太田述正コラム#0108(2003.3.17)
<ホームページ二周年を記念して(第二弾)>

 ホームページ開設二周年記念の第二弾として、いささか面はゆいのですが、私のコラムがいかに正鵠を射ていたかを振り返ってみることにしました。(私がご紹介するもの以外にお気づきのコラムがあれば教えてください。また、私自身はピンボケのコラムはなかったと思っていますが、もしあったとすれば、それも教えていただければ幸いです。)

コラム#4(2001.12.10)<世界の近現代史を貫く文明の対立>で、私が「英国のブレア首相<は英国が>経済的観点から欧州通貨同盟に加盟すべきだと考えている・・しかし、この<英国の欧州通貨同盟加盟>問題の本質は経済問題ではな<く、>アングロサクソンと欧州という二つの文明の深刻な対立の一つの現れなのです。・・ブレア首相をもってしても、EURO採用に三分の二もの英国民が反対している現状を打破する、つまりは文明の対立を乗り越えるのは、容易なことではありますまい。」「ミドルパワーたる英国のように相手の懐に飛び込んで主導権を握ろうとするのか、覇権国たる米国のように力で相手をねじ伏せて主導権を維持しようとするのか、同じアングロサクソンとはいっても国によって手法は異なりますが、私は、世界の近現代史が、現在に至ってもなお、「アングロサクソン文明」対「その他の文明、就中欧州文明」の主導権争い、という構図を中心に動いてきていることを直視すべきだと思っているのです」と指摘したのは、一年以上も前の時点で、早くも対イラク戦をめぐっての昨今の米英対仏独の軋轢を予測していたかのようだ、と評してもまんざら誤りではありますまい。

「印パ両国の本格的な軍事衝突の可能性はなくなったと見てよい」(コラム#9(2002.1.9))という分析の正しさは、その8ヶ月後、両国が動員を解除した(コラム#68-2(2002.10.19)参照)ことによって検証されました。

コラム#17(2002.2.17)<北朝鮮>では、「2月15日<の>ブッシュ大統領<による>「イラン、イラク、北朝鮮は悪の枢軸・・」演説<に対して、>フランスやドイツ等西欧諸国・・からは、次々に・・不快感が表明されています。しかし、これは、(私が前から何度も述べている)「アングロサクソンと西欧との間の文明の衝突」を背景とした既視感(デ・ジャ・ヴ)あるエピソードにすぎません。」といつもの大命題を繰り返した上で、「北朝鮮には核兵器を開発、保有している疑惑があり、またかねてから長距離ミサイルの開発、配備を実施してきており」、「日本は北朝鮮によって継続的に主権を侵害されてきました。工作員による日本人拉致、日本からの密輸、日本への覚醒剤の搬入、そしてこれらに伴う武装工作船の日本領域への侵入、更には朝鮮総連系在日朝鮮人や金融機関等からの「上納金」の北朝鮮への不法送金等、枚挙に暇がありません。」「<ブッシュ大統領のように>北朝鮮を「悪」と呼んでこそ、<このような>北朝鮮にゆさぶりをかけることができます」と指摘しており、金正日によるその七ヶ月後(9月)の日本人拉致についての「自供」・「謝罪」(=米国によるゆさぶりの「成果」?)、そしてほぼ同じ時期(9月米国に「自供」、10月米国が「自供」内容を公表)の核開発の「自認」、等を見通していたかのようです。

コラム#21(2002.3.1)<切迫する危機に備えていない「有事法制」の欠陥>(月刊誌「選択」2002年3月号の「私のAltキー」欄に掲載)の結論、「日本が有事法制を整備するとしたら、一番起こりやすい事態であり、従って法制整備の必要性が高い「海外有事」に関するものから始め、次に「日本有事」、なかでも「武器攻撃事態」、「大量破壊兵器攻撃事態」、「武力攻撃事態」の順に整備していくのが筋だ・・。ところが、・・政府は最も優先度の低いところから有事法制に取り組もうとしている」は、政界やマスコミに大きな影響を与え、有事法制をめぐるその後の論議の動向を決定づけたと密かに自負しています。

コラム#60(2002.9.27)<対イラク戦争雑感>では、米国が、日本の幕末期に英国が演じた役割を知って知らずか、中東において対イラク戦をテコとして、イラク等の体制変革を行おうとしている、という趣旨のことを書きましたが、これは日本国内では最も早い段階での指摘だったと思います。

コラム#77(2002.11.20)<対イラク戦シナリオ(その2)>での、「国連査察の開始が11月27日となったので、<国連>査察団による査察報告書の・・安保理事会への提出期限は来年の1月27日・・ということになりました。・・しかし、・・その時点では何も起こらず、米国は、安保理に開戦の承認を求め、それが得られるまで忍耐強く待つことでしょう。今回の査察の根拠となった安保理決議が出るまでに二ヶ月かかったのですから、開戦を承認する決議が出るまでにも長時間を要することは必定で・・開戦はそれからだと考えます。」「英国の高級紙ガーディアン<が、イラクが>米英に、対イラク戦開戦の十分な根拠を与えてしまう可能性は100%に近いと見ているのに対し、・・米国の代表的メルマガであるスレート誌は現時点では58%程度しか開戦に至る可能性はないと慎重です。・・私は、英国と米国のエリートの情勢分析能力には依然有意の差があると考えており、ガーディアンの方に軍配をあげたいと思っています」は、対イラク戦の開戦が3月下旬にほぼ固まった現在、100%的中したと言っていいでしょう。「開戦を承認する<安保理>決議が出る」に至らなかったことは、はずれと言えばはずれですが・・。
後は、「あっと言う間に陸軍兵力は雲散霧消して砂漠や田園地帯における戦闘は終結する・・<上、>バクダード攻略戦は比較的短時間で終わる」という私の予想があたるのを待つばかりです。

コラム#80(2002.12.1)<悪化する米韓関係>の中で、「英米系のメディアとは違って、日本のメディアが中国報道や韓国報道については極めて及び腰であり、韓国における嫌米・「親」北朝鮮意識を正面から見据えた報道が、私の知っている限り見あたらない」とし、「米韓関係がおかしくなっています」と、私が日本の各種メディアに先駆けて指摘したのも特筆されるべきでしょう。

コラム#100(2003.2.18)<アングロサクソンと欧州――両文明の対立再訪(その1)>の中での「私は世界の近現代史を貫く最大のテーマは欧州文明とアングロサクソン文明の対立だと考えており、」「そのような観点からすれば、対イラク戦をめぐってフランス、ドイツ及びロシアの三国や(仏独以外の国々も含めた)EU諸国の世論が(英米による)対イラク開戦に強硬に反対するのは不思議でも何でもありません」のくだりは、もはやコメントの必要はないでしょう。

(私のコラムのバックナンバーは、ホームページ(http://www.ohtan.net)の時事コラム欄でお読みください。なお、次回のコラムは、「米国による対イラク戦・・その歴史的・法的必然性」を予定しています。)

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