太田述正コラム#2387(2008.2.26)
<皆さんとディスカッション(続x73)>

<まこっちゃん>

23日午前のフジテレビの番組、見ました。
 番組の最初からVTRで簡単な事故の様子の説明がされた後、太田さんが登場されました。
 「背広組が制服組の上にいることが事件の解明が進むことを難しくしている。」といった内容のコメントが紹介されました。
 (その前にも解説がありましたが内容は忘れました。すみません。)
 自宅の部屋と思われるところでの取材で、出演時間は20秒くらいでした。
 太田さんの解説の後、「石破大臣は辞任すべきか」ということに関し、司会者、出演者がひととおりコメントした後、視聴者から「石破大臣は辞任すべきか否か」で電話投票を募る流れになってしまいました。
 これ以降は見ていません。
 司会者は小倉智明、出演者は森永 卓郎、山本モナ、品川庄司、元共同通信社記者(名前失念)。敬称略。
 出演者は自衛隊は情報を隠している、けしからん、たるんでる、大臣はすぐに辞任すべき、と(やや感情的、扇情的な)意見が大勢でした。
 山本モナだけは海には一般人にはわからない海のルールがあるかもしれないから判断は難しい、とコメント。
 以上、報告でございます。

<太田>

 どうもご報告ありがとうございました。
 どうやら、私の発言(コラム#2380)中、もっとも無難な部分だけを放送したようですね。
 まあ無理からぬところがありますが・・。

<田吾作>

 --「イージス艦あたご事件」と変動する枠組みについて--

 航路の使用権は特定の場所では希少資源化しており、そこでの優先使用権を決定する法則は何かというのが私の問題意識です。使用権を行使する事によりどれほどの価値を生み出すのかという事が判断の基準になるだろう、より少ない価値しか生み出さない者はより多くの価値を生み出す者とのコスト競争に敗れて淘汰されるからだというのが私の仮説です。
 特定の海域に於ける航路の使用権について最大限界はあるのか、あるとしたらその条件はなにか?
 私の考えでは、船体は重量と速度によつて発生する運動エネルギー(仕事をする能力)を持っており、緊急事態の場合それを安全に消費する(停止する、特別の場合として舵を切る)能力が最大限界を決めるだろうと思います。自動車の場合は運動エネルギーをブレーキによる摩擦によって熱エネルギーに変換して空中に放散する事により停止しますが、船体の場合はスクリューの逆回転により逆向きの推進力を船体に与えますが、結局運動エネルギーを熱に変換して海水中に放散する事により停止させる事になると私は考えます。 大雑把に言えば、船体の(方向も考慮した)停止距離を特定の海域に於ける航路内で合成した総量が最大限界を決め、運動エネルギーの大きな船体ほど使用権を余分に消費するだろうと私は考えます。
 大型船を小型化・低速度化し、便数を減らせば航路内の安全性は高まると言う結論になるのですが、現実は逆の方向に向かっているというのが変動する枠組みの問題です。原因は世界的競争の中で上記の方法をとると高コスト化を招き競争に敗れて淘汰されるからだというのが私の仮説です。
 現実の方向を強化して生き残ろうとすれば、大型化・高速度化・増便を招き、航路の使用権を大型船が独占する事態になり、30万トンクラスの船舶が狭い場所を頻繁に往来する時に、条件次第では進路を横断する可能性はなくなる事も視野に入れて考える必要があると私は考えます。
 現在石油タンカーによって、ボスポラス海峡(黒海と地中海)、ホルムズ海峡(ペルシャ湾とアラビヤ海)、マラッカ・ロンボク海峡、等において価値判断の基礎となる記録が蓄積され、特定の場所での航路の優先使用権はいずれは国際標準が形成されると私は考えます。

<太田>

 要するに、大きな船は回避するにも減速するにも大きなエネルギーを「浪費」することになるので、交通が錯綜する海域では大きな船に航路優先権が与えられるべきだ、とおっしゃっているわけですね。
 これは、大きな船は回避するのも減速するのも容易なことではないので、小さな船が回避したり減速すべきではないか、実際問題としてそうしているのではないか、という私の問題提起にも相通じる考え方ですね。
 ただし、今回、あたごの相手は漁船船団であり、そうなると、どちらが「大きい」か、一義的な判断はむつかしそうです。
 

<日本における自殺>

>どうして1997年には24,391人だった自殺者数が1998年に32,863人へと急増した理由は定かではないが、学校におけるいじめの増加とネット心中の登場のためではないかとされている。世界最初のネット心中は2003年に日本で出現した。(コラム#2383)

 実に初耳です。
 19歳以下の自殺率は、90年のバブル前後こそ例外的に低いですが、1965年以降ほとんど変化しておりません。
 一貫して、他のすべての世代よりもたいへん少ないです。
 ガーディアンという報道機関は日本国家の統計すら参照しないのでしょうか。
 また、ネット心中は報道されるくらい珍しいものだと思いますが。
 首つりや飛び込みが報道されますか?

<太田>

 マスコミの報道には事実関係の誤りがつきものです。(例えば、ミシュラン東京についてのワシントンポストとニューヨークタイムスの記事(コラム#2383)中の私の「誤訳」以外の相違点参照。)
 ただし、しいてガーディアンの肩を持てば、私が「集団による個人へのいじめ」であるbullyingを「学校におけるいじめ」と訳したのが不適切だったかもしれませんし、ネット心中の登場については、世界では少ないところの親子心中(コラム#782)や恋人同士の心中、すなわち集団による自殺(部分的に殺人を伴う)の新しい発現形態としてガーディアンが言及した、とも考えられます。
 なお今気がついたのですが、「世界最初のネット心中は2003年に日本で出現した」は明らかに不正確です。
 最初の出現は韓国で2000年ですから(コラム#783)。
 いずれにせよ、議論をする時には典拠をつけてくださいね。

<有料読者HM>

 いつもコラム拝見させていただいています。
 本当に多方面の知識、勉学のすごさに驚きこれがキャリアと言う人のすごさにビックリしています。凡人の僕らとは本当に違いますね。
 コラム勉強になります。投稿したいのですが僕のレベルではとても恥ずかしくて質問される方にも感心しています。
 今後もご活躍を期待しています。
 お体気をつけてくださいね。

<太田>

 お気遣い痛み入ります。
 ご遠慮なくご投稿下さい。
 日本の弥生化のためには日本を言挙げする国にしなければなりません。
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太田述正コラム#2388(2008.2.26)
<米キリスト教原理主義退潮へ?(その1)>

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