太田述正ブログは移転しました 。
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太田述正コラム#2443(2008.3.24)
<皆さんとディスカッション(続x94)>
<遠江人>
--日本の討論番組における問題点--
ディベートや討論をするにあたっては、ルールやマナーといったこと以前に、成立するための前提となる条件があると思います。
それは、各自が自分の主張や意見について、論証する責任を果たす、ということです。
当たり前の話ですが、それぞれの主張や意見について、その理由が論理的に明らかにされなければ、相手の考えを正しく理解することも反論することもできません。結論だけの意見、もしくは、論証をする機会が十分に与えられていない、ということでは、そもそも正常な判断や評価をすることはできません。論証責任を果たすことを互いに繰り返すことが、即ち、ディベートや討論そのものといっていいと思います。つまり前提として、全員に論証責任を果たす機会が約束されていなければなりません。
しかしながら、日本の討論番組で、その当たり前のことができている番組は皆無といえます。具体的にいうと、人が喋っている(論証責任の)最中にも関わらず、発言の区切りの、その発言が終わるか終わらないかの絶妙なところで、言葉を被せてきて強引に発言権を奪うということが横行しているからです。つまり、論証責任を果たす機会がそもそも約束されていないのです。これは、太田総理、そこまで言って委員会、朝まで生テレビ、NHKの特番討論番組等々、すべてそうです。テレビを見ていて、この馬鹿げたことが繰り返されるたび、いつもイライラします。
これらの番組は当然の帰結として、結論だけの意見が飛び交い、意見がろくに論証されることもなく、人の意見を正しく理解しようともせず、自分の持論を主張することばかりに終始する(時には感情的になって人格攻撃まで行われる)、ということになりがちです。
BSで海外の討論番組を見ていると、当たり前の話ですが、どんな意見であっても各自に論証責任を果たす機会が与えられ、それを繰り返すことにより議論が深まっていきます。日本の討論番組は、基本的に討論ではなく意見の言い合いだから、議論が深まるはずもありません。所詮、議論のための番組ではなく視聴率のための番組だということなのでしょうが、この惨憺たる有様には本当に辟易させられます。
結局のところ、何が言いたいかというと、チャンネル桜は、論証責任を果たす機会がきちんと与えられていたので、その点については率直に評価できる、ということです。
(参考:高校生のための論理思考トレーニング(ちくま新書))
<石山みずか>
コラム#1364「イスラムにスピノザなしを読みました。
スピノザは神学・政治論で出島のヨーロッパ人は幸福に暮らしていると書いています。
オランダ人は出島や江戸でオランダでは考えられないほど保護されて多神教の日本で暮らせたようです。このことはどのように考えられるでしょうか。
<太田>
面白そうですね。ぜひもう少しかみ砕いた問題提起をしてください。
<慰安婦問題についてですが>
コラム#1717「慰安婦問題の「理論的」考察(番外編)(続)」を読みました。
これは御覧になりましたか?
市民団体が慰安婦の軍の関与を示す資料を公表
http://www.videonews.com/press-club/0704/001048.php
<太田>
「外国特派員協会で・・林博史氏は、東京裁判でオランダや中国、フランスの検察団から慰安婦に強制性があったとする証拠書類が提出され、判決でも証拠として認定されていた事実を指摘した上で、東京裁判の時点で慰安婦の強制性は既に明らかになっており、サンフランシスコ平和条約第11条で戦犯裁判の判決を受諾している以上、日本政府は従軍慰安婦の犯罪性と強制性を認めなければならないと述べた。」と具体的に指摘していただきたかったですね。
「強制性」については、「官憲による強制性」を裏付ける史料や第三者の証言は存在しないと私は承知しています。そうではない、とおっしゃるのなら、具体的な史料や第三者の証言をご提示いただきたいと思います。
なお、平和条約の拘束性の問題と、史実が何であったかという問題とは切り離すべきでしょう。
<友人TK>
現在の状況は許しがたいですね。
「年金大崩壊」(岩瀬辰哉)講談社ブックを読みました。
これは不愉快な話なので元気なときに是非おすすめですね。
天下り官僚制度維持の手口はいくつかの共通パターンがありますが、年金官僚は更に巧妙ですね。
グリーンピア関連手口:有力政治家・大臣・官僚の地元を選んでグリーンピアをたくさん作って反対されにくくした。安い土地を事前に買い占めて土地転がしで稼いだ。もともと不毛な土地で単価が安いのでバレない。グリーンピアふくめ関連施設などは決して黒字にしない。自分たちの責任追求されないように年金流用での清算をあっという間に完了。
年金統合関連手口 :赤字だった国鉄、農林関連はきっちり厚生年金へ統合したきり決して自分たちの公務員年金の統合を促進しない。
厚生年金関連手口 :破綻するといって積み立てを取り崩ししないで厚生年金値上げと60歳からの支払い遅延など繰り返し行って利権温存。天下り先への発注に際し見積もり金額を高くし年金流用で天下り費用を確保。
などなど。
太田君は今週太田総理の番組「テーマ:天下り」では期待していましたが ほとんど発言が放映されなかったですね。
「西南戦争」(小川原 正道)中公新書も読み終えたばかりですが、それにしても、福沢、西郷みたいな人が現れないかな・・。
<太田>
民主党が政権を奪取した後のことまで考えて、天下り問題・・政官業癒着構造の問題・・について、怒り心頭の国民の皆さんに少し冷静になってもらおうという趣旨の発言をこのところ行っているのですが、時期尚早だったかなあ。
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太田述正コラム#2444(2008.3.24)
<イギリスと欧州・日本と米国(その1)>
