太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/
太田述正コラム#0645(2005.3.1)
<これが韓国社会の木鐸か>
(コラム#644に大幅に加筆してホームページに再掲載してあります。ご参照下さい)
1 始めに
朝鮮日報の英語電子版を私は毎日読んでいます。
韓国で最もクオリティーの高い新聞だからです。
同紙には日本語電子版もあるのですが、あえて英語版を読んでいるのは、読み始めた当初、英語版の方が充実している感じがあったからです。
それに、英語版にせよ日本語版にせよ、本紙の記事の一部を翻訳転載しているという点では恐らく同じなのでしょうが、日本語版に載せる記事の選択の方が英語版に比べてより作為が感じられたからです。
さて、同紙のクオリティーの高さは、自由・民主主義の観点から現ノ・ムヒョン政権に極めて批判的であるところに良く示されています。
同紙にも時々反日的な記事や論説が掲載されるのですが、私はかねがね、これは同紙が反日感情に染まった韓国で発行部数を維持して生き抜いていくための方便だと理解を示してきました。
実際、反日的な記事や論説といっても、反日をダシにして、より大事な他のことを訴える、というものが殆どでした。
しかし、このところの反日的な記事はいただけません。
2 竹島
まず、2月28日付の竹島(韓国名、独島=Dokdo)の領有権問題についての二つの記事です。
一つ目の記事(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200401/200401150014.html。2月28日アクセス)は、1894年にフランスの新聞に掲載された中国東部・朝鮮半島・日本列島の地図(最近ある韓国人書誌家によって発見されたもの)に描かれている日本の領海線(Limite des eaux japonaises)の外に竹島らしき島が描かれていることをもって、当時竹島が李氏朝鮮領であることを国際社会が認めていた証だとする、韓国人教授の見解を紹介しています。
しかし第一に、この島は、竹島の西北西に位置する、より大きいウルルン(Ulleung。日本名、鬱稜)島ではないかと考えられること、
第二に、この地図には李氏朝鮮の領海線は描かれていないので、日本の領海線外の海域が李氏朝鮮の領海なのか、それとも公海なのか定かではないこと、
第三に、日本が公海上の無人島であるとの前提で竹島の領有宣言をしたのは1905年であって、この地図は、1894年当時竹島が公海上に位置していたことを否定するものではないこと、
から、しろうと目にも、この教授の見解のばかばかしさが分かります。
しかも、そんなにこの地図が権威があるというのなら、この地図は朝鮮半島と日本列島に囲まれた海を日本海(Mer Japon)と明記しているのですから、日本海・東海「論争」にはこれで決着がつくことになり、ご愁傷様、と申し上げるほかありません。
二つ目の記事(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200502/200502270023.html。2月28日アクセス)は、日本が主権を回復する前の1951年3月に英国外務省が作成した地図で、日本列島周辺に線が描かれており、竹島(鬱稜島とともに日本名で表記されている)がその外に位置していることをもって、日本を占領していた連合国が竹島は日本の領土ではないと考えていた証拠だとする(この地図を発見した)韓国人教授の見解を紹介しています。
しかしこの地図では、(歯舞色丹両島は線の中だが)国後択捉両島はもとより、沖縄・奄美大島・小笠原諸島などもこの線の外に位置しており、この教授の理屈で行けば、日本は竹島のみならず、これらの島々すべてについて、領有権の主張ができない、ということになり、このうち国後択捉両島以外が現在日本の領土になっていることを説明できません。
どうしてあの批判精神の旺盛な朝鮮日報が、こんな非論理的な記事を載せるのでしょうか。
3 日本統治下の朝鮮半島
日本統治下の朝鮮半島の写真に解説をつけた3月1日付の記事(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200402/200402290001.html。3月1日アクセス)は、更に問題です。(翻訳の労を惜しんだ。)
<慰安婦>
・・The Japanese imperialists seduced 11 to 14 year old girls by saying that they would send them to middle school. Some schoolmasters threatened their students by saying that if they didn't join the "jeongshindae(挺身隊)," they would withhold their diplomas. The "jeonshin-dae" were divided into two groups -- labor brigades and military comfort women(慰安婦). In fact, however, the division between the labor brigades, which worked in military factories, and the comfort women was rather hazy. The women working in military factories were often forced to become comfort women.・・"For the majority of women mobilized into the 'jeonshin-dae,' there was no distinction between the labor brigades and the comfort women."・・The "Comfort Stations(慰安所)," or military brothels, were run by the Japanese military
<いわゆる創氏改名>
・・Through a special order handed down by Korea's Government General, Koreans were forced to adopt Japanese names. The Japanese imperialists used all sorts of methods to encourage Koreans to go along with the name changes. In the photo, taken at Namdaemun Station, old men who adopted Japanese names are given free train trips. I・・ the Japanese imperialists also dished out various disadvantages to those who refused to take Japanese names. Koreans who refused to change their names were unable to send or receive mail, prevented from entering school, refused food rations, and generally disadvantaged in many facets of life.・・
これらはことごとく真っ赤なウソです(コラム#265参照)。
しかも、日本語電子版にはこの記事は載っていません。これは、ウソをついていることの後ろめたさの表れだ、と言われても仕方ないでしょう。
日本のマスコミもそう誉めたものではないけれど、最もクオリティーの高い韓国紙がこんな体たらくでは、あまりにも韓国民が気の毒です。
それにしても、朝鮮日報の英語電子版のこの種の記事や論説を読むたびに、韓国内外の(日本人以外の)外国人の反日家の数が増えているかと思うと、やりきれない思いがします。
太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/