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太田述正コラム#2362(2008.2.13)
<皆さんとディスカッション(続x63)>

<ケンスケ2>

 コラム#2346「唯一の超大国米国の黄昏(その1)」についてですが、親に守られている間は,未成年者は自立を求めて反抗しますが、親に保護する力がなくなったとき、本当に自立して生きていくことは大変なことです。
 膨大なコスト負担を要求されます。
 その中でかつての欧州史の中で、列強がせめぎ合う中にほぼ1世紀にわたり、繁栄を維持したオランダの生き方に、学ぶものがあるように思います。
 どの一国も世界の覇権を独占することがないなら、ベネチアやオランダ、あるいは戦国期の堺のような生き方が可能な時代が来るのかも知れないと思うのです。
 60億の世界の中で、1億の人口しか持たない国であっても・・。

<太田>

 17世紀におけるオランダの全盛期を正面から取り上げたコラムをいずれ書きたいと思っています。
 
<ケンスケ2>

 コラム#2356「防衛省キャリアの会計音痴(続々)」を読みました。
 これが太田さんの怒りの大本でしょうね。
 自衛隊を米軍の下請け組織とすることを容認しておきながら,諸外国で一人前の軍の幹部であるかのように振る舞うことは,本当に辛いことでしょう。
 しかしこれからは米国の覇権の弱体化の中で,国民もこの組織に明確な任務を示すことになると思います。
 本土防衛と,海外諸活動を通じたグローバル情報の収集と言ったところでしょうか。
 在外資産や自国民の保護は不可能ですから。

<太田>

 見通しうる将来にわたっての日本の国益にとって、在外資産/自国民の保護はもとより、本土防衛よりも重要なのは、法の支配の確保と自由・民主主義の維持・推進という観点からの軍事力を用いた国際貢献であると私は考えます。

<TKaw>

 (最近このblogを知った者です。有料購読者にまだなっておりません。考え中です。)
 私は、環境にはまったくの素人ですが、

>少なくともEUや米国に関しては、そのような政策は、地球温暖化防止という観点からは、完全に逆効果であることが科学的にはっきりしたようです

 この引用先ニューヨークタイムスの根拠になっているScienceの論文は、まだScienceExpressに置かれている(つまり発行号数やページがきまっていないがインターネットでの購読者のみ読める)論文で、"Land Clearing and Biofuel Carbon Debt", Fargione et al.のことだと思います。
 先日、ニューヨークタイムスに限らず他の科学系のネットニュースでもこの論文をもとに、Biofuel(バイオ燃料)の見直しを促すような記事を読みました。
 私が読む限り、この論文が言っているのは、「森林や泥炭地を、バイオ燃料のための耕作地にすることは、当面のCO2排出量の収支からみてあきらかに良くない」ということと、「abandoned agricultural lands(休耕地のこと?荒れ農地?)でのバイオ燃料のための穀物栽培」や「waste biomassをバイオ燃料の材料に使う」ことは、「COs排出量の収支からみて良い」ということです。
 ところが太田さんが引用されている記事も含め、「バイオ燃料が石油燃料より悪い」に焦点をあてすぎていて、後半の「休耕地の復活は、良い」の部分が、軽視されているような印象を受けます。
 以下、典拠となるもと記事が思い出せないのですが、(確か東大総長の小宮山さんの本だったと思います。以下の記事の最後のページにちょっとだけ触れられている
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/report/09a/index.shtml
日本は、減反政策をやめて米の休耕地を復活させ、バイオ燃料のもととすれば良いという、そういう動きがあるというのを読んで、感心したことがあります。とてもいいアイデアだと思いました。

>少なくともEUや米国に関しては、・・逆効果

と、限定されているのは、そのような日本の動きのことに含みをもたしておられるのでしょうか。

もっとも、いまネットを検索しましたら、
http://www.teamrenzan.com/archives/readers/takahashi/post_317.html
なるページに、日本のすべての休耕地を米や菜種にし、日本の廃食用油とあわせても、年間軽油の1.6%から2.5%にしかならない、と書かれていますから、この記事を信用すれば、根本解決からはほど遠いようです。
なお、わたしが住んでいるカリフォルニアのバークレーでは、近所の人から廃油を集めて、ディーゼル用に使えるようにして売っている人がいて、私の友人などは、安い燃料でディーゼル車を使用したりしています。

<太田>

>少なくともEUや米国に関しては、・・逆効果

は、引用したニューヨークタイムスの記事が、ブラジルのサトウキビからのバイオ燃料生産は良いとしていたからです。「waste biomassをバイオ燃料の材料に使う」のが良いことも念頭にありましたが・・。

 なお、長文の投稿は、太田述正掲示板にお願いできればと思います。

<紀子>

 始めまして。貴殿のブログは、人気ブログランキングの政治版で知りました。
 日本の将来を思う太田様が、学会員と思われる方から告訴されて負けたことを知り、憤りを感じました。創価学会は、大変恐ろしい集団です。政治だけでなく司法の場や官僚などいろんな所に、学会員を送り込みもしなにか言えばすぐに告訴したり、集団で嫌がらせする団体です。彼らは、そう洗脳されていて、フランスではカルトと認められました。ですからどこに学会員が潜んでスパイしているかわからないので、気をつけて下さい。

