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太田述正コラム#2293(2008.1.11)
<皆さんとディスカッション(続x33)>

<一読者A>

 コラム#2290と#2291に関してですが、
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007122902075990.html
教師の精神疾患は増加してるようです。

<バグってハニー>

やはり、自殺率を無視して鬱病の罹患率だけで論を展開するのは片手落ちと言わざるをえないのと違いますかねえ。鬱病の最も深刻な症状は自殺とも言えますし。

<太田>

 ご専門にも近いので、日本にも焦点をあてつつ、もう少し詳細に論旨を展開していただけませんか。

<バグってハニー>

 ところで、大阪視聴者さんが示されたデータでは日本のほうがアングロサクソン諸国よりもずっと自殺率が高いです。さらに、同所の男女別のデータ
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2772.html

によると、中国は豊かさ病には冒されていないかもしれないですが、主要な国の中で唯一男性よりも女性のほうが自殺率の高い国となっています。このことは、こないだPBSで見たドキュメンタリーでも言及されてましたけど、中国の農村部の女性は大変過酷な人生を送っているようです。女性が少しでも経済的に自立できるのであればこのような悲劇も避けられるのに、と思いながら観てました。

<太田>

 私も昨年、ワシントンポストの記事
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/14/AR2007051401506_pf.html
を読んで暗澹たる気分になりました。
 この記事の中で、中共の農村部では男女差別が依然甚だしいとした上で、鬱病として治療の対象とすべきところを、家庭問題として片付けられてしまっているという指摘がなされています。
 西村真悟衆議院議員の鬱病の息子さんが9日に議員宿舎で飛び降り自殺しました
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008010990140850.html
が、日本の現状をぜひ知りたくなりました。

<おけん>

 太田さんがコラム#1859(と1850、1857)で紹介されているJung ChangとJon HallidayによるMao: The Unknown Storyの共著者の一人であるチャンは、悪名高き『ワイルド・スワン』の作者ですね。

 以下の書評は、太田さんのいつもの筆鋒にたいへん近いものを感じます。

 「毛沢東の神格化や虚像破壊に対して、私は反対ではない。個人崇拝が現代中国史を彩る悲劇の核心であることは明らかだ。しかし毛沢東をスターリンよりも、ヒトラーよりも悪い梟雄と見る観点から、強引に通説を否定しただけの『マオ』は、遺憾ながら三文小説の域を出ない。新説の論拠が示されていないので信憑性が問われる」
http://www.21ccs.jp/china_watching/DirectorsWatching_YABUKI/Directors_watching_19.html

<太田>

 矢吹晋氏が書かれたものを引用されるとはねえ。
 苦笑するだけです。
 どうしてかは、コラム#1881を熟読してください。
 日本人がここ2〜30年来外国について書いたものは、基本的に信用してはいけません。
 お前も日本人じゃないかって?
 はいはい。だから私は、外国についてのコラムは、もっぱら外国、就中英米の典拠に拠って書いているのです。

<宇宙人>

 移民問題について、先日コラム#2260で質問に答えていただきありがとうございました。
 伊勢崎賢治氏が国会で参考人として、アフガンでの日本の役割について話しておられて、興味深かったので紹介します。
衆議院のビデオライブラリ(20分)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.cfm?deli_id=37110
同じ内容の藤末健三氏の要約
http://www.fujisue.net/archives/2007/08/post_2023.html
(ニコニコ動画(10分)http://www.nicovideo.jp/watch/sm1955794

 要約すると、
「日本はODAを使って武力を使わず口だけでアフガニスタンの軍閥を武装解除できた」
 その理由として、
「アフガン世界では日本が中立な国だと思われていた(日本の海上補給を知らなかった)=美しい誤解」
という事実があり、今後そのような日本が最も貢献できることは、
「中立な国としてアフガンの腐敗した治安・警察の改革(Security Sector Reform: SSR)を主体的にすること」
だそうです。
 これはアフガニスタンの特殊例のような気もしますが、このような国際貢献ができれば軍事的な貢献よりも有効なのではないかとも思えます。内政干渉ですが。太田さんの自衛隊の話とは方向性が違いますが、実際どうなんでしょう。
 皆さんとディスカッション(続x32)に、

>集団的自衛権を認めて自衛隊に具体的な本来任務を与えよ→ウーン・・・
>とここが胸先八丁なんですよね。

とありますが、日本の国際貢献と防衛の「具体的な方法」と「全体像」としてどういう形がベストなのかよく分からない、という点があるような気がします。自衛隊は自衛のみ、国際貢献は武装解除・治安・警察の回復のみ、というのではいけないのでしょうか。

