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太田述正コラム#12072006.4.29

<戦う朝鮮日報(その2)>

3 対北朝鮮外交

 「木曜にブッシュ米大統領は、北朝鮮に拉致され、キム・ヨンナムと結婚したとされる横田めぐみさんの母親とスターリン主義の国から脱出したキム・ハンミちゃん一家と面会した。日本の駐米大使は同席したが、韓国の駐米大使はそうしなかった。日本の外務省は横田さんの訪米を支援したが、駐米韓国大使館は、恐らく韓国の外交通商部の指示により、韓国からやってきた北朝鮮亡命者達に会うのを拒否した。これは暗澹たる話であり、韓国政府が一体誰のために仕事をしているのか、という疑問を起こさせる。韓国政府は、30年前に消息不明になった・・5人の・・自国民が北朝鮮のスパイの訓練にあたっていることを知っていたけれど、10年近くにもわたってそのことを平壌に提起したことがない。それどころか、自分達の子供達の運命を慮って30年間苦しんできた家族にそのことを伝えることすらしなかった。・・<韓国政府の静かな外交は、何の成果もあげられなかったのに対し、日本の>大変騒がしい<外交は、>北朝鮮に13人の日本人を拉致したことを認めさせ、・・そのうちの5人とその家族を帰還させた。しかも、横田めぐみさんの夫が韓国からの拉致被害者であることを・・明らかにした。」(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200604/200604280029.html。4月29日アクセス)

 この記事は、韓国の歴代政権の対北朝鮮外交の批判ですが、「静かな外交」批判というところから、批判の主たるターゲットがノムヒョン大統領であることは明らかです。

 ちなみに、ブッシュ大統領との上記面会について、朝鮮日報の記事(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200604/200604280020.html部分的にhttp://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/29/20060429000023.htmlhttp://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/29/20060429000022.htmlで補足した。)は、ハンミちゃん一家や韓国で今ヒット中の北朝鮮の強制収容所を描いたミュージカルの芸術監督のチュン・ソンサン、キム・ソンミン(Kim Sueng-min)自由北韓放送代表(Free North Korea director)ら5人の脱北者達たる韓国人と拉致被害者の家族である横田早紀江さんという1人の日本人、計6人をブッシュが会った人々としており、レフコウィッツ(Jay Lefkowitz)米・北朝鮮人権問題特使(the special U.S. envoy for human rights in North Korea)、ヒル(Christopher Hill国務省東アジア太平洋担当次官補、加藤良三駐米大使、ショルト( Suzanne Scholte)ディフェンス・フォーラム財団代表(the head of the activist group Defense Forum Foundation)らが陪席した、と報じています。

 この記事は、「面会には、早紀江さんと拓也さんのほかに、北朝鮮から脱出し、現在は韓国に住む脱北者らも同席。25日に上院の公聴会で証言した元北朝鮮軍人で現在は脱北者による北朝鮮向け放送「自由北韓放送」代表の・・キム・ソンミン・・さんや、02年に中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ・・キム・ハンミ・・ちゃん(6)とその両親らも招かれた。」という朝日新聞の記事(http://www.asahi.com/national/update/0429/TKY200604280381.htmlより、この面会の趣旨・・北朝鮮亡命者が主、日本人拉致被害者が従・・をより的確に伝えていますし、朝日の記事が、駐米韓国大使が陪席しなかったことを報じなかったのも、ものたりません。

また、細かい点ですが、朝日のこの記事は、ブッシュが「<北朝鮮をして>人権を尊重し、自由社会を実現させることを、私は強く保証する」と述べたとしているところ、これでは日本語になっていませんし、朝鮮日報の上記英語版記事(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200604/200604280020.html)と日本語版記事(http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/29/20060429000022.html)では、それぞれ’Bush・・offered consolation while vowing that the U.S. will do more to fight for improvement of human rights in the Stalinist country.と「ブッシュ大統領は・・「私は北朝鮮の人権の改善や住民の自由拡大のため努力することを約束する」と話した」、としているところからみて、「保証」はvow(誓約、約束)の誤訳でしょう。

何とも日本の一流紙は冴えません。

ちなみに、このブッシュ大統領との面会については、英米のメディアは一切報道していません。

29日の午前の段階では、ブッシュ大統領との面会記事が朝鮮日報の日本語電子版に載っていなかったので、不思議に思っていたところ、夜になったら、載っていました。満を持して掲載された、ということでしょうか。)

(続く)

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