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太田述正コラム#1587(2006.12.24)
<マクファーレン・マルサス・英日(その2)>

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 ホームページの掲示板に既に掲げましたが、完全有料化した場合にどうするかの一案をつくってみました。
 太田述正ホームページは来年1月10日に廃止します。購読者は、太田述正管理リストに移します。
 太田述正ブログはそのままにします。掲示板は、ブログの一カ所だけ、ということになります。
 まぐまぐからは当分の間撤退せず、まぐまぐでの購読者数の推移を見守ることにします。
 E-Magazineからは、今年末日に撤退します。E―Magazineで太田述正コラムを購読されている方は、上記管理リストに移します。
 有料読者で継続されない方も、管理リストに移します。
 コラムの執筆・発表のペースは、いずれにせよスローダウンさせますが、月平均28扁以上を保証します。私以外の執筆者の分は、おまけです。
 有料読者へのコラム配信はこれまでどおりです。
 しかし、ブログ及びまぐまぐへの公開、並びに管理リスト及びまぐまぐでの購読者への配信は、時事的な内容のコラムは原則として一ヶ月遅れ、それ以外のコラムは原則として三ヶ月遅れ、ということにします。
 なお、情報屋台には月2回コラムを公開し、有料読者には同じ内容のコラムを公開と当時に配信しますが、ブログ、まぐまぐ及び管理リストへの公開・配信は、上記の例によります。
 以上によって、私に次のメリットが生じます。
 ホームページ管理費用を節約することができる、名誉毀損等で紛争になる懼れのある内容の除去ないし修正を行う時間的余裕を確保できる。
 他方、デメリットとしては、私の手間がかなり増えることです。E-Magazineからの撤退(購読者が現在わずか76名)くらいではとても追いつきません。以前、配信業務を手伝っていただける方を募集したことがありますが、名簿を扱う、ということから、やはり、他人には関与させない方がよい、と思い直しました。

 しかし、上記のような形にせよ、完全有料化することは、私の望むところではありません。
 そのためにも、太田述正コラムを新規に有料講読されたい方は、ohta@ohtan.net へお申し込みを、そして既存の有料会員の皆さんや継続講読される方は、早急に会費の入金をお願いします。
 太田述正コラム、ひいては日本の将来(?!)は、この数日間の皆さんの決断にかかっています!
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 (本扁は、コラム#1402の続きです。#1402は有料コラムでしたが、ブログとホームページの無料版を有料版で差し替えてあるので、無料読者の方は、そちらをまずお読みになってください。)

 (3)食料と栄養
 イギリスと日本の栄養事情は全く異なっており、イギリスでは動物性タンパク質が中心であって、そのために体をこわす者が少なからずあった一方で、日本では動物性タンパク質の不足を野菜や穀物のタンパク質で補い、ビタミンやタンパク質や炭水化物の深刻な不足は免れた。ただし、日本では、ビタミンBだけは不足気味で脚気にかかる者が少なくなかった。
 しかし、どちらの国でも人々はおおむね食料が足りていた。
 (以上、PP104による。)

 (4)疾病と水
 イギリスでは、中世から大部分の都市に水道が整備されていた(PP116)。
 日本は川が多く、水質も良く、また、江戸には古代ローマになぞらえるような水道システムが完備されており、日本の都市は同時代のイギリスとほぼ同じくらい良質の水が確保できていた。
 日本では、国民がきれい好きであって衣類・家・街路・体をきれいにしており(PP122)、また、当局が疾病が起こったときには適切な対応をとった(PP113)。
 おかげで、両国とも、前産業社会の中では飛び抜けて、赤痢、チフス、コレラの発症が少なかった(PP112??113)。

 (5)飲料
 イギリスでは、14世紀から18世紀にかけて、その豊かさと農業の余剰と人々の嗜好から、欧州諸国とは違って、人々は、生水をほとんど飲まず、(ホップの入っていないビールである)エールやビールを飲んでいた。
 麦類は、パンにするよりもっと多くがエールやビールのために使われていた。
 (以上、PP127)
 ホップには殺菌性があるので、エールに代わってビールが飲まれるようになった16世紀の後半は、イギリス史上最も健康的な時期の一つになった(PP132)。
 18世紀からは紅茶がビールの地位に取って代わった。これで、イギリスでの疾病の発症は更に減った。紅茶を飲む習慣はオランダ以外には、欧州諸国になかなか広まらなかった。(PP146、149)
 日本では12世紀末に栄西が緑茶を支那から日本に紹介し、喫茶の習慣が13世紀には武士の間に、14世紀には庶民の間に広まった(PP133??134)。
 日本は、イギリスより更に前から、最も健康に良い飲料を用いていたわけだ(PP153)。

 (6)糞尿の処理
 16世紀の日本ににやってきた宣教師が、トイレがきれいで小便器と大便器が分けられ、尻を拭くのに紙が使われており、手水場が設けられていることに驚いている(PP160)。
 江戸時代には、糞尿はすべて肥料として用いられ、大阪では、より価値の高い糞の処分は大家の権利であり、尿の処分は店子の権利だった(PP158)。
 このことも、日本での疾病の発症の少なさに貢献している(PP154)。
 他方、中世のイギリスや欧州諸国では、主として動物の糞(manure)を肥料として用いていた(PP155)。
 中世のイギリスでは、欧州諸国の一部とは違って糞尿を肥料には一切用いなかったため、糞尿を処分するにはカネをとられたことから、大部分の糞尿は街路に垂れ流され、川が糞尿で汚染されていて、状況は日本よりはるかに劣悪だった(PP173)。
 しかし、1666年の大火を契機にロンドンで下水道が整備され、状況は徐々に改善に向かったが、都市の個々の家にまで下水道管がつながれたのは、19世紀半ばになってからだった。ちなみに、水でトイレの糞尿を下水道管に流すシステム(water-closet)は15世紀末にイギリス人が発明したものだ。(PP177??178)。
 今では、イギリスで開発されたシステムが日本のそれに代わって世界を席巻している(PP180)。

(続く)

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