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太田述正コラム#2260(2007.12.27)
<近況報告(続x4)>
昨日、編集者によるインタビューを私が受けた際にもらった「自然と人間」(2008年1月号)に載っていた大谷昭宏氏の「言いたい放題」欄に「米国に飛び火するか防衛省汚職--戦争に加担する者に鉄槌を」というコラムに目を通すと、私への言及がなされていました。
「・・証人喚問での守屋・・発言を受け、元仙台防衛施設局長の太田述正氏が、額賀氏が内閣官房副長官だった当時、施設局が発注した工事に某業者を指名するよう口利きを受けたと暴露。同時に、額賀氏だけではなく、口利きをしてきた防衛族議員の名前や日記まで明らかにしているのです。 太田氏が実名で告発に踏み切ったのは、守屋被告の発言が「事実を明らかにせよという、私に対するメッセージだと受け取った」からだと、その理由を語っています。つまり防衛族の議員たちは、大きな工事があるたびに「この業者を使え」と防衛省へ露骨に介入してきたわけで、この点に検察は注目した。当時、普天間移転についても、数多くの口利きがあったと見ているのです。」
大谷さんとは、大阪の朝日放送の「ムーブ」でご一緒させていただいたのですが、このようにお引き立ていただいて光栄です。
しかし、次いで大谷さんが、「検察の狙いは、明らかに「装備」から「施設」へとシフトしています。ターゲットにする政治家も、久間章生氏や額賀氏くらいでは終わらないでしょう。」とか、「ひょっとすると、日本の政治問題がアメリカへ飛び火する可能性もあるのです。」、更には「民主党だって防衛省ベッタリで何かと見に覚えのある議員を抱えているようですから、落ち着いてはいられないでしょう。」とおっしゃるのにはにわかに首肯できません。
そうなれば大変結構だけれど、せいぜい自民党の政治家一人くらいを立件して幕引き、という可能性が大だと思っています。
何度も申し上げているように、検察だって官僚機構の一部であり、政官業癒着構造の重要な一端をになっているからです。
それにしても、大谷さんが、コラムの最後に、「同じ汚職事件でも防衛省の汚職は、さらに汚い汚職です。考えてもみてください。防衛省に取り入って儲ける業者は「死の商人」です。土建業者が汚職がらみで橋の工事を請け負って税金がムダに使われたとしても、それでも橋が完成すれば市民は喜ぶでしょう。でも、軍事産業が儲かっても誰も嬉しくありません。戦争で死人が増えるだけです。彼らは戦争があるから存在できる。つまり死の商人を儲けさせることは、戦争へつながるだけなのです。 だから今回の事件は、いい意味での国策捜査だと思うのです。検察は"おねだり妻”だけではなく、戦争へ加担する者に鉄槌を喰らわせてほしいですね。」とおっしゃっていることには著しい違和感を覚えます。
一つには、既に申し上げたように、大谷さんが検察に対して過度の期待を寄せておられる点です。
もう一つは、自衛隊は軍隊ではなく、戦争で死人を生じさせることはありえない以上、この限りにおいては、日本の軍事産業はもとより、日本が武器を輸入している米国等の軍事産業も死の商人ではありえないという事実を大谷さんが直視しておられない点です。
いやまさに、自衛隊が軍隊ではなく、自衛隊の調達する武器を作っている軍事産業も死の商人でないことが、防衛省の、おぞましいばかりの退廃と腐敗をもたらしている、というのが私の見解であることは皆さんご承知の通りです。
最後により根本的なことですが、政官業癒着構造等の打破や米国への隷属状態からの脱却、すなわち日本の体制変革を唱えておられる人々の大部分・・大谷さんもそうです・・が、私とは違って軍事や軍隊の意義を真正面から認めておられないことは、彼らの致命的弱点であるという点です。
日本が軍事や軍隊の意義を真正面から認めること・・これは、英国の労働党や欧州諸国の社会党や共産党や緑の党がとっくの昔に踏み切ったことです・・なくして、日本の米国からの自立など絶対にできないし、逆説的ですが、米国もまた日本の自立を絶対に認めないでしょう。