→非公開
<皆さんとディスカッション(続x94)>
<遠江人>
--日本の討論番組における問題点--
ディベートや討論をするにあたっては、ルールやマナーといったこと以前に、成立するための前提となる条件があると思います。
それは、各自が自分の主張や意見について、論証する責任を果たす、ということです。
当たり前の話ですが、それぞれの主張や意見について、その理由が論理的に明らかにされなければ、相手の考えを正しく理解することも反論することもできません。結論だけの意見、もしくは、論証をする機会が十分に与えられていない、ということでは、そもそも正常な判断や評価をすることはできません。論証責任を果たすことを互いに繰り返すことが、即ち、ディベートや討論そのものといっていいと思います。つまり前提として、全員に論証責任を果たす機会が約束されていなければなりません。
しかしながら、日本の討論番組で、その当たり前のことができている番組は皆無といえます。具体的にいうと、人が喋っている(論証責任の)最中にも関わらず、発言の区切りの、その発言が終わるか終わらないかの絶妙なところで、言葉を被せてきて強引に発言権を奪うということが横行しているからです。つまり、論証責任を果たす機会がそもそも約束されていないのです。これは、太田総理、そこまで言って委員会、朝まで生テレビ、NHKの特番討論番組等々、すべてそうです。テレビを見ていて、この馬鹿げたことが繰り返されるたび、いつもイライラします。
これらの番組は当然の帰結として、結論だけの意見が飛び交い、意見がろくに論証されることもなく、人の意見を正しく理解しようともせず、自分の持論を主張することばかりに終始する(時には感情的になって人格攻撃まで行われる)、ということになりがちです。
BSで海外の討論番組を見ていると、当たり前の話ですが、どんな意見であっても各自に論証責任を果たす機会が与えられ、それを繰り返すことにより議論が深まっていきます。日本の討論番組は、基本的に討論ではなく意見の言い合いだから、議論が深まるはずもありません。所詮、議論のための番組ではなく視聴率のための番組だということなのでしょうが、この惨憺たる有様には本当に辟易させられます。
結局のところ、何が言いたいかというと、チャンネル桜は、論証責任を果たす機会がきちんと与えられていたので、その点については率直に評価できる、ということです。
(参考:高校生のための論理思考トレーニング(ちくま新書))
<石山みずか>
コラム#1364「イスラムにスピノザなしを読みました。
スピノザは神学・政治論で出島のヨーロッパ人は幸福に暮らしていると書いています。
オランダ人は出島や江戸でオランダでは考えられないほど保護されて多神教の日本で暮らせたようです。このことはどのように考えられるでしょうか。
<太田>
面白そうですね。ぜひもう少しかみ砕いた問題提起をしてください。
<慰安婦問題についてですが>
コラム#1717「慰安婦問題の「理論的」考察(番外編)(続)」を読みました。
これは御覧になりましたか?
市民団体が慰安婦の軍の関与を示す資料を公表
http://www.videonews.com/press-club/0704/001048.php
<太田>
「外国特派員協会で・・林博史氏は、東京裁判でオランダや中国、フランスの検察団から慰安婦に強制性があったとする証拠書類が提出され、判決でも証拠として認定されていた事実を指摘した上で、東京裁判の時点で慰安婦の強制性は既に明らかになっており、サンフランシスコ平和条約第11条で戦犯裁判の判決を受諾している以上、日本政府は従軍慰安婦の犯罪性と強制性を認めなければならないと述べた。」と具体的に指摘していただきたかったですね。
「強制性」については、「官憲による強制性」を裏付ける史料や第三者の証言は存在しないと私は承知しています。そうではない、とおっしゃるのなら、具体的な史料や第三者の証言をご提示いただきたいと思います。
なお、平和条約の拘束性の問題と、史実が何であったかという問題とは切り離すべきでしょう。
<友人TK>
現在の状況は許しがたいですね。
「年金大崩壊」(岩瀬辰哉)講談社ブックを読みました。
これは不愉快な話なので元気なときに是非おすすめですね。
天下り官僚制度維持の手口はいくつかの共通パターンがありますが、年金官僚は更に巧妙ですね。
グリーンピア関連手口:有力政治家・大臣・官僚の地元を選んでグリーンピアをたくさん作って反対されにくくした。安い土地を事前に買い占めて土地転がしで稼いだ。もともと不毛な土地で単価が安いのでバレない。グリーンピアふくめ関連施設などは決して黒字にしない。自分たちの責任追求されないように年金流用での清算をあっという間に完了。
年金統合関連手口 :赤字だった国鉄、農林関連はきっちり厚生年金へ統合したきり決して自分たちの公務員年金の統合を促進しない。
厚生年金関連手口 :破綻するといって積み立てを取り崩ししないで厚生年金値上げと60歳からの支払い遅延など繰り返し行って利権温存。天下り先への発注に際し見積もり金額を高くし年金流用で天下り費用を確保。
などなど。
太田君は今週太田総理の番組「テーマ:天下り」では期待していましたが ほとんど発言が放映されなかったですね。
「西南戦争」(小川原 正道)中公新書も読み終えたばかりですが、それにしても、福沢、西郷みたいな人が現れないかな・・。
<太田>
民主党が政権を奪取した後のことまで考えて、天下り問題・・政官業癒着構造の問題・・について、怒り心頭の国民の皆さんに少し冷静になってもらおうという趣旨の発言をこのところ行っているのですが、時期尚早だったかなあ。
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太田述正コラム#2444(2008.3.24)
<イギリスと欧州・日本と米国(その1)>
→非公開
太田述正ブログは移転しました 。
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