<太田>

 私を訴えた千葉英司氏が創価学会員であるかどうかは存じませんが、千葉氏のこの訴訟は、東村山事件と千葉氏の名前を全国に広げるとともに、ご指摘のような創価学会についての印象を一般の方々に与えた、という点で千葉氏にとっても非生産的だったと思います。
 より問題なのは、千葉氏を勝訴させた東京地裁と東京高裁です。
 私の側があらゆる抗弁を提示し得なかった(コラム#2336)という憾みはあるとしても、日本の裁判所がインターネット上の公共性のある言論の実態と意義を十分理解していないことは明かであり、この結果、日本の言論の自由が著しく制約されることになったからです。

 話は変わりますが、私が、米空母の母港を青森県のむつ市の外海側に移し、空母艦載機部隊は同じ青森県の三沢市に移駐させる一案を提示していることはご承知のことと思います。(コラム#2247、2249、2251、2255(以上公開済)、2349(未公開))
 地図上で距離が測定できる
http://www.mapion.co.jp/route/
で、横須賀と岩国の間、それと横須賀と青森県三沢の間を計ってみたら、前者は約690km、後者は約610kmでした。
 仮に米空母の母港を横須賀から動かさない場合でも、横須賀からは三沢の方が近いわけです。
 それなら、歓迎されない岩国ではなく、「歓迎される」三沢にこそ艦載機部隊を移駐させるべきだと思いませんか?

 おまけで米国の大統領予備選の最新状況にも触れておきましょう。
 スーパーチュースディ以降の8箇所(首都ワシントンとバージン諸島を含む)での党員集会や党員投票において、オバマ候補がクリントン候補に立て続けに勝利しました。
 この結果、獲得代議員数でオバマはついにクリントンを再逆転した(
http://www.cnn.com/ELECTION/2008/primaries/results/scorecard/#val=D  
。2月13日アクセス)ばかりでなく、最近の党員投票では、オバマが民主党のあらゆる支持層でクリントンを上回る状態になりつつある(
http://blog.washingtonpost.com/livecoverage/2008/02/potomac_primary_democrats.html?hpid=topnews  
。2月13日アクセス)ことから、オバマが指名を獲得するに至ることは間違いないという声が出てきています。
 この背景には、共和党の方の大統領候補がマケインにしぼられた現在、マケインと戦う場合にオバマとクリントンのどちらが有利か、ということを民主党予備選への参加者達が真剣に考え始めたということがあると私は思います。
 かつて勇敢な戦士であったマケインに対するに軍事問題の専門家でもあるクリントンがふさわしいのか、対イラク戦に反対し、しかも年配のマケインよりはるかに若いオバマがふさわしいのか、という選択(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/02/08/AR2008020802556_pf.html
。2月11日アクセス)です。
 民主党予備選への参加者達は、マケインに対してはオバマがより有利であるとの世論調査(
http://www.cnn.com/2008/POLITICS/02/08/20008.matchups.schneider/index.html
。2月10日アクセス)に影響されているということが、大いにありうるのではないでしょうか。
 どうしてそんな世論調査結果になるのでしょうか。
 本選挙となれば、黒人に対する偏見よりも女性に対する偏見が勝敗をより左右するだろうと多くの人々が思っているのではないか、と示唆しているニューヨークタイムス論説(
http://www.nytimes.com/2008/02/10/opinion/10kristof.html?ref=opinion&pagewanted=print
2月10日アクセス)があります。
 この論説は、エジプトのハトシェプト(Hatshepsut)やクレオパトラ(Cleopatra)、支那の則天武皇(Empress Wu Zetian)、スペインのカスティリア王国のイザベラ(Isabell)、イギリスのエリザベス1世、ロシアのエカテリーナ(Catherine)大帝、オーストリアのマリア・テレジア(Maria Theresa)等、君主国においては、総じて女性の君主の方が男性の君主よりできがよかったけれど、これは女性の方が男性よりコンセンサス形成能力等、リーダーとしての資質において優れているからだとしつつ、民主主義国では、とりわけTV時代になってからというもの、英国のサッチャー首相以外には女性の大統領や首相は碌な実績を残していないと指摘しています。
 その理由は、男性のものであると聞かされた場合に比べ女性のものであると聞かされた場合の方が、人々は同じ論考や演説でも低い評価しか与えないということが実験によって裏付けられているからだというのです。
 これは、ゴールドバーグ・パラダイム(Goldberg paradigm)と名付けられている現象であり、世界のあらゆる社会に普遍的に見られる現象だといいます。
 また、この関連で、自分の実績を誇示する戦略は男性に対しては有効であるけれど、女性に対しては逆効果であって、女性は男性よりこの戦略をとる女性を好まないという実験結果が得られているというのです。
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太田述正コラム#2363(2008.2.13)
<新著断章(続々)>

→非公開

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