太田述正コラム#2313(2008.1.21)
<日本の若者達の劣化>(2008.2.22公開)

1 始めに

 今時の若い者は、と年寄りはいつの時代でも、またどんな場所でも言い続けてきたわけですが、現在の日本の若者達をこのままにしておいてよいのでしょうか。
 先般、月刊宝島の取材を受けた際にもらった2月号の「バカ化する若者」特集等を材料に、日本の若者達の憂うべき現状をご紹介しましょう。

2 日本の若者達の劣化

 (1)無欲さの亢進

 「今の20代前半は、・・物欲を示さず、出世欲を抱かない。<例えば、彼らは>・・クルマ・・<に>興味を示さない。・・またパソコンですら、ビジネス上では難なく使いこなすものの、20代による家庭からのネットアクセス率は減少し続けている(注1)。

 (注1)19歳以下は漸増、30歳代は漸減傾向にある。現在の20歳代のネットアクセス率は、(漸増傾向にある)50歳代とほぼ同じレベル。

 彼らは私的なコミュニケーションのほとんどを携帯電話で行っているため、わざわざ自宅に回線を引き、自宅用のパソコンを買う必要性を感じていないのだ(注2)。

 (注2)もっとも、これを嘆くべきかどうかは、携帯小説の急成長(
http://www.nytimes.com/2008/01/20/world/asia/20japan.html?ei=5087&em=&en=9275f067f59eb69c&ex=1200978000&pagewanted=print
。1月21日アクセス)といったことをどう評価するかとも関わってくる。(太田)

 <若者達が無欲になった原因としては、>まず、・・富が高齢者層に大きく遍在している(注3)ことが挙げられる。・・<そして、>お金がなくても暮らしていける環境がある<こと>・・が、・・2つ目の要因だ。」

 (注3)各年齢層のうち、30歳未満と30歳代だけが負債が貯蓄を上回っている。

 これは大前研一氏の言ですが、氏は、「20代の無欲な世代には、・・強い、何らかの不安感があるのかもしれない」と氏自身、原因を十分把握できていないことを示唆しています。(28〜29頁)
 
 (2)学力の低下

 15歳児を対象として世界的に行われてきた学力調査によれば、2000年と2006年では、総合読解力では8位から15位へ、数学的リテラシーでは1位から10位へ、科学的リテラシーでは2位から6位に落ちています。
 その原因は第一に、1992年の指導要領改訂で、個性を生かす教育という考え方が打ち出され、小学校低学年での理科・社会が廃止され、トータルの授業時間も削減されたこと、第二に、2002年の指導要領改訂で、ゆとり教育が打ち出され、授業時間数が大幅に削減され、「総合的な学習の時間」が導入されたことであると立命館大学教授の陰山英男氏が指摘しています。(30〜31頁)
 学力の低下に限っては、これだけ原因がはっきりしている以上、対策を講じることも不可能ではないでしょう。

 (3)国際的に見て異常なまでの向学心の低さ

 一流大学への進学意欲を持つ高校生の割合は、日・韓・中・米4か国中、日本が最下位であり、逆に、一流大学に進学する意味がないとする日本の高校生は10.8%で、2位の中国(7.2%)を引き離してトップです。(33頁)
 
 (4)社会貢献度の低下

 約10年前には日本の献血者の全体の半数近くを占めていた10〜20代が激減し、2006年には約3割になってしまいました。(33頁))
 
 (5)政治参加度の低下

 「宝島」以外の資料にもあたってみましょう。

 「近年の世代別投票率の推移だが、・・1980年ごろを境に、20代、30代の若者の投票率が他の世代に比べ相対的に低下していることが指摘されている。豊かな社会の到来と脱イデオロギー化を理由としてあげているが、若者の投票率の低さは深刻といえよう。・・・
 日本、韓国、アメリカ、スウェーデン、ドイツ・・<を対象とする調査>によると、日本の青少年の政治への関心は「非常に関心がある」が6.5%、「まあ関心がある」が 40.2%であり、「関心がある」グループの割合は他の国と比べ低いということはない。ただ、「非常に関心がある」は5か国中最低であり、日本の若者が政治にある程度の関心を持ちながらも強い関わりを持たない現状が見てとれる。」(
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/lab/ichikawa/johoka/2006/group1/seiji.html
。1月21日アクセス)

 (6)国際的に見て異常なまでの悩みのなさ

 「中学1年生から24歳までの青少年の悩みや心配事に関する平成8年の統計では、悩みの上位3つは「勉学や進学」、「就職」、「お金」である。 特徴的なのは「悩みや心配事はない」という回答の多さである(中学生男子46.1%、中学生女子41.3%、15〜17歳男子33.2%、15〜17歳女子28.3%、18〜21歳男子33.6%、18〜21歳女子32.3%、22〜24歳男子35.2%、22〜24歳女子43.0%)。千石<保>はこの状況を、世界青少年意識調査による「悩みや心配事がない」という回答が約1割だったアメリカと比較し、日本の青少年の悩みや心配事のなさは異常でさえあると懸念している。」(
http://www.ambitious.pref.fukuoka.jp/chousa/kenkyuu/ken-21-1-1.htm
。1月21日アクセス)
 その考えられる原因について、坂本真由美氏は3つ挙げているところ、余り説得力があるとは思いませんが、関心ある方は参照してください。

3 私の見解

 大前研一氏や坂本真由美氏の説明の切れ味が悪いのは、恐らくお二人とも縄文人だからでしょう。
 縄文人に強いシンパシーを覚えつつもあえて弥生人たらんと努めている私に言わせれば、2の((2)を除く)(1)、(3)、(4)、(5)、(6)はすべて、日本が半世紀にもわたって米国の属国であり続けた結果、日本人がついに家畜化・・思考能力が低下・・し始めたことの現れなのです。
 言うまでもなく、現在の若者の姿は、将来の日本人の全世代の姿です。
 残された時間はほとんどありません。
 心ある皆さん。一日も早く日本人の多くを覚醒させ、日本の「独立」を勝ち取ろうではありませんか。

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