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<宇宙人>
皆さんとディスカッション(続x26)にて、石破防衛大臣のUFO云々の発言を「なげかわしい」と言われましたが、あの発言は記者会見を見る限り、大臣の立場を利用した壮大なギャグだと思われます。
「ゴジラに対しては災害派遣」といったように、SF的な妄想や冗談を言う分には悪くない、という立場なのではないでしょうか。ちょっと気になったもので・・・
<太田>
政治家個人としても、防衛大臣としても、自民党員としても、石破さんが今ギャグなんか言ってはしゃいでるヒマなんかあるのと私は思いますがねえ。
もっとも、石破さん、私の隠れたファンだという話を聞いたので、その点は評価しますが・・。
<宇宙人>
太田さんの日本の移民受入論について質問させてください。
旧日本帝国領域の住民の日本移住を無条件で認めるべきだと前から主張されていますが、中国は含まないのでしょうか。中国を含まず台湾、朝鮮人だけを受け入れると中国やメディアから色んなクレームを付けられて中国人も受け入れざるを得ない状態になるような気がしてならないのですが、その辺大丈夫なんでしょうか。
そして中国を含めたとすれば、例えば沖縄に大量の移民(100万人とか)をさせ、沖縄ののっとりなんかが現実性を帯びてくると思うのですが、それを防ぐ方法はあるのでしょうか。お忙しいでしょうが教えていただけると嬉しいです。
因に私には大学に韓国からの留学生の友人もいますし、韓国とはある程度価値観を共有できると楽観しています。歴史問題の解決が待ち遠しいです。
<太田>
租借地や満州国や占領地の住民は対象外です。
第一、線引きが不可能でしょう。
委任統治領の住民は含みます。
なーんて私がつぶやいていてもしかたありません。
国民的議論が起きることを期待しています。
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太田述正コラム#2261(2007.12.27)
<1991年の政務次官随行中東訪問記(その3)>
→非公開
<近況報告(続x4)>
昨日、編集者によるインタビューを私が受けた際にもらった「自然と人間」(2008年1月号)に載っていた大谷昭宏氏の「言いたい放題」欄に「米国に飛び火するか防衛省汚職--戦争に加担する者に鉄槌を」というコラムに目を通すと、私への言及がなされていました。
「・・証人喚問での守屋・・発言を受け、元仙台防衛施設局長の太田述正氏が、額賀氏が内閣官房副長官だった当時、施設局が発注した工事に某業者を指名するよう口利きを受けたと暴露。同時に、額賀氏だけではなく、口利きをしてきた防衛族議員の名前や日記まで明らかにしているのです。 太田氏が実名で告発に踏み切ったのは、守屋被告の発言が「事実を明らかにせよという、私に対するメッセージだと受け取った」からだと、その理由を語っています。つまり防衛族の議員たちは、大きな工事があるたびに「この業者を使え」と防衛省へ露骨に介入してきたわけで、この点に検察は注目した。当時、普天間移転についても、数多くの口利きがあったと見ているのです。」
大谷さんとは、大阪の朝日放送の「ムーブ」でご一緒させていただいたのですが、このようにお引き立ていただいて光栄です。
しかし、次いで大谷さんが、「検察の狙いは、明らかに「装備」から「施設」へとシフトしています。ターゲットにする政治家も、久間章生氏や額賀氏くらいでは終わらないでしょう。」とか、「ひょっとすると、日本の政治問題がアメリカへ飛び火する可能性もあるのです。」、更には「民主党だって防衛省ベッタリで何かと見に覚えのある議員を抱えているようですから、落ち着いてはいられないでしょう。」とおっしゃるのにはにわかに首肯できません。
そうなれば大変結構だけれど、せいぜい自民党の政治家一人くらいを立件して幕引き、という可能性が大だと思っています。
何度も申し上げているように、検察だって官僚機構の一部であり、政官業癒着構造の重要な一端をになっているからです。