<太田>

 日本人自身が日本を独立国だと「美しい誤解」をしているのですから、アフガン人が「誤解」するのも当然です。
 日本のODAだって宗主国米国の意向に沿って、米国の軍事援助やODAを補完する形で行われているのですよ。
 もう一点。
 どこの国でも、軍隊と警察の境界線は明確ではありませんが、アフガニスタンのように内戦が行われているような国では、軍隊は最も重要な治安維持装置です。
 日本が警察の改革に携わっていいのなら、軍隊の改革に携わったっていいはずですし、自衛隊を派遣して治安維持任務に従事させたっていいはずです。
 何度も申し上げていることですが、どうして皆さんよってたかって自衛隊に戦闘・・「敵」を殺傷し自衛隊員に死傷者が出る・・をさせまいさせまいとされるのでしょうね。
 だったら、自衛隊を大幅縮小すべきなのですよ。
 なお、「胸先八丁」は「胸付八丁」のミスプリです。
 
<どっちが本当?>

 イギリスやヨーロッパのことに詳しい太田様に、ぜひコラムの題材として取り扱っていただきたいものがあります。それは大麻です。
 去年、私の甥がイギリス留学から帰ってきました。驚いたことに、あちらでマリファナを吸ったことを隠しません。まじめでおとなしい子でしたから、本当に衝撃を受けました。曰く、マリファナは無害なのだそうです。そういえばイギリスでは最近、少量なら大麻の所持と使用を認める法律を制定し、事実上合法化したという報道をみました。(厳密には違法?)
 そこで三つ疑問があります。

1 事実上の合法化を行うなら、なぜオランダのように合法化しないのか?
2 BBCなどの報道は大麻に極めて否定的な姿勢だが、本当のところ、大麻の安全性は?
3 欧米市民の大麻に対する本音は?

 こんな疑問をもったのは、大麻に対する報道がきれいに二つに分かれていたからです。BBCなどを検索しますと、大麻に対してとても批判的なように思われます。明確に「悪い」とは書いてありませんが、そんな感じを受けるのです。ですが大麻の実質的合法化が行われたのは、市民にその政策が支持されたからに他ならないでしょう。正しいのはどちらなのでしょうか。
 私には、欧米人の麻薬に対する考えがよくわかりません。
 しかし歴史をみれば、欧米で起こることは将来日本でも起こることだとわかります。そこでぜひ、太田様のご意見をお聞かせください。

<大学生>

 イギリスでは大麻は未だillegalですが、大麻の格付けはClass BからClass Cに格下げになりました。
 よほど悪質な場合は刑務所に入れられる可能性も有りますが(所持で逮捕は警察権の乱用になります)、基本的に所持や吸引だけならば、没収と注意だけで済みます。
http://www.urban75.com/Drugs/cannabis.html
 僕の知る限り、合法化されていない国でも欧州はビックリするくらい大麻に対して年々寛容になっています。
 大麻はドラッグです、それに関しては世界中どこでも認められていることです。
http://www.who.int/substance_abuse/facts/cannabis/en/
 しかし同時に、タバコや酒に比べても依存や健康被害の度合いは少ないという論文は近年数多く発表されています。
 健康リスクを高める、と言った論文も当然たくさんありますが、タバコと比較して大麻の方が危険、と言った論文は見たことが無いですね。
http://www.sciencedaily.com/search/?type=news&keyword=cannabis+dependence§ion=all&period=365
 少なくとも日本のような厳罰にすべき!という意見は欧米にはありません。
 未だに大麻所持を厳罰に処する国は日本や中国、中東、東南アジアの一部くらいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%BA%BB
http://en.wikipedia.org/wiki/Legality_of_cannabis

 日本で大麻の非犯罪化を目指している団体のHPです。
http://www.cannabist.org/news/index.html

<太田>

 大麻(マリファナ)は「タバコや酒に比べても依存や健康被害の度合いは少ない」と最初に言い出したのは米スタンフォード大学の研究者達だったように記憶しています。
 私自身、1974〜76年の同大学留学中に、あるパーティーで大麻を勧められて吸ってみたことがあります。
 日本はタバコに甘く大麻に厳しく、パチンコは良くて賭け麻雀には甘いのにカジノはダメ、という摩訶不思議な国です。

<Emmanuel Chanel>

 去年女優のヘイデン・パネッティーア
http://www.myspace.com/haydenpanettiere
(今は、ドラマ Heroes のスター。アリーmyラブでアリーの娘の役を最終シーズンにやった女優でもある)が和歌山で反イルカ漁テロを行った
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000008-flix-movi
せいで、ちょっと捕鯨問題に興味を持ちました。なので、理論武装なんぞあまり出来たものでもないですけど、ここ最近も、2ch ニュース速報+ 板
http://mamono.2ch.net/newsplus/
の捕鯨問題のスレを見ています。
 当該掲示板でもよくやったという声も多いのですが、こちらの方ではどうなのだろうとか思っておりましたが、流れとして適切なのか分からないなあとも感じていた次第です。太田さんによれば効果的(コラム#2291)という事で良かったです。

<遠江人>

 2ch(ニュース速報+板)での捕鯨問題の意見を適当にまとめてみました。よかったら参考に(なるかどうか分かりませんが)どうぞ。

 *以下は、2chの書き込みをかなりいい加減に転載しただけであること、元は2chの書き込みだから情報源としての価値は一切ないこと、をご了承ください。

(批判的?な意見)

