太田述正コラム#12992006.6.16

<施設庁談合事件はどうなった?(番外編)(その2)>

2 またも旧大蔵省の陰謀か

 村上ファンド(MF)問題は、このところ、福井俊彦日銀総裁「不祥事」問題へと変容した観があります。

 福井総裁がMF1999年秋、個人として1,000万円を拠出し、2003年に日銀総裁に就任した後も持ち続けていたことを13日に明らかにしたところ、ただちに総裁の道義的責任を問われた小泉純一郎首相は「正規の投資なら問題ない」と答え、与謝野馨金融・経済財政担当相は「総裁就任前に民間人として拠出したものであり、それ自体に問題はない。不適切との根拠は見出せない」との認識を示した(http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060613k0000e020063000c.html(6月13日アクセス)、http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20060614/mng_____kei_____001.shtml(6月14日アクセス)及び)というのに、翌14日には、全国地方銀行協会(地銀協)の瀬谷俊雄会長(福島市に本店がある東邦銀行の頭取。瀬谷氏は旧第一銀行(現みずほ銀行)出身)が、記者会見の中で、「問題あり」とよどみなく答えた(14日の民放TVニュース。チャンネルを思い出せない)ことにはびっくりしました。

 市中銀行の頭取が銀行の元締めとも言うべき日銀批判にわたるような発言を行ったことは事件だからです。

 しかし、地銀協の会長は、瀬谷氏の前任者までの28年間にわたって、旧大蔵省の事務次官やそれに準じるクラスから地方銀行に天下った頭取の指定席であったこと、かつ、市中銀行にとっては旧大蔵省は日銀以上に畏怖すべき存在であることを考えると、瀬谷氏には大変失礼ながら、氏の発言の背後に旧大蔵省勢力の「指示」があった可能性がある、という気がしてきました。

 (以上、地銀協や瀬谷氏についてはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%8A%80%E5%8D%94(6月15日アクセス)によった。)

 その後、14日に谷垣財務相が、「法律に違反している訳ではないと思うが、金融というのは信頼が秩序の核にある。瓜田に履・・を納・・れず、李下に冠を正さずと言う。よく注意してもらいたい」福井総裁批判を行ったこと(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060614ib23.htm。6月15日アクセス)を知り、私の以上の解釈は確信に近いものに変わりました。

 慎重な谷垣氏が、いくらポスト小泉に色気を見せており、その存在感をアピールする必要があるとはいえ、野党が福井氏の辞職を求めている(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20060614k0000m010167000c.html。6月14日アクセス)中でこんなアブナイ発言をするというのは、部下の財務官僚達からの強い要請があったからに違いない、と思ったからです。(与謝野氏には所管している金融庁の官僚達が要請をしなかったか、要請をしたけれど従わなかった、ということになりそうです。)

 では、旧大蔵省勢力のねらいは何か?

 言わずと知れたことですが、速見優・福井俊彦と二代にわたって日銀総裁の座を日銀出身者に占められている現状を打破し、財務省/金融庁出身者を総裁につけ、それを契機に、かつての日銀・大蔵出身者が交互に日銀総裁につく慣例を復活させようというのでしょう(注2)。

 (注2)ただし、私は福井総裁の弁護をするつもりはない。「超低金利で国民の利息収入を犠牲にした量的緩和策やゼロ金利政策を続ける一方で、ファンドへの投資で利益を上げたことに「庶民感覚と違う」・・という声や、「2月の解約申し入れはライブドアショックの直後。量的緩和策解除の直前に売り抜けようとしたという誤解を招きかねないと・・の・・指摘」(http://www.sankei.co.jp/news/060615/kei011.htm。6月15日アクセス。奇妙なことに、午前にはあったこのくだりが、1800現在、この電子版記事から消えてしまっている)は正しい。

 いくら何でも、そもそもMFの摘発が、福井総裁の失脚をねらったものであった、とまでは思いたくありませんが、こんなことばかり考えていると、気が滅入りそうになります。

 しかし、気持ちを奮い立たせて、もう少し、追及を進めることにしましょう。

(続く)

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