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太田述正コラム#1453(2006.10.17)
<北朝鮮核実験>

1 確認された核実験

 ネグロポンテ(John Negroponte)米国家情報長官(US national intelligence director)は16日、米国が北朝鮮の核実験発表後の11日にWC-135(Constant Phoenix)が周辺地域で採取した大気を分析した結果として、「放射性物質が検出され、北朝鮮が9日に地下核爆発を起こしたことが確認された」との声明を出し、場所は咸鏡北道(Hamgyeong Province=ハムギョンプクト)豊渓里(P'unggye=プンゲリ)付近(注1)で、爆発規模はTNT火薬換算で1kt以下だったとしました(
http://www.asahi.com/international/update/1017/002.html
http://www.guardian.co.uk/korea/article/0,,1923829,00.html、及び
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200610/200610170012.html
(いずれも10月17日アクセス。以下、1、2において同じ))。
 
 (注1)1987年から94年までに、付近の三箇所の政治犯収容所から計1万人余の政治犯が動員されて今回核実験が行われたトンネルの掘削作業に従事させられたが1人も生還していないという(
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/17/20061017000025.html)。

 なお、米国が検出した放射性物質が、核実験後次第に増えるクリプトンなのか数日間で消えるキセノンなのかはまだ分かっていません。
 北朝鮮が事前に中共に通報したのは4ktの核実験だったという情報がある(
http://www.nytimes.com/2006/10/16/world/asia/17koreacnd.html?ei=5094&en=891cb4c4775510b3&hp=&ex=1161057600&partner=homepage&pagewanted=print
)ところ、起爆装置などの異常が原因で、10%から20%しか爆発しなかったと見るのが妥当だと考えられています
 (以上、
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/16/20061016000051.htmlによる)。
 いずれにせよ、これで、本当の核実験であったことが確認されたわけで、シリーズ「北朝鮮核実験か」は終わり、新たに「北朝鮮核実験」シリーズを始めます。
 米国のメディアは、近々再び核実験が行われると報じており(
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/17/20061017000030.html
)、心配されるところです。

2 中共の動き

 決議採択時点では、中共は検問は実施しないと言っていた中共の王光亜(Wang Guangya)国連大使は、その後、(海上ではやらないけれど陸上では検問を)実施すると発言を訂正しました。
 実際、中共は以前から中朝国境でトラックの通関検査を実施しているところ、それが最近強化された兆候があります(注2)。

 (注2)もっとも、確かに検査が強化されている大同(Dandong)検問所に関して言えば、中共の税関係官は、トラックの荷台を調べはしているものの、個々の荷物やバッグを開けることまではしていない。コンテナを開けているのかどうかもはっきりしない。

 鉄道についてはどうなっているのか不明です。
 なお、中共は中朝国境沿いにコンクリートの柱で支えられた鉄条網の塀を建設してきていますが、これは、核実験より前から始まっており、北朝鮮の密輸業者や脱北者を阻止するためだと考えられています。
 (以上、
http://www.asahi.com/international/update/1017/013.html
http://www.ft.com/cms/s/4cd1197c-5cfe-11db-9d15-0000779e2340.html
NYタイムス上掲、及び
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/10/16/AR2006101600665_pf.html
による。)
 また、朝鮮日報では、このところ、中共と北朝鮮の間の貿易や中共から北朝鮮への投資は急速に伸びてきていたけれど、北朝鮮の核実験発表と国連安保理の対北制裁決議採択をきっかけに中共と北朝鮮の民間取引が冷え込む兆しを見せている、と北京特派員が報じています(
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/17/20061017000014.html)。
 上掲のニューヨークタイムスも、成り行きを見極めたいだけかも知れないと断りつつ、中朝国境付近の中共の銀行のうちのいくつかは、北朝鮮との間の送金を拒否し始めている、と報じたところです。
 ところが、アジアタイムスは、全く変化は見られない、というフリージャーナリストの記事(
http://www.atimes.com/atimes/China_Business/HJ17Cb03.html
)を載せています。
 ここは、朝鮮日報のクレジット入りの記事の方を信用すべきでしょう。

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