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太田述正コラム#1443(2006.10.11)
<北朝鮮核実験か(続々)(その1)>

 (06/09/11 11:55:29 ??06/10/10 13:20:24の太田HPへの訪問者数は、25,694人であり、前回が24,597人であり、06/08/11 10:30:31??06/09/10 23:59:59だったので、月の日数も違い、厳密な比較は困難ですが、とにかく、反転上昇したことでほっとしています。(HPへの累計訪問者数は、827,752人です。)他方、太田ブログ(http://ohtan.txt-nifty.com/column/)の方は、上記と少しずれた、11日00:00-10日2400の一ヶ月間の訪問者数は4,763人であり、こちらは前月の4,853人より更に目減りはしたものの、低下の勢いは止まりつつあります。最後の一週間の「努力」が実を結んだようです。合計すると、月間訪問者数は30,457人と、再び3万人(一日1,000人ペース)の大台を回復しました。(ちなみに、先月は29,450人でした。)他方、読者数は現在、無料読者が578(HP)+671(まぐまぐ)+80(E-Magazine)=1329名、有料読者は127名で、計1,456名であり、前月の1,464人より8名減ってしまいました。まぐまぐの読者数だけが減るという傾向が続いています。(HP上の読者の幽霊メルアドあぶりだし問題はさわっていません。))

1 始めに

 北朝鮮が核実験を行ったとの前提で、どうすべきか、という議論が活発に行われ始めています。
 この中で、「<北朝鮮には、>将来があるのか、核兵器を持つのか、そのどちらかだ。・・われわれは核を持った北朝鮮と共存するつもりはない。われわれはそんな事態を受け入れない。」という米国の現在のスタンス(コラム#1440)(注1)と完全に合致していてしかも実行可能性がかなりありそうな提案を一つご紹介しましょう。

 (注1)既にブッシュ大統領は2003年5月に、「<米国は>北朝鮮が核兵器を持つことを看過することはない」と宣言している(
http://www.nytimes.com/2006/10/10/world/asia/10assess.html?pagewanted=print
。10月11日アクセス)。

 それは、2001??2002年にブッシュ米大統領のスピーチライターを勤めたフラム(David Frum)の提案(
http://www.nytimes.com/2006/10/10/opinion/10frum.html?pagewanted=print
(10月11日アクセス)。要旨は下掲)です。

2 フラムの提案の要旨

 核を保有した北朝鮮に決してご褒美を与えない、そしてイランに誤ったシグナルを与えないためには、間違っても、北朝鮮と交渉することによって問題を解決しようなどとしてはならない。
 では一体どうしたらよいか。
 次の3つの戦略目標を設定すべきだ。
 第1に、北朝鮮の核によって直接的な脅威を受ける日本と韓国の安全保障を強化すること。
 第2に、北朝鮮に核保有のコストを支払わせること。そのコストはイラン等、核保有を目指している者を震え上がらせる程度のものでなければならない。
 第3に、中共を懲罰すること。ことここに至ったのは、中共が石油や食糧を北朝鮮に支援してきたからであるから当然のことだ。
 以上の3つの目標を達成するために、米国は以下の四つの政策をとるべきだ。
 第一に、ミサイル防衛システムの整備に一層力を入れることだ。これは、北朝鮮の核はもとより、中共の核の有効性をも低下させる。
 第二に、北朝鮮への人道援助を止め、韓国にも止めさせることだ。中共が北朝鮮の体制変革や体制崩壊を懼れるのなら、中共が一手に人道援助を引き受ければよい。
 第三に、日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポールにNATOへの加盟を促すことだ。台湾にもNATOのオブザーバー資格を与えてもよかろう。こうすれば、北朝鮮の核によって傾きかけた東アジアの軍事バランスは元に戻って更におつりがくる。
 第四に、日本に核拡散防止条約から脱して独自の核抑止力を保持するように促すことだ。発展しつつある中共に対し、民主的な日本が罪の意識を引き続き抱き続けるべきだなどという馬鹿げた話はもうおしまいにして、北朝鮮と中共が最もいやがることを日本に行わせるべきだ。そうすれば、イランだって、米国がイスラエルを手助けしてイランの核施設を攻撃させるに違いないと恐れおののくはずだ。
 
3 対北朝鮮限定的武力攻撃の是非

 私は、フラムの提案は、フラムの経歴からしてブッシュ政権のホンネを代弁している可能性が高い、と見ています。
 米国から集団的自衛権行使と核保有を同時に迫られるとなると安倍さんも大変ですね(注2)。同情を禁じ得ません。

 (注2)既に、日本の核武装に係る安倍首相の発言には、各国から強い関心が寄せられている。例えば、
http://www.guardian.co.uk/korea/article/0,,1891976,00.htmlhttp://www.slate.com/id/2151270/
(10月11日アクセス)参照。

 ところでフラムは、北朝鮮に対する限定的武力攻撃について、一切言及していません。
 英ガーディアンのコラムニストのジェンキンス(Simon Jenkins)は、こうなったら、北朝鮮の核関連施設と弾道弾を巡航ミサイルで攻撃して一挙に破壊せよ、と訴えています(
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,1892453,00.html
。10月11日アクセス)。
 しかし、問題は、米国が北朝鮮の弾道弾貯蔵施設・核関連研究所・核司令所・金正日ら、の所在場所を完全には把握できていないことであり、原子炉そのものを攻撃することは放射能をまき散らすことになることから行い得ないことであり、また、北朝鮮が韓国に向けて砲撃したり弾道弾を打ち込んだり、日本に向けて弾道弾を打ち込んだりする可能性も排除できないことです(
http://www.nytimes.com/2006/10/10/world/asia/10military.html?pagewanted=printhttp://www.csmonitor.com/2006/1011/p09s02-coop.html
(どちらも10月11日アクセス))。

(続く)

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