太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/

太田述正コラム#2475(2008.4.9)
<皆さんとディスカッション(続x107)>

<優子>

 モラルのない現代資本主義社会って犯罪と同じね。必ず罰を受けるよ。

<太田>

 こういう、言いっぱなしの投稿は、本来削除対象なのだけれど、ファイナンシャルタイムスの、現在の米英の資本主義がべらぼうな格差を米英にもたらしている、という(英文)記事にリンクを貼るために利用させていただきました。
http://uk.biz.yahoo.com/07042008/399/mind-gap.html
。4月8日アクセス

 本日の「皆さんとディスカッション」は、めずらしくテーマがおおむね一貫しており、このやりとりは、その冒頭にふさわしいと考えた次第です。

<読者MN>

 先日のトークライブは実り多かったご様子、祝着至極に存じます。
 また、金曜日から本を出されるとのこと、お慶び申し上げます。

 さて、コラム#2461「駄作史書の効用(その4)」(未公開)の最後半部においてご指摘になられた、欧州・オリエントとイギリスの違いに加え、さらに今回のコラム#2472「スコットランドと近代民主主義の起源(その2)」(未公開)での、イングランドと(欧州としての)スコットランド論は圧巻でした。
 ぷちぷち切れていたシナプスがつながったような感じです。
 また、コラム#2279「スコットランドの近現代への貢献(その1)」(未公開)と合わせて読むことにより、その鬼子としてのアダム・スミス、ヒュームの思想が我々も含めた後世の世界に如何に影響を与えているか、すごく頭の整理がつきました。ありがとうございました。

<太田>

 それはどうも。
 それにしても、米国のタータン記念日を知らなかったのは、私が米国に留学していた1970年代にはまだ制定されていなかったので申し開きができるとしても、1320年のスコットランド独立宣言・・米独立宣言や近代民主主義の淵源・・なるものの存在をつい最近まで知らなかったのは、まことにお恥ずかしい次第です。
 改めて思うのですが、イギリスのエリートに共有されているところの欧州(及び米国)蔑視意識のように彼らがあえて口にしないことのほか、スコットランド独立宣言のように英米では誰もが知っているので余り言及されないことも、日本には紹介されていない、ということです。
 (ただ、スコットランド独立宣言のことを教えてくれないなんて、日本の政治学の先生達は、不勉強でないとしたら不親切の極みですよね。)
 明治維新以来、日本人はせっせと英米人の書いたヨコのものをタテに翻訳して学んできたわけですが、それだけでは、われわれのアングロサクソン認識、ひいては世界認識は穴だらけだ、ということを忘れないようにしたいものです。

<読者MN>

 またしてもディプロで恐縮ですが 、
http://www.diplo.jp/articles06/0607.html
にデヴィッド・ヒューム(バーナード・マンデヴィルと)、アダム・スミスについての考察があります。

<太田>

 こいつは面白い。
 スタンフォード大学の政治学科の政治哲学のセミナーで、経済学は米国のイデオロギーである、という趣旨のペーパーを出したところ、教授が後日、「学部学生の息子が読んで感心しとったよ」と私に話してくれたことを思い出しました。
 それにしても、この論考に一切「純正」イギリス人が登場しないことは興味深いですね。
 どうやら経済学は、スコットランド人が、イギリス経済を観察してでっちあげた合理論的・演繹科学の最たるもののようで、その経済学が、肝腎のイギリスではなく、欧州と米国を席巻して現在に至っている、と考えればよいのかもしれません。
 おかげさまで、ひょっとすると私の、中断している「スコットランドの近現代への貢献」シリーズが再び動き出すかも・・。

<読者MN>

 また、コラム#2453でご指摘の、
>>頭に入れておくべき第二は・・これは私の考えですが・・、戦争に係る「総力戦」とか「無条件降伏の追求」は欧州文明の産物だということです。<<

というご考察に関して、改めてコラム配信がありますよう願っております。

 それにしても、先生の指摘はストライクばかりですね・・・圧倒されます。
 そこでふと思い出したのが下記の本であります

グランド・ツアー―英国貴族の放蕩修学旅行 (文庫)
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url?%5Fencoding=UTF8&search-type=ss&index=books-jp&field-author=%E6%9C%AC%E5%9F%8E%20%E9%9D%96%E4%B9%85> 本城 靖久 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A2%E3%83%BC%E2%80%95%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E8%B2%B4%E6%97%8F%E3%81%AE%E6%94%BE%E8%95%A9%E4%BF%AE%E5%AD%A6%E6%97%85%E8%A1%8C-%E6%9C%AC%E5%9F%8E-%E9%9D%96%E4%B9%85/dp/4122021804/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1207648447&sr=8-1
 これ、面白いですよ!

 ここで、アダム・スミスが国富論を書くにあたりパトロンとなったのがスコットランドのバックルー公爵家だった(スミスはここの令息の家庭教師と して”グランド・ツアー”に赴いた)という記載があります。へぇと思って少しぐぐってみますと、面白い記事を見 つけました(笑
http://fnmii.seesaa.net/article/59144204.html
 あまり関係なくてすみません。

<太田>

 本城氏言うところの『近代ツーリズムの誕生』の話は、以前(コラム#857で)したことがあるのですが、われながら意外なことに、『グランド・ツアー』の話の方はまだしていなかったようですね。
 私が「留学」した英国の Royal College of Defence Studies
http://en.wikipedia.org/wiki/Royal_College_of_Defence_Studies
は、Imperial Defence Collegeとして創設された当時は、旅行ばかりの課程だったと聞いたことがありますが、これもグランド・ツアーの伝統と無縁ではないような気がします。もっとも、いささかひねた「青年達」が対象でしたが・・。(私の当時でも、1年間の間に、世界の特定の地域への旅行1ヶ月、欧州旅行1週間、英国内旅行1週間、日帰り旅行は数知れず、といった具合でした。)

<読者MN>

 さてさて話は変わりますが、本山美彦氏(コラム#2453、2455)の講演抄録、短くて読み易かったです。
http://www.kokuminrengo.net/2005/200501-motoyama.htm
 また、RFIDにおけるEPCとU(ユビキタス)コードの対比について、とてもわかりやすくまとまったサイト(PDF文書)もありましたのでご案内いたします。
http://www.unisys.co.jp/tec_info/tr78/7806.pdf
 こんなのも。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0611/24/news018.html
http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/chushou/b_keiei/keieiseni/pdf/1908-01-01.pdf
(URL全て8日アクセスしました)

<太田>

 本山教授の講演抄録、これもバカ面白いですね。
 米国が経済学イデオロギーとむき出しの圧力で属国日本を思うがままに支配している実態が赤裸々に語られていてお奨めです。
-----------------------------------------------------------------

太田述正コラム#2476(2008.4.9)
<英米軍事トピックス(その2)>

→非公開

太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/