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太田述正コラム#2001(2007.8.15)
<人民網の成長?>(2007.9.15公開)
1 始めに
大体は面白くも何ともない日本語の人民網(人民日報の電子版)ですが、この一両日、結構読ませる記事がいくつか出ました。
その内容をかいつまんでご披露し、私のコメントを付しました。
2 読ませる記事
(1)ノーベル賞に縁がない支那
ア 記事の概要
世界最大の人口を擁する支那が一人もノーベル賞受賞者を出していないのはなぜか。
第一に、模範解答を求めるさせる受験教育だ。
第二に、中高段階から文科系と理科系に分けてしまうため、学生の知識が偏ってしまっていることだ。
第三に、科学的探求心よりスターや企業家になって金儲けをすることにより高い価値を置く社会風潮だ。
(以上、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/13/jp20070813_75177.html、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/13/jp20070813_75180.html
(8月14日アクセス)による。)
イ コメント
どうです。結構読ませるでしょう。
もっとも、人民網の言うノーベル賞の中には、ノーベル平和賞はもとより、ノーベル文学賞すら入っていないようです。ひょっとしたらノーベル経済学賞も眼中にないのかもしれません。
それはともかく、海外でノーベル賞をとった支那人は何人かいるので、支那人が人種的/民族的にノーベル賞向きではない、などとは言えませんし、スターリン体制下のソ連(ロシア)からもノーベル賞受賞者はたくさん出ているので、中共の政治体制のせいにもできません。
また、インドからもノーベル賞受賞者は出ているので、経済後進地域であるせいにもできません。
(以上、典拠省略。)
支那本体からノーベル賞受賞者が出ていない理由は本当に不思議ですね。
2 南京事件の犠牲者数
ア 記事
「・・「南京大虐殺の犠牲者リスト」と「南京大虐殺の生存者リスト」が・・出版されました。・・「犠牲者リスト」に8,242人が記載され、そのうち、50歳以上は1,510人で、子供が262人いるということです。また、「生存者リスト」には2,592人が載っています。・・リストの収集作業は始まったばかりで、これからも関連資料の収集を続け、新しいリストを改めて出版するということです。」(
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/14/jp20070814_75227.html
。8月14日アクセス)
イ コメント
まことに興味深いデータを開示したものです。
「生存者リスト」は、要するに「証言者リスト」と解することができそうですが、これだけ証言者がいて、「犠牲者リスト」に計上できた数が8242人にしかならなかったということは、「リストの収集作業は始まったばかり」とは言っても、今後この数が何倍にも増えるとは考えにくそうです。
つまり、20万人ないし30万人もの犠牲者が出たという話は荒唐無稽らしい、ということにならざるをえません。
こんな風に受け止められることを覚悟の上でこのデータを出したことを、私は注目しています。
3 日本の対中投資の減少
ア 記事の概要
中国社会科学院日本研究所の研究員の馮昭奎氏は「日本の対中投資はなぜ減少する傾向にあるのか」と題する論考で次のように指摘している。
日本の対外投資総額は大幅に増加しているというのに、対中投資は減少している。これはどういう原因によるものなのか。
これは一つには、ここ数年の中日の政冷(政治関係の冷え込み)の後遺症である。
二つには、中共沿海地区の労働力などのコストや費用が上昇したため、日本企業は労働力コストがより低い投資対象国へと移転しつつあることだ。加えて日本企業はコア技術の漏洩防止や自国の製造技術の競争力の維持といった観点から、ここ数年ハイレベルの技術労働者を必要とする生産拠点を国内へ移転させていることだ。
三つには、日本の一般企業が中共のバブル経済崩壊によって投資が損害を受けることを心配していることだ。
四つには、中共軍事脅威論が日米で唱えられており、日本のハイテク企業が中共向け直接投資や技術移転を尻込みしていることだ。
五つには、外国の対中直接投資のうち日本の対中投資は製造業の割合が比較的多いという特徴を持つが、中共国内の環境保護政策の強化に伴い、日本の製造業による対中投資のコストが上昇していることだ。
ただし、今後、日中両国にとっての互恵的投資であるところの、省エネ/環境保護及び農業分野での対中投資の増大によって、日本の対中投資が再び増加に転じる可能性はある。
(以上、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/14/jp20070814_75290.html
(8月15日アクセス)以下、による。)
イ コメント
日本の投資を喉から手が出るほど欲しがっており、だからこそ「政冷」克服にやっきとなっている中共の気持ちが実に良く分かりますね。
