太田述正コラム#12852006.6.9

<施設庁談合事件はどうなった?(その2)>

 (本篇はコラム#1264の続きです。)

 

 (1)疑問

 それにしても、検察は施設本庁の捜索で、山のような、しかもその大部分が違法な政治家の口利き情報を入手しながら(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060530/mng_____sya_____014.shtml。5月30日アクセス)、その後全く捜査をしていないように見えるのはなぜなのでしょうか。

 また、施設庁建設部の官製談合システムを、防衛庁全体の幹部OB天下りシステムの一環として管理し、内局キャリアもこの官製談合システムに載せて天下りをさせてきた内局に捜査の手が及ばないのはどうしてなのでしょうか。はたまた、これを突破口にして、防衛装備品等の調達の見返りに内局や自衛官の幹部の天下りをさせる、という防衛庁の天下りシステムの奥の院にメスを入れようとしないのはなぜなのでしょうか。

 更に、このような観点から捜査をして行けば、政治家と全官庁との癒着や全官庁の天下りシステムが炙り出されてくる可能性すらあるというのに、検察はどうして動かないのでしょうか。

 検察はライブドア(LD)や村上ファンド(MF)の捜査で手一杯だから、というのは説明にはなりません。LDMFの事件は、合わせて一本であり(典拠省略)、特捜部の同じ班が担当していて、施設庁談合事件は別の班が担当しているからです(検察事情に詳しい知人の言による)。

 検事そのものは、退職しても弁護士になれるけれど、法務省全体としては矯正職員等の再就職問題を抱えているので、全官庁の天下りシステムの維持が困難になりかねない捜査・立件は回避した、というのがもう一つの可能性です。

 いずれにせよ、これまで田中元総理等の大物政治家の摘発を断行してきた検察が、政治家の摘発に躊躇するはずがない、と思いたいところです。いくら何でも摘発される政治家の数が多すぎ、自民党政権の崩壊につながることを懼れた?そんなことで捜査を中止したとすれば、内部告発者が出るのは必定でしょう。

 可能性としてはもう一つあります。

 検察が取引に応じざるをえなかった、という可能性です。

 (2)財務省/金融庁と検察とが取引?

LD/MF事件の捜査には金融や財務に関する高度に専門的な知識及び関連情報を必要とすることから、証券監視委員会や金融庁本体の協力が欠かせないところであり、捜査は証券監視委員会と特捜部が合同で行っています(http://www.sankei.co.jp/news/060605/sha088.htm。6月6日アクセス)。

 証券監視委員会を含む金融庁は、官庁の中の官庁と謳われた旧大蔵省の銀行局と証券局が、大蔵省不祥事等の結果、分離させられたものであり、旧大蔵官僚は、財務省と金融庁の再統合を悲願としています(典拠省略)(注1)。

(注1)そもそも、財務省と金融庁の分離は不徹底であり、地方支分部局たる財務局は、現在でも財務省と金融庁の合同地方支分部局だ。

 財務省/金融庁は、小泉政権を支え、小泉「改革」・・実態は米国の内政干渉の丸呑み(コラム#827)・・を演出し、公共事業や郵政事業を食い物にしてきた経世会つぶしに加担することで、森派を中心とする自民党の現主流派に貸しをつくるとともに、巧妙に財務省/金融庁の権限と天下り先の回復・拡大に努め、そのおこぼれを他官庁に与えることで、他官庁に対する支配力の回復・拡大にも努めてきました。その究極のねらいは財務省と金融庁の再統合であり、財政再建(緊縮財政・大増税)の実現です注2)。

 (注2)私は、かねがね、小泉政権は、日本最大の権益擁護集団に堕してしまった官僚機構の走狗である、と指摘してきた(例えば、コラム#846)。その官僚機構の盟主は旧大蔵省=現財務省/金融庁なのであるから、小泉政権は、旧大蔵省の走狗であると言っても良い。エコノミストの紺谷典子が、かねてからかかる主張を行ってきている(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-01-26/08_0301.html。6月9日アクセス)。最近、ひょんなことで、あのエコノミストの植草一秀も同じ考えであることを知った(植草「ウエクサ・レポート」市井文学200512月 463??465頁)。

 ここまでくれば、私が何を言いたいかお分かりでしょう。

(続く)

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