太田述正コラム#1360(2006.7.30)
<ガザ・レバノン情勢の急変をどう見るか(その5)>

 (本篇は、コラム#1350の続きです)

 (8月5日(土)の私の事務所でのオフ会出席予定者は、現在3名です。どしどしお申し込みを!
なお、当日10時に事務所に弁当持参で来て、事務所のゴミ出し・掃除・オフ会設営・後片付け・オフ会用飲料等買い出しを手伝っていただける方は、会費免除で半年間有料会員(準会員)にさせていただきます。
事務所への道順ですが、西武新宿線野方駅(急行や準急は止まりません)を降りて、改札口を出て、右手の踏切を渡って、ずっとまっすぐ北方へ歩いてください。右側にブックオフが見えてきた時点で全行程(約15分)の三分の一くらいです。更にずっとまっすぐ歩いていくと、左側の角が有料駐車場になっている交差点(交差点の向こう側左手に「サンクス」の案内看板あり)にさしかかるので、ここを左折して、最初のビルが野方パークハイツ(練馬区豊玉南3??10??12)です。最初の入り口から入って階段を三階まで上がってください。305号室です。電話:03-3992-3342)

米国とイスラエルの究極のねらいはイランに対する武力攻撃である、という私の見解は、実はイランの今回の紛争の受け止め方でもあります。
すなわち、イランの政府関係者達に言わせると、これまでは、(米国や)イスラエルは、イランを攻撃すれば、北部イスラエルにヒズボラの攻撃を受けるのでイラン攻撃を躊躇せざるをえない面があったところ、今回の紛争がいかなる形で決着しようと、ヒズボラの政治的・軍事的影響力は著しく減殺されることは必至なので、(米国や)イスラエルは、大きな障害を除去することに成功した、というのです。
イランがヒズボラによるイスラエル挑発に暗黙の同意を与えたことは大失敗だったというわけです。
(以上、http://www.nytimes.com/2006/07/30/world/middleeast/30iran.html?ref=world&pagewanted=print
(7月30日アクセス)による。)

7 析出したアングロサクソンと欧州の二陣営

 私自身にとって一番興味深いのは、今回の紛争に関し、即時停戦の是非ないしイスラエルによる「反撃」の非均衡性の有無をめぐって、世界がアングロサクソン陣営とそれ以外の、欧州を中心とする陣営へときれいに二分されていることです。
 すなわち、即時停戦に反対しイスラエルによる「反撃」は非均衡的であるとは言えないと主張しているのは、米国・英国・カナダ・オーストラリアというアングロサクソン諸国のほかは、ほんのわずかの国々にとどまっているのに対し、欧州のフランス、欧州の外縁たるロシア、欧州文明を継受した中共、や欧州の影響を強く受けているイスラム諸国等の圧倒的多数の国々は、イスラエルに即時停戦を求めるとともにイスラエルによる「反撃」は非均衡的(disproportional)であると主張しています。
(以上、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/07/27/AR2006072701725_pf.html
(7月28日アクセス)による。)
 非均衡的云々については、「イスラエルの反撃の均衡性をめぐって」シリーズにゆだねるとして、イスラム諸国はともあれ、フランスやロシア等の欧州系の諸国のこのような反イスラエル的姿勢は、彼らの反ユダヤ主義の歴史に照らせば、ごく自然なことなのかもしれませんが、やはり唾棄すべきことではないでしょうか。
 20世紀に一つの頂点に達した欧州における反ユダヤ主義の淵源は1881年のロシアにおける一連のポグロム(pogrom)に求められます。次に注目すべきは1894年のフランスに起こったドレフュス事件です。そして1900年前後のオーストリアにおける反ユダヤ主義の嵐、更には1940年代のナチスドイツによるホロコーストへと至るわけです。
 欧州のこの時代は民族意識が高揚した時代でもあり、上記反ユダヤ主義と相まって、各国でユダヤ人は同化を拒まれ、さりとて同化しようとしなければ一層排斥されました。たまらず、ドレフュス事件を契機に欧州のユダヤ人はヘルツェル(Theodor Herzl)を指導者としてシオニズム運動を始め、ユダヤ人の祖国を欧州以外に求め、最終的にパレスティナに白羽の矢を立てるわけです。
 パレスティナをユダヤ人の祖国と思い定めたユダヤ人は、ホロコーストを契機に、長く続いた商人たる歴史にもかかわらず、軍人へと自らを作り替えます。先の大戦を契機に軍人から商人へと自らを作り替えたドイツ人や日本人とは好対照です。
 こうして、イスラエルのユダヤ人は、アラブ人を中心とするイスラム勢力との絶え間ない紛争を戦い抜いて現在に至っているのです。
 ですから、現在の紛争を含むこれまでのパレスティナ紛争の原因を作ったのは欧州なのです。
(以上、
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-garton27jul27,0,5857158,print.story?coll=la-opinion-rightrail
(7月29日アクセス)による。)
 欧州諸国は、いつまでユダヤ人を苦しめれば気が済むのでしょうか。
 まことに欧州文明は悪の文明ですね。

(続く)

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