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太田述正コラム#1155(2006.3.31)
<米国の経済・社会の現状(続)>
1 始めに
「米国の経済・社会の現状」では、好調な米国経済の明るい側面だけに焦点を当て、またも大をはらむ米国社会については大卒者という上澄み部分だけに焦点を当てたので、補足する意味で、米国経済の陰りの側面と、米国社会の底辺部分の紹介をしておきましょう。
2 米国ブランドの凋落
世界13カ国の15歳から18歳の若者を対象に実施され、2月に公表された調査によれば、世界的ブランドのうち、良く知られているナンバーワンはコカコーラであり、二番目はマクドナルドでした。
しかし、好感度(クールであるかどうか)になると、コカコーラは8位に落ち、マクドナルドに至っては、32位に落ちてしまいます。ディズニーやアメリカ・オンラインの好感度も急低下しています。
好感度の1位から順番に並べると、ソニー(日本)・ノキア(フィンランド)・アディダス(ドイツ)となり、4番目にようやくナイキ(米国)が顔を出すという有様です。
つい最近まで、米国のブランドが常に好感度の上位を独占していたことを思えば、地滑り的変動が起きている、と言わざるをえません。
原因は良く分かっていません。
世界各地でなナショナリスティックな気分が高まってきているとか、対イラク戦等で米国のイメージが悪くなってきているとか取り沙汰されています。
確かにアップルなどは、米国というよりはカリフォルニアの企業であることを全面に出すようになっています。
しかし、若者達が、商品がどこの国の企業のものであるかをそれほど意識しているとも思えません。
若者達が、特定のブランドがクールであると思ってサイフを取り出すかどうかは、彼らの属する仲間集団の間における当該ブランドの評判いかんにかかっている、という意見が有力です。
いずれにせよ確かなことは、米国のブランドが、急速に世界の若者達の気持ちを把握することができなくなりつつある、ということです。
(以上、http://www.csmonitor.com/2006/0216/p13s01-usec.html(2月16日アクセス)による。)
ということは、現在の若者達は将来の大人の消費者達であることからして、米国企業の将来は暗澹たるものがある、ということなのではないでしょうか。
3 飢える米国
2月に公表された調査によれば、2005年に、慈善団体の炊き出し(food banks, soup kitchens and shelters)を利用している米国人の数は2,500万人以上に達し、2001年に比べて9%増えました。
その中には、900万人の子供と300万人近いお年寄りが含まれています。
また、この2,500万人強のうち、36%は世帯構成員中一人以上が働いている世帯の人間ですし、35%は連邦農務省所管の食糧扶助(food stamps)受給者です。
これは、働いても食えない人々がいるということですし、連邦の社会保障制度が不十分であるということでもあります。
また、昨年公表された調査によれば、腹を満たせなかったことがある世帯が2004年に12%に達しましたが、これは前年の2003年の11%を上回っており、米国経済の好調とは裏腹に、空腹世帯は次第に増えてきているのです。
(以上、http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2006/02/24/2003294427(2月25日アクセス)による。)
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