・「反捕鯨」と「オーストラリア人の人種差別、ディンゴ、カンガルー虐待」は別問題だから、絡めるのはやめろ。捕鯨と人種差別がどう関係してくるんだ?人種差別から攻めるのはなんか違う気がする。少なくとも反捕鯨問題の本質は人種差別では無い。人種差別を持ち出すのは失敗。
・オージーの反論は人種差別に関してがほとんど。そもそも捕鯨に対するメッセージのはずが完全に論点がずれて、無用の対立が起きてる。人種差別問題を絡めたのは軽率だったと思う。捕鯨問題から動物虐待に話を広げるのは良いけど人種差別などに広げても不毛。人種差別を絡めるのは論点を不透明にする。いつも中国朝鮮が言ってる南京や慰安婦と同じこと。日本人は商業捕鯨の正当性を主張するために人種差別の問題を使ってはならない。これ一見捕鯨反対派への非難から入ってるけど結局言いたい事は人種差別だの白豪主義だのって論点ずらしてる。人種差別(が捕鯨叩きに全く無関係とは思わないけど)みたいな冷静さと最も縁遠いモノとごちゃ混ぜにしちゃったから、もう議論が成り立たなくなってる。「人種差別」ってところに反応してて鯨についてはあんまり触れてない。 youtubeのコメントは罵詈雑言が多くて実がない。あと「WWIIのことを考えてたら日本人のほうが人種差別的だ」ってコメが意外に多かった。オージーのコメントを見たら俺たちは人種差別主義者じゃないというコメントよりおまえらこそひどい人種差別者じゃないかというコメントの方が多い。
・動画やコメントに人種差別や人種暴動を入れたことによって、捕鯨問題が簡単に人種差別問題に摩り替わってしまった。これは人種差別対立じゃないんだがな。大事な観光資源をとるなという利害対立だろ。動画は意味の履き違えたまぬけな動画。

(肯定的?な意見)

・日本の捕鯨には科学的な根拠と正当性がある。ところが向こうの反捕鯨主義者はそういう科学的な調査に基づく主張にすら耳を傾けようとしない。もはやただの狂信、感情論からの絶対的な拒絶。オーストラリアの反捕鯨は科学的根拠に基づかないヒステリックなバッシング。捕鯨反対派に科学的根拠がないこと、および推進派の真っ当な調査データを提出しても取り扱わないこと。反捕鯨運動は科学的根拠を無視した人種差別運動。だからああいった動画でやりかえすのが程度として妥当。
・捕鯨批判報道で槍玉に上がるのは9割がた日本。ノルウェー、アイスランド、アメリカは、ほぼスルー。これが人種差別で無いとか笑えるよ。ヨーロッパ人とアメリカ人の捕鯨には何の文句も言わず、日本の捕鯨にだけ、こういうことやるというのは、奴ら人種差別という意識すらなく、ごく自然に人種差別してるんだなぁ。ユーチューブで日本人が反論として北欧でのイルカ漁の動画を載せてるんだが欧米人の反応がまったくイマイチ。日本の捕鯨やイルカ漁だけに奴らは反応している。アイスランドやノルウェーかなんかで白人が捕鯨をやってるのは野蛮だと一緒に批判せずに、日本人だけ単体で名指し批判してるのは人種差別以外に何があるのか?
・この動画には日本人に対する人種差別を明確にあおっている「クジラを殺すように日本人を殺せ」というオーストラリアのCMが入っている。動画のCMを見たら間違いないと確信できたよ、やつら差別主義者だ。
・オージーの書き込みがすごい。JAPとか差別用語だらけで、オーストラリアの白人は人種差別主義者ということを、明確にしている。差別発言乱発して墓穴掘ってる。YouTubeのコメント見ているとオーストラリア人が如何に人種差別主義者かを物語っているな。ビデオを投稿した奴の目的は、そこにある?
・中国や韓国の人種差別の批判には賛成なのに白豪主義は批判しちゃいけないって おまえらアホかよ。
・オーストラリアの特に黄色人種に対する差別と偏見は本当にひどいという実例を挙げた書き込みが多数。

(その他)

・人種差別というか豪は日本を恨んでるのは間違いないだろう。旧植民地大国で大戦後に凋落した国々が日本を憎んでるのはガチだ。
・反捕鯨に人種差別が絡んでることを日本人が強く疑っている、ってのが反捕鯨国に伝わったら、それはそれで成功じゃね?
・日本も目クジラ立ててないで、ユーモアーのセンスで切り返したいもんだね。所詮人種差別するような人種のほうが劣ってるんだから。

 以上。これはあくまで私が目にした範囲での(2ch上での)書き込み情報ですので、追加修正あったら遠慮なくどうぞ。

<太田>

 大学生さん、遠江人さん、ありがとうございました。
 ところで、昨日ご案内した外国特派員協会の件、一緒に出るはずだった会員の外国人の都合が悪くなり、中止になりました。
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太田述正コラム#2294(2008.1.11)
<オバマ大頭領誕生へ?(続)(その2)>

→非公開

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