太田述正コラム#2364(2008.2.14)
<皆さんとディスカッション(続x64)>

<ueyama>

 福田昭夫氏(民主党衆議院議員)がvideonews.com(有料)の角谷浩一氏のインタビューで、日本はとにかく米国から独立し(独立という表現はあまりしていませんでした。1、2度言っていましたが、口を滑らせた、という感じかもしれません)、自分の国は自分で守るという当たり前のことをしなければならない、と力説していました。
 現役代議士からこういう言葉を聞いた記憶がほとんどなかったもので、ちょっと新鮮でした。その他の発言も明瞭で拝聴に値するものだったと思います(福田氏のバックボーンに関しては一切存じ上げませんが)。正直言うと上記サイトは金を払うに値するコンテンツはそれほど多くないと思いますが、今回に関しては、あきらめないで(笑)金を払い続けていてよかった、という感じでした。宣伝みたいですけど。
 角谷氏は福田氏の発言を(がんばって?)民主党の意見として解釈しようとされていたようですが、そうではないんでしょうねぇ。。

<太田>

 昨年11月22日の朝、民主党「次の内閣」外務防衛部門会議で講演した際、「講師は、自分の国は自分で守るらなければならないということをおっしゃっていると理解してよろしいですか」と質問した男性議員がいました。
 ちょっと違うのだけれど、面倒なので「そのように受け止めていただいて結構です」と答えておきました。
 今にして思うと、口調からして福田議員っぽいですね。
 いずれにせよ、民主党に党としての安全保障政策がないことはご指摘の通りです。

<一般読者>

 コラム#2360「唯一の超大国米国の黄昏(その2)」についてですが、チャイナ(中国)の軍事大国化の行方については非常に興味があります。
 例えば東シナ海ガス田においてチャイナが日本に譲る(日本と協調する)可能性はあるのでしょうか?
 チャイナ、少なくとも軍は、いわゆる第一列島線内海域のガス田を拠点として制海、制空権を掌握する戦略であって、日本側と協調する可能性はゼロではないかと思われるのですがいかがでしょうか?
 一方、福田総理は、ガス田におけるチャイナとの協調、取り決めを福田政権の成果に仕上げようとなし崩し的な妥協を進めているようにも見え、日本の安全保障上も極めて危うい外交を進めている可能性も感じられます。

<太田>

>第一列島線内海域のガス田を拠点として制海、制空権を掌握する戦略

が中共にあるとは私は考えていません。
 ガス田の確保は、軍事安全保障上の観点からではなく、エネルギー安全保障上の観点から推進されている、と理解すべきでしょう。
 中共が本格的な外洋海軍保持を目指しているかどうかのメルクマールは、中共が2隻以上の本格空母の整備に着手するかどうかでしょう。

<コバ>

 民主党前原氏が、日本と台湾の政治レベルの交流促進を提唱した(
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20080213-320877.html
)ようですが、日本と台湾が関係を正常化するにはどんな問題があるのでしょうか。現状では、中国か台湾かどちらか、で日本は中国だけ選んでいる状況だと思いますが・・。日本は台湾も中国も、両方を友邦として信頼関係を深めることはできないものでしょうか。
<太田>

 前原さんは、しばらく謹慎されていた方がよろしいのでは・・。
 さて、現状でもある意味、日本と中台両国との関係は正常です。
 日本と台湾が正式な外交関係をとり結ぶことをもって両国の関係の正常化であるとお考えなのであれば、これは台湾が中華民国から「独立」しない限り不可能であり、台湾国民がそのような決断を行うことが大前提になります。
 なお、日本が集団的自衛権を行使できるようになることは、台湾国民にかかる決断をしやすくする環境を醸成することにも資すると思います。

 話は変わりますが、蒋介石の息子の蒋経国・台湾総統が、1986年6月と87年3月に密使を中共に派遣し、トウ小平や蒋の1920年代のモスクワ・中山大学留学仲間の楊尚昆と、中台統一を射程に入れた交渉をさせたという話が産経新聞電子版(
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080214/chn0802140328001-n1.htm
。2月14日アクセス)に載っていました。
 蒋経国は、1986年9月、新政党「民進党」の創設を容認し、87年7月には1949年以来の戒厳令を解除し、88年元日には報道規制を解除して野党民進党への柔軟姿勢を示す一方で、87年11月には対中民間交流の解禁を決定し、「接触せず、交渉せず、妥協せず」という「三不」政策を放棄し、統一交渉に臨む態勢に入ったとみられたところ、1月13日、蒋が急死してしまったことや、中国共産党が中国国民党に弔電を送り、「一つの中国を堅持し、台湾の独立に反対した」と蒋を高く評価したこと、もこの記事に出てきます。
 こうなると、蒋が1984年に本省人(台湾出身者)の李登輝を副総統に指名したのも、民進党への柔軟姿勢とあいまって、本省人を懐柔しつつ中共との統一交渉に臨もうとしたためだと見るべきなのかもしれません。
 そうなると、私の蒋経国への高い評価(コラム#1015)は訂正すべきかも。

<Yoshu>

>空母の母港を青森県のむつ市の外海側に移し、空母艦載機部隊は同じ青森県の三沢市に移駐させる一案を提示していることは、ご承知のことと思います。(コラム#2362)

 この太田さんの意見を読み、またまたNHKスペシャル
http://www.nhk.or.jp/special/
日本とアメリカ1月27日放送の“深まる日米同盟”の中での北朝鮮のミサイルの脅威に対抗しようと、急速に配備が進むミサイル防衛の話しを思い出しました。
 配備海域が、日本側は、北朝鮮に近い日本海海域でしたが、アメリカ側は、アメリカに北朝鮮から発射されたミサイルを撃ち落とすには、秋田から函館沖の日本海海域がよいと、訓練では、配備したそうです。
 そういうことなら、太田さんのおっしゃる青森県のむつ市外海側に米空母の母港を移し、空母艦載機部隊は同じ青森県三沢市に移駐させる方が、コスト面にしても時間的にも、有効な気がします。

<太田>

 せっかくのご指摘ですが、日本列島を母港にしている米空母の行動海域はインド洋から西太平洋全域であり、母港の位置や艦載機部隊の母基地の位置と空母部隊の作戦とを直接リンクさせて議論するわけにはいきません。
 もちろん、空母を護衛しているイージス艦から大陸間弾道弾を迎撃するミサイルを発射することは可能ですが・・。

 ところで、「『律令/ボーンズ』掲示板」(
http://8706.teacup.com/uedam/bbs
)で、管理人(?)の植田さんという方が、しばしば私のコラムを好意的にとりあげておられます。お時間があれば、
http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=20&BD=17&CH=5
http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=10&BD=17&CH=5
等をご覧下さい。
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太田述正コラム#2365(2008.2.14)
<オーストラリアの原罪(その1)>

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