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太田述正コラム#1182(2006.4.14)
<裁判雑記(その2)>
(本件で、私の呼びかけに答えて、ホームページの掲示板に投稿された「不正排除」さんと小坂亜矢子さん、それにメールをいただいた4名の読者の方々に、深く御礼申し上げます。)
すなわち、このコラム(#195)の主旨が、公明党批判という公共的事項についての論評であることはさておき、コラムの導入部において、警察と検察という捜査機関(=公権力の行使に関わる公務員)の捜査ミス(=公務執行に係る瑕疵)疑惑に係る本の内容の紹介を行ったことは、公共的事項についての(公的活動とは無関係な私生活暴露や人身攻撃にわたらない)論評であって違法性を欠くと考えられることだ。
時あたかも1999年に発生した会社員リンチ殺人事件についての4月12日の宇都宮地裁判決は、栃木県警の捜査ミスと死亡の因果関係を認めたところだが、近年、捜査機関の作為または不作為による捜査ミスに対する、犯罪被害者、ひいては世論の姿勢は厳しさを増しており(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060412/eve_____sya_____008.shtml。4月13日アクセス)、女性東村山市議転落死亡事件(以下、「東村山事件」という)についての捜査機関の捜査ミス疑惑を紹介することの公共性は高かったと言えよう。
ちなみに、「2 訴状の核心部分」ではオミットした部分で、原告は、「女性市議の・・転落死はほぼ自殺と判断され警察及び地検の捜査は・・終結している」と記しており、「ほぼ」という言葉を用いている以上、東村山事件が他殺によるものであった可能性があることは、原告自身が認めているところだ。
この際、以下の二点を付言しておきたい。
第一点は、以上記したことは同時に、私のこのコラム執筆公表の目的が、もっぱら公益を図るため(=一般市民の「知る権利」行使に資するため)であることを裏付けていることだ。しかも、私のコラムはすべて、無償で公開されており、私はコラム執筆公表によって何ら金銭的利益を得ていない。
そうである以上、このコラム(#195)執筆公表の目的の公益性は明らかであり、かかる観点からも、このコラムの導入部の記述は違法性を欠くと考える。
第二点は、このコラムの導入部の記述の真実性を調査することは私には事実上不可能であった上、そもそも私はその内容を真実と信じる相当の理由があった、ということだ。
私には部下はおらず、協力者もほとんどいないため、執筆材料の独自取材は原則として行わないこととし、もっぱらインターネットと公刊書籍に依拠して執筆している。その私が、インターネットや公刊書籍の記述の真実性を調査することは不可能に近い。
また、このコラム(#195)導入部が典拠とした本は、東村山事件を対象に、言及された捜査関係者から名誉毀損で訴えられたり、関係捜査機関によって報復的に微罪を追及されたりする懼れがあるにもかかわらず、転落死した東村山市議の同僚市議(公選された公務員)2名によって執筆され、歴とした出版社(第三書館)によって出版されたものであり、本の内容において、私が知っている事実に関し誤りがなかったこともあり、私としては、本の他の部分も真実性が高い、と判断するる相当の理由があったと今でも思っている。
なお、前述したように、(自発的にあるいは裁判等によって、絶版にされることなく、)この本が現在もなお市場に出回っていることは、私の当時のこの判断の妥当性を事後的に裏付けるものであると考える。
(以上、用語や論理構成については、幾代通「不法行為」(筑摩書房1977年)87??92頁を参考にした。)
<裁判雑記(その2)>
(本件で、私の呼びかけに答えて、ホームページの掲示板に投稿された「不正排除」さんと小坂亜矢子さん、それにメールをいただいた4名の読者の方々に、深く御礼申し上げます。)
すなわち、このコラム(#195)の主旨が、公明党批判という公共的事項についての論評であることはさておき、コラムの導入部において、警察と検察という捜査機関(=公権力の行使に関わる公務員)の捜査ミス(=公務執行に係る瑕疵)疑惑に係る本の内容の紹介を行ったことは、公共的事項についての(公的活動とは無関係な私生活暴露や人身攻撃にわたらない)論評であって違法性を欠くと考えられることだ。
時あたかも1999年に発生した会社員リンチ殺人事件についての4月12日の宇都宮地裁判決は、栃木県警の捜査ミスと死亡の因果関係を認めたところだが、近年、捜査機関の作為または不作為による捜査ミスに対する、犯罪被害者、ひいては世論の姿勢は厳しさを増しており(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060412/eve_____sya_____008.shtml。4月13日アクセス)、女性東村山市議転落死亡事件(以下、「東村山事件」という)についての捜査機関の捜査ミス疑惑を紹介することの公共性は高かったと言えよう。
ちなみに、「2 訴状の核心部分」ではオミットした部分で、原告は、「女性市議の・・転落死はほぼ自殺と判断され警察及び地検の捜査は・・終結している」と記しており、「ほぼ」という言葉を用いている以上、東村山事件が他殺によるものであった可能性があることは、原告自身が認めているところだ。
この際、以下の二点を付言しておきたい。
第一点は、以上記したことは同時に、私のこのコラム執筆公表の目的が、もっぱら公益を図るため(=一般市民の「知る権利」行使に資するため)であることを裏付けていることだ。しかも、私のコラムはすべて、無償で公開されており、私はコラム執筆公表によって何ら金銭的利益を得ていない。
そうである以上、このコラム(#195)執筆公表の目的の公益性は明らかであり、かかる観点からも、このコラムの導入部の記述は違法性を欠くと考える。
第二点は、このコラムの導入部の記述の真実性を調査することは私には事実上不可能であった上、そもそも私はその内容を真実と信じる相当の理由があった、ということだ。
私には部下はおらず、協力者もほとんどいないため、執筆材料の独自取材は原則として行わないこととし、もっぱらインターネットと公刊書籍に依拠して執筆している。その私が、インターネットや公刊書籍の記述の真実性を調査することは不可能に近い。
また、このコラム(#195)導入部が典拠とした本は、東村山事件を対象に、言及された捜査関係者から名誉毀損で訴えられたり、関係捜査機関によって報復的に微罪を追及されたりする懼れがあるにもかかわらず、転落死した東村山市議の同僚市議(公選された公務員)2名によって執筆され、歴とした出版社(第三書館)によって出版されたものであり、本の内容において、私が知っている事実に関し誤りがなかったこともあり、私としては、本の他の部分も真実性が高い、と判断するる相当の理由があったと今でも思っている。
なお、前述したように、(自発的にあるいは裁判等によって、絶版にされることなく、)この本が現在もなお市場に出回っていることは、私の当時のこの判断の妥当性を事後的に裏付けるものであると考える。
(以上、用語や論理構成については、幾代通「不法行為」(筑摩書房1977年)87??92頁を参考にした。)
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