太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/
太田述正コラム#795(2005.7.17)
<生殖・セックス・オルガスム(その1)>
1 始めに
何ともどぎついタイトルだとお思いになったかもしれませんが、シリアスな内容なのですぞ。
トランスヒューマニズムを論じたシリーズ(コラム#739、747、748)で、われわれは不死の時代の到来に備えなければならない、という趣旨の話をしました。
その不死の時代より先に到来すると思われるのがセックスレスの時代です。
どうして私がセックスレスの時代の到来が必然であると思っているのか、そしてセックスレス時代が到来すると人類はどうなると私が考えているのか、ご説明することにしましょう。
2 女性のオルガスム論
6月に女性のオルガスム(Orgasm)に関する新しい研究成果が英国で公にされました。
19歳から83歳までの4,036人の一卵性の双子と非一卵性の双子の女性(ほぼ同数)を調査した結果だそうです。
これらの女性のうち、セックスでオルガスムに達したことがないか達したことが殆どない人が32%もいるのに対し、必ずオルガスムに達する人は14%しかいませんでした。他方、マスターベーションでは、オルガスムに達したことがないか達したことが殆どない人が21%いるのに対し、必ずオルガスムに達する人は34%いました。
ちなみに、男性ではセックスでオルガスムに達しない人は2%しかいません。
ここまでは、目新しくもないのですが、この研究の目新しさは、オルガスムに達する頻度が非一卵性の双子に比べて一卵性の双子の方がよりそろっていることが分かったことです。すなわち、オルガスム到達度は遺伝され(注1)、遺伝はセックスの際のオルガスム到達度の34%以上、マスターベーションの際のオルガスム到達度の45%以上の決定因子であることが判明しました。
(注1)これを司っている遺伝子はまだ特定されていない。
この結果、女性のオルガスムは妊娠促進のため(注2)というより、男の選別のために存在している可能性が高くなりました。
(注2)女性は、排卵期にほんのちょっぴりだがオルガスムに達しやすくなる。また、オルガスムに達すると精子の取り込み量が増加する。しかし、オルガスムが妊娠促進のためだけのものであれば、女性だって男性並に98%オルガスムに達してしかるべきだ。
つまり、女性をオルガスムに到達させることができる男は、優しくて信頼ができ、力強く精力があり、忍耐があって思いやりがあり、子供の面倒もきちんと見てくれる可能性が高い、というわけです。
ですから、遺伝的にオルガスムに簡単に達する女性は、男を見る眼がない女性、男運が悪い女性、ということになります。
別の研究で女性はオルガスムに達するまでに平均12分もかかるのに、男性は平均30秒しかかからないことが判明していますが、これは、簡単にはオルガスムに達しない女性が自然淘汰の結果生き残ったことを示しているのでしょう。
(以上、http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1501314,00.html(6月8日アクセス)、(http://news.yahoo.com/s/ap/20050608/ap_on_he_me/orgasm_genes;_ylt=At8u6qolALXQZYRy6VEvqW9vieAA;_ylu=X3oDMTBiMW04NW9mBHNlYwMlJVRPUCUl(6月9日アクセス)、及びhttp://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4616899.stm(6月9日アクセス)による。)
このような研究成果は研究成果として、注意すべきは、セックスに関する女性の心理は男性よりもはるかに複雑であって、女性にとってオルガスムに達するか否かは、必ずしもセックスの満足度に直結していないことです(ヤフー上掲)。
いずれにせよ、重要なことは、女性にとってセックスとオルガスム・・快楽・・とは結びついていない、という厳然たる事実です。
ではオルガスムに達したい女性はどうすればよいのでしょうか。
マスターベーションは、成功率は三分の一で(平均12分もの)時間のムダに終わる可能性が高いのでは、お勧めではありません。
喜ばしいことに、と言うべきか、最近、もっと確実な方法が次々に発見されています。
2001年には、脊髄の特定の部位に端末を埋め込み、電気パルスを送ると女性はオルガスムに達することが発見され(http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/1158429.stm。7月15日アクセス)、機器を小型化して体内に埋め込んでおけば、女性は好きなときにオルガスムに達することができる、という可能性が出てきましたし、2002年には、いわゆるG-スポット(注3)の「感覚」を司っているタンパク質が発見され(http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/2090434.stm。7月15日アクセス)、遠くない将来、このタンパク質を使った服用薬や塗布薬が開発される可能性が出てきました。
(注3)ドイツの産婦人科医グラーフェンベルグ(Ernest Grafenberg。1881?1957年)が1940年代に「発見」し、1982年に、ある本で彼の名前にちなんでにそう命名された。(なぜ「発見」がカギ括弧付きなのかを含め、http://www.quikcondoms.com/content.jsp?id=73&ch=safety_girl及びhttp://www.themarriagebed.com/pages/biology/female/gspot.shtml(どちらも7月16日アクセス)参照。)
これらとマスターベーションを組み合わせれば、女性が自分だけで確実にオルガスムに達することができる日がやってくるのはそう遠くなさそうです。
そうなれば、マスターベーションで確実にオルガスムに達することができる男性と、女性は史上初めて性的同権を実現できるのです。
(続く)
太田述正ブログは移転しました 。
www.ohtan.net
www.ohtan.net/blog/