それにしても、大谷さんが、コラムの最後に、「同じ汚職事件でも防衛省の汚職は、さらに汚い汚職です。考えてもみてください。防衛省に取り入って儲ける業者は「死の商人」です。土建業者が汚職がらみで橋の工事を請け負って税金がムダに使われたとしても、それでも橋が完成すれば市民は喜ぶでしょう。でも、軍事産業が儲かっても誰も嬉しくありません。戦争で死人が増えるだけです。彼らは戦争があるから存在できる。つまり死の商人を儲けさせることは、戦争へつながるだけなのです。 だから今回の事件は、いい意味での国策捜査だと思うのです。検察は"おねだり妻”だけではなく、戦争へ加担する者に鉄槌を喰らわせてほしいですね。」とおっしゃっていることには著しい違和感を覚えます。
一つには、既に申し上げたように、大谷さんが検察に対して過度の期待を寄せておられる点です。
もう一つは、自衛隊は軍隊ではなく、戦争で死人を生じさせることはありえない以上、この限りにおいては、日本の軍事産業はもとより、日本が武器を輸入している米国等の軍事産業も死の商人ではありえないという事実を大谷さんが直視しておられない点です。
いやまさに、自衛隊が軍隊ではなく、自衛隊の調達する武器を作っている軍事産業も死の商人でないことが、防衛省の、おぞましいばかりの退廃と腐敗をもたらしている、というのが私の見解であることは皆さんご承知の通りです。
最後により根本的なことですが、政官業癒着構造等の打破や米国への隷属状態からの脱却、すなわち日本の体制変革を唱えておられる人々の大部分・・大谷さんもそうです・・が、私とは違って軍事や軍隊の意義を真正面から認めておられないことは、彼らの致命的弱点であるという点です。
日本が軍事や軍隊の意義を真正面から認めること・・これは、英国の労働党や欧州諸国の社会党や共産党や緑の党がとっくの昔に踏み切ったことです・・なくして、日本の米国からの自立など絶対にできないし、逆説的ですが、米国もまた日本の自立を絶対に認めないでしょう。
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<宇宙人>
皆さんとディスカッション(続x26)にて、石破防衛大臣のUFO云々の発言を「なげかわしい」と言われましたが、あの発言は記者会見を見る限り、大臣の立場を利用した壮大なギャグだと思われます。
「ゴジラに対しては災害派遣」といったように、SF的な妄想や冗談を言う分には悪くない、という立場なのではないでしょうか。ちょっと気になったもので・・・
<太田>
政治家個人としても、防衛大臣としても、自民党員としても、石破さんが今ギャグなんか言ってはしゃいでるヒマなんかあるのと私は思いますがねえ。
もっとも、石破さん、私の隠れたファンだという話を聞いたので、その点は評価しますが・・。
<宇宙人>
太田さんの日本の移民受入論について質問させてください。
旧日本帝国領域の住民の日本移住を無条件で認めるべきだと前から主張されていますが、中国は含まないのでしょうか。中国を含まず台湾、朝鮮人だけを受け入れると中国やメディアから色んなクレームを付けられて中国人も受け入れざるを得ない状態になるような気がしてならないのですが、その辺大丈夫なんでしょうか。
そして中国を含めたとすれば、例えば沖縄に大量の移民(100万人とか)をさせ、沖縄ののっとりなんかが現実性を帯びてくると思うのですが、それを防ぐ方法はあるのでしょうか。お忙しいでしょうが教えていただけると嬉しいです。
因に私には大学に韓国からの留学生の友人もいますし、韓国とはある程度価値観を共有できると楽観しています。歴史問題の解決が待ち遠しいです。
<太田>
租借地や満州国や占領地の住民は対象外です。
第一、線引きが不可能でしょう。
委任統治領の住民は含みます。
なーんて私がつぶやいていてもしかたありません。
国民的議論が起きることを期待しています。
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太田述正コラム#2261(2007.12.27)
<1991年の政務次官随行中東訪問記(その3)>
→非公開
太田述正ブログは移転しました 。
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