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太田述正コラム#0013
 教育問題 
 友人の石角完爾弁護士との間で、以下のようなメールのやりとりをしたので、紹介させていただきます。
 なお、「ボーディング・スクール」とは、英国のパブリック・スクールのような、中高一貫教育の寄宿舎学校のことです。パブリック・スクール教育のミリタリー的要素については、拙著「防衛庁再生宣言」(日本評論社)198-200頁を参照して下さい。

 太田述正様

「ボーディングスクールの会」のご案内

 日本の教育崩壊が大問題となっていますが、それを目の当たりにして欧米の教育に解決の道を求める父兄が増えております。

 私はアメリカのエリート教育であるボーディングスクールについて「アメリカのスーパーエリート教育」(ジャパンタイムス社刊)の著者ですが、この度「ボーディングスクールの会」なる会合を発足させたいと思い、お手紙を差し上げます。

 この会合は、日本の教育崩壊を目の当たりにし日本では教育を受けさせたくない、もっと高度で良質な教育を受けさせたいという理由で、そして基本的にはアメリカの大学に進学することを目的としてアメリカの中高のボーディングスクールに留学する子供達及びその父母で組織する会合とし、相互の情報交換を図るためのものです。

 今後の会合運営をどのようにするかの具体像のご紹介も兼ねて第1回の会合を下記の通り持ちたいと思いますので、ご参加の程よろしくご検討お願い申し上げます。

記  

日 時: 2002年2月22日18:30より約2時間(夕食付)
場 所: ホテルオークラ本館2階清流の間
会 費: 金10,000円
Talk: 石角完爾「アメリカのボーディングスクール、大学進学などの最新情報について」、「ミリタリースクールはなかなか良い注目すべき内容とカリキュラム」「アメリカの大学のユニバーシティとリベラルアーツカレッジの教育内容の違い」「アメリカの大学の入学審査基準」「ジュニア・ボーディングスクールについて」「今はやりの3Dアニメーションコンピューターグラフィックや映像製作の方向に進むには」など
参加・入会資格: アメリカのボーディングスクールに現に入学している子供を持つ父母、入学させたいと思っている子供を持つ父母、その卒業生、在学生またはその父母、その知人、友人、ご紹介の方、アメリカのボーディングスクールの教育に関心のある方

参加申込連絡先: 〒100-0004
東京都千代田区大手町2?2?2
千代田国際経営法律事務所
代表弁護士 石 角 完 爾
TEL: 3231?8888
FAX: 3231?8881
e-mail: school@chiyodakokusai.co.jp

 「アメリカのスーパーエリート教育」のWebsiteは
school.chiyodakokusai.co.jpです。

石角 完爾 様

 会合にお誘いいただき、有り難うございます。
 石角さんの熱意には心から敬意を表しますが、会合のご主旨にかかわらず、現在、手元不如意ゆえ、出席は見合わせたいと存じます。

 せっかくですので、この際、一言、私見を申し述べます。
(本来は貴著を読み、また、貴サイトも拝見してから申し述べるべきでしょうが、どうかご容赦ください。)

 現在の日本の教育の荒廃ぶりについては私も全く同感です。しかし、それは現在の日本社会を覆う閉塞状況の一環だと思います。まず、その根幹の打破をめざさなければなりません。それには政治と行政(文部省等)を変えなければならない。

 それはそれとして、各家庭が緊急避難として、その子弟のよりよい教育のあり方に取り組むことは当然です。
 その場合、欧米のボーディング・スクールに子弟を送ることも大変良い方法だと思います。(もっとも、引き続き、欧米の大学に子弟を送るということには反対です。皇太妃雅子さんのように、日本での教育と外国での教育を両方受けさせないと、無国籍の化け物ができかねません。)

 ただ、残念ながら、欧米のボーディング・スクールに子弟を送ることができる家庭は、一部の高額所得者層だけでしょう。しかも、いくらお金があったとしても、たまにしか子弟の顔を見ることができないというのでは、二の足を踏む家庭が多いでしょう。
 私は日本にも本格的なボーディング・スクールをつくるべきだと思うのです。
 いまやフルタイムの共稼ぎ家庭はどんどん増えており、親はベビーシッター代と教育費にあえぎ、それでいて、十分な教育を子弟にしてやっていないという不安感にさいなまれています。
 これから女性の社会進出はますます進展するであろうことから、ボーディング・スクールへの需要は一層増えていくことでしょう。

 ボーディング・スクールのマーケティングにあたっては、良い自然環境の下での教育、国際的視点に立った高度な教育、英語教育、集団生活・集団スポーツを通じた自己規律(その中に、自然な形でミリタリー的要素を織り込めばよい)等をキャッチフレーズにすることになりますが、このところのハリー・ポッターブーム(これは、長期的なブームになると思います。話はボーディング・スクールを舞台に展開される)もこれあり、大いにウケること必定です。

 もし、石角さんが、国内でのボーディング・スクールの設立にも尽力されるお気があれば、小生としても全面的にご協力することにやぶさかではありません。

                 太田述正

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