<人民網の成長?>(2007.9.15公開)
1 始めに
大体は面白くも何ともない日本語の人民網(人民日報の電子版)ですが、この一両日、結構読ませる記事がいくつか出ました。
その内容をかいつまんでご披露し、私のコメントを付しました。
2 読ませる記事
(1)ノーベル賞に縁がない支那
ア 記事の概要
世界最大の人口を擁する支那が一人もノーベル賞受賞者を出していないのはなぜか。
第一に、模範解答を求めるさせる受験教育だ。
第二に、中高段階から文科系と理科系に分けてしまうため、学生の知識が偏ってしまっていることだ。
第三に、科学的探求心よりスターや企業家になって金儲けをすることにより高い価値を置く社会風潮だ。
(以上、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/13/jp20070813_75177.html、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/13/jp20070813_75180.html
(8月14日アクセス)による。)
イ コメント
どうです。結構読ませるでしょう。
もっとも、人民網の言うノーベル賞の中には、ノーベル平和賞はもとより、ノーベル文学賞すら入っていないようです。ひょっとしたらノーベル経済学賞も眼中にないのかもしれません。
それはともかく、海外でノーベル賞をとった支那人は何人かいるので、支那人が人種的/民族的にノーベル賞向きではない、などとは言えませんし、スターリン体制下のソ連(ロシア)からもノーベル賞受賞者はたくさん出ているので、中共の政治体制のせいにもできません。
また、インドからもノーベル賞受賞者は出ているので、経済後進地域であるせいにもできません。
(以上、典拠省略。)
支那本体からノーベル賞受賞者が出ていない理由は本当に不思議ですね。
2 南京事件の犠牲者数
ア 記事
「・・「南京大虐殺の犠牲者リスト」と「南京大虐殺の生存者リスト」が・・出版されました。・・「犠牲者リスト」に8,242人が記載され、そのうち、50歳以上は1,510人で、子供が262人いるということです。また、「生存者リスト」には2,592人が載っています。・・リストの収集作業は始まったばかりで、これからも関連資料の収集を続け、新しいリストを改めて出版するということです。」(
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/14/jp20070814_75227.html
。8月14日アクセス)
イ コメント
まことに興味深いデータを開示したものです。
「生存者リスト」は、要するに「証言者リスト」と解することができそうですが、これだけ証言者がいて、「犠牲者リスト」に計上できた数が8242人にしかならなかったということは、「リストの収集作業は始まったばかり」とは言っても、今後この数が何倍にも増えるとは考えにくそうです。
つまり、20万人ないし30万人もの犠牲者が出たという話は荒唐無稽らしい、ということにならざるをえません。
こんな風に受け止められることを覚悟の上でこのデータを出したことを、私は注目しています。
3 日本の対中投資の減少
ア 記事の概要
中国社会科学院日本研究所の研究員の馮昭奎氏は「日本の対中投資はなぜ減少する傾向にあるのか」と題する論考で次のように指摘している。
日本の対外投資総額は大幅に増加しているというのに、対中投資は減少している。これはどういう原因によるものなのか。
これは一つには、ここ数年の中日の政冷(政治関係の冷え込み)の後遺症である。
二つには、中共沿海地区の労働力などのコストや費用が上昇したため、日本企業は労働力コストがより低い投資対象国へと移転しつつあることだ。加えて日本企業はコア技術の漏洩防止や自国の製造技術の競争力の維持といった観点から、ここ数年ハイレベルの技術労働者を必要とする生産拠点を国内へ移転させていることだ。
三つには、日本の一般企業が中共のバブル経済崩壊によって投資が損害を受けることを心配していることだ。
四つには、中共軍事脅威論が日米で唱えられており、日本のハイテク企業が中共向け直接投資や技術移転を尻込みしていることだ。
五つには、外国の対中直接投資のうち日本の対中投資は製造業の割合が比較的多いという特徴を持つが、中共国内の環境保護政策の強化に伴い、日本の製造業による対中投資のコストが上昇していることだ。
ただし、今後、日中両国にとっての互恵的投資であるところの、省エネ/環境保護及び農業分野での対中投資の増大によって、日本の対中投資が再び増加に転じる可能性はある。
(以上、
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/14/jp20070814_75290.html
(8月15日アクセス)以下、による。)
イ コメント
日本の投資を喉から手が出るほど欲しがっており、だからこそ「政冷」克服にやっきとなっている中共の気持ちが実に良く分かりますね。
太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/