたために北狄、東夷の支配に甘んじることになったのか、判然としませんがね。

<やいち>

 太田氏のライフワークの自衛隊についてですが、国際貢献と憲法問題を絡めて話される政治家ばかりで、私には分かりにくいものです。自民は、日米同盟の自衛隊活動の推進を言いながら、イラク給油は国際貢献で国連活動は集団的自衛権に抵触すると。社民は、自衛隊は合憲で、軍事活動は×。分かりにくい話ばかりです。
 自衛隊ができたのは、国際状況(朝鮮戦争)の中の損得でできたものであり、今も政治家の感覚だけで、自衛隊はこれ位の活動と言うのを感じて持っていて、それに憲法をくっつけているようにおもいます。今の皇国史観の親米も損得を考えての親米だとおもいますし、社会党の自衛隊合憲も損得の問題です。自衛隊(外交に含まれると思うのですが)の話は、まず損得だけで話してほしいと思ってます。損得を考えるとき太田氏のブログのように、参考になる情報源がインターネットに出てきて、いい事だと思います。
 憲法を授業で受けたとき、憲法は交戦権を否定し自衛権を否定するものでないと言うことで、自衛隊が合憲になり、自衛隊が存在することを知り、目から鱗が落ちました。国がやる気になれば、書いてないことは、出てきてもおかしくないと。集団的自衛権なんて憲法にはどこにも書いてなくて、解釈だけで出てきており、自衛権よりハードルは低いと。今までも損得で、現状に合わせてきたんだから、それでいいと思うんですが、最近は憲法の霞で、損得が見えなくなりそうです。議員さんも、憲法の話はされますが、まともな国際情勢の話を聞くことはありません。憲法何とか会より国際情勢の分析に力を注いでほしいように思います。石破議員も自衛隊とともに憲法の話が大好きです。
「もう解釈では持たない、きっちりどこまでできるか書くべきだ」と言うのが<石破氏の>持論ですが、きっちり書けて、きっちり守れると思えるなんて私には理解できないので嫌いです。

<太田>

 日本には成文憲法がない(コラム#2518)、と割り切るべきだ、というのが私の最近の結論です。
 だからといって、日本は損得ずくだけで対外政策を展開すべきだとか、それが許されるとかいうことにはなりません。
 やはり日本は、安倍政権じゃないけれど、自由民主主義の旗をアングロサクソン諸国とともに掲げて対外政策を展開すべきでしょう。しかも、それこそが中長期的に最も日本の国益に合致する、と私は信じています。
 ただし、そのためにも日本はまず、米国からの自立を果たさなければなりません。
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太田述正コラム#2525(2008.5.3)
<支那の体制(その1)>

→非公開

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