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太田述正コラム#1635(2007.1.25)
<日本の新弥生時代の曙(その1)>(2007.2.25公開)
(前回のコラムの 「4 補足」中の「・・たので、ドイツは安心してこのルートで暗号電報を送達できた。)」と「なお、メキシコは、米国から旧領土を奪還したところで将来再び米国取り返されるのは必至で・・」の間に、「英国がどのようにこの問題を乗り越えたかは、引用しているウィキベディアをご覧下さい。」を挿入してください。)
1 始めに
昭和初期から日本は、内向きで日本独自の経済・社会システムに切り替える動きが始まり、敗戦を機にこのシステムが完成したこと、冷戦の崩壊を機に、日本の米国からの自立の条件が整ったこと、その反面日本の特異な経済・社会システムへの警戒心が米国で高まったこともあり、今度は日本は徐々に外向きでアングロサクソン、就中米国流のグローバルスタンダードに則った経済・社会システムへと自らを切り替えつつあることは、これまで累次指摘してきたところです。
日本の歴史を縄文モードと弥生モードの繰り返しと見る私の日本史観に照らせば、戦前から戦後直後にかけての弥生モードから縄文モードへの転換を経て、今度は縄文モードから弥生モードへの転換が今進行中である、ということになるわけです。
以上のような観点から、現在日本国内で行われている、日本の進路に関する論議をマクロ的に俯瞰してみたいと思います。
2 特異な点
これまでの縄文モードから弥生モードへの転換と今回のそれとの違いは、日本の米国の保護国的立場からの自立が課題になっていることです。
経済・社会システムの切り替えを行う自律的主体の確立は、縄文モードから弥生モードへの前回の転換が行われた幕末でも、また前々回の転換が行われた戦国時代末期でも課題になったところ、前回、前々回ではそれぞれ、倒幕と廃藩による日本の権威と権力の天皇への一本化、戦国時代の終結による全国再統一と天皇の権威の回復、という形をとったのに対し、今回は様相がかなり異なるわけです。
さて、自立のためには、軍事や諜報面で自立することが必要条件ですが、そのためには憲法改正や政府憲法解釈の変更が不可欠であるところ、憲法改正ならぬ、憲法改正のための国民投票法、しかも施行が公布から3年後という国民投票法、の制定の展望がようやく開けつつある、という現状(
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20070111k0000m010137000c.html
。1月25日アクセス)では、お寒い限りです。
3 経済社会システムの切り替え
(1)取捨選択や翻案なき法制度の輸入
このように日本における自律的主体の確立が遅れている以上、経済・社会システムの切り替えが、主体的な取捨選択と翻案というプロセスを経ずして、米国からの事実上の指示を受けて米国の法制度を直輸入するという形でなし崩し的に進行するのは避けられません。
最近の事例で言えば、日本版SOX法(the Sarbanes-Oxley Act of 2002)の導入がそうなのではないでしょうか。
ところが、このSOX法は、エンロン事件をきっかけに日本の「宗主国」米国で導入されたところ、その米国で、企業の内部監査コストの肥大化をもたらした結果、世界の企業の株式初公開に関する米証券市場のシェアが50%から5%に激減する等、深刻な問題が起こっていることから、早くも米国ではSOX法を廃棄すべきであるとする議論が起こっています(
http://www.nytimes.com/2007/01/03/opinion/03niskanen.html?_r=1&oref=slogin&pagewanted=print
。1月4日アクセス)。
こういう事例は他にも沢山ありそうです。
困ったものだと嘆くほかありません。
(2)翻案の哲学の不在
ア ヒトの面での開放
国立社会保障・人口問題研究所が発表した昨年12月の中位予測によると、日本の2050年の推計人口は9515万人であり、今後44年間で3260万人も人口が減ることになります。
森摂という論者は、日本で人口減少に対する楽観論が蔓延していることに警告を発し、堺屋太一氏の人口減少は文化を開化させるとか、日下公人氏の人口減少は人口が多かった時のインフラを享受することを可能にするとか、吉川洋・東大教授の人口減少でもイノベーションによる成長が可能であるといった説を批判した上で、日本に次いで人口減少が始まると見られているイタリア、ドイツ、フランスなどの西欧諸国で、着実な移民政策が進められていることに日本も倣うべきだと主張しています(
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/news/070122_business/
。1月25日アクセス(以下同じ))。
かねてから私もそのように主張してきており、森氏に全く同感です。
そもそも、日本人は支那人や韓国人に比べて、はるかに雑種度が大きい民族であること(
http://johoyatai.com/?page=yatai&yid=54&yaid=298
)を思い出すべきでしょう
ミトコンドリアDNAの分析結果によれば、本州日本人で日本人の固有(アイヌ・沖縄人を含む)ミトコンドリアDNAタイプ保有者は29%なのに、韓国人で韓国人固有のミトコンドリアDNAタイプ保有者は40.6%、中国(支那)人で中国(支那)人固有のミトコンドリアDNAタイプ保有者は60.6%にのぼる、というデータがあります(
http://www.kumanolife.com/History/dna.html)。
少子化対策も重要ですが、本格的な移民受入なくして、日本の人口減少を食い止めることは不可能です。
一挙にアングロサクソン諸国の移民法制を選択的に輸入し翻案して導入するというわけにもいかないでしょうから、日本政府は、西欧諸国の移民法制を選択的に輸入し翻案して導入する、という政策を、移民受け入れに係る哲学を確立した上で、できるだけ早期に決定すべきであると思います。
(続く)
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